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長い渡り廊下を歩き、玲は応接室に招き入れられた。応接室には、既に二人の男女が待機していた。
「マギー様、レイブン卿、お待たせいたしました。彼が、例のサトシ・リンデンでございます。サトシ、こちらが現巫女であらせられるマギー様とそのご主人のレイブン卿です」
ディアブロは、腰を折って挨拶をすると簡単に二人を玲に紹介した。マギーは、見事な白髪のサラサラとしたロングヘアーにクリッとした赤い瞳、真っ黒なドレスを身に纏った美女で、レイブン卿は、真っ黒な毛並みの獅子の獣人だ。ガッチリとした鍛えられた体に品の良い白いシャツと黒のズボンを着用している。
「初めまして、サトシ・リンデンです」
玲も軽く会釈をして、名を名乗る。
(うわぁ、まさに獣人って感じだなぁ。美女と野獣ってそのままやん)
玲とディアブロは、二人の対面のソファーに座る。玲は、マギーが、胸に抱いている白い塊がモゾモゾと動いたのに気がついた。マギーが、優しく指先で布を除けると、中から可愛らしいふわふわの真っ白な蝙蝠の赤ちゃんが顔を覗かせた。
「か、可愛い!」
「クスッ。ありがとうございます。私たちの娘で、メルルと申します。良かったら抱いてみますか?」
「え!!良いんですか?なら、是非抱っこさせてください」
マギーから、お包みごと渡されると、玲は優しく胸に抱いた。白いモコモコのコウモリは、鼻や指先など毛の薄いところはピンクでクリクリとした丸い瞳は、玲の心を鷲掴みにした。
「サトシ君ですよ~。仲良くしてくださいね~」
「アーウー、キャキャッ」
「笑った!可愛いなぁ」
マギーと同じように指先であやしながら、玲はメルルをデレっと愛でる。ディアブロは、そんな玲を横目で見て口角を上げた。
「マギー様、レイブン卿。彼で問題ないでしょうか?」
「その様ですね。メルルとも相性が良さそうですし、黒髪に黒い瞳。彼になら、次代の黒の神殿の巫女となるメルルを預けても問題ないでしょう」
「え?預けるって、どういうこと?」
玲が、顔を上げたその瞬間、メルルは玲の指先を握り、大きく口を開けた。そして、ガブリと玲の指先に噛みつき、小さな牙を突き立てた。
「あ!……ん、ハン……ウゥ…ン」
突然、噛みつかれ驚きはしたも、別に怒ることでもなかった。しかし、その後の身を捩り頭の先まで駆け抜ける快感が、玲を襲った。ディアブロを始め、マギー、レイブン卿、アーシェを始めオーガの子供たちもが見守る中、玲は、支配する快感に抗えず、ハァハァと喘ぎ続けた。
「何……ヤバいって、コレ…ハァ」
メルルは、しっかりと玲の指先を掴みチュウチュウと音をたて、指先から玲の血を吸血していた。その牙から黒い痣の様なものが出て、玲の全身を鎖を巻きつけた様に広がっていく。
「メルル様もお気に召された様ですね。あぁ、君を呼んで正解でした」
「な、何が…だよう…ゥ」
ニンマリといやらしい笑みを見せるディアブロに玲は潤んだ瞳で睨みつけた。その間もメルルは、チュウチュウと玲を吸血していく。
「これから、君にメルル様の食糧……コホン、お食事係として、お世話をお願いしたいのです」
「て、てめぇ…今……食糧…って…ぅ…言った…ん」
容赦なく襲いかかる快感に身悶える玲、メルルはじっと玲の顔を指を咥えたまま、まん丸の目で見つめている。ふと玲と目が合い、メルルはにっこりと愛らしく微笑んだ。
「私たち、バンパイアは、どうしても生き血が必要なのです。ただ、闇雲に人を襲うことは、出来ません。私も、幼き頃主人の血で育てていただいたのですよ」
「初めてで、驚いたかも知れないが、命を奪われるものではない」
マギーとレイブン卿が、揃って頭を下げた。お腹いっぱいになったメルルは、ちゅぽんと玲の指から口を離した。それと同時に、全身に痺れる様な快感が走り、玲は短く吐息を漏らして全身の力が抜けた。
(い、逝かされてしまった。……超、恥ずかしいんですけど俺)
ディアブロとレイブン卿は、玲の身に何が起きたかわかっている様子で、ニヤニヤした瞳で玲を見ていた。
「まぁ、メルル。ご馳走様ですか?」
母親らしい瞳で、マギーは、優しく声をかける。メルルは、玲の腕の中で可愛らしくゲップを出した。ハァハァと肩で息を整え項垂れる玲は、腕の中で可愛らしくキャッキャと微笑むメルルを見て、何とも言えない思いを馳せる。
「ったく、可愛いが正義って本当だな」
「あーいー」
意味がわかっているかどうかもわからないが、玲の呟きにメルルは、笑顔で答えた。
パンパンパンとディアブロは、両手で拍手をしながら、この場の注意を引いた。皆の視線が、ディアブロに集まった。
「サトシ、メルル様のお食事係を引き受けていただけますね」
「………ああ、引き受けてやる」
全て、この悪魔ディアブロの掌の上で、転がされている気がするが、サトシ・リンデンは、バンパイアの次世代の巫女(予定)の食糧、もといお食事係に任命されたのだった。
「って、おい。俺、この世界のこと全く知らないんだけど、大丈夫?」
「マギー様、レイブン卿、お待たせいたしました。彼が、例のサトシ・リンデンでございます。サトシ、こちらが現巫女であらせられるマギー様とそのご主人のレイブン卿です」
ディアブロは、腰を折って挨拶をすると簡単に二人を玲に紹介した。マギーは、見事な白髪のサラサラとしたロングヘアーにクリッとした赤い瞳、真っ黒なドレスを身に纏った美女で、レイブン卿は、真っ黒な毛並みの獅子の獣人だ。ガッチリとした鍛えられた体に品の良い白いシャツと黒のズボンを着用している。
「初めまして、サトシ・リンデンです」
玲も軽く会釈をして、名を名乗る。
(うわぁ、まさに獣人って感じだなぁ。美女と野獣ってそのままやん)
玲とディアブロは、二人の対面のソファーに座る。玲は、マギーが、胸に抱いている白い塊がモゾモゾと動いたのに気がついた。マギーが、優しく指先で布を除けると、中から可愛らしいふわふわの真っ白な蝙蝠の赤ちゃんが顔を覗かせた。
「か、可愛い!」
「クスッ。ありがとうございます。私たちの娘で、メルルと申します。良かったら抱いてみますか?」
「え!!良いんですか?なら、是非抱っこさせてください」
マギーから、お包みごと渡されると、玲は優しく胸に抱いた。白いモコモコのコウモリは、鼻や指先など毛の薄いところはピンクでクリクリとした丸い瞳は、玲の心を鷲掴みにした。
「サトシ君ですよ~。仲良くしてくださいね~」
「アーウー、キャキャッ」
「笑った!可愛いなぁ」
マギーと同じように指先であやしながら、玲はメルルをデレっと愛でる。ディアブロは、そんな玲を横目で見て口角を上げた。
「マギー様、レイブン卿。彼で問題ないでしょうか?」
「その様ですね。メルルとも相性が良さそうですし、黒髪に黒い瞳。彼になら、次代の黒の神殿の巫女となるメルルを預けても問題ないでしょう」
「え?預けるって、どういうこと?」
玲が、顔を上げたその瞬間、メルルは玲の指先を握り、大きく口を開けた。そして、ガブリと玲の指先に噛みつき、小さな牙を突き立てた。
「あ!……ん、ハン……ウゥ…ン」
突然、噛みつかれ驚きはしたも、別に怒ることでもなかった。しかし、その後の身を捩り頭の先まで駆け抜ける快感が、玲を襲った。ディアブロを始め、マギー、レイブン卿、アーシェを始めオーガの子供たちもが見守る中、玲は、支配する快感に抗えず、ハァハァと喘ぎ続けた。
「何……ヤバいって、コレ…ハァ」
メルルは、しっかりと玲の指先を掴みチュウチュウと音をたて、指先から玲の血を吸血していた。その牙から黒い痣の様なものが出て、玲の全身を鎖を巻きつけた様に広がっていく。
「メルル様もお気に召された様ですね。あぁ、君を呼んで正解でした」
「な、何が…だよう…ゥ」
ニンマリといやらしい笑みを見せるディアブロに玲は潤んだ瞳で睨みつけた。その間もメルルは、チュウチュウと玲を吸血していく。
「これから、君にメルル様の食糧……コホン、お食事係として、お世話をお願いしたいのです」
「て、てめぇ…今……食糧…って…ぅ…言った…ん」
容赦なく襲いかかる快感に身悶える玲、メルルはじっと玲の顔を指を咥えたまま、まん丸の目で見つめている。ふと玲と目が合い、メルルはにっこりと愛らしく微笑んだ。
「私たち、バンパイアは、どうしても生き血が必要なのです。ただ、闇雲に人を襲うことは、出来ません。私も、幼き頃主人の血で育てていただいたのですよ」
「初めてで、驚いたかも知れないが、命を奪われるものではない」
マギーとレイブン卿が、揃って頭を下げた。お腹いっぱいになったメルルは、ちゅぽんと玲の指から口を離した。それと同時に、全身に痺れる様な快感が走り、玲は短く吐息を漏らして全身の力が抜けた。
(い、逝かされてしまった。……超、恥ずかしいんですけど俺)
ディアブロとレイブン卿は、玲の身に何が起きたかわかっている様子で、ニヤニヤした瞳で玲を見ていた。
「まぁ、メルル。ご馳走様ですか?」
母親らしい瞳で、マギーは、優しく声をかける。メルルは、玲の腕の中で可愛らしくゲップを出した。ハァハァと肩で息を整え項垂れる玲は、腕の中で可愛らしくキャッキャと微笑むメルルを見て、何とも言えない思いを馳せる。
「ったく、可愛いが正義って本当だな」
「あーいー」
意味がわかっているかどうかもわからないが、玲の呟きにメルルは、笑顔で答えた。
パンパンパンとディアブロは、両手で拍手をしながら、この場の注意を引いた。皆の視線が、ディアブロに集まった。
「サトシ、メルル様のお食事係を引き受けていただけますね」
「………ああ、引き受けてやる」
全て、この悪魔ディアブロの掌の上で、転がされている気がするが、サトシ・リンデンは、バンパイアの次世代の巫女(予定)の食糧、もといお食事係に任命されたのだった。
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