10 / 18
第10話 安全確保
しおりを挟む
「ふぅ~。ここで下の階は全部だ」
5階の探索を終えて6階に上がってきた。手前の部屋に入ると家具のない部屋が広がっていた。入居者のいなかった部屋だ。このマンションあんまり人気なかったんだな。僕は家賃が安かったから選んだけど、みんな駅前がよかったんだろうな。
「次の部屋っと。丁度ミサトちゃん達の部屋の下だな……。もしや」
独り言をつぶやいて部屋を開ける。もしかしてと思ってみてみたら案の定、気持ち悪い空間が広がっていた。
「ボーンコレクターか?」
昔の映画を思い出す。ミサトちゃんの隠し撮り写真が壁一面に広がる廊下。キッチンまで広がっていて、キッチンやリビングにも写真が壁一面に広がってる。異常者の家だな……。
「なるほど、やつはここにいたのか。それなら名前とかもわかるな」
僕の初めて殺めた相手の名前だ。知っておいてあげた方がいい。これは罪滅ぼしでもあるな。
キッチンは後回しにして寝室に入る。するとそこにもミサトちゃんの写真が、ミカンちゃんやお母さんだと思われる女性は見切れてる。完全にミサトちゃんのファンだな。人を好きになったことのない僕としては考えられない行動だな。
「ナイフがたくさん入ってる。はぁ~、まったく」
好きなはずのミサトちゃんの写真にナイフが突き刺さってる。机には別のナイフがおもちゃ箱のようにたくさん入っている。愛があふれて殺意に変わるか。どうしようもない奴だ。
「エンドウ ショウジか」
運転免許証も置いてある。名前と顔写真で確認が取れた。あとで埋葬するときに置いておいてあげるか。ナイフはみんなで使うために何本か確保しておこう。幸か不幸か、手入れはちゃんとしてる。ティッシュもスラッと切り裂いてる。これなら包丁代わりにも使えるな。
「あとはめぼしいものはないか……。あ、パソコン」
リビングに戻ってきて周りを見渡す。するとTVの横にパソコンデスクがあった。運のいいことに画面はついたまま。ログインしたままミサトちゃんを襲いに行ったのか。普通は自動で電源が落ちるものだけど、落ちないように設定してたみたいだな。
「……盗聴、盗撮。まったく、こいつは」
フォルダを見るとそんな物騒な名前がついてる。周りの壁を見ると中身は見なくてもわかる。しかし、盗聴っていうのはどういうことだ? 部屋の中に盗聴器があったのか? 気になる……。
「ミサトちゃんごめん」
天井に向かって謝ると盗聴フォルダを開く。最初の音楽ファイルを開くと声が聞こえてくる。
『ミサト、あなたも料理くらいできないとね』
『私だってできるよ~』
日常の光景が目に浮かぶような声だ。お母さんに僕と同じようなことを言われてる。なんだかおかしいな。
声の様子からキッチンでの会話みたいだな。ってことかキッチンのどこかか?
『できるなんて言っても一種類くらいでしょ? それじゃミカンが可哀そう。ミサト、私は当分病院に泊まることになるんだから。しっかりとね』
『わかってる。行くときは駅前に見送りに行くね』
これはあの日の前の日か? 駅前に見送りに行くって言ってるな。そうか、お母さんを見送りに駅前に行こうとしたら火事が起きてていけなくなったのか。……いや、お母さんから連絡があったのかもな。あれだけの火事と爆発だと、お母さんも来させようとしないだろう。ってことはお母さんは病院に行ってるってことか……。
「少しミサトちゃんの話が違うような気がするな。まあ、記憶違いはあるか」
しっかりと記憶通りの事を話せる状況じゃなかったしね。仕方ないな。
「ん!? 昨日の盗聴記録がある!」
そうか、エンドウは昨日まで生きていたんだよな。ここでチャンスを狙って、僕がみんなと離れた隙を狙ってきた。6階から調べていたら防げたんだろうな。って情報戦で負けてるからどうせ隙を狙われたか。今の状況が一番いい状況かもしれない。俯いている場合じゃないよな。
「盗聴器、盗撮のカメラは使えそうだ。どこにあるか調べて。おっとあったあった。カメラカメラ」
一眼レフのカメラ、興味はないけどいいカメラっぽいな。屋上に上がってまわりの情報を得るときに使えそうだ。
パソコンは……これは使えないな。下の階で見つけたパソコンで使おう。いかがわしいフォルダは名前を変えて隠して使おう。カズキ君が見たら英才教育されてしまうからな。ミサトちゃん達に見られたら僕がポイッされてしまう。厳重にしておかなければ。
「ふぅ、一度休憩を入れるか」
お昼に差し掛かり、おなかが鳴る。ミサトちゃん達の元に帰って、ご飯でも頂こう。
「お兄ちゃん!」
「カズキさん!」
「ええ!? ど、どうしたの二人とも!? って! 怪我は!?」
ミサトちゃんの家の扉の前につくと、扉が勢いよく開いてミカンちゃんとカズキ君が抱き着いてきた。けがをしていてあまり動けなかったはずの二人がどうして?
「マナブさん。もらったトマトでトマト粥を作ってみたんです。二人に食べさせたらみるみる傷がなくなって」
「ええ!?」
驚いて二人の頭をなでているとミサトちゃんが説明してくれる。
やっぱり、スキルで得た野菜や果物は特別な物みたいだ。
5階の探索を終えて6階に上がってきた。手前の部屋に入ると家具のない部屋が広がっていた。入居者のいなかった部屋だ。このマンションあんまり人気なかったんだな。僕は家賃が安かったから選んだけど、みんな駅前がよかったんだろうな。
「次の部屋っと。丁度ミサトちゃん達の部屋の下だな……。もしや」
独り言をつぶやいて部屋を開ける。もしかしてと思ってみてみたら案の定、気持ち悪い空間が広がっていた。
「ボーンコレクターか?」
昔の映画を思い出す。ミサトちゃんの隠し撮り写真が壁一面に広がる廊下。キッチンまで広がっていて、キッチンやリビングにも写真が壁一面に広がってる。異常者の家だな……。
「なるほど、やつはここにいたのか。それなら名前とかもわかるな」
僕の初めて殺めた相手の名前だ。知っておいてあげた方がいい。これは罪滅ぼしでもあるな。
キッチンは後回しにして寝室に入る。するとそこにもミサトちゃんの写真が、ミカンちゃんやお母さんだと思われる女性は見切れてる。完全にミサトちゃんのファンだな。人を好きになったことのない僕としては考えられない行動だな。
「ナイフがたくさん入ってる。はぁ~、まったく」
好きなはずのミサトちゃんの写真にナイフが突き刺さってる。机には別のナイフがおもちゃ箱のようにたくさん入っている。愛があふれて殺意に変わるか。どうしようもない奴だ。
「エンドウ ショウジか」
運転免許証も置いてある。名前と顔写真で確認が取れた。あとで埋葬するときに置いておいてあげるか。ナイフはみんなで使うために何本か確保しておこう。幸か不幸か、手入れはちゃんとしてる。ティッシュもスラッと切り裂いてる。これなら包丁代わりにも使えるな。
「あとはめぼしいものはないか……。あ、パソコン」
リビングに戻ってきて周りを見渡す。するとTVの横にパソコンデスクがあった。運のいいことに画面はついたまま。ログインしたままミサトちゃんを襲いに行ったのか。普通は自動で電源が落ちるものだけど、落ちないように設定してたみたいだな。
「……盗聴、盗撮。まったく、こいつは」
フォルダを見るとそんな物騒な名前がついてる。周りの壁を見ると中身は見なくてもわかる。しかし、盗聴っていうのはどういうことだ? 部屋の中に盗聴器があったのか? 気になる……。
「ミサトちゃんごめん」
天井に向かって謝ると盗聴フォルダを開く。最初の音楽ファイルを開くと声が聞こえてくる。
『ミサト、あなたも料理くらいできないとね』
『私だってできるよ~』
日常の光景が目に浮かぶような声だ。お母さんに僕と同じようなことを言われてる。なんだかおかしいな。
声の様子からキッチンでの会話みたいだな。ってことかキッチンのどこかか?
『できるなんて言っても一種類くらいでしょ? それじゃミカンが可哀そう。ミサト、私は当分病院に泊まることになるんだから。しっかりとね』
『わかってる。行くときは駅前に見送りに行くね』
これはあの日の前の日か? 駅前に見送りに行くって言ってるな。そうか、お母さんを見送りに駅前に行こうとしたら火事が起きてていけなくなったのか。……いや、お母さんから連絡があったのかもな。あれだけの火事と爆発だと、お母さんも来させようとしないだろう。ってことはお母さんは病院に行ってるってことか……。
「少しミサトちゃんの話が違うような気がするな。まあ、記憶違いはあるか」
しっかりと記憶通りの事を話せる状況じゃなかったしね。仕方ないな。
「ん!? 昨日の盗聴記録がある!」
そうか、エンドウは昨日まで生きていたんだよな。ここでチャンスを狙って、僕がみんなと離れた隙を狙ってきた。6階から調べていたら防げたんだろうな。って情報戦で負けてるからどうせ隙を狙われたか。今の状況が一番いい状況かもしれない。俯いている場合じゃないよな。
「盗聴器、盗撮のカメラは使えそうだ。どこにあるか調べて。おっとあったあった。カメラカメラ」
一眼レフのカメラ、興味はないけどいいカメラっぽいな。屋上に上がってまわりの情報を得るときに使えそうだ。
パソコンは……これは使えないな。下の階で見つけたパソコンで使おう。いかがわしいフォルダは名前を変えて隠して使おう。カズキ君が見たら英才教育されてしまうからな。ミサトちゃん達に見られたら僕がポイッされてしまう。厳重にしておかなければ。
「ふぅ、一度休憩を入れるか」
お昼に差し掛かり、おなかが鳴る。ミサトちゃん達の元に帰って、ご飯でも頂こう。
「お兄ちゃん!」
「カズキさん!」
「ええ!? ど、どうしたの二人とも!? って! 怪我は!?」
ミサトちゃんの家の扉の前につくと、扉が勢いよく開いてミカンちゃんとカズキ君が抱き着いてきた。けがをしていてあまり動けなかったはずの二人がどうして?
「マナブさん。もらったトマトでトマト粥を作ってみたんです。二人に食べさせたらみるみる傷がなくなって」
「ええ!?」
驚いて二人の頭をなでているとミサトちゃんが説明してくれる。
やっぱり、スキルで得た野菜や果物は特別な物みたいだ。
46
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。


男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。


冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。


【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる