8 / 157
第二話「演劇クラス再始動!」4
しおりを挟む
同じように空を眺める姿が樋坂家のベランダにもあった。
「凄いね、私もワクワクしてきちゃった」
唯花が楽しげに呟く、その気持ちは同じくベランダに集まった浩二や達也、真奈も同じだった。
「花火、きれいだねーーーー!!」
真奈がベランダの手すりを掴み、覗き込むようにしながら、天上の上に広がるカウントダウンの花火を見て嬉しさいっぱいにはしゃいでいる。
「大勢の人が同じ時、同じ場所で空を見上げる。まるで平和の象徴のような光景だね」
達也が時折するロマンチストな言葉、それもまた幻想的な光景を目の当たりにする中で浩二や唯花を共感させた。
10、9、8、7、6……、カウントダウンは刻一刻と進んでいく。
一番幼い真奈が指を指すその先を、幼馴染三人も見上げ続けた。
*
人気のない廃ビル、そこでひっそりとエルガー・フランケンは人々の関心を惹きながら、ひっそりとほくそ笑む。
黒沢研二として日本に移住し、学園という舞台に上がりつつも、それで満足するような人間ではない。
常に娯楽を、新たなる刺激を求める魔術師の一面が彼にはあった。
そして、観劇の狼煙を上げるように、一人大きく両手を広げ、黒いマントを広げながら、ひと際大きな声を上げた。
「さぁ!! 舞台は整った!!! 導かれしアリスの子らよ!!
その導きのままに、この世の果てまで舞い踊りたまえ!!!!!
今宵の演劇は、全ての理を覆すものとなろう!!
我はエルガー・フランケン!!!
アリスの信託を受けし、魔法使いの伝道師である!!」
ここが自らが主催する舞台上であるかのように、酔狂なまでに高々と狼煙を上げ、両手を高く広げてマントを羽ばたかせると、その身に宿る力を解放させた。
“絵空事の魔術師”、そう表現されたエルガー・フランケンの空中絵画が舞原市の空に突如浮かび上がる。
原理、法則などを超えた、美しさの象徴。
芸術に求められるものとは、人の想像を超えたものであると、そういわんばかりに、そこに現れたのは中央に大きく描かれた黒いローブを羽織り、杖を持った怪しげな魔女と、その周辺に守護獣のように描かれた14体の動物の絵画だった。
神話のようであり、ファンタジックな想像力を掻き立てられるような世界観で描く幻想的な空中絵画は、彼の真骨頂であった。
「凄いね、私もワクワクしてきちゃった」
唯花が楽しげに呟く、その気持ちは同じくベランダに集まった浩二や達也、真奈も同じだった。
「花火、きれいだねーーーー!!」
真奈がベランダの手すりを掴み、覗き込むようにしながら、天上の上に広がるカウントダウンの花火を見て嬉しさいっぱいにはしゃいでいる。
「大勢の人が同じ時、同じ場所で空を見上げる。まるで平和の象徴のような光景だね」
達也が時折するロマンチストな言葉、それもまた幻想的な光景を目の当たりにする中で浩二や唯花を共感させた。
10、9、8、7、6……、カウントダウンは刻一刻と進んでいく。
一番幼い真奈が指を指すその先を、幼馴染三人も見上げ続けた。
*
人気のない廃ビル、そこでひっそりとエルガー・フランケンは人々の関心を惹きながら、ひっそりとほくそ笑む。
黒沢研二として日本に移住し、学園という舞台に上がりつつも、それで満足するような人間ではない。
常に娯楽を、新たなる刺激を求める魔術師の一面が彼にはあった。
そして、観劇の狼煙を上げるように、一人大きく両手を広げ、黒いマントを広げながら、ひと際大きな声を上げた。
「さぁ!! 舞台は整った!!! 導かれしアリスの子らよ!!
その導きのままに、この世の果てまで舞い踊りたまえ!!!!!
今宵の演劇は、全ての理を覆すものとなろう!!
我はエルガー・フランケン!!!
アリスの信託を受けし、魔法使いの伝道師である!!」
ここが自らが主催する舞台上であるかのように、酔狂なまでに高々と狼煙を上げ、両手を高く広げてマントを羽ばたかせると、その身に宿る力を解放させた。
“絵空事の魔術師”、そう表現されたエルガー・フランケンの空中絵画が舞原市の空に突如浮かび上がる。
原理、法則などを超えた、美しさの象徴。
芸術に求められるものとは、人の想像を超えたものであると、そういわんばかりに、そこに現れたのは中央に大きく描かれた黒いローブを羽織り、杖を持った怪しげな魔女と、その周辺に守護獣のように描かれた14体の動物の絵画だった。
神話のようであり、ファンタジックな想像力を掻き立てられるような世界観で描く幻想的な空中絵画は、彼の真骨頂であった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。


極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる