上 下
153 / 165
第四章 平穏

第八話 屋敷改造

しおりを挟む
「じゃあ、私たちも邪魔になるかもしれないからお買い物してくるね」
「ついでにスリンさんにこのことを伝えに行ってくるよ」

 小鳥のさえずり亭に泊まるのも最後になってしまうかもしれない。今日の所は泊めてもらうけどね。

 みんなを見送って僕は屋敷に対峙した。庭は10坪で道路に面して壁と門がある。庭には噴水がないので設置したいところだね。ということで庭から整備していこう。屋敷の右側がパーティをする部屋だから、全面ガラス張り。どうせなら噴水はそこから正面に見えた方がいい。噴水は右側にきまり。無限に枠水桶から水が湧き出るように噴水を設置する。威力を調整できるように噴水の水の出る口の所に調整石を設置、これにマナを多めに送れば水を散水してくれるようにする。これで周りの花壇の水まきも一瞬で終わり。ただ僕以外がやると水濡れ注意。僕は風魔法とかでシールドしているので大丈夫。
 次は反対側のお庭、5坪の敷地なのでどうしようかなやんだんだけど無難に花壇だよね。こっちにも噴水みたいに散水できる水口を中央に設置、円を描くように二重の色とりどりの花を植えていく。木属性魔法も極めてしまったので一瞬で一番きれいな時期の花に咲いていく。農業スキルと相まって一瞬の出来事で僕ドン引き。人間やめてドライアドとか精霊になった方がいいんじゃないのかな僕・・。
 庭は瞬きする間に完成したので屋敷に取り掛かる。屋敷は左右対称を意識しているようで左右が少し玄関よりも前に出ている。右側の少し出ているパーティ部屋は半分にしてリビングみたいな感じにしていく。大きな長机に椅子、それに長いソファーを設置。窓の外には噴水の水が輝いていてとても綺麗。半分にした分をキッチンに変えていく、オーブンが一個しかなかったので三個に変更。かまども二か所しかなかったので無難に三か所。かまどもオーブンも火の魔石ですぐに加熱消化ができる。キッチンの更に奥が冷蔵室になっていた。ワティスさんの所よりも二回りほど大きくて驚いたけど魔石がなかった。代わりに魔石をはめ込むとすぐに冷蔵室が稼働して冷えていく。

「冷蔵ができるんだから凍らすこともできるのかな?」

 ワティスさんも凍らせる部屋は作っていなかった。少し考えれば至ることだけどちょっとやってみようかな。冷蔵室の床を引っぺがして穴を掘っていく、贅沢にキッチンまで伸ばして約40坪ほどの敷地を掘って鉄柱をはめていく。ついでといってではないんだけど120坪の範囲をすべて掘って鉄柱を設置、あとで地下を掘るのも面倒だと思ってやってしまいました。冷凍部屋は地下からも入れるようにして二重の壁で覆った。冷凍にはかなりの力が必要だと思うからそれを軽減する為に外気があんまりかかわらないようにする。扉も二重にして完成。地下は後で完成させていくので玄関から左側を作っていこう。
 左側も右の部屋のように玄関より少し飛び出ている、できればそれを活用して庭面を全部ガラス張りにして庭が見えるようにしたいのでやっていく。どうせだから左右対称にしていく感じ。ここは客間にしようかな。20坪の範囲で部屋を区切ってベッドを設置、ミニテーブルと椅子もおいて軽く食事ができる。タンスとクローゼットを置いて完成。家具は全部、白で統一して壁は元のまんま白に近い茶色。起きたら前面にお庭が見えて最高の景色です。
 客間の後ろは約40坪ほどの範囲はレインに管理してもらう室内菜園場を作る。地下のこの位置にも作って四種類くらいの果物や野菜を作っていく予定。何を植えるかはレインに任せてアイテムバッグと同じ仕組みのアイテムボックスを左右に二個ずつ設置、これには野菜は野菜、果物は果物ボックスにということで四個にしてみた。土は土魔法で出せたので外から持ってこないですんだ。流石に持ってくると時間がかかるので省略できてよかった。
 中央の吹き抜けの階段からすべての部屋への扉があるのでそこは普通にそのままにしておく、地下への階段を作った程度であまり玄関からの景色は変わらない。あとは二階だけど、みんなが帰ってきて休憩にしようということで一休みすることにしました。

