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最終話「好きという気持ち」4
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料理が進みもう少しで食事の準備が出来上がるというところで浩二は台所を覗いて声を掛けた。
「何か、手伝うことはあるか?」
自然な仕草で声をかける浩二。浩二の声を聞いてエプロン姿の知枝と唯花は浩二の声に振り向いた。
「ゲームしてたんじゃないの?」
「さっき、終わったよ。もうすぐお昼かなと思って」
「そう、別に私は頼むことないのだけど……」
「そっか……」
唯花と浩二が二人いつものように他愛のない雰囲気で会話を交わす。
知枝は二人のやり取りを聞いて、このまま黙っていると置いていかれたような疎外感を感じてしまいかねないので、知枝はそこで思いついた頼みごとをすることにした。
「あの、浩二君、よかったら、お供え物を持ってきたので、仏壇の方にお供えして頂いてもいいですか?」
知枝は浩二に自分も葬儀に参列したことを話したきっかけもあり、せめてものと思い、お供え物を持参していた。
「そうなのか、わざわざサンキューな。それで、どこに置いてあるのかな?」
「私の持ってきたカバンの中に……」
ふいに会話のバトンが渡されたことに焦りながら知枝は答えた。
「いいわよ、残りは一人でするから、稗田さんも一緒に行ってきて」
唯花は二人を気遣って残りの調理を引き受けた。
知枝は遠慮がちにその提案を受け入れて、エプロンを外して浩二と共に台所を出た。
「何か、手伝うことはあるか?」
自然な仕草で声をかける浩二。浩二の声を聞いてエプロン姿の知枝と唯花は浩二の声に振り向いた。
「ゲームしてたんじゃないの?」
「さっき、終わったよ。もうすぐお昼かなと思って」
「そう、別に私は頼むことないのだけど……」
「そっか……」
唯花と浩二が二人いつものように他愛のない雰囲気で会話を交わす。
知枝は二人のやり取りを聞いて、このまま黙っていると置いていかれたような疎外感を感じてしまいかねないので、知枝はそこで思いついた頼みごとをすることにした。
「あの、浩二君、よかったら、お供え物を持ってきたので、仏壇の方にお供えして頂いてもいいですか?」
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「そうなのか、わざわざサンキューな。それで、どこに置いてあるのかな?」
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ふいに会話のバトンが渡されたことに焦りながら知枝は答えた。
「いいわよ、残りは一人でするから、稗田さんも一緒に行ってきて」
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