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17晩目 ホースケさんの新しいスキル
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ダンジョン調査は、マッピングの精度次第で結果が雲泥の差である。
「じゃあ、俺が先頭で行くっすよ」
「待て待て待て」
ホースケは、ランタン片手に意気揚々と探索を始めようとするシズルを慌てて止めた。
「でも、入らなきゃ調査できないっすよ」
「そうだけども 入り口もしっかりとマッピングするんだよ 出口が一つとは限らないじゃないか」
「あー なるほどね」
出入口が複数あるのであれば、ホレスト山の麓ということもあり、どこもかしこも似たような雰囲気の出入口の可能性はある。自分たちがどこから入ったのか、しっかりと把握しておく必要があると、ホースケは、説明をした。
「たしかに、ダンジョンから出たはいいけど ここ何処だっけ?ってなことあるっすね」
自分たちが今から入る出入口について、情報を書き留めていく。
「入り口から見える景色や目印になるものを纏めるんだ 目印は、不変的な物じゃないとダメだぞ」
「空の色や雲の形じゃダメってことっすか?」
「曇って、毎日形が違うじゃない」
シズルの書き記す情報を覗き込み ツカサが小さくため息を吐いた。大きな石や見える景色について特徴をツカサが付け加えていく。仕上げにとホースケは、入り口の右側に大きく【1】と書いた。
「おお、ホースケ 賢いっすね」
「これなら、アタシらも間違えようがないわね」
「じゃあ、中に入った時点でステイだかんな」
洞窟の中は、暗闇が広がる。目印に消えないトーチなどを置ければ良いけど、そんな便利な物は知らないし、この二人が持って来てるわけはない。
「結構暗いっすね」
シズルが、ランタンを前に突き出し辺りを見回す。ゲームでは、アイテムや魔法でダンジョン全体を明るくすることが出来るけど、シズルの持っているランタン一つじゃ心許ない。
「俺は、魔力が少ないんでランタン使うんすけど、ツカッちゃんは、凄いんっすよ」
「いやいや 普通の魔法だよ ライト」
ツカサが、人差し指を立てて呪文を唱えるとぽっと光の球が出てきて辺りを照らし出した。
「へえ けっこう便利だね ずっと出し続ける事ってできるのか?」
「うーん それは無理かも いつもは要所要所でランタンと切り替えしながらだからね 開けた所に着いたとき全体を見るために使ってるかな 人によっては、小さなファイヤーボールで代用してるしね」
ファイヤーボール!? 所謂、火の玉ってやつじゃない?
「どしたの?」
「俺、できるかも」
まだ、洞窟に入って10メートルも進んでいないのに、ブツブツと呟き何やら考え込むホースケ。シズルとツカサは不思議そうに覗き込む。何も言わずとも「待て」ができる二人は、素直で可愛げがある。
「鬼火?それとも狐火って あ、できちゃった」
「何これ」
「うぉっ 青い炎?」
正解は【狐火】だったようだ。青白い火の玉が複数ホースケの周りを漂い始める。ホースケたちの周りが青白い炎で照らされる。お化け屋敷なんかで見ることの出来るアレだ。
「へぇ、不思議ね 熱くないわ」
「何かふよふよしてるっすね」
ホースケの周りに浮いた狐火をシズルとツカサは、興味深そうに突いたりして観察し始めた。
『テテテテッテテーン ホースケは新しいスキルを手に入れた』
頭の中で、そんなナレーションを想像しホースケは、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。
「じゃあ、俺が先頭で行くっすよ」
「待て待て待て」
ホースケは、ランタン片手に意気揚々と探索を始めようとするシズルを慌てて止めた。
「でも、入らなきゃ調査できないっすよ」
「そうだけども 入り口もしっかりとマッピングするんだよ 出口が一つとは限らないじゃないか」
「あー なるほどね」
出入口が複数あるのであれば、ホレスト山の麓ということもあり、どこもかしこも似たような雰囲気の出入口の可能性はある。自分たちがどこから入ったのか、しっかりと把握しておく必要があると、ホースケは、説明をした。
「たしかに、ダンジョンから出たはいいけど ここ何処だっけ?ってなことあるっすね」
自分たちが今から入る出入口について、情報を書き留めていく。
「入り口から見える景色や目印になるものを纏めるんだ 目印は、不変的な物じゃないとダメだぞ」
「空の色や雲の形じゃダメってことっすか?」
「曇って、毎日形が違うじゃない」
シズルの書き記す情報を覗き込み ツカサが小さくため息を吐いた。大きな石や見える景色について特徴をツカサが付け加えていく。仕上げにとホースケは、入り口の右側に大きく【1】と書いた。
「おお、ホースケ 賢いっすね」
「これなら、アタシらも間違えようがないわね」
「じゃあ、中に入った時点でステイだかんな」
洞窟の中は、暗闇が広がる。目印に消えないトーチなどを置ければ良いけど、そんな便利な物は知らないし、この二人が持って来てるわけはない。
「結構暗いっすね」
シズルが、ランタンを前に突き出し辺りを見回す。ゲームでは、アイテムや魔法でダンジョン全体を明るくすることが出来るけど、シズルの持っているランタン一つじゃ心許ない。
「俺は、魔力が少ないんでランタン使うんすけど、ツカッちゃんは、凄いんっすよ」
「いやいや 普通の魔法だよ ライト」
ツカサが、人差し指を立てて呪文を唱えるとぽっと光の球が出てきて辺りを照らし出した。
「へえ けっこう便利だね ずっと出し続ける事ってできるのか?」
「うーん それは無理かも いつもは要所要所でランタンと切り替えしながらだからね 開けた所に着いたとき全体を見るために使ってるかな 人によっては、小さなファイヤーボールで代用してるしね」
ファイヤーボール!? 所謂、火の玉ってやつじゃない?
「どしたの?」
「俺、できるかも」
まだ、洞窟に入って10メートルも進んでいないのに、ブツブツと呟き何やら考え込むホースケ。シズルとツカサは不思議そうに覗き込む。何も言わずとも「待て」ができる二人は、素直で可愛げがある。
「鬼火?それとも狐火って あ、できちゃった」
「何これ」
「うぉっ 青い炎?」
正解は【狐火】だったようだ。青白い火の玉が複数ホースケの周りを漂い始める。ホースケたちの周りが青白い炎で照らされる。お化け屋敷なんかで見ることの出来るアレだ。
「へぇ、不思議ね 熱くないわ」
「何かふよふよしてるっすね」
ホースケの周りに浮いた狐火をシズルとツカサは、興味深そうに突いたりして観察し始めた。
『テテテテッテテーン ホースケは新しいスキルを手に入れた』
頭の中で、そんなナレーションを想像しホースケは、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。
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