ギルドを追放された【ぼっち】だけど、スキル【自動生成ダンジョン】がSSSランクの魔剣や友人を生み出してくれました。

お茶っ葉

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6話 森の侵略者

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「何でこんな所にミノタウロスがいるんだ。これもダンジョンが生み出したというのか……?」
 
 獰猛な獣は鼻息を荒くしながら斧を振り回している。
 じりじりと後ろに下がりながら、俺は魔剣を構えた。強く握った両腕が震えている。
 ドラゴンの時は怒りで我を忘れていたが、平常時だと恐怖が上回り、視界が歪んでいく。

「何でいきなりBランクやらCランクの魔物と戦う羽目になるんだよ……!」

 中途半端に強そうな見た目をしているのが余計に性質が悪い。
 ドラゴンまでいけば色々と諦めが付くが。身近な斧という武器を持った魔物はまた別格だ。
 ランクとか抜きにして、その筋肉質な肉体はとてもじゃないが殴られたら耐えられそうにない。

「マスター、やっちゃいましょう! ピヨピヨ」
「逆にやられちゃいそうなんだが。くそ、逃げたところで追い付かれるだけか……!」

 図体がデカいと、何故かのろまの印象を多くの人が抱きがちだが。
 実際は瞬発力が凄まじく、武器を振るう速度だって、線が細い人間と比べれば段違いだ。
 素人以下の剣捌きでは、相手の反撃の方が速いに決まってる。
 
 さてどうしよう。一撃で殺されそうなんだが?
 今の俺は攻撃力に全振りしていて、防御面はゼロに等しい。
 
 まさしくやるか、やられるかだ。

 ブオオオオオオオオオオオオオオ

「き、きた……!! うおっ!?」

 睨み合いに飽きたのか、ミノタウロスが突っ込んできた。
 魔剣が反応して俺の身体が真横に飛びのく。背後の木が斧で半分に切り倒されていた。
 何という馬鹿力だ。あれは未来の俺の姿か? 冗談じゃない。
 
「その筋肉は飾りじゃないってか、せめて遠距離攻撃ができれば……!」
「マスター、フランベルクの炎を使ってください! 敵を焼き尽くす遠距離攻撃です! ピヨピヨ」
「遠距離の炎? そんな便利な技があるのか! どうやって使うんだ?」
「えーいってやってばーんです! ピヨピヨ」
「まったくわからんぞ! あと頭の小鳥が喧しい!!」

 魔剣そのものであるフランがああ言っているんだ。
 実際に使えるのは確かなのだろう。えーいってやってばーんか……振ればいいのか?
 
「え、えーい!」

 まずは縦に振ってみる。何も起こらない。

「続いてばーんだ!! ――――うおおおお!?」

 そして最後に横薙ぎに振るった瞬間、魔剣が輝き出した。
 激しく燃え上がる紅色の炎が広がり、ミノタウロスに向かって殺到した。

 ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

「す、すげぇ……一撃かよ!」
「やりましたね、マスター! ピヨ」

 大柄の魔物が一瞬にして灰になった。
 これが……魔剣の力か。改めてその強さを実感する。
 素人が使ってこれなんだ。実力者が使えばそれこそ英雄にだってなれるのだろう。
 
「ま、俺には英雄なんてもんとは縁がないけどな……。はぁ……緊張した」

 脱力してその場に座り込む。汗ばんだ身体が風に触れて気持ちいい。
 魔剣の炎は敵を見失った後には綺麗に消えていた。ドラゴンの炎とは大違いだ。
 
「もう少しで村に着くが、その前に退治できて良かったな」 

 Cランクの魔物がうろついていたのだ、村の人たちも気が気じゃなかっただろう。
 フランベルクが強すぎて、討伐の証である素材が取れなかったのだけが心残りだ。
 その辺は今後の課題だろうか。強すぎて困るって贅沢な悩みだな。
 
「マスター。ボルスタ村には何があるんですか?」
「ん? 特に何もないな。旅人向けの宿があるだけで、よそ者には無関心だし。いい村だぞ?」
「それっていい村と呼べるのです?」
「スキルの有無に関わらず全員に同じ対応をするんだ。いい村に決まってる」

 ギルドに所属していた頃は、そりゃもう酷い目にあったもんだ。
 生活費を稼ぐ目的があったとはいえ、一通りの虐めは経験した気がする。
 それを考えると無視されるのなんてどうって事ない。

 スキルが無いってだけで殴ってくるような乱暴者よりも。
 最初から何もしてこない人間の方がマシなのだ。なんという楽園だろう。
 
 まぁ長期間滞在できるほど優しい場所ではない事は確かだが。

「さてと、また変な魔物が出てきても困るし移動するか」
「はい!」

 フランに魔剣を返して荷物を肩に担ぎ、歩き出す。
 ふと後ろを向くと、相変わらずダンジョンの入り口が開きっぱなしのままだった。
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