14 / 70
第四話「新たなる来訪者」2
しおりを挟む
土曜日、午前中で授業が終わって時間が空いていたのでお昼から、秋葉君と出掛けることになった。
「なんだかデートみたいだね」
私がそう言うと秋葉君は「そうだね」と一言笑いながら返した。この状況は何かが狂ってる、だが、とりあえず今は気にしないようにしよう。
秋葉君の提案でテニスをしに行くことになった。梅雨明けも近い最近は一段と暑さが厳しいが、7月8月に入ればもっと暑くなることを考えると憂鬱になりそうだ。
「テニスの経験は?」
「今年に入って三回かな・・・」
「僕より経験値が高いな」
やがて受付を済ませて、コートに入る。
さっそく私たちはラケットを持ってラリーを始めた。私のでたらめな雰囲気だけのツイストサーブやドロップサーブが決まると、秋葉君は大はしゃぎだった。
長いラリーが続くと否応にも息が上がってくる。それに胸やスカートが邪魔をしてうまく身体が動かせない。当たり前だが男の時より体力も続かない、これは少し鍛えないとだめかな?
勝負は長期戦になり、段々と体力差のせいで息を切らして押されていき、段々とサイドに放たれた球を追い付いて返すことが出来なくなっていき、最終的に秋葉君の勝利に終わった。
「自信あったんだけどなぁ・・・」
「進藤さんがこんなに動けるとは思わなかったな、大人しいイメージがあったからちょっとビックリした」
実際ちづるはスポーツとかを日常的にするタイプではないだろう、思うように身体が付いてこなくて負けてしまった。技術だけでは補いようのない体力差、これが男女の身体能力の差なのか・・・、私は改めて実感した。
自分の思うよう自然に動かせるようになるには、トレーニングと経験が必要そうだ。
「本当にするの?」
秋葉君に負けたことで、お願いを聞くことになった。それはとんてもなく恥ずかしいことだったので、私は後悔すると共に気が狂いそうな思いだった。
グラウンドから少し離れた草むらの入って、人が来ないかどうか確かめるが、人が来ないという保証はどこにもない。
「うん」「どうしても?」「どうしても」「はぁ・・・、恥ずかしいなぁ・・」
どうしようもない問答の末、やはりエッチなお願いからは逃れられないようだ。私はこんなことをしていていいのか、ちづるのケダモノをを見るような怖く睨みつけてくる表情が頭の中に浮かんだ。
「(いや、すまん!!こんなことがしたいわけじゃないんだ!!)」
私は申し訳ない気持ちを込めて心の中で叫んだ。
コートから少し離れた木陰。私は周りを気にして、どうか気づかれないようにと祈りながら、ブラを外して上着を上にあげた。
「これでいいの?」
「うん、とっても綺麗だ」
秋葉君の言葉で羞恥心が増して、秋葉君の方を見ないよう顔を逸らすが、恥ずかしい気持ちに変わりはなかった。。
素肌に風が当たってスース―する・・・、私ってばこんなところで一体何をしてるんだろ・・・。
「(あ~、早く終わってくれ・・・)」
私は泣きそうなくらい恥ずかしい気持ちを我慢した。
「さっきの試合で汗かいてるから、あんまり近づかないでよ」
「えっ? いい匂いだけど」
「変態、変態すぎて目が眩むわ」
「男はみんな変態だよ」
「変態にも限度ってものがあるでしょ」
自分も元は仲間みたいなものではあるけど、現実で何かそういうことをしたことはない。止めたいと思う気持ちはあるけど、どうしたら止めてくれるのかは分からなかった。
風が吹くと敏感なところの刺激が強くて余計に恥ずかしさが倍増する、これはひどい仕打ちだ。正面にいる秋葉君のほうを見る。そして気づいてしまった。
「秋葉君、大きくなってるよ」
それが自然な生理現象ことだとわかっていても、不思議な気持ちだった。
「それは進藤さんが・・・」「我慢するの辛い?」
私がそう聞くと、時間を置いて秋葉君はうなづいた。
「じゃあ私の家行こっか、うち、お母さん帰り遅いから」
「本当にいいの?」
「こんなところでされるよりはずっとマシでしょ」
「確かにそうだね・・・」
どうしてそんなことを言ってしまったのか、もはやそれも分からないまま、早くこの場を離れようと思っていたのかもしれない。
私たちは恥ずかしさを抑えつつ、その場を離れた。
