ギルドを追放された【ぼっち】だけど、スキル【自動生成ダンジョン】がSSSランクの魔剣や友人を生み出してくれました。

お茶っ葉

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3話 竜退治

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「はぁ……また穴を見つけてしまった……!」

 それは今日も今日とて、日課の薬草を採りに出ている最中だった。
 またしても目の前にダンジョンが。以前、見つけた所とはまた別の場所に穴がある。

 前回見つけた分は、ギルドに全て報告して実際に調査団も派遣されたらしい。
 が、到着する頃には穴は綺麗さっぱりに無くなっていた。つまり無駄足だったのだ。

 おかげさまでギルドからこってり絞られたし、次やったら追放だと釘を刺された。
 現状、お情けでギルドに残してもらっている身としてはかなり効いた。もう報告なんてしない。

「それにしても、何で俺だけにしか見えないんだコイツは……!」

 近くに寄ってみると、ダンジョン特有の冷たい空気が外に流れて来る。
 もしかしたら奥にまたフランベルクのような宝がある気がして、入りたいという欲に駆られる。
 だが、俺は俺の中で油断しない男で通っている。こういう浮かれた時が一番危ういのだ。

「マスター! たくさん採れました! 褒めてくださいな!」

 後ろからテクテクと歩いてくるフラン。
 籠には薬草が大量につまっていた。他の野草との見分け方を教えたばかりなのに。
 子供はとにかく飲み込みが早いな。薬草摘みの師匠として鼻が高かった。

 俺も二十になって年齢的に後輩がいてもおかしくない。
 だが悲しいかな、俺を慕ってくれる冒険者はいない。煽ってくる奴ばかり。
 寧ろ、俺より上位ランクの冒険者は年下ばかりだ。フランの存在が胸に染みる。

 実力もないのにいつまでもGランクにしがみついている俺の方が珍しい。
 往生際が悪いという点では、褒められた事があった気がする。

「マスター、ここに潜るのですか? お供します」

 フランが聞いてくる。魔剣フランベルクは手元にあった。
 この力を使えば、少なくともEランク程度には通用する事は既に実証済みだ。 
 Eランク帯だと、大体オーク辺りと戦えるレベルだろうか。

「ドラゴンでも出てこない限りは大丈夫だろうか……」

 ドラゴンにまでなると、Bランクのパーティが複数集って戦う相手だ。
 この土地では未だかつて一度も報告されていない魔物である。それは心配しすぎか。

「ま、まぁ……顔を少し覗かせるくらいは……!」
「ドキドキしますね!」

 Eランク冒険者たちを懲らしめた時の、あの高揚感が俺を突き動かした。
 入り口だけ、入り口だけと自分に言い訳をしながら、少しずつ奥に進んで行く。

 そして辿り着いた先に見つけたものは――――

 グオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 ――――大量の魔物たちであった。

 ゴブリンにオークにドラゴンまでもギッシリとひしめきあっている。数にして数百。

 全員が待ち構えていたかのように、俺の顔を見ていた。

「も、モンスターハウスだああああああああああああああああ!?」
「マスター! 私を使って――――きゃっ」

 フランを掴んで全力疾走で元いた場所を目指す。背後から迫り来る無数の魔物。
 勝てない。流石にあの量は無理だ。それにドラゴンの姿も見えた。

 魔剣といえど無理なものは無理。

 二人で転がるようにして出口を飛び出す。
 後ろを向くと穴が閉まっていた。助かった、と思ったのも矢先に。
 地面に大きな影が映り込む。蜥蜴の顔を持つ大陸の覇者。

「マスター! ドラゴンです、竜ですよ!! 私の出番です!!」

 大はしゃぎで喜ぶフラン。
 空を見上げると、口から炎を吐きだしていた。
 巨大な翼を広げて、ちっぽけな俺に対して威嚇してやがる。

「よりにもよってドラゴンだけ出て来やがった!?」

 グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 魔剣を握っていたのが幸いして、瞬時に身体が動き出す。
 地面が炎に包まれた。炎が勢いを増して、山が森が真っ赤に染まっていく。

「おい、やめろ! これ以上燃やすんじゃねぇ! 俺が見つけた大事な稼ぎ場だぞ!!」

 五年ほどの付き合いだった、薬草採取ポイントが無くなっていく。
 俺は怒りのあまり恐怖すら忘れていた。ピョンピョン跳ねる剣精に向かって叫ぶ。

「フラン! これ勝てるんだろうな!? あのドラゴン絶対許せねぇ!!」
「私にお任せあれです、マスター! 魔剣解放!」

 フランベルクの深紅の炎が天まで昇っていく。
 フランが力を解放したおかげで、俺の身体に焼けるような魔力が全身を巡っていく。

「どりゃあああああああああああ!!」

 俺の身体が空を跳んでいた。
 スキルではなく、魔剣の力によって身体能力が爆発的に向上したのだ。
 ドラゴンに向けて力一杯に真っ直ぐ振り下ろす。

 ギョオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 天空から雨のように降り注ぐ竜の鮮血。
 胴体が別れたドラゴンが力無く大地に堕ちた。 

「流石ですマスター! お見事でした!」

 そして俺も、大地を抉るようにして着地する。
 フランは使ってもらえて嬉しいのか、頬を真っ赤にしていた。
 ……剣精は相変わらず変な生き物だ。

「ざまぁ見ろ、俺の大事な土地を燃やした報いだ!!」

 それにしても勢いでやってしまったが。
 Bランクですら苦戦するドラゴンを倒してしまった。
 これはもしかしたら素材を持ち帰れば、Gランクを抜け出せるのではないだろうか。

 考えるだけで手が震えてくる。
 ドラゴンと対峙した時以上に緊張してきた。
 討伐証明として髭を切り取り、急いで街に戻る事にした。

「――――カイル・バートル。貴殿を本日付で冒険者ギルドから追放する」

 待っていたのは解雇宣告だった。
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