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第四章 王都なう

77話 志村なう

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 今現在、俺たちは空を飛んでいる。
 いつも俺が天を駆ける『天駆』ではなく、キアラとヨハネスと共同で開発した空を飛ぶための魔法『筋斗雲』だ。水と炎で雲を作りそれを結界で固定し、風の結界で風圧を消している。進むのは炎の魔術だね。
 まあ要するに雲に乗って空を飛ぶ魔法とでも思ったらいい。

「残念なことに魔力消費が激しすぎるから『パンドラ・ディヴァー』を使わないと出来ないけどね」

「いやそれでも凄いと思うぞ。凄いな、雲があんなに速く流れていく」

「マスター……その、なんというか貴方は本当に人族なんですか? 魔族と言われても納得できないレベルなんですが……。あ、もしかして魔王とか?」

「半分魔族だけど、別に魔王じゃないよ」

「え、半分魔族ってなんですか!?」

 そう言えば半魔族になったことを言うのを忘れていた。王都まではもう少し距離があるし、半魔族になったことを含めていっておいてもいいかもしれない。
 俺はリャンに塔での出来事などをかくかくしかじかと話す。

「とまあそういうわけで、俺は魔術も魔法も使えるようになったってわけ」

「はぁ……なんていうかマスター。詰め込みまくった設定のキャラって感じですね。異世界に救世主として呼び出され、塔で半魔族になって神器を得る……それ以上に設定を詰め込むならもはや勇者以上ですね」

 冷静に言われるとだいぶだな、俺。

「それにしてものぅ、キョースケ。お主は大分結界や魔法構築が上手くなってきたのぅ。妾の100分の1くらいじゃ」

「それは褒めてないからね? キアラ」

「何を言う。妾は枝神の中で最高の魔法構築力を持っておるんじゃ。その100分の1もあればなかなかのものぢゃぞ」

 知らないからね。
 ボーっと活力煙を吹かしながら雲を動かす。さて、そろそろ王都上空かな。

「キアラ、『筋斗雲』の制御を代わってもらっていい? ちょっと先に王城へ行こうと思うから」

「良いが……何をしに行くのぢゃ?」

 キアラが不思議そうに問追い掛けてくる。言ってたと思うんだけど……。

「前に言わなかったっけ。王城に志村を迎えに行く」

「ああ、志村か。元気にしているだろうか」

 冬子が少し懐かしそうな目をするので、俺も苦笑いする。

「あいつが元気をなくすところ……なんて、一度でいいから見てみたいものだね。あいつの顔から笑顔が無くなる瞬間なんて滅多に見れないから」

「ほぅ、そんなにポジティブな人間なのか」

「んー……そういうわけじゃないかな。あいつは隠すのが上手い人だから。悲しくても笑ってるんだ。俺たちの中で一番メンタルが強いよ」

 そして、一番友達思いでもある。
 ……ホント、なんであの時俺は城を出たんだろう。冷静に考えなくてもあの場は王城を出るべきじゃなかったと思う。やっぱり異世界に来て俺も興奮していたんだろうか。

「マスター。では私たちは先に宿を取りに行きます。キアラ様の魔力を頼りに私たちをお探しください」

「りょーかい。あ、軍資金ね」

 俺は大金貨を5枚、そしてもしもの時ように一人3枚ほど渡す。これでご飯も宿も食べれるだろう。

「その後にギルドに行こう。そんで今晩泊ってからアンタレスに戻ろうか」

 そんなことを言ってから俺は『筋斗雲』の上から降りる。

「……うーん、当り前のように空を飛ぶようになったな。京助」

 苦笑いの冬子。

「そのうち冬子も飛べるようになるんじゃない?」

「冬子は風魔法の素養が無いから難しいのぅ。そうぢゃ冬子、今日から魔法を教えてやろう。そうすれば戦略の幅も広がろう」

 名案だ、とばかりに手を打つキアラ。たしか……冬子は魔力量も500以上あったからね。魔法は使えるか。
 冬子は少し残念そうな顔をしながら頷く。

「ありがとう。ただ、私は教わるとしたら京助からがよかったんだが……」

「お主も知っての通り、キョースケは感覚派ぢゃぞ。特にこと魔法や戦闘に関しては天才てきぢゃ。教えるのには向かん」

「う……確かに」

 おい、そこでなんで頷くのさ冬子。誰が感覚派だよ。
 ……とはいえ、魔法の腕に関してはキアラの方が上なのは間違いない。

「ま、その辺はクエストとかが終わってからにしよう。じゃあ行くね」

「気を付けろよ、京助。王城はそれなりに警備が厚いぞ」

「……でも、あの天川に負けるくらいなんでしょ? 逃げるくらいなら何とかなると思うけど」

 冬子が「あの天川をそんな風に言えるのはお前くらいだろうな」と苦笑いするけど、あんな明らかに対人戦に慣れていない天川が勝てるんだからね。

「ま、せいぜい気を付けるよ」

 俺は『天駆』を作動させてから、風の結界で体を透明にして王城へ向かって走り出す。
 さて……志村はどこにいるのかな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 王城の上を透明化の結界を張りながら俺は適当に浮遊している。

「よく考えたら……志村の魔力の形覚えてない」

 最近は人の魔力の形や雰囲気を探るようにまで成長してきている俺の魔力を『視』る眼だけど、そもそもの形を知っていなかったら当然だけど分からない。
 どうしたものか……。

「スニーキング……で王城に忍び込むならリャンを連れてきた方がいいだろうな」

 それが一番いいかもしれないな。
 なんてことを考えていたら……

「ッ!?」

 高速で何かが飛んできている!

「くっ!」

 俺はそれを風の結界で防ぐが、その瞬間透明化の結界どころか風の結界が食い破られた。

(嘘だろ……ッ!)

 冬子の『断魔斬』のようだが、それよりも適用範囲が広い。魔法ごと消滅させられている。これは明らかにまずい。さらに二発目、三発目が飛んでくるが今度はそれを槍で弾く。

「マズいマズいマズい! 神器解放――喰らい尽くせ『パンドラ・ディヴァー』!」

 神器を解放。さらに飛んでくるそれを封印して――解析する。

「ヨハネス! どんな魔法だ!」

『カカカッ! コリャア魔法ジャナイゼェ! 鉛玉ダ! タダシ――魔法破壊効果を持つ魔道具ダ!』

「なんつーもんを……ッ!」

 要するに魔法破壊の弾丸かよ。まったく、だいぶヤバい物を作っているね。
 地面から何発も弾丸を打ち込まれる。それらを全て槍で弾くけど、なかなか近づけない。

「ふぅ……一気に下がるか」

 俺は取りあえず射線を切ろうと『天駆』を全力で発動させて地面へ向かう。
 そして地面に降り立った瞬間、四方向から弾丸が飛んできた。
 それらをまた槍で弾き飛ばし……最後の一発だけ自分の手でつかむ。おお、俺ってば弾丸すらつかめるようになってたんだね。

「ったく……あー、凄いな敵は」

 まさか跳弾で狙ってくるとは。

「誰か分からないけど……出てきてくれない? 敵意は無いからさ」

 というか、こんな真似ができるのなんて……。

「その声……お前、京助か!?」

 やっぱり。いつもの口調じゃなくて素の口調になってるけど。
 俺が苦笑いして声の方向を見ると、そこには二丁の拳銃を構えたメガネの小男が現れた。ただし、前髪は以前と違ってあげているし筋肉も若干ついているようだ。
 黒いコートはなかなかカッコいい。というか、俺は普通の革鎧なのが恥ずかしくなってくるレベルだ。彼だけ世界観がなんか違う。

「ねぇ、志村。いや『魔弾の射手』とでも言った方がいいのかな? どんだけ腕を上げたのさ」

 俺が神器を元に戻して問いかけると、志村は困ったような笑みを浮かべた。

「いやぁ……拙者もいろいろあったんで御座るよ。あと、『魔弾の射手』はやめて欲しいで御座るよ。『魔石狩り』殿?」

 懐かしい呼び名と共にいつもの御座る口調に戻る志村。

「なんで君もその名前を知ってるのさ……」

 久々にその名前で呼ばれた気がする。

「なんていうか……ヤバいものを作ったね。志村」

 俺は彼の腕を見る。前の世界で志村が見せてくれたデザートイーグルによく似ている。大型拳銃だ。それを二丁拳銃であんな精密な射撃をするって……俺とは別ベクトルに超人になっているね、志村は。
 しかも魔法を食い破る弾丸まで作っちゃってさ。
 俺が銃を見ていることに気づいたのか、志村は銃をアイテムボックスにしまったね。

「こっちのセリフで御座るよ、というか王城の上を姿を消して飛ぶのはやめて欲しいで御座るよ。なんであんなことしていたんで御座るか?」

「俺はあんな簡単に見破られるような迷彩じゃなかったつもりだったんだけど……なんで見破られたのかはさておき、俺のやりたいことは簡単だよ」

 そう言って俺は志村に近づく。

「ねぇ、志村。俺と一緒に来ない? 今なら女の子三人つき」

 槍を降ろして左手を差し出す。どうせお互い利き手を相手に渡すことは無い。
 そんな俺を見て志村は少し……というかかなり困った笑みを浮かべた。

「どうしたの?」

「いや、それがで御座るな……」

 言いよどむ志村。俺がそのことを追求しようとしたところで――

「ミリオーっ! ミリオミリオ、ミリオーっ! 怪しい男は倒せましたですのーっ!?」

「ま、マール姫! 来てはダメで御座るよ!」

 ――なんと、小っちゃい女の子が志村の方へ突進してきた。

「いつもみたいに! ちゃんとマールって呼びなさいですのーっ!」

「げふぅっ!」

 さっき俺を巧みな銃撃で追い詰めた男は小さい女の子の突進で吹き飛ばされた。
 ……見た目は、ティアー王女に似ているね。そして志村がマール姫って呼んだことからして、彼女はティアー王女の妹さんかな。
 金髪の幼女に抱き着かれているメガネの小男は慌てた様子でマール姫とやらを引きはがす。

「そ、その……マール姫、拙者は……」

「なんか口調もいつもと違いませんですのー? いつもみたいに『オレは|魔弾の射手(ナイトメアバレット)。近づく者は皆ハチの巣だ……』ってやってくれませんですのー?」

「あああああああ!!! 姫、姫後生で御座るから! 頼むからそれは今は言わないで欲しいで御座る!」

 ああ……いつものヲタクファッションじゃなくて黒づくめの恰好になっていたのはその辺の理由があるのかな。というかナイトメアバレットって笑える。
 髪型もオールバックだし、メガネも前みたいな黒縁ではなく、スタイリッシュな銀縁のメガネになっている。

「ファッションに凝るようになったの? 志村。ふふっ、そんなカッコいいデザインのコートとかいつから着るようになったのさ。ふ、ふふっ、な、ナイトメアバレットww」

「煽らないで欲しいで御座るよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 クックック、と口の中で笑う。
 どうやら、志村は守るべき女の子が出来てしまったようだねぇ。
 俺はニヤニヤするのを抑えながら、彼の肩を叩く。

「その子が、さっきの俺の頼みを聞けない理由?」

「あー……その、そうで御座るよ」

「ま、ずいぶん懐かれたみたいだね。ロリコン」

「拙者はロリコンじゃないで御座る! ……あー、もう」

 志村はクルリとマール姫に振り向くと、頭を撫でた。

「マール。オレは少しこいつと話をしなくちゃならないんだ。いったん城に戻っておいてくれ。なに、少し話すだけだからすぐに戻るさ」

 何そのイケメンボイス。ホントに志村なのかな?
 マール姫はその志村の姿を見て……顔を真っ赤にして超喜んだ表情を見せた。所謂、恋する乙女の顔ってやつだね。

「はいっ……分かりましたですのーっ!」

 真っ赤になったマール姫は、走って王城へと向かっていった。

「くくく……だいぶ惚れられてるね、志村」

「だからあれはやりたくなかったんで御座るよ……ところで京助殿、だいぶ腕を上げたようで御座るな。前の世界でも槍の扱いはお手の物であったで御座るが」

「それはゲームの話でしょ。っていうかいくらゲームみたいにステータスがあるからってゲームと混同しちゃいけないよ」

 俺が言うと、志村も少し肩をすくめた。

「そうは言っても『職』なんてものがある世界で御座るからな。そうそう、『職』といえば拙者のそれも錬成師から武装職人に変わったで御座るよ」

「なんだ、そんな『職』になってたんだね。ってことはそのうちモビルスーツでも作れるんじゃない? パワードスーツとか」

「ははは。モビルスーツはまだで御座るよ。さすがにそれは物資が足りないで御座るな」

 そう言って朗らかに笑う志村。

「城での暮らしはどう?」

「さっき見られた通り、マール姫のお守り兼護衛をしているで御座るよ。そんなに悪い待遇では無いで御座るから安心して欲しいで御座る。心配をかけたみたいで悪かったで御座るな」

「そんなに心配はしてないよ」

 俺が言うと、志村はキョトンとした顔をしている。

「天川から聞いたで御座るよ。京助殿が拙者と佐野殿を心配しているって話で御座ったが……」

「あの野郎」

 というか、天川は王城に帰ってきてるんだね。
 ならば見つからないうちに帰ろうかな。
 そんなことを考えていると、志村が「なぁ、京助殿」と少し言いにくそうに俺を呼んだ。

「京助殿は……この国のことをどう思っているので御座るか? あの日、亜人族も魔族も同じ人間だと言っていたで御座るが……」

「この国のこと? 別にどうも。俺に不都合があるならどっか行くし、不都合が無いならこの国にとどまってるし」

 俺が答えると、さぁっ……と風が俺と志村の間に吹いた。
 活力煙を咥えて、火をつける。

「何が言いたいの? 志村」

「別に。……ただ、もしもで御座るけど、もしもこの国の敵になり、マール姫の敵になるのであれば……」

 煙が空に溶けていく。その煙のせいで志村の顔が見えない。

「もしも敵になるなら?」

「その時は……オレがこの手で、ハチの巣にするぜ」

 びゅう! と風が吹いて落ち葉が舞った。王城というだけあって周囲は木々に囲まれている。なるほど、これなら多少ドンパチやったところで誰にもばれまい。

「やれるの?」

「試すか?」

 俺は煙を肺いっぱいに吸い込むと……活力煙を空へ放り投げた。
 そして活力煙が地面に落ちる瞬間……

「ッ!」

「ふっ!」

 ――志村が発砲してきた弾丸を、俺は槍で叩き落した。

「はっ!」

 そのまま風の刃を放つが、それらを志村はなんと腕から生えたブレードのようなもので切り裂いた。
 そして飛んでくる弾丸を俺は咄嗟に炎で防ごうとして……それをキャンセルし、上から振り下ろした槍で弾き飛ばす。
 連射される弾丸を、槍を回転させて今度は石突で弾く。そこで俺は間合いをつめようと体勢を低くするが、そう簡単に間合いはつめさせてくれない。志村がバックステップと同時に足から噴射したジェットでむしろ間合いを広げられてしまう。
 遠距離での撃ち合いは不利だ。もしも姿をくらませられたら困ってしまう。
 俺は『天駆』を起動。天を駆けて志村へ近づく。

「はっ!」

「チッ!」

 俺が上空から槍で突き下ろすが、それを志村は弾丸で迎撃してくる。それを手で掴んで防ぎ、槍の石突で左の銃を狙う。
 しかし志村はその銃をアイテムボックスにしまうことでその攻撃をかわしてしまう。
 そのまま俺は上空へ駆けあがると、志村もなんと追ってきた。へぇ、近接戦で勝負するつもりなのか。
 俺は足で蹴りを入れるが志村は首を傾けるだけでそれを躱し、弾丸を三発放ってくる。一瞬で三発同時に撃つとかどんな撃ち方だよ。
 槍で弾き、手で掴み、最後の一発だけのけ反って避ける。それと同時に目くらましの意味を込めて炎の弾を放つ。
 七つの火球――それを超近距離で発射したにも関わらず、全て弾丸で迎撃されてしまう。イージスシステムでも積んでるのかな志村は。
 槍で縦に斬るが、それを横にずれて志村はさらに間合いを詰めてくる。この距離じゃ槍は振れない。俺は素手で思いっきり殴りつけた。しかし志村はそれが分かっていたはずなのに躱さない。そのまま突っ込んで密着するほどの近さだ。
 頭と頭がぶつかりそうな距離で、志村の右腕を弾いて銃をそらし、こちらは風を纏わせたパンチを食らわせるが――彼はギリギリ当たらないところまで下がるので当たらない。

「このっ!」

 俺は自分の眼前で爆発を起こす。この程度じゃお互いダメージは喰らわないだろうが、爆風のせいでバランスは崩す。
 そこを突いて俺は上空から大量の水を落とし――それを迎撃しようとした志村の銃を横合いから槍で突いて逸らした。
 俺もろとも水を食らった志村は、それでも体制を立て直して俺へ銃を向ける。
 しかしそこは一瞬だけ――俺の方が速かった。先に俺の槍が志村の首筋に当てられる。

「俺の――」

 勝ち、といいかけて志村の左手の銃が俺の足に向けられていることに気づく。

「|装填(ロード)されてるのは|呪詛弾(カースド)だ。当たったら死の呪いが入る」

「……相討ちか。っていうか志村、さっきの腕のブレードは何さ。殴った時も不自然に硬かったし……その下にパワードスーツ着こんでるでしょ」

「モビルスーツは確かにまだだがな。|強化外骨格(パワードスーツ)は即座に作ったさ」

「なるほど」

 志村が銃を降ろしたので、俺も槍を降ろす。
 活力煙を咥えると、志村も何か懐から取り出して咥えた。

「火を貰えるか? 魔法が使えないせいで不便でな」

「いいよ」

 俺がお互いのに火をつけると、志村はフ~……と煙を吐いた。

「葉巻はトルコ産に限るな、こっちのはマズい」

 何を気取ってるんだか。

「志村、君がいる限り……取りあえず、王城と敵対することは無いと思うよ」

「そうか」

 志村は安心したかのように笑うと、俺に何かを投げてよこしてきた。

「? ナニコレ」

 見た目は二つ折りになる前のケータイに似ている。まさに旧式のケータイって感じだね。

「持っていけ。今パーティーメンバーは何人いるんだ?」

「俺を含めて四人かな」

「なら後三つか」

 そう言ってさらに三つ投げ渡される。

「これは?」

「ケータイだ。説明書も渡しておく。……困ったことがあったらいつでも連絡してくるで御座るよ」

 ニッと笑った志村は……うん、いつもの志村だね。
 俺は『天駆』を起動させた後、一応透明化しておく。

「じゃあね、ナイトメアバレット」

「それだけは言わないで欲しいで御座る!?」

 そんなロリコンの声を聞きながら、俺は皆の元へ戻っていった。
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