未完成のロボット

りんくま

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こーすけとピヨは、麦わら帽子を土台にして、色々な小枝や藁を敷き詰め立派な姿を作り上げた。程なくピヨが卵を産んだ。

「ボット!僕たちの子どもだよコレ」

こーすけは、ピヨが温める卵を見せてくれた。

「僕は、父ちゃんになるんだコレ」

こーすけは、楽しそうに歌う。ピヨのためにご飯も取ってくる。ピヨの代わりに卵を温めることもある。

何日も何日もこーすけは、ピヨを守り続けた。ピヨもお母さんとして卵を守り続けた。こーすけとピヨを見て、ボットは無事に雛が卵からかえることを願った。

ある風が強い日、麦わら帽子が飛んでいきそうになった。こーすけは、自分の身体で風が当たらないように盾になった。お父さんとしてピヨと卵を守る。こーすけに葉っぱや小石がぶつかっても負けなかった。

ビュンビュンと風が吹く。だけど、枝にしがみついてこーすけは耐えた。

「お父さんは、家族を守るんだコレ」

ボットは、こーすけを見ていて足に空いた穴の周りが痛くて堪らなかった。痛い理由は、考えなくても解った。

あの時の小鳥の親子とこーすけたちが重なって見えた。

強い風は、こーすけを襲う。バキバキと枝が折れる音がした。

ボットは、軋む体を動かした。ギギギと肩から嫌な音がする。だけど、急いでこーすけの側に走っていく。腕を思いっきり伸ばして、こーすけの前に手のひらを大きく突き出した。


ガツン!!


ボットの手に飛んできた枝が当たる。踏ん張っていたこーすけも飛ばされるほどの強い風だった。

ボットは反対の手で麦わら帽子を抑えた。ピヨは、必死に卵を抑え、卵が転がっていかないように守っていた。

「ボット、おてては痛くないかしらん?」

心配そうにピヨは尋ねた。飛ばされたこーすけも急いで戻ってきて、麦わら帽子にしがみついた。

「ボット!ありがとうなんだなコレ!卵とピヨを守ってくれてありがとうなんだなコレ!」

ボットは、風が収まるまで麦わら帽子を守り続けた。
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