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第2話 ステータス?
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「ん? あれ? 寝ちゃってたのか?」
意識を失って目を覚ますと赤い指輪を手に持っていた。ベランダで気を失っていたみたいで起き上がると変わらない終末の風景が流れていた。
「やっぱり夢じゃないか。しかし、なんだこの指輪? あれ? そう言えば傷跡がなくなってる?」
気絶する前に見ていた指の傷がなくなってる。元の綺麗な指だ。思わず指輪をはめたくなってくる。って綺麗な指輪だな。全体がルビーで出来ているみたいに光沢を見せてくる。
「マナを集めてください」
「は?」
指輪を傷のあった中指にはめると声を発してきた。思わず声をあげると指輪からパソコンのウィンドウのような映像が流れてくる。
「レベル? マナ?」
首を傾げながら声をもらす。
ーーーーーーーー
遠藤 学(エンドウ マナブ)
レベル 1 (次のレベルに必要なマナ2)
筋力 1
知力 1
生活力 1
敏捷性 1
【スキル】【ポイント1】
なし
ーーーーーーーー
ウィンドウのないように目を通す。まるでゲームのステータス画面みたいだ。
「ん? スキルの欄もあるのか。えっと? 1ポイントをスキルにできる?」
スキル欄を見ると栽培や跳躍と言った色々なスキルが見られる。
「栽培の効果は木にや作物に名前を付けられる。成長に100%の補正をかけることが出来る。レベルによって%はプラスされていく。跳躍は単純にジャンプ力か。三倍? なんか土管から出てくる人みたいになりそうだな」
栽培の効果は終末には最高の能力かも知れないな。とりあえず、まだ信じられないから跳躍に振って試してみるか。
「体に変化はなし……玩具みたいなものか。なんだよまったく、期待させて」
スキルを振っても変化なし。期待してしまったじゃないか。
「はぁ~。なんか期待を裏切られたらお腹空いてきたな。電気は来てるわけだから冷蔵庫に何か……。ジュースと卵と食パン……。小さな冷蔵庫じゃこんなもんか、仕方ない」
食パンを一つ取り出してレンジでチン。少し暖かくなったところで目玉焼きを乗せて醤油をかける。そして、あとは食べるだけ。
「うむ、美味しい。しかし、お肉が欲しいところだな」
料理とは言えない料理を食べて舌鼓。さて、この後どうしたものか。外を見た感じは生きている人はいないように感じるけれど。僕みたいに家から出ていない人がいたら生存者はいるはずだ。
昨今、そう言った人は増えているって聞いたことがある。まずはこの階の生き残りや安全を確保するかな。
そう思いながら玄関の扉に近づく。この間のこともあるから静かに近づく。
「チェーンロックOK。ん? 開かない。って扉に寄りかかって寝てる?」
扉を押し込むと重みを感じた。思いっきり押し込むと扉に手が映った。どうやら、ゾンビのおじさんが寄りかかって眠っているようだ。
「く、死んでるのか生きてるのかハッキリしろよ。まったく、静かなのはいいけど。ってこのおじさん大家さんじゃないか? そうか、毎朝マンションの玄関掃除してたもんな」
マンション前を掃除するのが日課のおじさんはすぐにゾンビの餌食になったのだろう。昨日のゾンビの速度を考えると逃げられるはずもない。
「しかし、困った。これじゃ出ることが出来ない。と言うか、あれを退治しないといけないんだよな。どうしたものか?」
包丁何てないからな。僕は料理出来ない男代表だからな。キッチンバサミはあるけど、包丁はないのだ。って自慢している場合ではないな。
「ベランダから横に行ってみるか」
他に出口もないのでそれしかない。この階の部屋は三つ。僕の部屋がエレベーターに一番近い端の部屋で横に二つの部屋がある。
隣の部屋は確か、三人家族のシングルマザーの部屋だ。毎朝、お母さんを見送る女子高生を見たことがある。下の子はまだ小学校にも言ってない子だな。
「大家さんを考えるとお母さんは……」
駅前のあんな煙がでるほどの暴動が放送されていたからな。あの日に外に出ていたら助からないだろう。とにかく、行ってみるか。
「よいしょっと。ひぇ。高い……」
ベランダを乗り越えてついたてを越える。壊せば簡単に渡れるようになるんだけど、ゾンビがいた時はいい障害物になるから残しておきたいんだよな。
何とか無事に隣のベランダにたどり着く。カーテンがしてあって中が見えないな。ノックしてみるか。
「誰かいませんか~?」
何度かノックをして声をあげる。するとカーテンが揺れて手が出てきた。僕は後ずさって逃げる準備。
「だ、誰ですか!」
「ホッ。人間だ。よかった」
声に胸を撫でおろす僕。見たことある女子高生だ。良かったよかった。
「えっと、隣に住んでるエンドウってものです。ごめんねベランダから」
「……」
女子高生は警戒しながら話を聞いてくれる。カーテンが揺れて中が見えると5歳程の少女が指を咥えて僕を見つめてきてた。思わず手を振ると物陰に隠れてしまう。怖がっちゃったかな。
「う、うちには何もないです!」
「え? ああ、物取りだと思っちゃったかな。ごめんね。違うんだ、玄関に大家さんがいてさ。出れなくて、こっちの玄関は誰もいない?」
「い、いません! 出ていってください!」
怖がる女子高生。よく見ると包丁を片手に持っている。見えないように背中に隠しているけれど、バッチリ見えてしまった。
そりゃ怖いよな。隣に住んでいたとは言え、男だからな~。仕方ない、更にとなりに行ってみるか。
「ごめんね怖いよね。じゃちょっと隣に行ってみるね」
怖がる女子高生を刺激しないように更に隣のベランダに渡る。生存者がいることが分かってとりあえずよかった。
「鍵はかかってないか。こっちもカーテンがかかってるな」
中は見えないけど、鍵はかかってない。一応ノックして声をかけてみるか。
「誰かいませんか~?」
ノックしながら声をあげる。隣と違って何も反応がない。
「入りますよ~」
ガラガラと窓を開けて中に入る。
「わっ!?」
「グルルル!」
音に反応して部屋にいたゾンビがとびかかってくる。爪を立ててきて痛みが走る。
「ぐっ。すげぇ力!? 女の方ですよね?」
噛みつこうと顔を近づけてくる女ゾンビ。何とか抑え込もうと両肩を抑える。
「いい加減に離れろ!」
片足で蹴りこむ。ゾンビは大きく離れていく。
「どうしたものか」
周りを見渡す。ソファーにテレビ、何もない。
「あの、大丈夫ですか?」
「!? 包丁貸して!」
「え? どうして?」
「いいから!」
女子高生が話しかけてくる。包丁の刃の方を向けてきていた彼女から包丁を奪う。刃が刺さっていたいけど何とか武器が手に入った。
「グルルル」
「ひぃ!?」
ゾンビが起き上がって襲い掛かってくる。女子高生の怖がる声を聞いて僕は包丁を突き立ててゾンビの胸に飛び込んだ。凄い衝撃でベランダからキッチンの壁まで飛び込んでいた。跳躍のスキルが発動したみたいだ。
「スキルって本当にあるのか……」
跳躍のスキルの効果を実感していると声が聞こえてくる。
「マナを5個獲得しました。レベルが上がります」
無機質な女性の音声。やっぱり玩具じゃなかったのか。
意識を失って目を覚ますと赤い指輪を手に持っていた。ベランダで気を失っていたみたいで起き上がると変わらない終末の風景が流れていた。
「やっぱり夢じゃないか。しかし、なんだこの指輪? あれ? そう言えば傷跡がなくなってる?」
気絶する前に見ていた指の傷がなくなってる。元の綺麗な指だ。思わず指輪をはめたくなってくる。って綺麗な指輪だな。全体がルビーで出来ているみたいに光沢を見せてくる。
「マナを集めてください」
「は?」
指輪を傷のあった中指にはめると声を発してきた。思わず声をあげると指輪からパソコンのウィンドウのような映像が流れてくる。
「レベル? マナ?」
首を傾げながら声をもらす。
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遠藤 学(エンドウ マナブ)
レベル 1 (次のレベルに必要なマナ2)
筋力 1
知力 1
生活力 1
敏捷性 1
【スキル】【ポイント1】
なし
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ウィンドウのないように目を通す。まるでゲームのステータス画面みたいだ。
「ん? スキルの欄もあるのか。えっと? 1ポイントをスキルにできる?」
スキル欄を見ると栽培や跳躍と言った色々なスキルが見られる。
「栽培の効果は木にや作物に名前を付けられる。成長に100%の補正をかけることが出来る。レベルによって%はプラスされていく。跳躍は単純にジャンプ力か。三倍? なんか土管から出てくる人みたいになりそうだな」
栽培の効果は終末には最高の能力かも知れないな。とりあえず、まだ信じられないから跳躍に振って試してみるか。
「体に変化はなし……玩具みたいなものか。なんだよまったく、期待させて」
スキルを振っても変化なし。期待してしまったじゃないか。
「はぁ~。なんか期待を裏切られたらお腹空いてきたな。電気は来てるわけだから冷蔵庫に何か……。ジュースと卵と食パン……。小さな冷蔵庫じゃこんなもんか、仕方ない」
食パンを一つ取り出してレンジでチン。少し暖かくなったところで目玉焼きを乗せて醤油をかける。そして、あとは食べるだけ。
「うむ、美味しい。しかし、お肉が欲しいところだな」
料理とは言えない料理を食べて舌鼓。さて、この後どうしたものか。外を見た感じは生きている人はいないように感じるけれど。僕みたいに家から出ていない人がいたら生存者はいるはずだ。
昨今、そう言った人は増えているって聞いたことがある。まずはこの階の生き残りや安全を確保するかな。
そう思いながら玄関の扉に近づく。この間のこともあるから静かに近づく。
「チェーンロックOK。ん? 開かない。って扉に寄りかかって寝てる?」
扉を押し込むと重みを感じた。思いっきり押し込むと扉に手が映った。どうやら、ゾンビのおじさんが寄りかかって眠っているようだ。
「く、死んでるのか生きてるのかハッキリしろよ。まったく、静かなのはいいけど。ってこのおじさん大家さんじゃないか? そうか、毎朝マンションの玄関掃除してたもんな」
マンション前を掃除するのが日課のおじさんはすぐにゾンビの餌食になったのだろう。昨日のゾンビの速度を考えると逃げられるはずもない。
「しかし、困った。これじゃ出ることが出来ない。と言うか、あれを退治しないといけないんだよな。どうしたものか?」
包丁何てないからな。僕は料理出来ない男代表だからな。キッチンバサミはあるけど、包丁はないのだ。って自慢している場合ではないな。
「ベランダから横に行ってみるか」
他に出口もないのでそれしかない。この階の部屋は三つ。僕の部屋がエレベーターに一番近い端の部屋で横に二つの部屋がある。
隣の部屋は確か、三人家族のシングルマザーの部屋だ。毎朝、お母さんを見送る女子高生を見たことがある。下の子はまだ小学校にも言ってない子だな。
「大家さんを考えるとお母さんは……」
駅前のあんな煙がでるほどの暴動が放送されていたからな。あの日に外に出ていたら助からないだろう。とにかく、行ってみるか。
「よいしょっと。ひぇ。高い……」
ベランダを乗り越えてついたてを越える。壊せば簡単に渡れるようになるんだけど、ゾンビがいた時はいい障害物になるから残しておきたいんだよな。
何とか無事に隣のベランダにたどり着く。カーテンがしてあって中が見えないな。ノックしてみるか。
「誰かいませんか~?」
何度かノックをして声をあげる。するとカーテンが揺れて手が出てきた。僕は後ずさって逃げる準備。
「だ、誰ですか!」
「ホッ。人間だ。よかった」
声に胸を撫でおろす僕。見たことある女子高生だ。良かったよかった。
「えっと、隣に住んでるエンドウってものです。ごめんねベランダから」
「……」
女子高生は警戒しながら話を聞いてくれる。カーテンが揺れて中が見えると5歳程の少女が指を咥えて僕を見つめてきてた。思わず手を振ると物陰に隠れてしまう。怖がっちゃったかな。
「う、うちには何もないです!」
「え? ああ、物取りだと思っちゃったかな。ごめんね。違うんだ、玄関に大家さんがいてさ。出れなくて、こっちの玄関は誰もいない?」
「い、いません! 出ていってください!」
怖がる女子高生。よく見ると包丁を片手に持っている。見えないように背中に隠しているけれど、バッチリ見えてしまった。
そりゃ怖いよな。隣に住んでいたとは言え、男だからな~。仕方ない、更にとなりに行ってみるか。
「ごめんね怖いよね。じゃちょっと隣に行ってみるね」
怖がる女子高生を刺激しないように更に隣のベランダに渡る。生存者がいることが分かってとりあえずよかった。
「鍵はかかってないか。こっちもカーテンがかかってるな」
中は見えないけど、鍵はかかってない。一応ノックして声をかけてみるか。
「誰かいませんか~?」
ノックしながら声をあげる。隣と違って何も反応がない。
「入りますよ~」
ガラガラと窓を開けて中に入る。
「わっ!?」
「グルルル!」
音に反応して部屋にいたゾンビがとびかかってくる。爪を立ててきて痛みが走る。
「ぐっ。すげぇ力!? 女の方ですよね?」
噛みつこうと顔を近づけてくる女ゾンビ。何とか抑え込もうと両肩を抑える。
「いい加減に離れろ!」
片足で蹴りこむ。ゾンビは大きく離れていく。
「どうしたものか」
周りを見渡す。ソファーにテレビ、何もない。
「あの、大丈夫ですか?」
「!? 包丁貸して!」
「え? どうして?」
「いいから!」
女子高生が話しかけてくる。包丁の刃の方を向けてきていた彼女から包丁を奪う。刃が刺さっていたいけど何とか武器が手に入った。
「グルルル」
「ひぃ!?」
ゾンビが起き上がって襲い掛かってくる。女子高生の怖がる声を聞いて僕は包丁を突き立ててゾンビの胸に飛び込んだ。凄い衝撃でベランダからキッチンの壁まで飛び込んでいた。跳躍のスキルが発動したみたいだ。
「スキルって本当にあるのか……」
跳躍のスキルの効果を実感していると声が聞こえてくる。
「マナを5個獲得しました。レベルが上がります」
無機質な女性の音声。やっぱり玩具じゃなかったのか。
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