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番外編
レオンベルドの悪癖
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シュゼル家の次男として生まれ、順風満帆な生活と未来を描けた筈のレオンベルドは、しかし陰湿だった。
幼い頃、好きな子がいた。初恋だ。
茶色の髪の、にこにことよく笑う女の子。その少女はしかしレオンベルドを嫌っていた。
少女の持っていた絵本を奪い、叩きつけて踏みつけたからだ。
「ひどい、っ……うわああぁん!」
少女は汚れた絵本を抱え、レオンベルドを突き飛ばして逃げて行った。
「お前」
遠くで見ていて異常に駆けつけた兄のハルトリードは走り去る少女を気にかけつつ、弟に引いていた。
「え、なにそれ。お前、なにしてんの」
「あんなおもしろくもない本、いらないでしょ」
絵本の内容は、ある魔道具士の少年を主人公として繰り広げられる童話だ。
才能溢れた少年だったが、たった一つの失敗で王様から見捨てられ、新しい地で再出発をする、という話。
レオンベルドは、その主人公が兄にしか見えなくて苛立ったのだ。
才能があり、気難しいところがあるが真摯で魔道具が好きな主人公。その心根に惹かれ徐々に人が集まる。それを、遠くで王様は後悔する、という教訓を伴ったお伽噺のような。
「ずる……おれだって兄さんがいなきゃ生まれた順番も才能も一番だったのに」
そんな陰険な呟きに、幼いハルトリードは一瞬傷付いた顔をして、むっつりとした顔に戻る。
「なんだそれ」
「ねえ、変わってよ。おれが家をつぎたい」
ハルトリードはこの頃から、すでに次期当主としての心得を教えられていた。
「……おやじがいいっていったらいいんじゃない」
ハルトリードは、眠たかった。
だから父親に丸投げした。
当然、当主は許さない。むしろ少女への態度を叱った。
レオンベルドをより増長させたのが、周りの同世代の子供たち。仏頂面で無口な兄よりも、同じく仏頂面でも顔の造りが柔らかい弟へ好感を抱いた。
「にいさん、ずるい」という言葉も子供たちを煽り、謎に囃し立てた。
そんな事が続き、兄は弟に極力接触しなくなった。だがレオンベルドの悪癖が変わる事はない。
とうとう、親元から離されて留学させる話が出た。
レオンベルドは反抗していた。明らかに厄介払いだと分かってしまったから。
しかしレオンベルドは態度を変えた。
「するよ、留学」
「お前がどう言おうが既に決まっている事だがな」
夫妻は急に意欲を見せたレオンベルドを訝しんだが、そこまで深堀りをしなかった。それが、後にまた問題となる。
レオンベルドは留学先に、あの初恋の少女がいると知ったのだ。
意気揚々と留学した先、学校では、その少女の隣には常に一人の男がいた。
彼女がレオンベルドを目にした時の、不快感を隠さない顔。
それを見ても、レオンベルドは初恋を追った。
「ねえ、ずるいと思わない? 俺が先にあの子を好きだったんだけど」
レオンベルドは彼女の婚約者に絡んだ。
「ずる……何でこの子と婚約してんの? 俺が先だったのに」
ところ構わず、留学をしているという事実など頭に無く、ただただ絡んだ。二人一緒にいる時でも。
当然内申は悪くなる。
しかも。
「話しかけないで! 陰険で性格悪いあなたが昔から世界で一番嫌い……! 姿を見たくもない、消えてほしいとすら思ってるわ!」
一人になってしまった少女に接触したら、そう矢継ぎ早に言われた。
「近づかないで、二度と! わたしたちの周りからいなくなって! お願いだから!」
唾棄すべきといった態度の彼女は、涙を滲ませながらレオンベルドを詰った。ひたすら、消えろ、と願った。
(はぁ?)
レオンベルドは、傷付くよりもまず苛立った。
(俺がこれだけ好きだって言ってるのに。なんだこいつ)
この瞬間、レオンベルドの初恋は転じ、煩わしい存在と化す。執着の反対は無関心ではなかった。
そして留学してから数年後、少女とその婚約者、両家からシュゼル家に苦情が入る。
その時には既に、近く長男の結婚式があるからと予定を聞かれた手紙が送られてしまっていた。
「は? 恋人とかいるの? あの人に。いつの間に」
だがレオンベルドはこの時点ではそこまで執着心は湧かなかった。ただ、あの兄の相手。どれだけつまらない女なのかという興味はあった。
「ふーん」
兄はあの国ではモテないと知っている。どうせどこぞの「いき遅れ」を掴まされたのだ。
一度会って、笑ってやろう。そんな腹積もりで帰国した。
急な帰宅に両親も使用人たちも戸惑った。
いや、両親に関しては静かに怒っていたが、レオンベルドはどこ吹く風。気にしていないのではなく、気付いていなかった。
ハルトリードの恋人について聞いてみたが、いまいち反応が鈍い。レオンベルドは内心笑った。
(やっぱり。大したことない女なんだ)
ざまあみろ、という気分で兄を見ていたが、しばらくしてどうも様子がおかしいと気付いた。
出掛ける、というハルトリードは表面上はいつもと変わらないものの、身嗜みをビシっときめ、そわそわとした足取りだった。
(は? 何浮かれてんの)
どうやらハルトリードは恋人にまんざらでもないらしい。
そこでレオンベルドは兄に対しあの病気が再発した。
(どうせ俺の顔と比べたら簡単に転がる)
レオンベルドは普段ニコリともしないが、それでも自分の顔の良さを自覚していた。
その「大したことないいき遅れ」は、兄弟を比較してあの兄をあっさり捨てるに違いない。
そう、信じて疑わなかった。
「兄さん、俺にも会わせてよ」
「は? 嫌だけど」
ハルトリードは弟の顔を見る事もなく、早めに家を出た。
レオンベルドはじっとりと兄についていく。
「ついてくるな。絶対会わせない」
「兄さんが決める事じゃない」
例え撒かれても、レオンベルドは一向に構わない。
「博物館に行くんでしょ? 知ってるから」
ハルトリードは、よりむっつりと押し黙り、時間をかけて口を開く。
「ちがう……」
そう言ってハルトリードは弟を撒いた。
(普段引きこもりのくせに、体力だけは馬鹿みたいにある)
レオンベルドは心の中で悪態を吐きつつ、特別展が開催されている博物館へ先回りをした。
やがて兄が一人の女性を伴い博物館前に姿を見せる。
(いき遅れ……? 若い女の子……)
遠目でもとてもそんな感じには見えない。
ハルトリードと連れ添っているのも嫌々ではないと、その笑顔が言っている。
(……はぁ?)
挨拶して、挨拶をされ、レオンベルドは次第に苛立ってきた。
かつての初恋。その面影が、理想が、そのまま望んだ通りに成長したような、目の前の女性。
愛らしい風貌と優しい目。口元にほくろがあり口角は綺麗に上がっている。普段から自然に笑っているのだと分かる、その笑顔。
二人が去った。
「え、やば……かわいすぎ……」
レオンベルドの心臓が、脈打った。
まるで今まで動いていなかったような、そんな有り得ない感覚と共に。
「ずる……。兄さんばっかり。才能も家督相続も可愛い彼女も……何でも持ってるじゃん」
ハルトリードが妙に密着していたのも、指を絡ませて手を繋ぎ直したのも。
本気なのだと、知らされた。今まであまりレオンベルドの前で物事に執着しなかったハルトリードが。
あっさり兄を捨てると思っていた恋人は、当然のようにハルトリードを優先した。
(ずる、狡い。ずるいずるいずるい……欲しい、リナリさんが)
改めて、兄という狡い存在を憎んだ。
幼い頃、好きな子がいた。初恋だ。
茶色の髪の、にこにことよく笑う女の子。その少女はしかしレオンベルドを嫌っていた。
少女の持っていた絵本を奪い、叩きつけて踏みつけたからだ。
「ひどい、っ……うわああぁん!」
少女は汚れた絵本を抱え、レオンベルドを突き飛ばして逃げて行った。
「お前」
遠くで見ていて異常に駆けつけた兄のハルトリードは走り去る少女を気にかけつつ、弟に引いていた。
「え、なにそれ。お前、なにしてんの」
「あんなおもしろくもない本、いらないでしょ」
絵本の内容は、ある魔道具士の少年を主人公として繰り広げられる童話だ。
才能溢れた少年だったが、たった一つの失敗で王様から見捨てられ、新しい地で再出発をする、という話。
レオンベルドは、その主人公が兄にしか見えなくて苛立ったのだ。
才能があり、気難しいところがあるが真摯で魔道具が好きな主人公。その心根に惹かれ徐々に人が集まる。それを、遠くで王様は後悔する、という教訓を伴ったお伽噺のような。
「ずる……おれだって兄さんがいなきゃ生まれた順番も才能も一番だったのに」
そんな陰険な呟きに、幼いハルトリードは一瞬傷付いた顔をして、むっつりとした顔に戻る。
「なんだそれ」
「ねえ、変わってよ。おれが家をつぎたい」
ハルトリードはこの頃から、すでに次期当主としての心得を教えられていた。
「……おやじがいいっていったらいいんじゃない」
ハルトリードは、眠たかった。
だから父親に丸投げした。
当然、当主は許さない。むしろ少女への態度を叱った。
レオンベルドをより増長させたのが、周りの同世代の子供たち。仏頂面で無口な兄よりも、同じく仏頂面でも顔の造りが柔らかい弟へ好感を抱いた。
「にいさん、ずるい」という言葉も子供たちを煽り、謎に囃し立てた。
そんな事が続き、兄は弟に極力接触しなくなった。だがレオンベルドの悪癖が変わる事はない。
とうとう、親元から離されて留学させる話が出た。
レオンベルドは反抗していた。明らかに厄介払いだと分かってしまったから。
しかしレオンベルドは態度を変えた。
「するよ、留学」
「お前がどう言おうが既に決まっている事だがな」
夫妻は急に意欲を見せたレオンベルドを訝しんだが、そこまで深堀りをしなかった。それが、後にまた問題となる。
レオンベルドは留学先に、あの初恋の少女がいると知ったのだ。
意気揚々と留学した先、学校では、その少女の隣には常に一人の男がいた。
彼女がレオンベルドを目にした時の、不快感を隠さない顔。
それを見ても、レオンベルドは初恋を追った。
「ねえ、ずるいと思わない? 俺が先にあの子を好きだったんだけど」
レオンベルドは彼女の婚約者に絡んだ。
「ずる……何でこの子と婚約してんの? 俺が先だったのに」
ところ構わず、留学をしているという事実など頭に無く、ただただ絡んだ。二人一緒にいる時でも。
当然内申は悪くなる。
しかも。
「話しかけないで! 陰険で性格悪いあなたが昔から世界で一番嫌い……! 姿を見たくもない、消えてほしいとすら思ってるわ!」
一人になってしまった少女に接触したら、そう矢継ぎ早に言われた。
「近づかないで、二度と! わたしたちの周りからいなくなって! お願いだから!」
唾棄すべきといった態度の彼女は、涙を滲ませながらレオンベルドを詰った。ひたすら、消えろ、と願った。
(はぁ?)
レオンベルドは、傷付くよりもまず苛立った。
(俺がこれだけ好きだって言ってるのに。なんだこいつ)
この瞬間、レオンベルドの初恋は転じ、煩わしい存在と化す。執着の反対は無関心ではなかった。
そして留学してから数年後、少女とその婚約者、両家からシュゼル家に苦情が入る。
その時には既に、近く長男の結婚式があるからと予定を聞かれた手紙が送られてしまっていた。
「は? 恋人とかいるの? あの人に。いつの間に」
だがレオンベルドはこの時点ではそこまで執着心は湧かなかった。ただ、あの兄の相手。どれだけつまらない女なのかという興味はあった。
「ふーん」
兄はあの国ではモテないと知っている。どうせどこぞの「いき遅れ」を掴まされたのだ。
一度会って、笑ってやろう。そんな腹積もりで帰国した。
急な帰宅に両親も使用人たちも戸惑った。
いや、両親に関しては静かに怒っていたが、レオンベルドはどこ吹く風。気にしていないのではなく、気付いていなかった。
ハルトリードの恋人について聞いてみたが、いまいち反応が鈍い。レオンベルドは内心笑った。
(やっぱり。大したことない女なんだ)
ざまあみろ、という気分で兄を見ていたが、しばらくしてどうも様子がおかしいと気付いた。
出掛ける、というハルトリードは表面上はいつもと変わらないものの、身嗜みをビシっときめ、そわそわとした足取りだった。
(は? 何浮かれてんの)
どうやらハルトリードは恋人にまんざらでもないらしい。
そこでレオンベルドは兄に対しあの病気が再発した。
(どうせ俺の顔と比べたら簡単に転がる)
レオンベルドは普段ニコリともしないが、それでも自分の顔の良さを自覚していた。
その「大したことないいき遅れ」は、兄弟を比較してあの兄をあっさり捨てるに違いない。
そう、信じて疑わなかった。
「兄さん、俺にも会わせてよ」
「は? 嫌だけど」
ハルトリードは弟の顔を見る事もなく、早めに家を出た。
レオンベルドはじっとりと兄についていく。
「ついてくるな。絶対会わせない」
「兄さんが決める事じゃない」
例え撒かれても、レオンベルドは一向に構わない。
「博物館に行くんでしょ? 知ってるから」
ハルトリードは、よりむっつりと押し黙り、時間をかけて口を開く。
「ちがう……」
そう言ってハルトリードは弟を撒いた。
(普段引きこもりのくせに、体力だけは馬鹿みたいにある)
レオンベルドは心の中で悪態を吐きつつ、特別展が開催されている博物館へ先回りをした。
やがて兄が一人の女性を伴い博物館前に姿を見せる。
(いき遅れ……? 若い女の子……)
遠目でもとてもそんな感じには見えない。
ハルトリードと連れ添っているのも嫌々ではないと、その笑顔が言っている。
(……はぁ?)
挨拶して、挨拶をされ、レオンベルドは次第に苛立ってきた。
かつての初恋。その面影が、理想が、そのまま望んだ通りに成長したような、目の前の女性。
愛らしい風貌と優しい目。口元にほくろがあり口角は綺麗に上がっている。普段から自然に笑っているのだと分かる、その笑顔。
二人が去った。
「え、やば……かわいすぎ……」
レオンベルドの心臓が、脈打った。
まるで今まで動いていなかったような、そんな有り得ない感覚と共に。
「ずる……。兄さんばっかり。才能も家督相続も可愛い彼女も……何でも持ってるじゃん」
ハルトリードが妙に密着していたのも、指を絡ませて手を繋ぎ直したのも。
本気なのだと、知らされた。今まであまりレオンベルドの前で物事に執着しなかったハルトリードが。
あっさり兄を捨てると思っていた恋人は、当然のようにハルトリードを優先した。
(ずる、狡い。ずるいずるいずるい……欲しい、リナリさんが)
改めて、兄という狡い存在を憎んだ。
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