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「良いじゃん、良いじゃん」
アレスが二本の包丁で叩いている肉の塊を見て玲は、にっこりと微笑んだ。ミンチになった挽肉と微塵切りにした玉ねぎを大きめ肉ボウルに入れる。
「なぁ、肉の臭みを取る調味料ってある?」
「代表的なのは、コレとコレですかね?なんかの香草の粉らしいです。肉を焼く時にかけたりします」
「んじゃ、ちょっとかして」
玲は、手のひらにパラパラとかけるとクンクンと鼻を近づけて匂いを嗅いだ。
「ガーリックパウダーみたいだな、でこっちはナツメグかな?」
「使えますか?」
「サンキュー!使える使える」
塩、胡椒、アレスに教えてもらった調味料をパパパッとボウルに適量降り注ぎ、コカトリスの卵を一つ割って落とした。ウバの実の果汁に浸したポムグラネイトを手に掴みぎゅっと絞って、ボウルにぶち込む。左手でボウルを支えながら右手で捏ねる、捏ねる、ググッと捏ねる。
「予想した通り、もっさもさのクッキー繋ぎになりそうじゃん」
「繋ぎ…って何ですか?」
「このミンチを一纏めにする接着剤みたいな役割をするんだよ。本当は、パン粉でするんだけどね、アーシェさんが作ったお菓子が代わりになるんじゃないかって思ってさ」
「サトシの料理は、いろいろと手間をかけるんですね。母の料理とは、大違いだ。切ってざっくり混ぜる。切って煮る。切って焼く。工程は、一つ多くて二つくらいでしたから。ハハハッ」
アレスから、アーシェの調理の様子を聞き「だろうね」と玲は、思った。ただ、それだけの工程で、あれだけ不味いびっくり料理を作れるのもある意味天才的だとも思った。
ボウルの挽肉が、しっかりと捏ねあげると野球のボール位の大きさ位に小分けしていく。その一つを両手の手のひらに叩きつける様に音を立てながら小判型に精製していく。
「ただ、形を整えるだけじゃダメなんですか?」
「パパーンって叩きつけながら、形を整えていく事で、塊の中の空気が抜けていくんだよ。肉汁が、口の中にじゅわ~って広がって、めちゃくちゃ美味くなるんだぜ」
「肉って、食いちぎるイメージしかなかったんですが……想像つかないですね」
玲は、アレス作のサイコロステーキを思い出す。味のついた石ころを食べさせられている様な料理だった。ポムグラネイトも、口の中の水分を全部持っていかれ、ウバ茶で流し込まなければ、喉を通らない一品だった。
「俺の為にも、ここでみんなを唸らせる必要があるんだな」
「サトシなら、大丈夫です」
根拠のないアレスの応援に、苦笑いをする。アーシェの料理より、美味い料理を作る自信はある。だがしかし、それが、オーガたちに受けいられる味かは、わからない。取り敢えず、やるしかないと改めて気合いを入れた。
「アレス、このミンチを焼きたいんだけど、フライパンっていうか、鉄板みたいなのはあるのか?」
「あぁ、後ろの大きな鉄板が、肉などを焼く鉄板です。ちょっと火を入れますね」
アレスは、鉄板の下に薪を焚べると、人差し指の先から操術で炎を出し、火を起こしてくれた。火力は、簡単に操術で調整ができるらしい。鉄板に油を引き、玲は手のひらを翳して温度を確認する。鉄板の上に油が、サラリと伸びた。
鉄板の上に丸く形成したミンチを一つ一つ並べていく。ジュウジュウと音を立てて、肉が焼ける匂いが台所に充満する。
焦げ目がついたのを確認し、並べたミンチを一つ一つひっくり返していった。両面に焦げ目がついたところで、少し火力を下げてもらい、鉄板に蓋をかぶせる。
「コレで、蒸し焼きになって、中までじっくり火を通すんだ。次は、ソースだな。ケチャップとウスターソースがあれば良いんだけど……ある?」
「ケチャップ?ウスターソース?聞いたこと有りません」
期待に添えず、しょんぼりと眉毛を下げるアレスに「ダメ元で聞いただけだから」と玲は、慰めた。
「トマトみたいな野菜がある」
「それは、ブラッディーマリーという名の野菜です。真っ赤な実が、血の色に似ていることからバンパイア族に人気の野菜です」
「プハッ。トマトジュース飲む吸血鬼かよ」
玲は、ブラッディーマリーを賽の目に切って、一欠片口に放り込んだ。
「酸味の濃いトマトって感じかな?これで代用できるな」
賽の目にカットし、ブラッディーマリーをボウルに入れ、軽く実を潰しておく。皿を人数分並べ終わったところで、鉄板の蓋を開けた。
「あぁ、何と香ばしい匂い。俺は、今、奇跡の瞬間に立ち会っています」
「大袈裟だよアレス。多分、焼けてると思うけど、ちょい待ってな」
プツリとフォークを突き刺せば、中からジュワジュワと透明な肉汁が溢れてきた。目をキラキラさせ鉄板の上の焼けたミンチを見るアレスに少し照れくさくなった。
皿に盛り付けた後、鉄板の火力をさらに弱くしてもらい、準備していたブラッディーマリーを鉄板に乗せた。塩、胡椒、酒を掛け合わせ、ヘラで混ぜ合わせ一煮立ちさせるとソースが完成した。
ソースを全ての皿にかけ終わると、鉄板を綺麗に汚れを拭き取り、再度火をつけてもらい油を引いた。今度は、コカトリスの卵を人数分割っていく。
「アレス、コップに水ちょうだい」
アレスは、操術を使って水を淹れ渡した。水を受け取った玲は、卵の周りにその水を少量垂らして、再度鉄板の蓋をする。そして、一分程度待った後、ゆっくりと蓋を開けた。
「ふふーん、半熟目玉焼きの完成だ!これを肉の上に乗せてっと……俺流目玉焼きハンバーグ 異世界風の完成です!」
アレスにとって初めて見るハンバーグという料理が、完成した。
アレスが二本の包丁で叩いている肉の塊を見て玲は、にっこりと微笑んだ。ミンチになった挽肉と微塵切りにした玉ねぎを大きめ肉ボウルに入れる。
「なぁ、肉の臭みを取る調味料ってある?」
「代表的なのは、コレとコレですかね?なんかの香草の粉らしいです。肉を焼く時にかけたりします」
「んじゃ、ちょっとかして」
玲は、手のひらにパラパラとかけるとクンクンと鼻を近づけて匂いを嗅いだ。
「ガーリックパウダーみたいだな、でこっちはナツメグかな?」
「使えますか?」
「サンキュー!使える使える」
塩、胡椒、アレスに教えてもらった調味料をパパパッとボウルに適量降り注ぎ、コカトリスの卵を一つ割って落とした。ウバの実の果汁に浸したポムグラネイトを手に掴みぎゅっと絞って、ボウルにぶち込む。左手でボウルを支えながら右手で捏ねる、捏ねる、ググッと捏ねる。
「予想した通り、もっさもさのクッキー繋ぎになりそうじゃん」
「繋ぎ…って何ですか?」
「このミンチを一纏めにする接着剤みたいな役割をするんだよ。本当は、パン粉でするんだけどね、アーシェさんが作ったお菓子が代わりになるんじゃないかって思ってさ」
「サトシの料理は、いろいろと手間をかけるんですね。母の料理とは、大違いだ。切ってざっくり混ぜる。切って煮る。切って焼く。工程は、一つ多くて二つくらいでしたから。ハハハッ」
アレスから、アーシェの調理の様子を聞き「だろうね」と玲は、思った。ただ、それだけの工程で、あれだけ不味いびっくり料理を作れるのもある意味天才的だとも思った。
ボウルの挽肉が、しっかりと捏ねあげると野球のボール位の大きさ位に小分けしていく。その一つを両手の手のひらに叩きつける様に音を立てながら小判型に精製していく。
「ただ、形を整えるだけじゃダメなんですか?」
「パパーンって叩きつけながら、形を整えていく事で、塊の中の空気が抜けていくんだよ。肉汁が、口の中にじゅわ~って広がって、めちゃくちゃ美味くなるんだぜ」
「肉って、食いちぎるイメージしかなかったんですが……想像つかないですね」
玲は、アレス作のサイコロステーキを思い出す。味のついた石ころを食べさせられている様な料理だった。ポムグラネイトも、口の中の水分を全部持っていかれ、ウバ茶で流し込まなければ、喉を通らない一品だった。
「俺の為にも、ここでみんなを唸らせる必要があるんだな」
「サトシなら、大丈夫です」
根拠のないアレスの応援に、苦笑いをする。アーシェの料理より、美味い料理を作る自信はある。だがしかし、それが、オーガたちに受けいられる味かは、わからない。取り敢えず、やるしかないと改めて気合いを入れた。
「アレス、このミンチを焼きたいんだけど、フライパンっていうか、鉄板みたいなのはあるのか?」
「あぁ、後ろの大きな鉄板が、肉などを焼く鉄板です。ちょっと火を入れますね」
アレスは、鉄板の下に薪を焚べると、人差し指の先から操術で炎を出し、火を起こしてくれた。火力は、簡単に操術で調整ができるらしい。鉄板に油を引き、玲は手のひらを翳して温度を確認する。鉄板の上に油が、サラリと伸びた。
鉄板の上に丸く形成したミンチを一つ一つ並べていく。ジュウジュウと音を立てて、肉が焼ける匂いが台所に充満する。
焦げ目がついたのを確認し、並べたミンチを一つ一つひっくり返していった。両面に焦げ目がついたところで、少し火力を下げてもらい、鉄板に蓋をかぶせる。
「コレで、蒸し焼きになって、中までじっくり火を通すんだ。次は、ソースだな。ケチャップとウスターソースがあれば良いんだけど……ある?」
「ケチャップ?ウスターソース?聞いたこと有りません」
期待に添えず、しょんぼりと眉毛を下げるアレスに「ダメ元で聞いただけだから」と玲は、慰めた。
「トマトみたいな野菜がある」
「それは、ブラッディーマリーという名の野菜です。真っ赤な実が、血の色に似ていることからバンパイア族に人気の野菜です」
「プハッ。トマトジュース飲む吸血鬼かよ」
玲は、ブラッディーマリーを賽の目に切って、一欠片口に放り込んだ。
「酸味の濃いトマトって感じかな?これで代用できるな」
賽の目にカットし、ブラッディーマリーをボウルに入れ、軽く実を潰しておく。皿を人数分並べ終わったところで、鉄板の蓋を開けた。
「あぁ、何と香ばしい匂い。俺は、今、奇跡の瞬間に立ち会っています」
「大袈裟だよアレス。多分、焼けてると思うけど、ちょい待ってな」
プツリとフォークを突き刺せば、中からジュワジュワと透明な肉汁が溢れてきた。目をキラキラさせ鉄板の上の焼けたミンチを見るアレスに少し照れくさくなった。
皿に盛り付けた後、鉄板の火力をさらに弱くしてもらい、準備していたブラッディーマリーを鉄板に乗せた。塩、胡椒、酒を掛け合わせ、ヘラで混ぜ合わせ一煮立ちさせるとソースが完成した。
ソースを全ての皿にかけ終わると、鉄板を綺麗に汚れを拭き取り、再度火をつけてもらい油を引いた。今度は、コカトリスの卵を人数分割っていく。
「アレス、コップに水ちょうだい」
アレスは、操術を使って水を淹れ渡した。水を受け取った玲は、卵の周りにその水を少量垂らして、再度鉄板の蓋をする。そして、一分程度待った後、ゆっくりと蓋を開けた。
「ふふーん、半熟目玉焼きの完成だ!これを肉の上に乗せてっと……俺流目玉焼きハンバーグ 異世界風の完成です!」
アレスにとって初めて見るハンバーグという料理が、完成した。
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