ドキドキしていた、あまり秋葉君の表情も見れない、今の自分のホルモンバランスがどうなってるのかはわからない。でも、本能的に男であった頃の自分から少しずつ変わってきているような気がする。これは過ちなのかもしれない。
ちづるならこんなことは望まないのかもしれない、これは自分が望んだ結果、好きとか嫌いとか、そんなことまるでわからないままここまで来てしまった。
秋葉君はきっと私を女性として見ていて、そしてきっと私のことを・・・、最初はそんなことどうでもいいと思っていたのに、今になって胸が苦しくなった。
何も言えないまま、気づけば私の家の前まで来ていた、秋葉君もずっと私の隣をついてきてくれている、しかし玄関の前にはスーツ姿の男が立っていた。
「ちょうどよかった、進藤ちづるさんだね?」
この人は私の事を知っている、私は身震いした。
力強いオーラのようなものだろうか、この男の人からは強い圧力を感じる。
「お母さんはここにいないようだから、よければ代わりに来てくれるかな?」
「あなたは・・・・」
「あぁすまなかったね、君の事情を忘れていた、私は警察のものだ、麻生氏一家殺人事件の捜査をしている」
証拠にと男は警察手帳を見せた。初めてこんなものを見せられるが村上警部と読み取ることができた。本当に刑事さんであるようだ。
「私をどこに連れていくつもりですか」
私は強い口調で言った。
「いやぁ、強制じゃないんだ、任意なんだがね、これから裁判が始まればしばらく面会も出来なくなるだろう、今のうちにできればと思ってね、それに日用品も渡してあげるとお父さんも助かるだろう」
「その口ぶりだと、随分厳しい尋問をしているようですね」
「市民に早く安心、安全な日常を取り戻してもらうためだ、もちろんルールの範囲内でやっていることだよ、容疑者であっても人権は保障されているからね」
「そう言われても、信用するのは難しいですけど」
大人の詭弁だ、この人が恐ろしくなる。
「君はどうしたいんだい? こっちはお母さんの代わりでもいいのだけど、このまま静観するつもりかい? それはそれで、可哀想な話だと思うけどね」
ちづるならどう考えどう行動する?、そう一度考えてみたが、それではあまりに無責任な話かもしれない。
自分がどうしたいか、それがきっと大事なんだ、山口さんのためにも。
「それで署まで来てくれるのかな?」
村上警部は急かすように聞いた。一呼吸おいて、私は少し考え決断した。秋葉君のことを見る。
「ごめんなさい、秋葉君、今日は帰って、私、用事ができちゃったみたいだから」
「本当にいくの?」
秋葉君が心配そうに私のほうを見る。私は軽くうなづいた。
「私は大丈夫だから、早く」
「うん、気を付けて」
心配そうに見つめていた秋葉君が玄関の前を離れる。可哀想なことだがこの場は帰ってもらうしかない。期待させておいて悪いことをしちゃったなぁ・・・、何かしらこの穴埋めはしてあげないと。
「支度をするので少し待っていてもらえますか?」
「いいですよ、車で待っていますので、準備ができたら乗車してください」
私は鍵を開けて急いで家の中に入る、本当に家の中は無人だった。
お母さんの部屋にお父さんに持っていく用の着替えやら日用品がまとめて紙袋に入れておいてあることは事前に知っていた。
私は紙袋を掴んで、決意を固めると、迷いを振り払って家を出ると、施錠を済ませて、道路に駐車している警察の車にためらいを捨てて乗り込んだ。
「なんだかデートみたいだね」
私がそう言うと秋葉君は「そうだね」と一言笑いながら返した。この状況は何かが狂ってる、だが、とりあえず今は気にしないようにしよう。
秋葉君の提案でテニスをしに行くことになった。梅雨明けも近い最近は一段と暑さが厳しいが、7月8月に入ればもっと暑くなることを考えると憂鬱になりそうだ。
「テニスの経験は?」
「今年に入って三回かな・・・」
「僕より経験値が高いな」
やがて受付を済ませて、コートに入る。
さっそく私たちはラケットを持ってラリーを始めた。私のでたらめな雰囲気だけのツイストサーブやドロップサーブが決まると、秋葉君は大はしゃぎだった。
長いラリーが続くと否応にも息が上がってくる。それに胸やスカートが邪魔をしてうまく身体が動かせない。当たり前だが男の時より体力も続かない、これは少し鍛えないとだめかな?
勝負は長期戦になり、段々と体力差のせいで息を切らして押されていき、段々とサイドに放たれた球を追い付いて返すことが出来なくなっていき、最終的に秋葉君の勝利に終わった。
「自信あったんだけどなぁ・・・」
「進藤さんがこんなに動けるとは思わなかったな、大人しいイメージがあったからちょっとビックリした」
実際ちづるはスポーツとかを日常的にするタイプではないだろう、思うように身体が付いてこなくて負けてしまった。技術だけでは補いようのない体力差、これが男女の身体能力の差なのか・・・、私は改めて実感した。
自分の思うよう自然に動かせるようになるには、トレーニングと経験が必要そうだ。
「本当にするの?」
秋葉君に負けたことで、お願いを聞くことになった。それはとんてもなく恥ずかしいことだったので、私は後悔すると共に気が狂いそうな思いだった。
グラウンドから少し離れた草むらの入って、人が来ないかどうか確かめるが、人が来ないという保証はどこにもない。
「うん」「どうしても?」「どうしても」「はぁ・・・、恥ずかしいなぁ・・」
どうしようもない問答の末、やはりエッチなお願いからは逃れられないようだ。私はこんなことをしていていいのか、ちづるのケダモノをを見るような怖く睨みつけてくる表情が頭の中に浮かんだ。
「(いや、すまん!!こんなことがしたいわけじゃないんだ!!)」
私は申し訳ない気持ちを込めて心の中で叫んだ。
コートから少し離れた木陰。私は周りを気にして、どうか気づかれないようにと祈りながら、ブラを外して上着を上にあげた。
「これでいいの?」
「うん、とっても綺麗だ」
秋葉君の言葉で羞恥心が増して、秋葉君の方を見ないよう顔を逸らすが、恥ずかしい気持ちに変わりはなかった。。
素肌に風が当たってスース―する・・・、私ってばこんなところで一体何をしてるんだろ・・・。
「(あ~、早く終わってくれ・・・)」
私は泣きそうなくらい恥ずかしい気持ちを我慢した。
「さっきの試合で汗かいてるから、あんまり近づかないでよ」
「えっ? いい匂いだけど」
「変態、変態すぎて目が眩むわ」
「男はみんな変態だよ」
「変態にも限度ってものがあるでしょ」
自分も元は仲間みたいなものではあるけど、現実で何かそういうことをしたことはない。止めたいと思う気持ちはあるけど、どうしたら止めてくれるのかは分からなかった。
風が吹くと敏感なところの刺激が強くて余計に恥ずかしさが倍増する、これはひどい仕打ちだ。正面にいる秋葉君のほうを見る。そして気づいてしまった。
「秋葉君、大きくなってるよ」
それが自然な生理現象ことだとわかっていても、不思議な気持ちだった。
「それは進藤さんが・・・」「我慢するの辛い?」
私がそう聞くと、時間を置いて秋葉君はうなづいた。
「じゃあ私の家行こっか、うち、お母さん帰り遅いから」
「本当にいいの?」
「こんなところでされるよりはずっとマシでしょ」
「確かにそうだね・・・」
どうしてそんなことを言ってしまったのか、もはやそれも分からないまま、早くこの場を離れようと思っていたのかもしれない。
私たちは恥ずかしさを抑えつつ、その場を離れた。
ドキドキしていた、あまり秋葉君の表情も見れない、今の自分のホルモンバランスがどうなってるのかはわからない。でも、本能的に男であった頃の自分から少しずつ変わってきているような気がする。これは過ちなのかもしれない。
ちづるならこんなことは望まないのかもしれない、これは自分が望んだ結果、好きとか嫌いとか、そんなことまるでわからないままここまで来てしまった。
秋葉君はきっと私を女性として見ていて、そしてきっと私のことを・・・、最初はそんなことどうでもいいと思っていたのに、今になって胸が苦しくなった。
何も言えないまま、気づけば私の家の前まで来ていた、秋葉君もずっと私の隣をついてきてくれている、しかし玄関の前にはスーツ姿の男が立っていた。
「ちょうどよかった、進藤ちづるさんだね?」
この人は私の事を知っている、私は身震いした。
力強いオーラのようなものだろうか、この男の人からは強い圧力を感じる。
「お母さんはここにいないようだから、よければ代わりに来てくれるかな?」
「あなたは・・・・」
「あぁすまなかったね、君の事情を忘れていた、私は警察のものだ、麻生氏一家殺人事件の捜査をしている」
証拠にと男は警察手帳を見せた。初めてこんなものを見せられるが村上警部と読み取ることができた。本当に刑事さんであるようだ。
「私をどこに連れていくつもりですか」
私は強い口調で言った。
「いやぁ、強制じゃないんだ、任意なんだがね、これから裁判が始まればしばらく面会も出来なくなるだろう、今のうちにできればと思ってね、それに日用品も渡してあげるとお父さんも助かるだろう」
「その口ぶりだと、随分厳しい尋問をしているようですね」
「市民に早く安心、安全な日常を取り戻してもらうためだ、もちろんルールの範囲内でやっていることだよ、容疑者であっても人権は保障されているからね」
「そう言われても、信用するのは難しいですけど」
大人の詭弁だ、この人が恐ろしくなる。
「君はどうしたいんだい? こっちはお母さんの代わりでもいいのだけど、このまま静観するつもりかい? それはそれで、可哀想な話だと思うけどね」
ちづるならどう考えどう行動する?、そう一度考えてみたが、それではあまりに無責任な話かもしれない。
自分がどうしたいか、それがきっと大事なんだ、山口さんのためにも。
「それで署まで来てくれるのかな?」
村上警部は急かすように聞いた。一呼吸おいて、私は少し考え決断した。秋葉君のことを見る。
「ごめんなさい、秋葉君、今日は帰って、私、用事ができちゃったみたいだから」
「本当にいくの?」
秋葉君が心配そうに私のほうを見る。私は軽くうなづいた。
「私は大丈夫だから、早く」
「うん、気を付けて」
心配そうに見つめていた秋葉君が玄関の前を離れる。可哀想なことだがこの場は帰ってもらうしかない。期待させておいて悪いことをしちゃったなぁ・・・、何かしらこの穴埋めはしてあげないと。
「支度をするので少し待っていてもらえますか?」
「いいですよ、車で待っていますので、準備ができたら乗車してください」
私は鍵を開けて急いで家の中に入る、本当に家の中は無人だった。
お母さんの部屋にお父さんに持っていく用の着替えやら日用品がまとめて紙袋に入れておいてあることは事前に知っていた。
私は紙袋を掴んで、決意を固めると、迷いを振り払って家を出ると、施錠を済ませて、道路に駐車している警察の車にためらいを捨てて乗り込んだ。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる