31 / 44
第2章 アルワーン王国編
第31話 後宮へ
しおりを挟む
寵姫ザハラは毎月恒例となっている、寺院への参拝を何事もなく終え、侍女2人を従えて、貴人専用の出入り口から、待たせてある馬車に乗り込んだ。
馬車の中では、さらに2人の侍女が待機しており、馬車の前後に1人ずつ、護衛の兵士が立ち、ザハラの帰りを待っていた。
兵士が馬車の扉を開き、ザハラが乗り込むのを待って、再び扉を閉めた。
寺院に付き添った侍女2人は、もう1台の小型馬車に乗り込むのだ。
侍女は皆、揃いの紺のベールで全身を覆っている。
ザハラが座席に腰を下ろした瞬間、1人の侍女にザハラの口は塞がれ、もう1人の侍女がザハラの喉元に剣を突きつけて言った。
「音を立てるな。声を立てたら、殺す」
男の声だ。
「ベールを取れ。ゆっくりとだ」
ザハラはため息をついた。
うなづいて、抵抗しない意思を示すと、ゆっくりと右手を出し、自分のベールを頭から落とした。
その間、突きつけられている剣は微動だにしない。
「そなたらの要求を聞こう」
ザハラは落ち着いて言った。
しかし、次の瞬間、ザハラは今度こそ本気で、悲鳴を上げそうになった声を、押し殺すことになる。
ザハラと同じようにベールを落としたのは、男2人。1人は黒髪黒眼だったが、もう1人は、ザハラと同じく銀色の髪に、紫の瞳だったのだ。
まるで鏡を見ているかのように、ザハラとその男の容貌は似通っていた。
ザハラは衝撃を受けて、銀髪の男の顔から、目を外せない。
一方、銀髪の男の表情は、一切動くことがなかった。
「国1番の寵姫の外出にしては、警備が薄いな」
黒髪の男が、自分のことは棚上げにして、不満そうに言っている。
お前が襲っておいて、偉そうに何を言っているのか。
ザハラは片眉を上げた。
「……わたくしの存在を快く思わない方も多いのですわ。何かが起これば幸い、と。このように」
ザハラはそう言ってうっすらと笑う。
銀髪の男が、何の感情もない手つきで、ザハラの体を触り、あっさりと彼女が身に付けていた短剣を取り上げた。
一瞬、ザハラは動揺した。
この剣は、大事な物なのだ。失うわけにはいかない物。
無意識に、すがるような目で黒髪の男を見てしまったらしい。
「後で返す」
黒髪の男がザハラを安心させるように、言い添えた。律儀な悪人らしい。
「あなたには頼みがある。俺達を後宮に入れてほしい」
「何ですって?」
ザハラは目を見開いた。
今度こそザハラが吐いたため息は本物だった。
どうやって、この大男と、顔だけは綺麗だが、女には決して見えない銀髪の男を後宮に連れ込めると言うのか。
「…………まずは馬車を出させましょう。合図をしていいかしら。このままだと怪しまれるわ」
銀髪が黒髪を見ると、黒髪がうなづいた。
黒髪の方が立場が上らしい。
黒髪の男がうなづくのを見て、ザハラが馬車の壁をコツコツと叩くと、馬車は動き出した。
ザハラは会話を再開する。
「……本気なの?」
「私達がオークランドから来た、と言えば、あなたも納得するのでは?」
「おい!」
そう簡単にバラすな、と言うように、黒髪の男……ドレイクが、銀髪の男…ユリウスを叩くが、ユリウスの方はあっけらかんとしている。
「オークランド」
ザハラは小さく繰り返した。
「……オークランドには、あなたのような、銀髪に紫の瞳の人間は多いの?」
ザハラの質問に、ドレイクは目を瞬いた。
しかし、ユリウスの方は、一切、表情を変えずに言った。
「いいえ。滅多にいませんね」
ユリウスの答えに、今度はザハラの方が動揺したように、瞳を揺らしたのだった。
* * *
馬車に併走していた兵士は、馬車の窓が開く気配に、馬車を止めるように御者に指示した。
馬車の窓に回ると、寵姫ザハラが衣装店に寄るように命じた。
今日の予定にはない指示に、兵士が難色を示すと、ザハラはベール越しにもわかる強いまなざしで、言った。
「気が変わってはいけないか? アルワーン1の寵姫に、新しいカフタンの1着も仕立てられぬと? 国王陛下に恥をかかせる気か?」
「し、失礼いたしました……!」
兵士は慌てて御者台に向かい、御者に指示すると、馬車は再び動き出した。
衣装店に着くと、ザハラはベールでしっかりと全身を覆い、同じく、揃いの紺のベール姿の侍女を2人連れて店内に入った。
寵姫様は、わざわざ兵士に近寄って、「そなたの働き、覚えておこう」とささやいた。
顔から体を覆っているベールが風ではらりと揺れ、一瞬、寵姫様の白く豊かな胸が見えたのは、役得として秘密にしておこう、と兵士は思った。
ザハラが侍女を従えて、店に入っていく、上機嫌な様子に、兵士はようやくほっと息をついたのだった。
飛ぶ鳥を落とす勢いの寵姫様に睨まれてはかなわない。
わがままな寵姫に、大汗をかいた兵士だった。
ザハラの様子ばかりを気にして、背後に控えている妙に大柄な侍女2人にはほとんど注意を向けることはなかった。
* * *
店内に入れば、そこは女だけの世界だった。
店の主人は女。店員達も全て女。客ももちろん、女ばかりだ。
出迎えた女主人に案内され、個室のサロンに入ったザハラはベールを脱ぐ。
続いてベールを取ったドレイクとユリウスに、女主人は目を見開いた。
「これは大切なお願いですのよ」
ザハラが言った。
「他言無用に。今日はこの2人の女を侍女らしく仕立てていただきたいの。何しろ、これから後宮に入るのですからね」
ザハラは艶やかに微笑んだ。
* * *
ドレイクの支度は、それほど時間がかからずに出来上がった。
何せ強面の大柄な男だ。
女に仕立てるのには限度がある。
衣装店の女主人の知恵で、太った中年の未亡人に化けることになった。
体型を隠す、黒のたっぷりとした、飾りのないカフタンを用意し、ベールを深く被り、位置がずれないように、頭にはぐるりとヘアバンドをはめた。
次に、ドレイクは体の周りに綿を巻き付けられた上、背が高くなりすぎないように、中腰で歩くことになった。
仕草だけは女に見えるように、急ごしらえの特訓を受ける。
おかげで何とか見れないことはない、という程度には仕上がったのだった。
しかし、ザハラはため息をついた。
「この女、怪しく見えるわね。後宮に入ったら、あちこち歩き回らないでちょうだい。行動を起こす時までは、わたくしの部屋でじっとしていて」
一方、ユリウスの方は、その美貌を生かして、すっかり女性に見えるように女装させることになった。
化粧を施し、銀色の髪は目立つために、粉をはたいて色を変えた上で、まるで女のように結い上げた。
侍女という設定のため、派手な衣装こそ着ていないが、落ち着いた紫色のカフタンを着たユリウスは女そのもので、ドレイクは口を開けたまま唖然としてユリウスを凝視した。
「……そろそろ口を閉じてくださいませんか」
ユリウスの冷たい一言に、ドレイクは決まり悪げに頬を掻いた。
一方、新しいカフタンが欲しい、とわがままを言った設定になっているため、ザハラも女主人の勧める新作のカフタンと、揃いのベールを購入する。
大荷物を抱えて、ようやく女3人が馬車に納まると、護衛の兵士は安堵のため息をついたのだった。
「宮殿にはもうすぐ着くわ」
ザハラが言った。
「上手くやってちょうだい。ともかく余計なことは喋らないこと。わたくしが協力するのは、あの子をこの国から追い出したいからよ。ライバルは少ない方がいいもの。でもタイミングが悪いわね、明日、アルファイド様はあの子を寵姫にして、お披露目する予定なの。……時間はあまりないわ」
そう言い終わると、ザハラは無言で馬車の窓から外を見つめる。
ドレイクは、そんなザハラの横顔を、ユリウスが食い入るように見つめているのに、気が付いた。
馬車の中では、さらに2人の侍女が待機しており、馬車の前後に1人ずつ、護衛の兵士が立ち、ザハラの帰りを待っていた。
兵士が馬車の扉を開き、ザハラが乗り込むのを待って、再び扉を閉めた。
寺院に付き添った侍女2人は、もう1台の小型馬車に乗り込むのだ。
侍女は皆、揃いの紺のベールで全身を覆っている。
ザハラが座席に腰を下ろした瞬間、1人の侍女にザハラの口は塞がれ、もう1人の侍女がザハラの喉元に剣を突きつけて言った。
「音を立てるな。声を立てたら、殺す」
男の声だ。
「ベールを取れ。ゆっくりとだ」
ザハラはため息をついた。
うなづいて、抵抗しない意思を示すと、ゆっくりと右手を出し、自分のベールを頭から落とした。
その間、突きつけられている剣は微動だにしない。
「そなたらの要求を聞こう」
ザハラは落ち着いて言った。
しかし、次の瞬間、ザハラは今度こそ本気で、悲鳴を上げそうになった声を、押し殺すことになる。
ザハラと同じようにベールを落としたのは、男2人。1人は黒髪黒眼だったが、もう1人は、ザハラと同じく銀色の髪に、紫の瞳だったのだ。
まるで鏡を見ているかのように、ザハラとその男の容貌は似通っていた。
ザハラは衝撃を受けて、銀髪の男の顔から、目を外せない。
一方、銀髪の男の表情は、一切動くことがなかった。
「国1番の寵姫の外出にしては、警備が薄いな」
黒髪の男が、自分のことは棚上げにして、不満そうに言っている。
お前が襲っておいて、偉そうに何を言っているのか。
ザハラは片眉を上げた。
「……わたくしの存在を快く思わない方も多いのですわ。何かが起これば幸い、と。このように」
ザハラはそう言ってうっすらと笑う。
銀髪の男が、何の感情もない手つきで、ザハラの体を触り、あっさりと彼女が身に付けていた短剣を取り上げた。
一瞬、ザハラは動揺した。
この剣は、大事な物なのだ。失うわけにはいかない物。
無意識に、すがるような目で黒髪の男を見てしまったらしい。
「後で返す」
黒髪の男がザハラを安心させるように、言い添えた。律儀な悪人らしい。
「あなたには頼みがある。俺達を後宮に入れてほしい」
「何ですって?」
ザハラは目を見開いた。
今度こそザハラが吐いたため息は本物だった。
どうやって、この大男と、顔だけは綺麗だが、女には決して見えない銀髪の男を後宮に連れ込めると言うのか。
「…………まずは馬車を出させましょう。合図をしていいかしら。このままだと怪しまれるわ」
銀髪が黒髪を見ると、黒髪がうなづいた。
黒髪の方が立場が上らしい。
黒髪の男がうなづくのを見て、ザハラが馬車の壁をコツコツと叩くと、馬車は動き出した。
ザハラは会話を再開する。
「……本気なの?」
「私達がオークランドから来た、と言えば、あなたも納得するのでは?」
「おい!」
そう簡単にバラすな、と言うように、黒髪の男……ドレイクが、銀髪の男…ユリウスを叩くが、ユリウスの方はあっけらかんとしている。
「オークランド」
ザハラは小さく繰り返した。
「……オークランドには、あなたのような、銀髪に紫の瞳の人間は多いの?」
ザハラの質問に、ドレイクは目を瞬いた。
しかし、ユリウスの方は、一切、表情を変えずに言った。
「いいえ。滅多にいませんね」
ユリウスの答えに、今度はザハラの方が動揺したように、瞳を揺らしたのだった。
* * *
馬車に併走していた兵士は、馬車の窓が開く気配に、馬車を止めるように御者に指示した。
馬車の窓に回ると、寵姫ザハラが衣装店に寄るように命じた。
今日の予定にはない指示に、兵士が難色を示すと、ザハラはベール越しにもわかる強いまなざしで、言った。
「気が変わってはいけないか? アルワーン1の寵姫に、新しいカフタンの1着も仕立てられぬと? 国王陛下に恥をかかせる気か?」
「し、失礼いたしました……!」
兵士は慌てて御者台に向かい、御者に指示すると、馬車は再び動き出した。
衣装店に着くと、ザハラはベールでしっかりと全身を覆い、同じく、揃いの紺のベール姿の侍女を2人連れて店内に入った。
寵姫様は、わざわざ兵士に近寄って、「そなたの働き、覚えておこう」とささやいた。
顔から体を覆っているベールが風ではらりと揺れ、一瞬、寵姫様の白く豊かな胸が見えたのは、役得として秘密にしておこう、と兵士は思った。
ザハラが侍女を従えて、店に入っていく、上機嫌な様子に、兵士はようやくほっと息をついたのだった。
飛ぶ鳥を落とす勢いの寵姫様に睨まれてはかなわない。
わがままな寵姫に、大汗をかいた兵士だった。
ザハラの様子ばかりを気にして、背後に控えている妙に大柄な侍女2人にはほとんど注意を向けることはなかった。
* * *
店内に入れば、そこは女だけの世界だった。
店の主人は女。店員達も全て女。客ももちろん、女ばかりだ。
出迎えた女主人に案内され、個室のサロンに入ったザハラはベールを脱ぐ。
続いてベールを取ったドレイクとユリウスに、女主人は目を見開いた。
「これは大切なお願いですのよ」
ザハラが言った。
「他言無用に。今日はこの2人の女を侍女らしく仕立てていただきたいの。何しろ、これから後宮に入るのですからね」
ザハラは艶やかに微笑んだ。
* * *
ドレイクの支度は、それほど時間がかからずに出来上がった。
何せ強面の大柄な男だ。
女に仕立てるのには限度がある。
衣装店の女主人の知恵で、太った中年の未亡人に化けることになった。
体型を隠す、黒のたっぷりとした、飾りのないカフタンを用意し、ベールを深く被り、位置がずれないように、頭にはぐるりとヘアバンドをはめた。
次に、ドレイクは体の周りに綿を巻き付けられた上、背が高くなりすぎないように、中腰で歩くことになった。
仕草だけは女に見えるように、急ごしらえの特訓を受ける。
おかげで何とか見れないことはない、という程度には仕上がったのだった。
しかし、ザハラはため息をついた。
「この女、怪しく見えるわね。後宮に入ったら、あちこち歩き回らないでちょうだい。行動を起こす時までは、わたくしの部屋でじっとしていて」
一方、ユリウスの方は、その美貌を生かして、すっかり女性に見えるように女装させることになった。
化粧を施し、銀色の髪は目立つために、粉をはたいて色を変えた上で、まるで女のように結い上げた。
侍女という設定のため、派手な衣装こそ着ていないが、落ち着いた紫色のカフタンを着たユリウスは女そのもので、ドレイクは口を開けたまま唖然としてユリウスを凝視した。
「……そろそろ口を閉じてくださいませんか」
ユリウスの冷たい一言に、ドレイクは決まり悪げに頬を掻いた。
一方、新しいカフタンが欲しい、とわがままを言った設定になっているため、ザハラも女主人の勧める新作のカフタンと、揃いのベールを購入する。
大荷物を抱えて、ようやく女3人が馬車に納まると、護衛の兵士は安堵のため息をついたのだった。
「宮殿にはもうすぐ着くわ」
ザハラが言った。
「上手くやってちょうだい。ともかく余計なことは喋らないこと。わたくしが協力するのは、あの子をこの国から追い出したいからよ。ライバルは少ない方がいいもの。でもタイミングが悪いわね、明日、アルファイド様はあの子を寵姫にして、お披露目する予定なの。……時間はあまりないわ」
そう言い終わると、ザハラは無言で馬車の窓から外を見つめる。
ドレイクは、そんなザハラの横顔を、ユリウスが食い入るように見つめているのに、気が付いた。
1
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
【完結】番が見つかった恋人に今日も溺愛されてますっ…何故っ!?
ハリエニシダ・レン
恋愛
大好きな恋人に番が見つかった。
当然のごとく別れて、彼は私の事など綺麗さっぱり忘れて番といちゃいちゃ幸せに暮らし始める……
と思っていたのに…!??
狼獣人×ウサギ獣人。
※安心のR15仕様。
-----
主人公サイドは切なくないのですが、番サイドがちょっと切なくなりました。予定外!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる