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アフターストーリー「私たちの純粋で不純な選択」2
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でも、それは当たり前のことかもしれない。
艶やかな黒髪の浴衣姿の女子高生にこんな事を言われて、正気を保てる人間は、どこか狂っている。正気を保っていられるとすれば、理性という分厚い壁に包まれているか、異常なまでに素っ気ない顔を作り上げてしまえるかのどちらかだろう。
「ねぇ、それとも、お父さんのままでいたい?」
「そんなわけ……」
私の誘惑のような質問に新島君がさらに狼狽える。
新島君の気持ちは分かってる、でも私たちには必要なことだと思った。
覚悟という程大それたものじゃなくても、言葉一つで人はもっと信じられるようになると思うから。
「あなたの気持ちを教えて?」
「俺の気持ち……、俺は好きだよ、ちづるの事を愛してる、ずっと。
だから、気の済むまでずっと抱きしめていたいよ」
彼の口から発せられる言葉、お互いに恥ずかしさなんてものはもう当に置き去ってしまったようだった。
「本当に? 私が処女じゃなくても? 新島君が初めての相手じゃなくても?」
私はさらに言葉を続けた。
真実はいつも、私を醜い獣にする。
愚かな愚者にしてしまう。
だから、ずっと自分を許せないままだった。
「汚れてしまってるのは、俺だってもう同じだ。
だから、全部洗い流せばいいだろう?」
いつだってそうだ、彼は私に救いを与えてくれる。だから惹かれてしまったのだ。
汚れたものを綺麗なもので洗い流す。
大好きな人との交尾によって。
そんな不純で非道徳的な私欲にまみれた行為でもって、私たちは今もこれからもずっと愛し合っていくんだ。
「ふふふふっ……。本当にどうしようもないね……」
私は思わず可笑しくなって笑ってしまって、少し瞳の中から幸せな気持ちでいっぱいにもかかわらず涙がこぼれそうになった。
「そんなことないよ。
ちづるが綺麗だってことは、俺が一番よく知ってる。
だから、ずっとそばにいてくれよ」
新島君は告白と共にギュッと私の身体を抱きしめた。
私もそのぬくもりに応えるように新島君の腰に手を回してギュッと抱き締める。
彼は知っている、私の身体のぬくもりを。
彼はいつだって求めている、私の身体のぬくもりを。
私は父の身体に、いや、彼の身体に初めて包まれた。
生きる勇気をくれた彼の身体は、とても大きくて、懐かしくて、そして蒸し暑い夏の季節と相成って暑苦しいくらいにとても暖かかった。
抱き締め合う私たちの間を阻むものは何もなかった。
誰にも理解されなくったっていい、ただこうして抱き締め合えることが幸せなのだ。
「そりゃ、そうだよね……私の身体であんなにエッチして、興奮して、何度も絶頂して。男をたぶらかしてたんだもんね…」
「ひでぇ言い方だな……、本当のことだけどさ」
「ホントだよ……、新島君みたいなクズを好きになってあげるんだから、ちゃんと幸せにしてよね……っ」
「あぁ、絶対幸せにする。ずっと離さないよ」
確かめ合うように、私たちは陽が沈んでいるとはいえ、路上にも関わらず躊躇うことなく今一度唇を重ねる。
人通りの少ない夜の住宅街とはいえ、その大胆さは私たちが今、この時、異常なほどに愛し合っていることの証明だった。
「んんっ! あふっ、ああんっ、ちゅっ、ちゅちゅ……、うううぅんっ、んんっ……、あふっ! ううぅううぅ……」
新島君の変態さが移ったのか、それとも最初から私も同類だったのか、もはや強く唇を押し付け合って、唇を吸うようにして唾液を交換していると、火照った身体がさらに熱くなって、頭が真っ白に変わって、理性とか倫理観とか考えていたことなんてどうでも良くなっていって、手に持っていたハンドバックもその場に落として、ただ、もっと密着するように身体を押し付け合って、さらに濃紺なキスをしながら快楽を求め続けた。
「「ううんっ、ああぁんんっ、ううぅうぅん、はぁあぁぁんっ、はぁ…、はむぅ……、はぁぁん、ちゅ……、ちゅ、ちゅ……っ」」
キスを求めあい、止まることなく甘い吐息と口付けを押し付け合い、吸い付き合うような音が、静かな住宅街に響いた。
艶やかな黒髪の浴衣姿の女子高生にこんな事を言われて、正気を保てる人間は、どこか狂っている。正気を保っていられるとすれば、理性という分厚い壁に包まれているか、異常なまでに素っ気ない顔を作り上げてしまえるかのどちらかだろう。
「ねぇ、それとも、お父さんのままでいたい?」
「そんなわけ……」
私の誘惑のような質問に新島君がさらに狼狽える。
新島君の気持ちは分かってる、でも私たちには必要なことだと思った。
覚悟という程大それたものじゃなくても、言葉一つで人はもっと信じられるようになると思うから。
「あなたの気持ちを教えて?」
「俺の気持ち……、俺は好きだよ、ちづるの事を愛してる、ずっと。
だから、気の済むまでずっと抱きしめていたいよ」
彼の口から発せられる言葉、お互いに恥ずかしさなんてものはもう当に置き去ってしまったようだった。
「本当に? 私が処女じゃなくても? 新島君が初めての相手じゃなくても?」
私はさらに言葉を続けた。
真実はいつも、私を醜い獣にする。
愚かな愚者にしてしまう。
だから、ずっと自分を許せないままだった。
「汚れてしまってるのは、俺だってもう同じだ。
だから、全部洗い流せばいいだろう?」
いつだってそうだ、彼は私に救いを与えてくれる。だから惹かれてしまったのだ。
汚れたものを綺麗なもので洗い流す。
大好きな人との交尾によって。
そんな不純で非道徳的な私欲にまみれた行為でもって、私たちは今もこれからもずっと愛し合っていくんだ。
「ふふふふっ……。本当にどうしようもないね……」
私は思わず可笑しくなって笑ってしまって、少し瞳の中から幸せな気持ちでいっぱいにもかかわらず涙がこぼれそうになった。
「そんなことないよ。
ちづるが綺麗だってことは、俺が一番よく知ってる。
だから、ずっとそばにいてくれよ」
新島君は告白と共にギュッと私の身体を抱きしめた。
私もそのぬくもりに応えるように新島君の腰に手を回してギュッと抱き締める。
彼は知っている、私の身体のぬくもりを。
彼はいつだって求めている、私の身体のぬくもりを。
私は父の身体に、いや、彼の身体に初めて包まれた。
生きる勇気をくれた彼の身体は、とても大きくて、懐かしくて、そして蒸し暑い夏の季節と相成って暑苦しいくらいにとても暖かかった。
抱き締め合う私たちの間を阻むものは何もなかった。
誰にも理解されなくったっていい、ただこうして抱き締め合えることが幸せなのだ。
「そりゃ、そうだよね……私の身体であんなにエッチして、興奮して、何度も絶頂して。男をたぶらかしてたんだもんね…」
「ひでぇ言い方だな……、本当のことだけどさ」
「ホントだよ……、新島君みたいなクズを好きになってあげるんだから、ちゃんと幸せにしてよね……っ」
「あぁ、絶対幸せにする。ずっと離さないよ」
確かめ合うように、私たちは陽が沈んでいるとはいえ、路上にも関わらず躊躇うことなく今一度唇を重ねる。
人通りの少ない夜の住宅街とはいえ、その大胆さは私たちが今、この時、異常なほどに愛し合っていることの証明だった。
「んんっ! あふっ、ああんっ、ちゅっ、ちゅちゅ……、うううぅんっ、んんっ……、あふっ! ううぅううぅ……」
新島君の変態さが移ったのか、それとも最初から私も同類だったのか、もはや強く唇を押し付け合って、唇を吸うようにして唾液を交換していると、火照った身体がさらに熱くなって、頭が真っ白に変わって、理性とか倫理観とか考えていたことなんてどうでも良くなっていって、手に持っていたハンドバックもその場に落として、ただ、もっと密着するように身体を押し付け合って、さらに濃紺なキスをしながら快楽を求め続けた。
「「ううんっ、ああぁんんっ、ううぅうぅん、はぁあぁぁんっ、はぁ…、はむぅ……、はぁぁん、ちゅ……、ちゅ、ちゅ……っ」」
キスを求めあい、止まることなく甘い吐息と口付けを押し付け合い、吸い付き合うような音が、静かな住宅街に響いた。
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