19 / 44
第1章 オークランド王国編
第19話 黒の竜王の誕生(1)
しおりを挟む
「行くのか?」
「…………」
ドレイクがそう問いかけると、黒い髪の青年が、黙ってうなづいた。
ドレイク自身も黒髪。
遠目から見ると、2人の黒髪の青年は、まるで兄弟のようにも見える。
しかし、ドレイクの方は、鍛え上げた体には筋肉が付き、身長も高い。
髪は風に吹きさらしのボサボサで、動作も荒っぽく、とても上品な、とは言い難い。
一方、もう1人の青年は、同じ黒髪でも、まるで女性のように艶やかで、濃い色の肌に鮮やかな青い瞳、という印象的な容貌をしていた。
どことなく捉え所がなく、ミステリアス。
いまだ少年のような繊細さを持った彼は、同じく美貌の青年、もう1人の学友であるユリウスともまた違った美しさを持つ青年だったのだ。
彼の名前は、アルファイド・ガラニエル。
隣国アルワーンの第2王子である。
ドレイクと同い年の彼は、10歳の頃に、オークランドに留学に来てすでに8年。
その間、アルファイドはドレイクの学友として、2人はまるで兄弟のように育ったのだった。
「アルファイド、お前は、本当に帰国したいのか?」
黙っているアルファイドに業を煮やして、なおもドレイクが言う。
「殺されるかもしれないのに?」
アルファイドは、はぁっと息を吐いた。
「国王命令なら、逆らうわけにいかないだろう」
そう言うと、アルファイドはふい、と横を向いてしまった。
「母には……」
ドレイクが言い淀むと、アルファイドはうなづいた。
「サリア様にはもちろん挨拶をしていく」
「わかった」
それだけ会話を交わすと、ドレイクとアルファイドは並んで王城へと歩き始めた。
背後には、それぞれを警護する騎士が従う。
その年、ドレイクはついに18歳を迎えた。オークランドでは成人の年だ。
この1年で、ドレイクはあらゆることを経験することになる。
その始まりは、10歳から勉強を共にしてきた学友、アルワーン王国の第2王子、アルファイドの突然の帰国だった。
その頃には体調が不安定だったサリアを心配げに見つめていたアルファイドの姿を、ドレイクは今でも覚えている。しかし。
戦争は突然始まった。
アルファイドがアルワーンに帰国して、わずか1ヶ月。
あっという間に、隣国アルワーン王国の軍が、国境へ攻め入った。
そして不運なことに、開戦早々、オークランド王は負傷して、前線からの離脱をやむなくされた。
急ぎ王城に戻った国王は手当てを受けるが、重症。
戦場で受けたケガが炎症を起こし、国王は起き上がることもできなくなってしまった。
床に伏す国王の隙を狙い、隣国アルワーン王国の軍が国境から内陸の街へと進軍を開始した。
その第1報を聞いて、ドレイクは動揺した。
父王はケガにより動けず、唯一の王子である自分は、成人を迎えたばかり。
好戦的なアルワーン王国は戦って勝てる相手か?
独立を失い、降伏するしかないのか?
国の重鎮達が集まっての会議は、荒れに荒れた。
ドレイクは、父の統治のもと、磐石だと思われたオークランド王国が揺れるのを、為す術もなく見守るしかなかった。
「ドレイク王子殿下。この国を継ぐのは、御身より他にありません。どうぞ安全な場所への退避を」
会議場の大臣達が一斉に、ドレイクを見つめた。
父の意識はなく、王妃である母も、病床にある。
何かするなら、もうドレイクしか残されていない。
「私は王城を離れる」
ドレイクは宣言した。
会議場がしん、と静まり返った。
「私が戻るまで、持ちこたえよ。それが私の命令だ」
将軍達がドレイクの言葉に動揺する。
「それは、安全な場所に退避される、という意味でしょうか?」
「殿下、一体、殿下はどうされるおつもりなのですか!?」
「トルモル岩山へ向かう」
ドレイクの言葉に、一同は声を失った。
誰もが、ドレイクが生まれた時の、精霊女王の予言をまざまざと思い出したからだ。
『オークランドを失う危機が訪れる。命は救えないが、国は救える』
それはすなわち、国王、王妃の命は救えない、ということ。
しかし、オークランドにはまだ希望があるのだ。
「我が名はドレイク。竜と名付けた父母の想いは、我が受け止める。いいか。どんな手を使ってでも、持ちこたえよ」
ドレイクは、凍りついたように動けない人々の間を縫って、城の外に出る。
そして、城で最速の馬に跨った。
帰りのことは考えない。
精霊女王の予言が正しければ、竜との契約が為されれば、ドレイクは、竜とともに帰還することになる。
ドレイクのもう1人の学友。
幼馴染のユリウスが絶望した顔で立っているのが見えた。
あの毒舌で、口の減らない男が、言葉を失って立っている。
しかし、ドレイクもまた、そんなユリウスに声を掛けることはできなかった。
ドレイクは伝説を信じ、竜の加護を求め、精霊の国に続くとされるトルモル岩山へと向かった。
* * *
トルモル岩山はオークランド西南端、海岸から海の中に浮かぶ、小さな黒い島にそびえていた。
周囲は切り立った崖が続いていて、崖面にぽかりと開いた、いくつかの洞窟が見えた。
岩だらけの海岸に降りる道は、崖を切り開いて作られており、長く細い道が、どんどん下へと続くのだった。
まるで海の中に落ちていくようで、小道を降りながら、さすがのドレイクも、どこか不安定な心地を味わった。
「潮が引けば、歩いて渡れます」
ドレイクは地元の老人にそう言われ、島を前に待つことにした。
ところが具合の悪いことに、その日から嵐になり、海の水は引く気配を見せない。
ようやく潮が引いて、島までの道が現れたのは、それから数日後のことだった。
人間の世界で、1番精霊国に近い場所。
しかし、この小さな島の周囲には、時折、黒く大きな翼を持った生き物が空を飛ぶ姿が見える、ということで、人々は恐れ、島に近づく者はない、と教えられた。
ドレイクがトルモル岩山に登る、と言った時、村の人々は驚いたが、ドレイクを止めようとはしなかった。
ドレイクは村長に馬を託した。
「落ち着いたら、馬を引き取りに人を寄越す」
そう言ったドレイクに、村長は「ご安心ください。確かにお預かりしましょう」と言ってくれたのだった。
そして今、ドレイクは1人きりだった。
黒い島に上陸し、ひたすらトルモルと呼ばれる岩山を登る。
王城を出てから、すでに何日経っているか。
オークランドは持ちこたえているのか。
それすらもわからない。
ドレイクはただひたすらに、岩山を登る足に集中しようとしていた。
そしてついに辿り着いた頂上。
「精霊国の女王モルガンよ、精霊国を守る伝説の竜よ。平和を求める我が祈りに応えたまえ」
「…………」
ドレイクがそう問いかけると、黒い髪の青年が、黙ってうなづいた。
ドレイク自身も黒髪。
遠目から見ると、2人の黒髪の青年は、まるで兄弟のようにも見える。
しかし、ドレイクの方は、鍛え上げた体には筋肉が付き、身長も高い。
髪は風に吹きさらしのボサボサで、動作も荒っぽく、とても上品な、とは言い難い。
一方、もう1人の青年は、同じ黒髪でも、まるで女性のように艶やかで、濃い色の肌に鮮やかな青い瞳、という印象的な容貌をしていた。
どことなく捉え所がなく、ミステリアス。
いまだ少年のような繊細さを持った彼は、同じく美貌の青年、もう1人の学友であるユリウスともまた違った美しさを持つ青年だったのだ。
彼の名前は、アルファイド・ガラニエル。
隣国アルワーンの第2王子である。
ドレイクと同い年の彼は、10歳の頃に、オークランドに留学に来てすでに8年。
その間、アルファイドはドレイクの学友として、2人はまるで兄弟のように育ったのだった。
「アルファイド、お前は、本当に帰国したいのか?」
黙っているアルファイドに業を煮やして、なおもドレイクが言う。
「殺されるかもしれないのに?」
アルファイドは、はぁっと息を吐いた。
「国王命令なら、逆らうわけにいかないだろう」
そう言うと、アルファイドはふい、と横を向いてしまった。
「母には……」
ドレイクが言い淀むと、アルファイドはうなづいた。
「サリア様にはもちろん挨拶をしていく」
「わかった」
それだけ会話を交わすと、ドレイクとアルファイドは並んで王城へと歩き始めた。
背後には、それぞれを警護する騎士が従う。
その年、ドレイクはついに18歳を迎えた。オークランドでは成人の年だ。
この1年で、ドレイクはあらゆることを経験することになる。
その始まりは、10歳から勉強を共にしてきた学友、アルワーン王国の第2王子、アルファイドの突然の帰国だった。
その頃には体調が不安定だったサリアを心配げに見つめていたアルファイドの姿を、ドレイクは今でも覚えている。しかし。
戦争は突然始まった。
アルファイドがアルワーンに帰国して、わずか1ヶ月。
あっという間に、隣国アルワーン王国の軍が、国境へ攻め入った。
そして不運なことに、開戦早々、オークランド王は負傷して、前線からの離脱をやむなくされた。
急ぎ王城に戻った国王は手当てを受けるが、重症。
戦場で受けたケガが炎症を起こし、国王は起き上がることもできなくなってしまった。
床に伏す国王の隙を狙い、隣国アルワーン王国の軍が国境から内陸の街へと進軍を開始した。
その第1報を聞いて、ドレイクは動揺した。
父王はケガにより動けず、唯一の王子である自分は、成人を迎えたばかり。
好戦的なアルワーン王国は戦って勝てる相手か?
独立を失い、降伏するしかないのか?
国の重鎮達が集まっての会議は、荒れに荒れた。
ドレイクは、父の統治のもと、磐石だと思われたオークランド王国が揺れるのを、為す術もなく見守るしかなかった。
「ドレイク王子殿下。この国を継ぐのは、御身より他にありません。どうぞ安全な場所への退避を」
会議場の大臣達が一斉に、ドレイクを見つめた。
父の意識はなく、王妃である母も、病床にある。
何かするなら、もうドレイクしか残されていない。
「私は王城を離れる」
ドレイクは宣言した。
会議場がしん、と静まり返った。
「私が戻るまで、持ちこたえよ。それが私の命令だ」
将軍達がドレイクの言葉に動揺する。
「それは、安全な場所に退避される、という意味でしょうか?」
「殿下、一体、殿下はどうされるおつもりなのですか!?」
「トルモル岩山へ向かう」
ドレイクの言葉に、一同は声を失った。
誰もが、ドレイクが生まれた時の、精霊女王の予言をまざまざと思い出したからだ。
『オークランドを失う危機が訪れる。命は救えないが、国は救える』
それはすなわち、国王、王妃の命は救えない、ということ。
しかし、オークランドにはまだ希望があるのだ。
「我が名はドレイク。竜と名付けた父母の想いは、我が受け止める。いいか。どんな手を使ってでも、持ちこたえよ」
ドレイクは、凍りついたように動けない人々の間を縫って、城の外に出る。
そして、城で最速の馬に跨った。
帰りのことは考えない。
精霊女王の予言が正しければ、竜との契約が為されれば、ドレイクは、竜とともに帰還することになる。
ドレイクのもう1人の学友。
幼馴染のユリウスが絶望した顔で立っているのが見えた。
あの毒舌で、口の減らない男が、言葉を失って立っている。
しかし、ドレイクもまた、そんなユリウスに声を掛けることはできなかった。
ドレイクは伝説を信じ、竜の加護を求め、精霊の国に続くとされるトルモル岩山へと向かった。
* * *
トルモル岩山はオークランド西南端、海岸から海の中に浮かぶ、小さな黒い島にそびえていた。
周囲は切り立った崖が続いていて、崖面にぽかりと開いた、いくつかの洞窟が見えた。
岩だらけの海岸に降りる道は、崖を切り開いて作られており、長く細い道が、どんどん下へと続くのだった。
まるで海の中に落ちていくようで、小道を降りながら、さすがのドレイクも、どこか不安定な心地を味わった。
「潮が引けば、歩いて渡れます」
ドレイクは地元の老人にそう言われ、島を前に待つことにした。
ところが具合の悪いことに、その日から嵐になり、海の水は引く気配を見せない。
ようやく潮が引いて、島までの道が現れたのは、それから数日後のことだった。
人間の世界で、1番精霊国に近い場所。
しかし、この小さな島の周囲には、時折、黒く大きな翼を持った生き物が空を飛ぶ姿が見える、ということで、人々は恐れ、島に近づく者はない、と教えられた。
ドレイクがトルモル岩山に登る、と言った時、村の人々は驚いたが、ドレイクを止めようとはしなかった。
ドレイクは村長に馬を託した。
「落ち着いたら、馬を引き取りに人を寄越す」
そう言ったドレイクに、村長は「ご安心ください。確かにお預かりしましょう」と言ってくれたのだった。
そして今、ドレイクは1人きりだった。
黒い島に上陸し、ひたすらトルモルと呼ばれる岩山を登る。
王城を出てから、すでに何日経っているか。
オークランドは持ちこたえているのか。
それすらもわからない。
ドレイクはただひたすらに、岩山を登る足に集中しようとしていた。
そしてついに辿り着いた頂上。
「精霊国の女王モルガンよ、精霊国を守る伝説の竜よ。平和を求める我が祈りに応えたまえ」
3
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】番が見つかった恋人に今日も溺愛されてますっ…何故っ!?
ハリエニシダ・レン
恋愛
大好きな恋人に番が見つかった。
当然のごとく別れて、彼は私の事など綺麗さっぱり忘れて番といちゃいちゃ幸せに暮らし始める……
と思っていたのに…!??
狼獣人×ウサギ獣人。
※安心のR15仕様。
-----
主人公サイドは切なくないのですが、番サイドがちょっと切なくなりました。予定外!
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる