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ロボットのエネルギーは、お日様の光だった。お日様の光を浴びると、体の中の電池にエネルギーが溜まる。逆に、夜は、お日様が出ていないので、エネルギーは貯まらない。
ロボットは、お日様の光を浴びて、動ける電池が溜まると歩き出した。そして、夜になりエネルギーがなくなるまで歩き続ける、そんな日々を送っていた。
「毎日、毎日道を歩いているけど、完成したのかな?」
いろんな事を教えてくれた博士は、もう一緒にいない。眠ったまま、起きなくなってしまった。だから、ロボットは、完成したのか、目的地についたのか何も解らなかった。
夜になりエネルギーが切れると、体がピクリとも動かなくなる。右足を上げた状態で、動かなくなる事もある。左足を上げたままで、動かなくなる事もあった。時には、バランスが悪く、朝、動き始めた時に既に倒れてしまっている事もあった。
「うん、エネルギーが切れるまで歩くことはやめた方が良い」
倒れた拍子に歪んだり、ブリキの体に傷が出来たりしてしまう。
「夜暗くなったら、どこか安全な所で休んだ方が良い」
次の日に備えて、体のメンテナンスをする時間を作ろう。ロボットは、少しずつ学習していった。今までは、博士に教えてもらっていたが、これからは自分で考える事も必要だと学習した。
朝歩いて、夜は休む。ロボットは、博士に言われた通り、毎日毎日歩き続けた。
「こんにちわにゃ、ロボットさん」
ある日、道の側で座っていた猫に話しかけられた。ロボットは、猫に気づいたが、歩く事をやめなかった。
ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
そのまま、ロボットは猫の側を通りすぎて行く。猫は、顔をくしくしと手でこすりながら、通り過ぎるロボットを見ていた。ロボットは、真っ直ぐ前を向いたまま先に進んでいく。
猫は、立ち上がり大きく伸びをすると、通り過ぎたロボットを追いかけて行った。
「ロボットさん、ロボットさん、そんなに急いでどこへに行くにゃ?」
ロボットに追いつくと、猫は再び話しかけた。だけど、ロボットは、答える事なく歩き続ける。
「ロボットさんは、僕の声が聞こえていないのかにゃ?」
猫は、何度もロボットに話しかけた。だけど、ロボットは、何も答えてくれない。
「ロボットさんは、ちっとも面白くないにゃ」
猫は、ロボットについて歩くのをやめてしまった。ロボットと距離がどんどん離れていった。猫は、もうロボットのことに興味がなくなったので、再び道の側に座った。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ロボットは、真っ直ぐ歩いて行く。
雨の日も、雪の日も、風が強い日も、ロボットは、道を歩き続けた。
「チチッ。ロボットさん、ロボットさん、私たちを助けてください」
チチチッと可愛らしい声で小鳥が、ロボットに助けて欲しいと声をかけた。
だけど、ロボットは足を止めずに、歩き続ける。二羽の小鳥は、ロボットを追いかけ、声をかけ続けた。
「チチッ。お願いです。この先に私たちの巣があります」
「ピピッ。強い風で私たちの巣が、枝から落ちてしまいました」
「チチッ。巣と一緒に私たちの子供も落ちてしまいました」
「ピピッ。どうか、私たちの子供と巣を枝の上に戻していただけませんか?」
ピピピッ、チチチッと小鳥のお父さん、お母さんは、ロボットにお願いをした。
だけどロボットは、足を止めずに歩いていきます。
ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
ピピピッ、チチチッ、ピピピッ、チチチ。
小鳥のお父さんは、ロボットに頼みます。
「チチッ、巣はどうでもいいので、子供だけでも枝の上に上げてくれませんか?」
小鳥のお母さんも、ロボットに頼みます。
「ピピッ。この前夜になると、ヘビやイタチに食べられてしまいます」
「「チチチッ(ピピピッ)どうか、私たちの子供を救ってください」」
小鳥たちは、必死になってロボットにお願いをしました。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ロボットは、足を止める事なく歩き続けました。
足元に小鳥たちが教えてくれた鳥の巣が落ちていました。
グシャリ。
ロボットの足が、巣を踏みつけました。
ビビビビッ、ヂヂヂヂッと小鳥のお父さん、お母さんは、大きな声で鳴きました。小鳥たちは、ロボットの肩に乗って、ロボットの顔を突きます。
「ビビビッ。せめて、私たちの子供だけでも助けてください」
地面に小鳥たちの雛が落ちているのが見えました。羽根をバタバタと動かしていましたが、まだ空を飛ぶことはできません。
