6 / 157
第二話「演劇クラス再始動!」2
しおりを挟む
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響き、生徒たちはそれぞれの教室へと戻っていく。
第一回部活会議の開始となり、羽月の用意したスライドショーを元に話を進めていく。
「―――と、いうわけで、当クラスは皆さんの希望通り、演劇クラスを希望する旨を生徒会に提出します」
几帳面な羽月の性格通り、丁寧な進行で、半ば分かり切ったことを改めて自分の言葉で説明していた。
ほとんどが昨年度と同じ面々の中で、羽月は自分も一員として参加する覚悟を持って真摯にクラスメイトと向き合っている様子だった。
特に異論もなく、第一回の部活会議は滞りなく進行していく。
羽月は少しずつ、進行役を務めることで少しずつ不安材料を払拭しながら、確かな手ごたえを噛みしめた。
(あなたはこうして今も生きているもの。それを忘れて残り一年を過ごすなんて出来ないから。
―――それに約束したから、“来年の学園祭は一緒に演劇をやろう”って。
だから、浩二、あなたとの約束は果たすわ、あなたを好きだった頃の私のためにも)
羽月は長く心の内に押し込めてきた大切にしてきた想いを胸に、夢に向かって一歩を踏み出した。
仮の役職を決める段階まで会議は進んで、司会は副委員長の浩二へと切り替わった。
ほとんどが昨年の役職を引き継ぐ形で役職が決定していく。
長い付き合いなだけあって浩二に対するクラスメイトの信頼は厚い。それは昨年の文化祭の功績からしても確かなものだった。
去年の文化祭で浩二が脚本・監督を務めた演劇で学年最優秀賞を受賞し、体育館優先使用権を得ている。そのことはクラスメイトの信頼をより大きなものにした。
「じゃあ、改めて、仮決定した役職を読み上げるぞ」
・総合監督(八重塚羽月)
・衣装担当、演技指導(永弥音唯花)
・大道具担当(内藤達也)
・脚本担当(樋坂浩二)
・音響担当(手塚神楽)
常設のチーフ担当がこのように決まり、後は演目ごとに助監督やキャストなどはその都度相談して決めていくこととなった。
羽月は総合監督までは想定していなかったようだが、去年、このクラスで委員長をしていた生徒はすでにいないことから、羽月が適任ということで仮決定することとなった。
後日、生徒会から承認されれば、正式に活動が始まる。
これからの一年間でどれだけのドラマが新たに生まれるのか、そんなわくわく感の中、一度目の部活会議は幕を閉じた。
第一回部活会議の開始となり、羽月の用意したスライドショーを元に話を進めていく。
「―――と、いうわけで、当クラスは皆さんの希望通り、演劇クラスを希望する旨を生徒会に提出します」
几帳面な羽月の性格通り、丁寧な進行で、半ば分かり切ったことを改めて自分の言葉で説明していた。
ほとんどが昨年度と同じ面々の中で、羽月は自分も一員として参加する覚悟を持って真摯にクラスメイトと向き合っている様子だった。
特に異論もなく、第一回の部活会議は滞りなく進行していく。
羽月は少しずつ、進行役を務めることで少しずつ不安材料を払拭しながら、確かな手ごたえを噛みしめた。
(あなたはこうして今も生きているもの。それを忘れて残り一年を過ごすなんて出来ないから。
―――それに約束したから、“来年の学園祭は一緒に演劇をやろう”って。
だから、浩二、あなたとの約束は果たすわ、あなたを好きだった頃の私のためにも)
羽月は長く心の内に押し込めてきた大切にしてきた想いを胸に、夢に向かって一歩を踏み出した。
仮の役職を決める段階まで会議は進んで、司会は副委員長の浩二へと切り替わった。
ほとんどが昨年の役職を引き継ぐ形で役職が決定していく。
長い付き合いなだけあって浩二に対するクラスメイトの信頼は厚い。それは昨年の文化祭の功績からしても確かなものだった。
去年の文化祭で浩二が脚本・監督を務めた演劇で学年最優秀賞を受賞し、体育館優先使用権を得ている。そのことはクラスメイトの信頼をより大きなものにした。
「じゃあ、改めて、仮決定した役職を読み上げるぞ」
・総合監督(八重塚羽月)
