上 下
10 / 47

10話 ステータス上げは気分も上がる

しおりを挟む
「あれ、俺はどうなった……? 」

 おそらく今俺はダンジョンにあった魔法陣に飛び乗ったはず。
 運が良いのか悪いのか、さっきと違う空間にいるみたいだ。

 根本は同じ、いやに明るい洞窟のような場所。
 俺が今さっきまでいた場所はずっと続く一本道だった。
 しかしここはどうだ、ただ広いというには表せないほどの広さ、甲子園球場なのかも思うほどに。

 どちらかというと、俺が初めにレベルラビットを捕まえたあの擬似的なダンジョンに近いような。

「そうそう、あの時はこんな感じにレベルラビットが寄ってきて……ってあれ、これデジャブ!? 」

「フンッ! フンッ! 」

 この鼻を鳴らすような音めちゃくちゃ聞き覚えがある。
 そして下を向いてみるとそのウサギはあの時のようにしっぽを振ってこちらを見上げていた。 

 一つ違う点で言えば、大きさ。少し前に捕まえたのはよくいう一般サイズくらいだったが、今回はそれの何回りも大きい。これでは最早ウサギではなくゴールデンレトリバーである。

 なんでこんなところにレベルラビットが? たしかレベルラビットは激レアだからもう出会えないだろうって……。

「だ、抱っこしてほしいのか……? 」

「フンッ! フンッ! 」

 ウサギ語は分からないが、なんとなく嬉しそうな表情をしている……気がする。  

 そう思い、抱き抱えた瞬間、この大きなレベルラビットはまたもポリゴン状となって空に消えていった。

 ここまで擬似ダンジョンの光景と被るなんて。

 そして自動的にウインドウ画面が開いた。

 《レベルアップしました》

 《レベルアップしました》

 《レベルアップしました》

 この文言が大量に画面上の下から上へ、通知が流れ出ては消えを繰り返している。初めのレベルラビットの時はレベルなんて上がらなかったぞ? 

 そして大量のレベルアップ報告が止むと、

 《マナポイントを獲得しました》

 《スキルポイントを獲得しました》

 《ネクサリウス型レベルラビットからの贈り物を入手しました》

 このよく分からない文言を最後に通知が止んだ。

「ステータス 」

 
名前 戸波 海成
階級 E級冒険者
職業 武闘家
レベル 35

HP       440/440
MP       44/44

攻撃力 79
防御力 79
速度  79
魔攻  44
魔坊  44

マナポイント 142

▼スキル(残りポイント3540)
 【 不屈の闘志 】


 うお――――っ!

 めっちゃ上がってるじゃ~ん。やっぱり男としてはこういうのめっちゃテンション上がる。

 だがしかし、まだポイントの使い方が分からない。
   でもこのステータス、巷で流行っている音声認識できるAIみたいだよな。ものは試しだ。

「ステータス、武闘家って何? 」

 (はい、武闘家の詳細をただいま記します )

 武闘家とは
 武術を用いて戦う戦士のこと。武道や格闘技などの戦闘技術に秀でており、攻撃力が高いほどダメージを与えることができる。レベルアップによるステータスアップに関して、速度が上がりやすくなる。

 おおっ! 分かりやすい。

 そして次に俺が知りたいのは……。

「ステータス、覚えられるスキルを教えて  」

 すると、ウインドウの表示画面が切り替わって、

 
 《習得可能なパッシブスキル》

 【   身体強化 Lv 1   】

 【   鑑定 Lv 1   】

 【   隠蔽 Lv 1   】

 【   拳の加護 Lv1   】


 えっと、スキルの名前だけでなんとなく分かる気もするが、それだけで習得してみるのも怖いよな。そりゃ全部便利なものなんだろうけどスキルポイントとやらも限りがある。慎重に選ばねば。

「ステータス、スキルの説明を頼む  」

 さすが、AI……かは知らないがすぐに記してくれた。


 【   身体強化 Lv 1   】
 冒険者の身体能力を向上させる。Lv 1につき、攻撃、防御、速度のみ10ずつステータスポイントが上昇。

 【   鑑定 Lv 1   】
 冒険者は身の回りのアイテムやモンスターや冒険者の情報をを認識する。鑑定対象が【   隠蔽   】を習得している場合、その隠蔽Lvより自身の鑑定Lvが高い時のみ情報を得ることができる。

 【   隠蔽 Lv 1   】
 冒険者が鑑定対象となった場合、それを隠すことができる。しかし相手の鑑定Lvが自身の隠蔽Lvを上回ってる場合、このスキル効果は無効となる。
 自身の隠蔽Lvが上回った場合、偽りのステータス表示を記すことができる。

 【   拳の加護 Lv1   】
 武闘家専用パッシブ。拳装備をつけた場合、自分の攻撃力ステータスが1.25倍になる。


 よく分かる説明だ。しかし鑑定と隠蔽は対になっているようだが、そんな冒険者同士で腹の探り合いみたいなことしたくないんだけど。

 とりあえず敵の情報は知って損はないし、【   鑑定 Lv 1   】は習得するとして、武闘家専用に関しては……まぁ武器持ってないし、一旦パスで。

 そして残りは、【   身体強化    】ってところだな。

「よし、決めたっ! ステータス……   」

 俺はワクワクしながらスキル強化を行っていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

ああああ
恋愛
クラスメイトに死ねコールをされたので飛び降りた

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

冤罪で自殺未遂にまで追いやられた俺が、潔白だと皆が気付くまで

一本橋
恋愛
 ある日、密かに想いを寄せていた相手が痴漢にあった。  その犯人は俺だったらしい。  見覚えのない疑惑をかけられ、必死に否定するが周りからの反応は冷たいものだった。  罵倒する者、蔑む者、中には憎悪をたぎらせる者さえいた。  噂はすぐに広まり、あろうことかネットにまで晒されてしまった。  その矛先は家族にまで向き、次第にメチャクチャになっていく。  慕ってくれていた妹すらからも拒絶され、人生に絶望した俺は、自ずと歩道橋へ引き寄せられるのだった──

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

彼女の浮気相手からNTRビデオレターが送られてきたから全力で反撃しますが、今さら許してくれと言われてももう遅い

うぱー
恋愛
彼女の浮気相手からハメ撮りを送られてきたことにより、浮気されていた事実を知る。 浮気相手はサークルの女性にモテまくりの先輩だった。 裏切られていた悲しみと憎しみを糧に社会的制裁を徹底的に加えて復讐することを誓う。 ■一行あらすじ 浮気相手と彼女を地獄に落とすために頑張る話です(●´艸`)ィヒヒ

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...