「邪魔です。そこを退いてください」
ロボットは、小鳥たちに言いました。
ロボットは、お日様の光を浴びて、動ける電池が溜まると歩き出した。そして、夜になりエネルギーがなくなるまで歩き続ける、そんな日々を送っていた。
「毎日、毎日道を歩いているけど、完成したのかな?」
いろんな事を教えてくれた博士は、もう一緒にいない。眠ったまま、起きなくなってしまった。だから、ロボットは、完成したのか、目的地についたのか何も解らなかった。
夜になりエネルギーが切れると、体がピクリとも動かなくなる。右足を上げた状態で、動かなくなる事もある。左足を上げたままで、動かなくなる事もあった。時には、バランスが悪く、朝、動き始めた時に既に倒れてしまっている事もあった。
「うん、エネルギーが切れるまで歩くことはやめた方が良い」
倒れた拍子に歪んだり、ブリキの体に傷が出来たりしてしまう。
「夜暗くなったら、どこか安全な所で休んだ方が良い」
次の日に備えて、体のメンテナンスをする時間を作ろう。ロボットは、少しずつ学習していった。今までは、博士に教えてもらっていたが、これからは自分で考える事も必要だと学習した。
朝歩いて、夜は休む。ロボットは、博士に言われた通り、毎日毎日歩き続けた。
「こんにちわにゃ、ロボットさん」
ある日、道の側で座っていた猫に話しかけられた。ロボットは、猫に気づいたが、歩く事をやめなかった。
ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
そのまま、ロボットは猫の側を通りすぎて行く。猫は、顔をくしくしと手でこすりながら、通り過ぎるロボットを見ていた。ロボットは、真っ直ぐ前を向いたまま先に進んでいく。
猫は、立ち上がり大きく伸びをすると、通り過ぎたロボットを追いかけて行った。
「ロボットさん、ロボットさん、そんなに急いでどこへに行くにゃ?」
ロボットに追いつくと、猫は再び話しかけた。だけど、ロボットは、答える事なく歩き続ける。
「ロボットさんは、僕の声が聞こえていないのかにゃ?」
猫は、何度もロボットに話しかけた。だけど、ロボットは、何も答えてくれない。
「ロボットさんは、ちっとも面白くないにゃ」
猫は、ロボットについて歩くのをやめてしまった。ロボットと距離がどんどん離れていった。猫は、もうロボットのことに興味がなくなったので、再び道の側に座った。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ロボットは、真っ直ぐ歩いて行く。
雨の日も、雪の日も、風が強い日も、ロボットは、道を歩き続けた。
「チチッ。ロボットさん、ロボットさん、私たちを助けてください」
チチチッと可愛らしい声で小鳥が、ロボットに助けて欲しいと声をかけた。
だけど、ロボットは足を止めずに、歩き続ける。二羽の小鳥は、ロボットを追いかけ、声をかけ続けた。
「チチッ。お願いです。この先に私たちの巣があります」
「ピピッ。強い風で私たちの巣が、枝から落ちてしまいました」
「チチッ。巣と一緒に私たちの子供も落ちてしまいました」
「ピピッ。どうか、私たちの子供と巣を枝の上に戻していただけませんか?」
ピピピッ、チチチッと小鳥のお父さん、お母さんは、ロボットにお願いをした。
だけどロボットは、足を止めずに歩いていきます。
ガッチャン、ガッチャン、ガッチャン。
ピピピッ、チチチッ、ピピピッ、チチチ。
小鳥のお父さんは、ロボットに頼みます。
「チチッ、巣はどうでもいいので、子供だけでも枝の上に上げてくれませんか?」
小鳥のお母さんも、ロボットに頼みます。
「ピピッ。この前夜になると、ヘビやイタチに食べられてしまいます」
「「チチチッ(ピピピッ)どうか、私たちの子供を救ってください」」
小鳥たちは、必死になってロボットにお願いをしました。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
ロボットは、足を止める事なく歩き続けました。
足元に小鳥たちが教えてくれた鳥の巣が落ちていました。
グシャリ。
ロボットの足が、巣を踏みつけました。
ビビビビッ、ヂヂヂヂッと小鳥のお父さん、お母さんは、大きな声で鳴きました。小鳥たちは、ロボットの肩に乗って、ロボットの顔を突きます。
「ビビビッ。せめて、私たちの子供だけでも助けてください」
地面に小鳥たちの雛が落ちているのが見えました。羽根をバタバタと動かしていましたが、まだ空を飛ぶことはできません。
「邪魔です。そこを退いてください」
ロボットは、小鳥たちに言いました。
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