・衣装担当、演技指導(永弥音唯花)
・大道具担当(内藤達也)
・脚本担当(樋坂浩二)
・音響担当(手塚神楽)
常設のチーフ担当がこのように決まり、後は演目ごとに助監督やキャストなどはその都度相談して決めていくこととなった。
羽月は総合監督までは想定していなかったようだが、去年、このクラスで委員長をしていた生徒はすでにいないことから、羽月が適任ということで仮決定することとなった。
後日、生徒会から承認されれば、正式に活動が始まる。
これからの一年間でどれだけのドラマが新たに生まれるのか、そんなわくわく感の中、一度目の部活会議は幕を閉じた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
”小説”震災のピアニスト
shiori
恋愛
これは想い合う二人が再会を果たし、ピアノコンクールの舞台を目指し立ち上がっていく、この世界でただ一つの愛の物語です
(作品紹介)
ピアニスト×震災×ラブロマンス
”全てはあの日から始まったのだ。彼女の奏でるパッヘルベルのカノンの音色に引き寄せられるように出会った、あの日から”
高校生の若きピアニストである”佐藤隆之介”(さとうりゅうのすけ)と”四方晶子”(しほうあきこ)の二人を中心に描かれる切なくも繊細なラブストーリーです!
二人に巻き起こる”出会い”と”再会”と”別離”
震災の後遺症で声の出せなくなった四方晶子を支えようする佐藤隆之介
再会を経て、交流を深める二人は、ピアノコンクールの舞台へと向かっていく
一つ一つのエピソードに想いを込めた、小説として生まれ変わった”震災のピアニスト”の世界をお楽しみください!
*本作品は魔法使いと繋がる世界にて、劇中劇として紡がれた脚本を基に小説として大幅に加筆した形で再構成した現代小説です。
表紙イラスト:mia様
看取り人
織部
ライト文芸
宗介は、末期癌患者が最後を迎える場所、ホスピスのベッドに横たわり、いずれ訪れるであろう最後の時が来るのを待っていた。
後悔はない。そして訪れる人もいない。そんな中、彼が唯一の心残りは心の底で今も疼く若かりし頃の思い出、そして最愛の人のこと。
そんな時、彼の元に1人の少年が訪れる。
「僕は、看取り人です。貴方と最後の時を過ごすために参りました」
これは看取り人と宗介の最後の数時間の語らいの話し
もう一度『初めまして』から始めよう
シェリンカ
ライト文芸
『黄昏刻の夢うてな』ep.0 WAKANA
母の再婚を機に、長年会っていなかった父と暮らすと決めた和奏(わかな)
しかし芸術家で田舎暮らしの父は、かなり変わった人物で……
新しい生活に不安を覚えていたところ、とある『不思議な場所』の話を聞く
興味本位に向かった場所で、『椿(つばき)』という同い年の少女と出会い、ようやくその土地での暮らしに慣れ始めるが、実は彼女は……
ごく平凡を自負する少女――和奏が、自分自身と家族を見つめ直す、少し不思議な成長物語
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/light_novel.png?id=7e51c3283133586a6f12)
僕の目の前の魔法少女がつかまえられません!
兵藤晴佳
ライト文芸
「ああ、君、魔法使いだったんだっけ?」というのが結構当たり前になっている日本で、その割合が他所より多い所に引っ越してきた佐々四十三(さっさ しとみ)17歳。
ところ変われば品も水も変わるもので、魔法使いたちとの付き合い方もちょっと違う。
不思議な力を持っているけど、デリケートにできていて、しかも妙にプライドが高い人々は、独自の文化と学校生活を持っていた。
魔法高校と普通高校の間には、見えない溝がある。それを埋めようと努力する人々もいるというのに、表に出てこない人々の心ない行動は、危機のレベルをどんどん上げていく……。
(『小説家になろう』様『魔法少女が学園探偵の相棒になります!』、『カクヨム』様の同名小説との重複掲載です)
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる