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15晩目 ホースケさん、初めてのダンジョン調査

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 アイーダの街から北東にあるホレスト山の麓、ホースケはシズルとツカサに同行して新しく発見されたという洞窟の調査に来ていた。

「ダンジョン調査 これぞ冒険者の極み」
「ホースケさん 今日はよろしくっす」
「あたしたちだけじゃ、心細かったもんね」

 ちょっぴり頼りないセリフを吐くシズルとツカサだが、戦闘力だけで言えば十分な実力がありマンキーのお墨付きでもあるのだが、残念なことに様々な不遇に見舞われるパーティーだった。

「ホースケなら、死ぬ事もねえし大丈夫だろう」

 あっさりと同行許可を求められ、ホースケ自身も二つ返事で引き受けた。Fランクという事もあり、単独で受けれる依頼は、薬草などの素材収集や街の住人たちからのお手伝い程度だだけだった。別にそれらに依頼を忌み嫌うわけではなかったが、街の外への憧れはある。

 なかなかチャンスに見舞われなかったホースケもシズルたちパーティーの同行は、渡りに船だった。

「何か地滑りが起きて洞窟らしき穴が見つかったらしいっすよ ああ、ここっすね」

 洞窟の入口は、人が二、三人横に並んで通れそうな大きさで、先が真っ暗なためどこまで深いのかもわからない。

 ツカサが、荷物から手提げのランタンを取り出して火を灯す。入り口から奥を覗き込むが、行き止まりは無く、暗闇はさらに奥へと続いている。

「結構深いっすね」
「いつまでも、ここにいても仕方が無いから先に進みましょう」

 シズルとツカサが、声をかけ洞窟に足を踏み入れようとしたところで、ホースケは慌てて二人を止めた。

「なあ、なあ、シズル兄さん、ツカサ姉さん ひょっとして準備ってそれだけ?まさか、そのまま進んで行こうって思って無いよね?」
「え?」
「武器や野営の道具や薬に携帯食………水もあるし、忘れ物はないっすよ?」
「ちょっと待てい!」

 マジでわかってないよこの二人。ホースケは、小さな両手でこめかみをぐりぐりしながら、「ふう」っと大きなため息を吐く。

「準備不足でしかないぞ このまま進んでもあっという間に全員迷子じゃないか」
「えー?進んだ道を戻って来れば良いだけじゃない」
「いざという時の食糧も水もあるから安心するっすよ」

 大丈夫、大丈夫と右手をぶらぶら振る能天気な二人に「とうっ」とホースケは、飛び蹴りをかました。二人の両頬に可愛らしいシマリスの足跡が刻まれる。

「俺、何で兄さんたちが不遇に見舞われるか原因わかったもんね」

 腕を組んで仁王立ちするホースケを二人は目をぱちくりさせて「どういうこと?」と尋ねてきた。

「まず、道わかってないよね?」
「そんなの当然じゃん」
「これから調査するんすよ わかるわけないじゃないっすか」
「はい、それアウト」

 ホースケは、自分に背負っているリュックからメモ用紙の束とペンを取り出した。それらを両手に持ってシズルたちに突き出す。

「マッピングは基本だろ!」

 今までアパートの住人と一緒にプレイしたゲームの数々(オバケだから見ていただけだけど)、初めてダンジョンは、ノートにマップを描いたり、攻略本のマップを見て挑んでいた。

 攻略本や地図がなければどうすれば良い?自分で作るしかないでしょう!

 ホースケは、二人が今まで如何に無謀な冒険を繰り広げていたかが、手に取るようにわかってしまった。

「兄さんたちは、不遇じゃない!ただの準備不足!」
「き、気づかなかった」
「確かに道に迷うことは、よくあるなぁっと思ったこともあるような気がするっす」

 初めからこれとは、先が思いやられるとホースケは、深いため息をを吐くのだった。
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