「ルーク見てみて、ユアンが可愛い服買ったんだよ」
「へ~、可愛いね。着て来ればよかったのに」 
「えっ、まだ僕の心の準備が・・」

 モナーナが可愛いフリフリの付いたスカートを見せて話した。僕はなんで着ないのか聞くとユアンは顔を赤くして俯いちゃった。本当に女の子なんだな~。何だか今まで接したことが全部恥ずかしいことになってしまった。これから気を付けるしかないよね。うん。

「ユアンは可愛いんだから絶対に似合うと思うけどな」
「兄さんも揶揄わないでよ。今回は買うところまで、着る気はないからね」

 ユアンは恥ずかしいのか腕を組んでそっぽを向いてしまった。そんなこと言っても僕はモナーナの見せた服を見てしまったのだよ。あとは最強の装備を作って見た目を変えればユアンに可愛い恰好をさせられる。ふふふ、なんて妹思いの兄なんでしょう。

「お父さんの考えていることはわかるよ。装備を作るんだね?」
「しーっ、レインは何も言っちゃだめだよ」
「わかってるよ。お父さんの邪魔はしません」
「そのお父さんっていうの何とかなんないの?」
「これは変えられません。お父さんはお父さんなんですから」
「まあ、創造主よりはいいけどさ・・」

 レインがニヤニヤしながら小声で僕の考えていることに勘づいた。お父さんって言われるのがむずかゆくてルークに戻してもらいたかったんだけど、ダメみたいです。創造主よりはだいぶいいけど、子供もいないのにお父さんは恥ずかしい。

「孤児院の子供たちはルークさんをお父さんだと思っていると思いますよ」
「子供達はいいんだよ。だけど、レインは世界樹なんだから僕なんかにお父さんなんて言ったら威厳がなくなっちゃうよ」

 世界樹としてちゃんと威厳をもっていないといけないでしょ?

「威厳なんていらないよお父さん。私はいつでもお父さんの近くでお父さんって囁いていたいの。いいでしょ?」

 世界樹っていう存在はノーブルローズもそうだけど親に対して凄い執着心があるようです。ノルディック様の為にとかいってノーブルローズもずっと言っていたもんね。

「そう言えばノーブルローズの種をいくつか持っていましたよね?」
「えっ、持ってるよ。ついでに冥樹の種もね」

 大きく育った冥樹だったけど種は数えるほどしか落ちなかった。地下の人達についていた冥樹種の方が多いくらい。冥樹はマナが多くて暗い所で育つらしいので僕が管理して育てないようにします。気が付いたら災害になるなんてことになったら目も当てられないからね。

「二つとも私が管理します。冥樹は植えないですけどノーブルローズは唯一の兄弟のような物ですから」

 レインはさっきまでのおふざけが嘘のように真剣な目で話した。本当は兄弟で仲良く育ってほしいんだけど、植える植えないはレインに任せようかな。

「任せるよ」
「ダメだといわないのですか」
「うん、また悪さしたら僕がまた叱ればいいよ」
「お父さん大好き!」
「ははは、まあ、好きにやりなよ」

 レインは僕に飛びついた。失敗は叱るけどやりたいことはやらせます。僕の教育方針はそんな感じ。悪いことをしたらちゃんと叱ってやりたいことはやらせる。お金もいっぱいあるし、孤児院の子供達も支援していこう。

 しばらく、みんなと雑談を楽しんで僕は屋敷の改造を再開する。
しおりを挟む
感想 293

あなたにおすすめの小説

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~

平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。 しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。 カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。 一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

処理中です...