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第十一章 先へ、なう
272話 トラップなう
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「ひんやりしてるな……」
冬子がボソッと呟く。確かに何だか空気が冷たい……というか、明らかに気温が下がっている。
「スケルトン系の魔物が多いって聞いてたけど……確かに多いね」
AmDmが、俺達の前でダンジョンモンスターを食らって破壊している。取りあえず三体出して周囲を守っているけど、AmDmを倒すほど強いダンジョンモンスターは出て来ていない。
「っていうか京助君。そのAmDmって雨が降って無いと使えないんじゃなかったっけ」
「あれはAmDmを広範囲にまき散らすために俺の魔力が混ざった水が必要だったから、雨を降らせただけ。単品でAmDmを出すことは出来るよ」
足元や壁は大理石のような石が並べられており、ところどころ輝く石が埋まっていてなんとなく明るい。
ツルツルした床も、壁も真っ白なせいでイマイチ距離感が掴めない。
そして何より――
「マスター、また後ろの壁の位置が変わりました。……やはりマッピングは無理そうですね」
「……だね」
――リアルタイムで、一歩進むごとに壁が変わっているのだ。もう後戻りしてもすぐには出られないだろう。
「一応、歩数で入口からの長さは測っています。現在、一キロ程度ですね」
「ありがとう」
通路自体は広く、四人くらいは横に並べるほどだ。今は俺とリャンが先頭、間に美沙と冬子、シュリーを挟み……キアラが殿だ。
取りあえず床をぶち抜くのはダメとして……
「ちょっとぶち抜くね」
「承知しました」
俺は目の前にある壁を殴って破壊してみる。流石に素の筋力でぶち破るのは出来ないので、ちゃんと魔力で強化して。
「厚さは五十センチくらい、かな。取りあえず一層目はそんなにしんどくなさそうだ」
「ただ最初からこのやり方で進むと、道中の宝箱を開けられませんが……」
「そうだね。とはいえ、これじゃあ宝箱もへったくれも無い気がするんだよな」
「ヨホホ、ラビリンス系のダンジョンと言ってもここまでリアルタイムで動きが変わるダンジョンは珍しいデスからね」
宝箱を開けるために隅々まで探索、って言っちゃ悪いけどマッピングされているから出来ることだ。
刻一刻と通路が変わるこのダンジョンじゃ、階下へ降りるための階段を探すためだけでも一苦労だ。
「入ってそろそろ一時間?」
「ああ。――今、ちょうど一時間十五分だ。どうする? 休むか?」
「もうちょっと進みたくない? ダンジョンモンスターも強くないし、まだそんな疲れてないよ」
リャンとシュリーも疲れている様子はない。それならばまだ進んだ方がいいだろうね。
「キアラ、どう? 全容の把握、出来そう?」
キアラはダンジョンに入った時から、このダンジョンにソナーを飛ばして広さを把握してもらおうとしている。
しかし――
「妾のソナーですら二百メートルほど行ったところで霧散するのぅ」
――キアラでも無理か。ちなみに俺のAmDmも百メートルくらい離れると霧散してしまう。魔力が濃いからか、それとも別の理由なのか。
ダンジョンならではの不自由さを感じる。魔法のコントロールがしづらいっていうのは、なかなか無い経験だ。
「天井も高いのぅ」
「二メートル半くらいかな」
だいたい、学校の廊下くらいの高さだ。これなら槍も十分振り回せるね。
しかしモンスターがあんまり強くないから、怖いのはトラップかな。
「数は多いデスけど、弱いデスね」
「しかもトラップもあまりありませんね。ふむ……しかし二層に入って帰ってきた者はいない、と。どんな罠が待ち受けているんでしょうか」
リャンが水を飲みながら、そんなことを言う。
「もしくは下層は一気にダンジョンモンスターが強くなってるのか」
「あるいはそのどっちもか、だねー」
美沙の発言に頷く。俺もその可能性の方が高いんじゃないかと思ってる。
「ちゃんと集中して進まないとね」
そう言ってから、俺達は周囲を警戒しながらダンジョンの中をさらに進んでいく。ダンジョンモンスターはAmDmが倒すし、罠も無いから集中がすぐに解けてしまいそうだけど。
前情報通り、出てくるモンスターはスケルトン系ばかり。AmDmで倒せる程度の強さだけど、魔法を使ってくる個体がいるのは気になるね。
魔法というか、魔力を用いた能力と言うべきか。あとは遠距離攻撃を使ってくるゴーレムも結構出てくる。
一体一体の強さがもっと強いか、それとも数がもっと多ければ……厄介どころの話じゃないだろうね。
灯りは確保してあるし、ダンジョン内もそれなりに明るいのに……見通しが悪いっていうのは気になるところかな。
(たぶん、ダンジョンが延々と通路を変えてるからなんだろうけど……)
いざという時、キアラの転移で戻れるとはいえ、転移丸薬の使い方もちゃんと忘れないようにしておかないとね。
「マスター、そろそろ五キロほどです」
さらに四時間くらい経ったところで、リャンが俺に報告してきた。ヤバいな、暗がりの中ただ歩いてるだけだから距離の感覚が麻痺してる。
五キロ歩こうが六キロ歩こうが、戦闘もしてない状態じゃ大して疲れない。でも流石に一度休憩を挟んだ方がいいだろう。
「皆、通路の端によって休憩。っていうか、お昼ご飯の時間過ぎちゃってるね」
「ああ。今もうそろそろ三時だからな」
「腹ペコだよー」
集中し過ぎていたかもしれないが、取り敢えず今のところは何も無い。というか、宝箱の一つも無いのはちょっと嫌だな。
「ねぇリャン、同じところをグルグル回ってるってことは無い?」
既に五度ほど、壁をぶち抜いて進んでいる。このダンジョンが壁を動かして、一か所で俺達を立ち往生させようとしてくるからだ。
リャンがほとんど感覚で、俺達が立ち往生しそうになったら伝えてくれているんだけど、それでも常に確認している。
「今のところは大丈夫だと思います。入口から、こんな感じで歩いていますからね」
リャンがパサッと紙を地面に置く。マッピングではなく――なんだろう、人力GPSとでも言うべきだろうか。入口から見て、俺達が歩いている距離と方角だけが矢印としてメモされている。
「歩幅を五十センチに調整して歩いているので、だいたい合っているはずです」
「ありがとう。……うーん、だいぶ奥まで来てるんじゃなかろうか」
さっきリャンが言った五キロというのは、直線距離の話だったらしい。かなりジグザグに歩いているから、これ倍は既に歩いているとみていいだろう。
「キョースケよ。このダンジョン内は魔力が取っ散らかっておる。咄嗟に転移は出来んと考えよ」
「え? ……そ、そっか。分かった」
キアラの言葉に、少し息を呑む。甘い考えは消さないとダメか。
「マスター、取り敢えず補給いたしましょう。休憩の見張りは最初は私が行います」
「そうだね。……ご飯食べて、また動き出そうか」
補給しないと動けなくなる。そうで無くとも、安全なうちにエネルギーを補充しておかないといけないからね。
俺たちはさっき買ってきたサンドイッチを取り出してから、食べ始めるのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やっっっっと見つけた……」
「な、長かったねー……」
さて、あれから更に五時間。ダンジョンに入ってから実に十時間。ようやく二層へ繋がる階段を見つけることが出来た。
「古今東西、ラビリンス系のダンジョンは星の数ほどありますが……階下に降りるための入口が移動する物は初めて聞きますね……」
『昼にアンタレスのギルドで調べてみたらー、いくらか前例があるみたいですよー。なんかダンジョンが四つくらいに別れてて、そのどれに降りるか分からなくするために入口が動いている物もあるとかー』
ケータイからマリルの声が。志村が最近追加してくれた昨日でグループ通話を繋げている状態なんだけど、やっぱ便利だねケータイ。
補給も兼ねて晩御飯も食べたし、ここらで一休みしたいところだけど――また入口が動くかもしれないしなぁ……。
「二層から怖いんだったな」
冬子が呟く。そういえばオルバクがそう言ってたね。
「……疲弊した状態で入るのは危険かな」
一応、何度か休憩しているし、そもそも皆一晩ぶっ通しで戦っても平気な体力は持っている。
しかしそれはあくまでいつでも帰れるという前提があってのこと。僅かに体力が戻ることはあっても基本的に満足な補給が得られない状態では……長時間の休憩を取った方がいいかもしれない。
「いえ、マスター、降りたところで休息しましょう。幸い、ダンジョンモンスターの気配はありません。それに、再び入口が動いたら次にいつ見つけられるか分かりません」
「そうだね……。うし、行こうか。心の準備はいい?」
皆覚悟を決めた顔で頷く。気が抜けている人はいないみたいだ。
ここまでの道行きで宝箱を一つも手に入れていない、ということにやや引っかかりを覚える。一層では何も出ないことの方が多いらしいので、不思議なことじゃ無いかもしれないが……嫌な予感がする。
(…………)
ぽっかりと開いた二層への階段。嫌な予感がビンビンと漂ってくる。
しかしだからと言ってここで戻ったら何のために来たのか分からなくなってしまう。俺は自身が先頭に立ち、神器を解放する。
「神器解放――喰らい尽くせ『パンドラ・ディヴァー』」
『カカカッ、久々ダナァ!』
俺の手の中に力が集約する。名状しがたき『力』そのものともいえる『圧』が、一条の槍の形をとる。
「緊張してるの? 京助君」
「そりゃね。緊張しないわけがない。……さあ、行こう」
俺は慎重に一歩目を踏み出す。カツン、と石畳が無機質な音を返すが……その音が下に反響していない。音が吸われている。
これ、ダンジョン内じゃなくても普通に怖いな……。
背後からは皆の足音が。魔物が襲ってくる気配も無いし、罠が作動している気配も無い。少々長めの螺旋階段って感じだ。
薄暗く、足元しか見えない階段をゆっくりと降りていく。一歩ずつ、一歩ずつ確実に降りていき……。
俺は、何事も無く二層にたどり着いた。
大理石の地面を踏みしめると、少しだけ俺の身体が揺れた。風も起きていないのに一体なぜだろう。
「ふぅ……流石に階段降りるだけに気合入れすぎたかな」
一つ息を吐くが、多少の明るさがあった一層と違い二層は一切の光が無い。俺は魔法で火を作り、その上から風でカバーして周囲の酸素を使わない炎を作る。
「これで回りも見えるかな。さて、皆いるよね?」
振り返る。そこには階段があるはずで。
振り返る。そこからは一層が見えるはずで。
振り返る。そこには皆の顔があるはずで。
振り返れば、そこには。
「……え?」
振り返る。なのに――
「み、んな?」
――何も、無い。
一層へ向かうはずの階段も、一層に開いていた穴も、チームの皆も。
何も無い。どこにも、影も形も――
「なんで――!?」
――まるで、俺だけ転移したような。
そう思考したところで、気づく。それしか考えられない。
「――――――――――――!!!!!」
俺は転移トラップを踏んだんだ。一人だけどこか分からない場所に飛ばされたんだ。
「まさか――冬子! シュリー! リャン! 美沙! キアラ!」
皆の名前を呼ぶ。当然返ってくるわけもなく。
俺は咄嗟にケータイを取り出す。マリルを含めた通話は繋がったままだ。他の皆の状況を把握出来れば――
「マリル! マリル!」
――しかし、そんな甘えは許されないらしい。反応が無い、こちらからコールしても一切誰も出ない。
リャンに渡された羅針盤を取り出す。しかし針はピクリとも動かない。ただただ、真っ直ぐに一方を示している。
下のボタンを押す。くるっと針が回転し……やはり、誰からの反応も返ってこない。
(マズい――マズい、マズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズい!!!!!)
グルグルと脳が混乱する。俺一人が飛ばされただけなら、まだいい。皆が飛ばされていなければ、少なくとも皆は死なないからだ。
でも、もしも。こんな……ケータイも通じない、羅針盤も反応しないダンジョンに、皆一人で、バラバラに転移させられていたら――
「ヤバい……ヤバい、ヤバい!」
叫ぶ。脳が悲鳴を上げる。現状の理解を拒む。
死
どうする、どうする、どうする――
『キョースケ! 後ろダァ!』
ヨハネスの声、その一瞬後に――ガキン! と、透明な剣が、俺の足元に突き刺さった。
「――ッ! 考え事をしてるのに、邪魔をするな! このクソモンスターども!」
咄嗟に波を生み出して、周囲のダンジョンモンスターどもを圧し潰す。槍を構え、取り敢えず脳を戦闘用のそれに切り替えた。
「ヨハネス! なんだこいつら!」
『カカカッ、透明なスケルトン――差し詰めスケルトンスケルトンかァ?』
「くだらないことを言ってる場合じゃない!」
周囲の魔力を『視』る。そこには数えきれないほど――アリの大群かと思うくらいのダンジョンモンスター。
「――ッ! 『ヒュドラ・ハリケーン』!」
激流を身に纏い、周囲の通路を完全に塞ぐほどの竜巻を放出する。メキメキメキィ! とダンジョンモンスターを圧し潰していくが――一定の距離をいったところで、魔法のコントロールを失った。やはり長距離の魔法はコントロール出来ないらしい。
いや、それよりも。
「どうする……どうする!?」
手応え的に……今の竜巻で、百体は潰した。それはつまり、数百メートル以内に三桁近い敵がいるということで……。
皆、一対一でなら負けやしないだろう。そんな柔なチームじゃない。
でも、それらすべてが透明で、武器まで持っている。しかも視界は最悪だ、何せ炎を出してなければ完全な暗闇なのだから。
死
「どうやれば……皆を、助けられる?」
そもそもSランクレベルの敵が出てきたらどうする? キアラがいればいいが、そうで無いなら皆一対一でどうにか出来るのか?
というか、合流出来なかったらどうする? アイテムボックスを持っている俺たちはともかく、シュリーとリャンは三日分しか食料を持ってないんだぞ?
どうする、地上に出るための入口も移動しているんなら? 一層を踏破するのに、全員でかけて十時間かかったんだぞ?
死
「ヨハネス! 出口はどこだ、皆はどこにいる! 教えろ、『知りたがりの悪魔!』」
叫ぶ。槍や剣で捌けるような数じゃない。こんなの、いずれ数の雪崩で押しつぶされる。
『オイオイ、待てヨキョースケ。ソリャ、無茶ッテモンダゼ。オレ様が知ってるノハ知識ダケデ――』
「なら! すぐに皆を見つけられる魔法でも出せ!」
死
『オイ、落ち着けキョースケ。慌て過ぎダ、マダ誰も死んだッテワケジャ――』
「死んでてたまるか!」
死
何でこうなった。
十分に集中していたはずだ。
対策も立てていたはずだ。
警戒していたはずだ。
情報も集めた、準備もした。
なのに、何故こんなことになっている。
死
「嫌だ……死なせない、死なせない死なせない! 絶対に、死なせない!」
『オイ、マジで落ち着けキョースケ! 魔力が暴れテヤガル! コノママダト、お前の魔力が――』
「落ち着けるか!」
死
壁を殴りつける。尋常じゃない轟音と共に、数枚の壁が一度に吹き飛んでしまった。しかしその全てが、向こうが見えると同時に再生してしまう。
一層の比じゃない再生速度。灯りを強くして周囲をさらに照らすと、数メートル先の壁が一瞬のうちに切り替わって言っていた。
死
「どうする……!?」
死
「嫌だ……嫌だ……!」
死
「死なせない、死なせないために……皆を!」
死
死
死
死
敵がいない。
何かを倒しても状況が好転しない。
ひたり
足音が聞こえた気がした。
でも、振り向いてもそこには誰もいない。
ひたり
また、後ろから足音が。
ひたり
それはまるで。
ひたり
死神の足音のようで――
「嫌だ……皆が死ぬ……嘘だ……俺はどうなってもいい、別に俺はどうなってもいいんだ、でも、皆が死ぬなんて……二度と会えないなんて……嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!」
頭を振る、槍を振る、魔力が暴れる、壁をいくつも破壊して、俺は魔力を高めていく。
どうすればいい、マズい。ヤバい。
俺は、俺は――
『キョースケ、落ち着けッテ言ってンダロ!』
――ヴン。
俺の腕がいきなり動いた。操られたかのように、俺の意思を無視して『パンドラ・ディヴァー』を振り回す。
そして魔法を発動し、周囲にいるダンジョンモンスターを打ち払った。
「な――」
驚き、固まる。それと同時に俺の腕のコントロールが戻った。
『オメー、今ヤンナキャナンネェコトはナンダ?』
ヨハネスの声。それを聞いてハッとする。今、俺は何をしていた?
ただ不安と恐怖でオロオロしていた?
『馬鹿ジャネェノカ、キョースケ。何してンダ、テメェ。今スルコトハ、後悔シテ喚いて恐怖するコトカ?』
「いや……」
どれもこれも、意味が無い。
そんなもの、全部落ち着いてから後でやれば済むことだ。
『考えるノハ、ヤルコトヤッテカラ……ソレがオメーの信条ジャネェノカァ?』
「……ああ、そうだね」
下手な考え、休むに似たり。行動に繋がらない動きなんてなんの意味がある。
俺は首を振り、頬を叩く。背筋が凍るような恐怖は未だに消えない。しかしそれでも、俺は何度か頬を叩く。
活力煙を咥え、息を吸い込む。
「すぅ……」
指先に灯した火を活力煙に当て、煙を肺に満たす。
「ふぅ~……」
吐き出した紫煙が、水浸しになったダンジョン内に溶けていく。口の端を吊り上げ、相棒の名を呼んだ。
「ありがとうね、ヨハネス」
『ヨシ、正気に戻ったナァ。ッタク、勘弁シテクレヨォ? 相棒が暴走シタラ、目も当てラレネェ』
「うん。――迷惑、かけたね」
俺は笑い、首を鳴らす。
活力煙の煙をもう一度吸い込み、地面に叩きつける。それと同時に、周囲に円を描くように炎が吹きあがった。
「じゃあ、状況を解決していこうか」
大ピンチ、俺の失態が招いた最悪の状況。
俺は――ここまで大がかりなダンジョンに挑むのは初めてだ。
だから――
「――俺の経験値になってくれよ?」
冬子がボソッと呟く。確かに何だか空気が冷たい……というか、明らかに気温が下がっている。
「スケルトン系の魔物が多いって聞いてたけど……確かに多いね」
AmDmが、俺達の前でダンジョンモンスターを食らって破壊している。取りあえず三体出して周囲を守っているけど、AmDmを倒すほど強いダンジョンモンスターは出て来ていない。
「っていうか京助君。そのAmDmって雨が降って無いと使えないんじゃなかったっけ」
「あれはAmDmを広範囲にまき散らすために俺の魔力が混ざった水が必要だったから、雨を降らせただけ。単品でAmDmを出すことは出来るよ」
足元や壁は大理石のような石が並べられており、ところどころ輝く石が埋まっていてなんとなく明るい。
ツルツルした床も、壁も真っ白なせいでイマイチ距離感が掴めない。
そして何より――
「マスター、また後ろの壁の位置が変わりました。……やはりマッピングは無理そうですね」
「……だね」
――リアルタイムで、一歩進むごとに壁が変わっているのだ。もう後戻りしてもすぐには出られないだろう。
「一応、歩数で入口からの長さは測っています。現在、一キロ程度ですね」
「ありがとう」
通路自体は広く、四人くらいは横に並べるほどだ。今は俺とリャンが先頭、間に美沙と冬子、シュリーを挟み……キアラが殿だ。
取りあえず床をぶち抜くのはダメとして……
「ちょっとぶち抜くね」
「承知しました」
俺は目の前にある壁を殴って破壊してみる。流石に素の筋力でぶち破るのは出来ないので、ちゃんと魔力で強化して。
「厚さは五十センチくらい、かな。取りあえず一層目はそんなにしんどくなさそうだ」
「ただ最初からこのやり方で進むと、道中の宝箱を開けられませんが……」
「そうだね。とはいえ、これじゃあ宝箱もへったくれも無い気がするんだよな」
「ヨホホ、ラビリンス系のダンジョンと言ってもここまでリアルタイムで動きが変わるダンジョンは珍しいデスからね」
宝箱を開けるために隅々まで探索、って言っちゃ悪いけどマッピングされているから出来ることだ。
刻一刻と通路が変わるこのダンジョンじゃ、階下へ降りるための階段を探すためだけでも一苦労だ。
「入ってそろそろ一時間?」
「ああ。――今、ちょうど一時間十五分だ。どうする? 休むか?」
「もうちょっと進みたくない? ダンジョンモンスターも強くないし、まだそんな疲れてないよ」
リャンとシュリーも疲れている様子はない。それならばまだ進んだ方がいいだろうね。
「キアラ、どう? 全容の把握、出来そう?」
キアラはダンジョンに入った時から、このダンジョンにソナーを飛ばして広さを把握してもらおうとしている。
しかし――
「妾のソナーですら二百メートルほど行ったところで霧散するのぅ」
――キアラでも無理か。ちなみに俺のAmDmも百メートルくらい離れると霧散してしまう。魔力が濃いからか、それとも別の理由なのか。
ダンジョンならではの不自由さを感じる。魔法のコントロールがしづらいっていうのは、なかなか無い経験だ。
「天井も高いのぅ」
「二メートル半くらいかな」
だいたい、学校の廊下くらいの高さだ。これなら槍も十分振り回せるね。
しかしモンスターがあんまり強くないから、怖いのはトラップかな。
「数は多いデスけど、弱いデスね」
「しかもトラップもあまりありませんね。ふむ……しかし二層に入って帰ってきた者はいない、と。どんな罠が待ち受けているんでしょうか」
リャンが水を飲みながら、そんなことを言う。
「もしくは下層は一気にダンジョンモンスターが強くなってるのか」
「あるいはそのどっちもか、だねー」
美沙の発言に頷く。俺もその可能性の方が高いんじゃないかと思ってる。
「ちゃんと集中して進まないとね」
そう言ってから、俺達は周囲を警戒しながらダンジョンの中をさらに進んでいく。ダンジョンモンスターはAmDmが倒すし、罠も無いから集中がすぐに解けてしまいそうだけど。
前情報通り、出てくるモンスターはスケルトン系ばかり。AmDmで倒せる程度の強さだけど、魔法を使ってくる個体がいるのは気になるね。
魔法というか、魔力を用いた能力と言うべきか。あとは遠距離攻撃を使ってくるゴーレムも結構出てくる。
一体一体の強さがもっと強いか、それとも数がもっと多ければ……厄介どころの話じゃないだろうね。
灯りは確保してあるし、ダンジョン内もそれなりに明るいのに……見通しが悪いっていうのは気になるところかな。
(たぶん、ダンジョンが延々と通路を変えてるからなんだろうけど……)
いざという時、キアラの転移で戻れるとはいえ、転移丸薬の使い方もちゃんと忘れないようにしておかないとね。
「マスター、そろそろ五キロほどです」
さらに四時間くらい経ったところで、リャンが俺に報告してきた。ヤバいな、暗がりの中ただ歩いてるだけだから距離の感覚が麻痺してる。
五キロ歩こうが六キロ歩こうが、戦闘もしてない状態じゃ大して疲れない。でも流石に一度休憩を挟んだ方がいいだろう。
「皆、通路の端によって休憩。っていうか、お昼ご飯の時間過ぎちゃってるね」
「ああ。今もうそろそろ三時だからな」
「腹ペコだよー」
集中し過ぎていたかもしれないが、取り敢えず今のところは何も無い。というか、宝箱の一つも無いのはちょっと嫌だな。
「ねぇリャン、同じところをグルグル回ってるってことは無い?」
既に五度ほど、壁をぶち抜いて進んでいる。このダンジョンが壁を動かして、一か所で俺達を立ち往生させようとしてくるからだ。
リャンがほとんど感覚で、俺達が立ち往生しそうになったら伝えてくれているんだけど、それでも常に確認している。
「今のところは大丈夫だと思います。入口から、こんな感じで歩いていますからね」
リャンがパサッと紙を地面に置く。マッピングではなく――なんだろう、人力GPSとでも言うべきだろうか。入口から見て、俺達が歩いている距離と方角だけが矢印としてメモされている。
「歩幅を五十センチに調整して歩いているので、だいたい合っているはずです」
「ありがとう。……うーん、だいぶ奥まで来てるんじゃなかろうか」
さっきリャンが言った五キロというのは、直線距離の話だったらしい。かなりジグザグに歩いているから、これ倍は既に歩いているとみていいだろう。
「キョースケよ。このダンジョン内は魔力が取っ散らかっておる。咄嗟に転移は出来んと考えよ」
「え? ……そ、そっか。分かった」
キアラの言葉に、少し息を呑む。甘い考えは消さないとダメか。
「マスター、取り敢えず補給いたしましょう。休憩の見張りは最初は私が行います」
「そうだね。……ご飯食べて、また動き出そうか」
補給しないと動けなくなる。そうで無くとも、安全なうちにエネルギーを補充しておかないといけないからね。
俺たちはさっき買ってきたサンドイッチを取り出してから、食べ始めるのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やっっっっと見つけた……」
「な、長かったねー……」
さて、あれから更に五時間。ダンジョンに入ってから実に十時間。ようやく二層へ繋がる階段を見つけることが出来た。
「古今東西、ラビリンス系のダンジョンは星の数ほどありますが……階下に降りるための入口が移動する物は初めて聞きますね……」
『昼にアンタレスのギルドで調べてみたらー、いくらか前例があるみたいですよー。なんかダンジョンが四つくらいに別れてて、そのどれに降りるか分からなくするために入口が動いている物もあるとかー』
ケータイからマリルの声が。志村が最近追加してくれた昨日でグループ通話を繋げている状態なんだけど、やっぱ便利だねケータイ。
補給も兼ねて晩御飯も食べたし、ここらで一休みしたいところだけど――また入口が動くかもしれないしなぁ……。
「二層から怖いんだったな」
冬子が呟く。そういえばオルバクがそう言ってたね。
「……疲弊した状態で入るのは危険かな」
一応、何度か休憩しているし、そもそも皆一晩ぶっ通しで戦っても平気な体力は持っている。
しかしそれはあくまでいつでも帰れるという前提があってのこと。僅かに体力が戻ることはあっても基本的に満足な補給が得られない状態では……長時間の休憩を取った方がいいかもしれない。
「いえ、マスター、降りたところで休息しましょう。幸い、ダンジョンモンスターの気配はありません。それに、再び入口が動いたら次にいつ見つけられるか分かりません」
「そうだね……。うし、行こうか。心の準備はいい?」
皆覚悟を決めた顔で頷く。気が抜けている人はいないみたいだ。
ここまでの道行きで宝箱を一つも手に入れていない、ということにやや引っかかりを覚える。一層では何も出ないことの方が多いらしいので、不思議なことじゃ無いかもしれないが……嫌な予感がする。
(…………)
ぽっかりと開いた二層への階段。嫌な予感がビンビンと漂ってくる。
しかしだからと言ってここで戻ったら何のために来たのか分からなくなってしまう。俺は自身が先頭に立ち、神器を解放する。
「神器解放――喰らい尽くせ『パンドラ・ディヴァー』」
『カカカッ、久々ダナァ!』
俺の手の中に力が集約する。名状しがたき『力』そのものともいえる『圧』が、一条の槍の形をとる。
「緊張してるの? 京助君」
「そりゃね。緊張しないわけがない。……さあ、行こう」
俺は慎重に一歩目を踏み出す。カツン、と石畳が無機質な音を返すが……その音が下に反響していない。音が吸われている。
これ、ダンジョン内じゃなくても普通に怖いな……。
背後からは皆の足音が。魔物が襲ってくる気配も無いし、罠が作動している気配も無い。少々長めの螺旋階段って感じだ。
薄暗く、足元しか見えない階段をゆっくりと降りていく。一歩ずつ、一歩ずつ確実に降りていき……。
俺は、何事も無く二層にたどり着いた。
大理石の地面を踏みしめると、少しだけ俺の身体が揺れた。風も起きていないのに一体なぜだろう。
「ふぅ……流石に階段降りるだけに気合入れすぎたかな」
一つ息を吐くが、多少の明るさがあった一層と違い二層は一切の光が無い。俺は魔法で火を作り、その上から風でカバーして周囲の酸素を使わない炎を作る。
「これで回りも見えるかな。さて、皆いるよね?」
振り返る。そこには階段があるはずで。
振り返る。そこからは一層が見えるはずで。
振り返る。そこには皆の顔があるはずで。
振り返れば、そこには。
「……え?」
振り返る。なのに――
「み、んな?」
――何も、無い。
一層へ向かうはずの階段も、一層に開いていた穴も、チームの皆も。
何も無い。どこにも、影も形も――
「なんで――!?」
――まるで、俺だけ転移したような。
そう思考したところで、気づく。それしか考えられない。
「――――――――――――!!!!!」
俺は転移トラップを踏んだんだ。一人だけどこか分からない場所に飛ばされたんだ。
「まさか――冬子! シュリー! リャン! 美沙! キアラ!」
皆の名前を呼ぶ。当然返ってくるわけもなく。
俺は咄嗟にケータイを取り出す。マリルを含めた通話は繋がったままだ。他の皆の状況を把握出来れば――
「マリル! マリル!」
――しかし、そんな甘えは許されないらしい。反応が無い、こちらからコールしても一切誰も出ない。
リャンに渡された羅針盤を取り出す。しかし針はピクリとも動かない。ただただ、真っ直ぐに一方を示している。
下のボタンを押す。くるっと針が回転し……やはり、誰からの反応も返ってこない。
(マズい――マズい、マズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいマズい!!!!!)
グルグルと脳が混乱する。俺一人が飛ばされただけなら、まだいい。皆が飛ばされていなければ、少なくとも皆は死なないからだ。
でも、もしも。こんな……ケータイも通じない、羅針盤も反応しないダンジョンに、皆一人で、バラバラに転移させられていたら――
「ヤバい……ヤバい、ヤバい!」
叫ぶ。脳が悲鳴を上げる。現状の理解を拒む。
死
どうする、どうする、どうする――
『キョースケ! 後ろダァ!』
ヨハネスの声、その一瞬後に――ガキン! と、透明な剣が、俺の足元に突き刺さった。
「――ッ! 考え事をしてるのに、邪魔をするな! このクソモンスターども!」
咄嗟に波を生み出して、周囲のダンジョンモンスターどもを圧し潰す。槍を構え、取り敢えず脳を戦闘用のそれに切り替えた。
「ヨハネス! なんだこいつら!」
『カカカッ、透明なスケルトン――差し詰めスケルトンスケルトンかァ?』
「くだらないことを言ってる場合じゃない!」
周囲の魔力を『視』る。そこには数えきれないほど――アリの大群かと思うくらいのダンジョンモンスター。
「――ッ! 『ヒュドラ・ハリケーン』!」
激流を身に纏い、周囲の通路を完全に塞ぐほどの竜巻を放出する。メキメキメキィ! とダンジョンモンスターを圧し潰していくが――一定の距離をいったところで、魔法のコントロールを失った。やはり長距離の魔法はコントロール出来ないらしい。
いや、それよりも。
「どうする……どうする!?」
手応え的に……今の竜巻で、百体は潰した。それはつまり、数百メートル以内に三桁近い敵がいるということで……。
皆、一対一でなら負けやしないだろう。そんな柔なチームじゃない。
でも、それらすべてが透明で、武器まで持っている。しかも視界は最悪だ、何せ炎を出してなければ完全な暗闇なのだから。
死
「どうやれば……皆を、助けられる?」
そもそもSランクレベルの敵が出てきたらどうする? キアラがいればいいが、そうで無いなら皆一対一でどうにか出来るのか?
というか、合流出来なかったらどうする? アイテムボックスを持っている俺たちはともかく、シュリーとリャンは三日分しか食料を持ってないんだぞ?
どうする、地上に出るための入口も移動しているんなら? 一層を踏破するのに、全員でかけて十時間かかったんだぞ?
死
「ヨハネス! 出口はどこだ、皆はどこにいる! 教えろ、『知りたがりの悪魔!』」
叫ぶ。槍や剣で捌けるような数じゃない。こんなの、いずれ数の雪崩で押しつぶされる。
『オイオイ、待てヨキョースケ。ソリャ、無茶ッテモンダゼ。オレ様が知ってるノハ知識ダケデ――』
「なら! すぐに皆を見つけられる魔法でも出せ!」
死
『オイ、落ち着けキョースケ。慌て過ぎダ、マダ誰も死んだッテワケジャ――』
「死んでてたまるか!」
死
何でこうなった。
十分に集中していたはずだ。
対策も立てていたはずだ。
警戒していたはずだ。
情報も集めた、準備もした。
なのに、何故こんなことになっている。
死
「嫌だ……死なせない、死なせない死なせない! 絶対に、死なせない!」
『オイ、マジで落ち着けキョースケ! 魔力が暴れテヤガル! コノママダト、お前の魔力が――』
「落ち着けるか!」
死
壁を殴りつける。尋常じゃない轟音と共に、数枚の壁が一度に吹き飛んでしまった。しかしその全てが、向こうが見えると同時に再生してしまう。
一層の比じゃない再生速度。灯りを強くして周囲をさらに照らすと、数メートル先の壁が一瞬のうちに切り替わって言っていた。
死
「どうする……!?」
死
「嫌だ……嫌だ……!」
死
「死なせない、死なせないために……皆を!」
死
死
死
死
敵がいない。
何かを倒しても状況が好転しない。
ひたり
足音が聞こえた気がした。
でも、振り向いてもそこには誰もいない。
ひたり
また、後ろから足音が。
ひたり
それはまるで。
ひたり
死神の足音のようで――
「嫌だ……皆が死ぬ……嘘だ……俺はどうなってもいい、別に俺はどうなってもいいんだ、でも、皆が死ぬなんて……二度と会えないなんて……嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!」
頭を振る、槍を振る、魔力が暴れる、壁をいくつも破壊して、俺は魔力を高めていく。
どうすればいい、マズい。ヤバい。
俺は、俺は――
『キョースケ、落ち着けッテ言ってンダロ!』
――ヴン。
俺の腕がいきなり動いた。操られたかのように、俺の意思を無視して『パンドラ・ディヴァー』を振り回す。
そして魔法を発動し、周囲にいるダンジョンモンスターを打ち払った。
「な――」
驚き、固まる。それと同時に俺の腕のコントロールが戻った。
『オメー、今ヤンナキャナンネェコトはナンダ?』
ヨハネスの声。それを聞いてハッとする。今、俺は何をしていた?
ただ不安と恐怖でオロオロしていた?
『馬鹿ジャネェノカ、キョースケ。何してンダ、テメェ。今スルコトハ、後悔シテ喚いて恐怖するコトカ?』
「いや……」
どれもこれも、意味が無い。
そんなもの、全部落ち着いてから後でやれば済むことだ。
『考えるノハ、ヤルコトヤッテカラ……ソレがオメーの信条ジャネェノカァ?』
「……ああ、そうだね」
下手な考え、休むに似たり。行動に繋がらない動きなんてなんの意味がある。
俺は首を振り、頬を叩く。背筋が凍るような恐怖は未だに消えない。しかしそれでも、俺は何度か頬を叩く。
活力煙を咥え、息を吸い込む。
「すぅ……」
指先に灯した火を活力煙に当て、煙を肺に満たす。
「ふぅ~……」
吐き出した紫煙が、水浸しになったダンジョン内に溶けていく。口の端を吊り上げ、相棒の名を呼んだ。
「ありがとうね、ヨハネス」
『ヨシ、正気に戻ったナァ。ッタク、勘弁シテクレヨォ? 相棒が暴走シタラ、目も当てラレネェ』
「うん。――迷惑、かけたね」
俺は笑い、首を鳴らす。
活力煙の煙をもう一度吸い込み、地面に叩きつける。それと同時に、周囲に円を描くように炎が吹きあがった。
「じゃあ、状況を解決していこうか」
大ピンチ、俺の失態が招いた最悪の状況。
俺は――ここまで大がかりなダンジョンに挑むのは初めてだ。
だから――
「――俺の経験値になってくれよ?」
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