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第6話 庭の確保
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「あったあったスコップ。お借りします大家さん」
大家さんの部屋を調べるとスコップを見つけられた。
小さなものしかなかったけど、何とかなるだろう。ステータスも上がっていて疲れを感じなくなってきたしね。
「柿の木とリンゴの木。窓から見える」
大家さんの部屋から二つの木が見える。あの二つを手に入れられれば食料で困ることはなくなる……かもしれない。食料か、生き残るにはそれが一番重要だよな。
僕らが生き残っているならほかにも生きている人がいるかもしれない。ゲームや映画のように全滅していることはないだろう。ゾンビの攻撃はかなり弱い部類だし。
そうなるとスーパーやコンビニに人が集まる。我先と食料を求めてやってくるはずだ。人と争うのは危険だ。外に行くのは上から様子を見てからにした方がいいな。
「さて、戻るか」
大家さんの部屋の物色を止める。布団は自室の物があるし、この部屋にあるものはほとんど自室にある。電気もまだ来ているから食べ物を回収しておくこともしなくて大丈夫だろう。
すべての部屋を調べて食べ物がどの程度残っているのかも見ないとな。そうなるとすべての部屋のゾンビを倒さないといけない。戦力は僕だけ……結構きつい仕事だ。あぁ~大学サボれてよかったと思っていたのに、なんでこんなに働かないといけないんだろうか。
「あ、お帰りなさい」
「おかえりなさ~い!」
大家さんの部屋から出てくるとカズキ君が一番に迎えてくれる。次にミカンちゃんでカズキ君と仲良くなってる。ミサトちゃんはブスっとして腕を組んでる。まだ拗ねてるのか。
「まず僕が外にでて玄関を閉めてくる。壁は結構高いからさすがに上っては来ない。よね?」
「た、たぶん、車に入っているときは上ってくる気配はありませんでした」
僕の疑問にカズキ君が答えてくれる。
マンションは壁に囲まれてる。玄関は横スライドの門になってる。そこを閉めれば来れないと思うんだよな。
でも、ゾンビはそれぞれ特徴を持ってる。自室のベランダから声を上げたときに走ってきたゾンビみたいなやつとかね。もしかしたらジャンプをする奴もいるかもしれない。有刺鉄線みたいなものも考えないといけないかもな。
僕は一つ息を吐いて外を見つめる。自動ドアを開けて外に出るとカズキ君に開いたままにしてもらう。暗証番号で開く自動ドア、開けておかないとパスワードを入れないといけないから時間がかかる。逃げたい状況になったら危ないからあけておいてもらわないとね。
「外にはいないか」
玄関に出てあたりを見回す。門に走ると外からゆっくりとゾンビが顔を見せる。
2体のゾンビ、それでも慣れてきた僕の相手じゃない。柵をうまく使って槍を首に突き入れる。なるべく音を出さずに仕留めると無事に門を閉めることに成功する。
「ふぅ……もう大丈夫だ!」
門から声をあげるとカズキ君が頷いて答える。彼の代わりにミサトちゃんが自動ドアを開けたままにしてもらって、彼がお父さんを引きずって運んできてくれる。
「君のお父さんは勇敢だった」
「……はい。お父さんがいなかったら僕は」
土まみれになりながらなんとか庭に穴を掘る。カズキ君のお父さんを埋葬すると慰めるように声をかける。
涙をぬぐう彼を見て、僕の自分の両親の安否が気になる。山梨の田舎に住む両親。山と山の間の村、今はまだ大丈夫だよな。
「さあ、これから忙しくなる。お父さんに恥じないように頑張ろう!」
「はい!」
ポンと手を叩いて声をあげる。するとカズキ君は涙をぬぐって元気に声を上げた。
「僕も何かできますか?」
「ん、そうだな~。当分はミサトちゃんの監視かな。ほんとに危ないから」
カズキ君の声に答える。彼女の動きは読めない。すでに二回は死んでるよ。それもミカンちゃんも巻き沿いにしてね。目を離すのは危険だ。
「じゃあ、すぐに戻らないと」
カズキ君がそう言ってマンションに入っていく。それを見送って僕は柿の木とリンゴの木に手を当てる。
「えっとカキコとリンコで」
栽培スキルを使って二つの木を登録する。するとトマ子の時と同じような声が聞こえてきて実がなっていく。
「カキコ、リンコを登録しました。カキ子、リン子は喜んで実を作りました」
トマ子と違って沢山の実をつける。これなら食べ物には困らないか。まあ、本当はお肉が欲しいところなんだけどな。
そんなことを考えたらおなかがすいてきてしまった。そういえば、起きてから碌に食べてないなトマ子のトマトくらいしか思い出せない。
「みんなもおなかすいてるだろ。次は食料を探して料理だな。ミサトちゃん料理できるかな……」
一抹の不安をミサトちゃんに感じながらリンゴと柿の実をもいで持てるだけ回収する。碌なことをしないミサトちゃんが料理を作れれば暇がなくなる。そうすれば、外に行こうと思わないはずだ。
カズキ君がミカンちゃんと仲がよさそうだから、もしかしたら一人でどっかに行くかもしれない。早く役割を与えて動けないようにしないと。はぁ~、なんで僕がこんな管理職みたいなことをしないといけないんだ。誰か、大人の人生き残っててほしいな~。
大家さんの部屋を調べるとスコップを見つけられた。
小さなものしかなかったけど、何とかなるだろう。ステータスも上がっていて疲れを感じなくなってきたしね。
「柿の木とリンゴの木。窓から見える」
大家さんの部屋から二つの木が見える。あの二つを手に入れられれば食料で困ることはなくなる……かもしれない。食料か、生き残るにはそれが一番重要だよな。
僕らが生き残っているならほかにも生きている人がいるかもしれない。ゲームや映画のように全滅していることはないだろう。ゾンビの攻撃はかなり弱い部類だし。
そうなるとスーパーやコンビニに人が集まる。我先と食料を求めてやってくるはずだ。人と争うのは危険だ。外に行くのは上から様子を見てからにした方がいいな。
「さて、戻るか」
大家さんの部屋の物色を止める。布団は自室の物があるし、この部屋にあるものはほとんど自室にある。電気もまだ来ているから食べ物を回収しておくこともしなくて大丈夫だろう。
すべての部屋を調べて食べ物がどの程度残っているのかも見ないとな。そうなるとすべての部屋のゾンビを倒さないといけない。戦力は僕だけ……結構きつい仕事だ。あぁ~大学サボれてよかったと思っていたのに、なんでこんなに働かないといけないんだろうか。
「あ、お帰りなさい」
「おかえりなさ~い!」
大家さんの部屋から出てくるとカズキ君が一番に迎えてくれる。次にミカンちゃんでカズキ君と仲良くなってる。ミサトちゃんはブスっとして腕を組んでる。まだ拗ねてるのか。
「まず僕が外にでて玄関を閉めてくる。壁は結構高いからさすがに上っては来ない。よね?」
「た、たぶん、車に入っているときは上ってくる気配はありませんでした」
僕の疑問にカズキ君が答えてくれる。
マンションは壁に囲まれてる。玄関は横スライドの門になってる。そこを閉めれば来れないと思うんだよな。
でも、ゾンビはそれぞれ特徴を持ってる。自室のベランダから声を上げたときに走ってきたゾンビみたいなやつとかね。もしかしたらジャンプをする奴もいるかもしれない。有刺鉄線みたいなものも考えないといけないかもな。
僕は一つ息を吐いて外を見つめる。自動ドアを開けて外に出るとカズキ君に開いたままにしてもらう。暗証番号で開く自動ドア、開けておかないとパスワードを入れないといけないから時間がかかる。逃げたい状況になったら危ないからあけておいてもらわないとね。
「外にはいないか」
玄関に出てあたりを見回す。門に走ると外からゆっくりとゾンビが顔を見せる。
2体のゾンビ、それでも慣れてきた僕の相手じゃない。柵をうまく使って槍を首に突き入れる。なるべく音を出さずに仕留めると無事に門を閉めることに成功する。
「ふぅ……もう大丈夫だ!」
門から声をあげるとカズキ君が頷いて答える。彼の代わりにミサトちゃんが自動ドアを開けたままにしてもらって、彼がお父さんを引きずって運んできてくれる。
「君のお父さんは勇敢だった」
「……はい。お父さんがいなかったら僕は」
土まみれになりながらなんとか庭に穴を掘る。カズキ君のお父さんを埋葬すると慰めるように声をかける。
涙をぬぐう彼を見て、僕の自分の両親の安否が気になる。山梨の田舎に住む両親。山と山の間の村、今はまだ大丈夫だよな。
「さあ、これから忙しくなる。お父さんに恥じないように頑張ろう!」
「はい!」
ポンと手を叩いて声をあげる。するとカズキ君は涙をぬぐって元気に声を上げた。
「僕も何かできますか?」
「ん、そうだな~。当分はミサトちゃんの監視かな。ほんとに危ないから」
カズキ君の声に答える。彼女の動きは読めない。すでに二回は死んでるよ。それもミカンちゃんも巻き沿いにしてね。目を離すのは危険だ。
「じゃあ、すぐに戻らないと」
カズキ君がそう言ってマンションに入っていく。それを見送って僕は柿の木とリンゴの木に手を当てる。
「えっとカキコとリンコで」
栽培スキルを使って二つの木を登録する。するとトマ子の時と同じような声が聞こえてきて実がなっていく。
「カキコ、リンコを登録しました。カキ子、リン子は喜んで実を作りました」
トマ子と違って沢山の実をつける。これなら食べ物には困らないか。まあ、本当はお肉が欲しいところなんだけどな。
そんなことを考えたらおなかがすいてきてしまった。そういえば、起きてから碌に食べてないなトマ子のトマトくらいしか思い出せない。
「みんなもおなかすいてるだろ。次は食料を探して料理だな。ミサトちゃん料理できるかな……」
一抹の不安をミサトちゃんに感じながらリンゴと柿の実をもいで持てるだけ回収する。碌なことをしないミサトちゃんが料理を作れれば暇がなくなる。そうすれば、外に行こうと思わないはずだ。
カズキ君がミカンちゃんと仲がよさそうだから、もしかしたら一人でどっかに行くかもしれない。早く役割を与えて動けないようにしないと。はぁ~、なんで僕がこんな管理職みたいなことをしないといけないんだ。誰か、大人の人生き残っててほしいな~。
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