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「手を離せよ!」
痛みに耐えながら声を荒げるが、抗う玲への嫌がらせが愉しいのか更に力を強めてくる。
「叔父上、約束が違います!」
「黙れドーリン!」
悔しそうに歯を食いしばり、膝をついて玲から視線を逸らす。叔父の言われるがままに従ってきた報いなのかと後悔と懺悔の思いで一杯になる。
誰もが腫れ物に触るような態度で扱われて生きてきた。自分自身の今までの態度が、全ての根源であることは気づいていたが、態度を改めるのにプライドが許さなかった。
「私は、お前に期待をしているのだよ。さぁ、ドーリン。お前の力をもう一度見せておくれ」
「な、何を?」
ドーリンが顔を上げると嬉しそうな笑みを浮かべるドデモスと苦痛に顔を歪める玲の姿が視界に入る。
「魔術具が完成したのだろう?美しいその装飾品をサトシの首に着けてやってくれ」
もう一度、玲を洗脳しろと顎で指示を出す。その為に、魔術具を外しわざわざ支配を解いたのだと言った。
ドデモスは、既に玲の支配が解けていた事に気付いていない。だからこそ、再度支配をしろと言ってきたと理解ができた。
魔術具による支配が解除出来たのは、偶然だったかもしれない。二度目は、無理なのではないか?そんな不安が頭によぎる。
自分の横に取り揃えた20個もの魔術具が入った箱を見る。全てニセモノを作成するつもりでいたが、ドミニクを通じて玲からホンモノも作るように諭された。
「ドーリン、何を迷うことがある?」
もう一度顔を上げると玲の唇が僅かに動く。「俺を信じろ」ドーリンは、唇の端が弧を描きそうになるのを隠す為、下を向く。
(お前は、いつも俺と向き合ってくれるんだな)
箱の中から、魔術具を一つ掴むと、ドーリンは立ち上がる。
「叔父上、そのままサトシを抑えといてください」
「ド、ドーリン!や、やめてくれ」
イヤイヤと首を左右に振ろうとするが、ドデモスはそれを許さない。
「可愛い甥の頼みだ。喜んで手伝ってやろう」
「サトシは、私に下げ渡してくださいね。約束ですよ」
「善処しよう」
赤い石のついた魔術具をそっと後ろから前にと首に巻き付ける。パチリと合わせると玲の首の太さへ自動的に縮まって行く。
「アガッ、アアアアァァァァァ」
ガクガクと頭を揺らし、口の端から泡を吹く玲。その姿を見て、ドデモスは愉快そうに玲を掴んでいた腕を離した。
支える者がいなくなった玲は、両膝を床に突き四つん這いになる。ドーリンは、そのまま後ろに下がり、元いた位置で膝を突き、じっと玲の様子を見ていた。
ドデモスは、蹲って呻き声を上げる玲を愉快そうに見ながら、グラスにワインを注ぎ、グイッと煽った。その姿に趣味が悪いとドーリンは、嫌悪感を覚える。
玲の動きが止まり、ゆっくりと立ち上がる。目の焦点は定まらず、口の端からは泡と涎が垂れ流され、正気ではないと誰もが思わされる。
ゆっくりと玲の腕が、首に巻かれた赤い石に触れる。力なく、一回、二回、三回と指先で石をそっと撫でた。
「サトシ、私のブーツが汚れている。どうすれば良いか、わかるよな」
ドデモスが、態とらしく足を組み替え汚れたブーツをこれ見よがしに見せてきた。
玲は、ドデモスの前に膝を付き、両手をブーツに添える。無表情の顔のままそっと唇で汚れを拭った。
「ワハハハハ!愉快、愉快だ!もういいぞ」
玲の顔面を蹴り飛ばし、ドデモスは楽しそうに大声をあげて笑った。玲は、床に突っ伏したまま顔を上げない。だけど、玲の唇の端は、弧を描き上を向いていた。
痛みに耐えながら声を荒げるが、抗う玲への嫌がらせが愉しいのか更に力を強めてくる。
「叔父上、約束が違います!」
「黙れドーリン!」
悔しそうに歯を食いしばり、膝をついて玲から視線を逸らす。叔父の言われるがままに従ってきた報いなのかと後悔と懺悔の思いで一杯になる。
誰もが腫れ物に触るような態度で扱われて生きてきた。自分自身の今までの態度が、全ての根源であることは気づいていたが、態度を改めるのにプライドが許さなかった。
「私は、お前に期待をしているのだよ。さぁ、ドーリン。お前の力をもう一度見せておくれ」
「な、何を?」
ドーリンが顔を上げると嬉しそうな笑みを浮かべるドデモスと苦痛に顔を歪める玲の姿が視界に入る。
「魔術具が完成したのだろう?美しいその装飾品をサトシの首に着けてやってくれ」
もう一度、玲を洗脳しろと顎で指示を出す。その為に、魔術具を外しわざわざ支配を解いたのだと言った。
ドデモスは、既に玲の支配が解けていた事に気付いていない。だからこそ、再度支配をしろと言ってきたと理解ができた。
魔術具による支配が解除出来たのは、偶然だったかもしれない。二度目は、無理なのではないか?そんな不安が頭によぎる。
自分の横に取り揃えた20個もの魔術具が入った箱を見る。全てニセモノを作成するつもりでいたが、ドミニクを通じて玲からホンモノも作るように諭された。
「ドーリン、何を迷うことがある?」
もう一度顔を上げると玲の唇が僅かに動く。「俺を信じろ」ドーリンは、唇の端が弧を描きそうになるのを隠す為、下を向く。
(お前は、いつも俺と向き合ってくれるんだな)
箱の中から、魔術具を一つ掴むと、ドーリンは立ち上がる。
「叔父上、そのままサトシを抑えといてください」
「ド、ドーリン!や、やめてくれ」
イヤイヤと首を左右に振ろうとするが、ドデモスはそれを許さない。
「可愛い甥の頼みだ。喜んで手伝ってやろう」
「サトシは、私に下げ渡してくださいね。約束ですよ」
「善処しよう」
赤い石のついた魔術具をそっと後ろから前にと首に巻き付ける。パチリと合わせると玲の首の太さへ自動的に縮まって行く。
「アガッ、アアアアァァァァァ」
ガクガクと頭を揺らし、口の端から泡を吹く玲。その姿を見て、ドデモスは愉快そうに玲を掴んでいた腕を離した。
支える者がいなくなった玲は、両膝を床に突き四つん這いになる。ドーリンは、そのまま後ろに下がり、元いた位置で膝を突き、じっと玲の様子を見ていた。
ドデモスは、蹲って呻き声を上げる玲を愉快そうに見ながら、グラスにワインを注ぎ、グイッと煽った。その姿に趣味が悪いとドーリンは、嫌悪感を覚える。
玲の動きが止まり、ゆっくりと立ち上がる。目の焦点は定まらず、口の端からは泡と涎が垂れ流され、正気ではないと誰もが思わされる。
ゆっくりと玲の腕が、首に巻かれた赤い石に触れる。力なく、一回、二回、三回と指先で石をそっと撫でた。
「サトシ、私のブーツが汚れている。どうすれば良いか、わかるよな」
ドデモスが、態とらしく足を組み替え汚れたブーツをこれ見よがしに見せてきた。
玲は、ドデモスの前に膝を付き、両手をブーツに添える。無表情の顔のままそっと唇で汚れを拭った。
「ワハハハハ!愉快、愉快だ!もういいぞ」
玲の顔面を蹴り飛ばし、ドデモスは楽しそうに大声をあげて笑った。玲は、床に突っ伏したまま顔を上げない。だけど、玲の唇の端は、弧を描き上を向いていた。
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