122 / 165
第三章 王都リナージュ
第十八話 やっぱりいました、いじめっ子
しおりを挟む
「いってらっしゃいませ、ユアン様のお兄様!」
「い、行ってきます・・・」
ユアンの宮殿で眠りについて次の日、内壁の門を出ると昨日追い返された衛兵さんに満面の笑みで見送られた。どうやら、僕らへの昨日の対応が良くないと自己判断したみたいで必要以上に僕らへと優しくするという判断になったみたいです。でも、そんな大きな声で叫ばないでね。周りに聞こえちゃうからさ。
「ユアンを知らない人はいないからお兄ちゃんも大変だね」
モナーナがうつむく僕の顔を覗いて他人事のように話している。そんな僕の横で仲良し気に話している時点で君も英雄ユアンの知り合いという称号を手に入れてしまっているのだよ。ふっふっふ。
「今日こそ冒険者ギルドで依頼を受けて、路地を掃除するぞ」
「本当に汚いもんね」
路地は薄暗くてごみが散乱している。見るに堪えない。
「ルークさん、ノーブルローズの件はいいんですか?」
「しばらくはユアンに任せるよ。下手に表立つと何するかわからないし、僕を殺そうとしてきたってことは人質とかしてきそうだからね。それに僕が王族の人を調べるようなことになったら不敬罪で咎められるけどユアンならそれはないはずだし、それに」
「それに?」
僕の言葉にルナさんは首をかしげている。
それに・・・僕が目立たないんだよ!それが一番だよね。僕は目立たずに端仕事をこなして街を綺麗にしていく。僕は好きなことをできて街は綺麗になる、そして、街は平和になっていくのだ。素晴らしい。
「じゃあ、行こう。端仕事を請けに!」
「ルークさんそれにの続きは?」
「ルナさん、無駄だよ。ルークはもう端仕事しか見えてないから」
困惑するルナさんにモナーナが肩に手をおいて失礼なことを話した。でも、良いのだ。本当の事なのだから。
そうこう話しながら、僕らは冒険者ギルドへやってきた。ギルドに入るとアズ君がいて、声をかけようと手をあげると、
「従魔使いの田舎者が、王都まで来てんじゃねえよ」
「てめえのトレントくせえんだよな」
「・・・」
あ~なんだか思い返す出来事です。まるでデジャブを見ているようだ。
「なんとか言えよクズ」
「トレントを燃やしてやろうか?」
「はいはい、オジサン達。武器の手入れはしているの?こんなに柔らかいものは見たことないよ」
見せびらかすように火の魔法を見せていたおじさん冒険者、僕はたまらずオジサンたちの剣を腰から引っ張り出して鍔から上を丸めて団子にしてあげた。するとオジサン達は、
「この野郎、何しやがった」
「なんで鋼鉄の剣が丸まってんだ!」
二人のおじさんは驚愕して僕の持っている二本の丸まった剣を見ていた。
「タダじゃ済まさねえぞ!!」
「[エアープッシュ]」
「「どわっ~」」
僕へと殴りかかろうとしてきた二人の冒険者はモナーナの風でギルドの外へ、扉はルナさんがあけておいてくれたので建物への被害はゼロです。ナイスコンビネーション。
「ルークありがとう」
「ううん。それよりもなんであんなことに?」
「わからないです。僕も三日前ほどから王都に来ているのですが初めての事で、すいません。怖くて震えが」
可哀そうにアズ君は震える手をさらに震える手で抑えようとしている。震えるので全然止まらない。
「大丈夫ですよ。もうあの人たちはいないんですから」
「あっ、はい」
ルナさんが彼の手を握ってあげると震えが収まっていく。
「でも、あの人たちくらいならば、ウッドを使えば追い払えるんじゃ?」
「僕はまだDランクの冒険者なんです。人を傷つけるなんて、出来ません」
ほうほう、全然ランクについては話してなかった。
トレントのランクは弱くてもDランクの魔物、さっきアズ君に絡んでいたのはどう見てもDランクよりも下といった様子だった。剣もボロボロだったし、冒険者だけど冒険をしない、そういう人たちだね。
「旅をするなら盗賊と戦う時もあるはずだよ」
「はい・・それはウッドにも言われます。いじめられていた時もウッドはやり返せっていってくれてたんだけど・・」
ウッドと話せるんだね。いいな~。僕もミスリーとかロドフと話せたらいいんだけど。
「僕の事はいいですよ。それよりも依頼を受けに来たんじゃ?」
「ああそうだった。端仕事を受けに来たんだ」
「端仕事ですか?」
田舎出身のアズ君ですら端仕事を進んでする人は珍しいようで首をかしげています。でも、街のための仕事だから大切なことなんだけどね。
「い、行ってきます・・・」
ユアンの宮殿で眠りについて次の日、内壁の門を出ると昨日追い返された衛兵さんに満面の笑みで見送られた。どうやら、僕らへの昨日の対応が良くないと自己判断したみたいで必要以上に僕らへと優しくするという判断になったみたいです。でも、そんな大きな声で叫ばないでね。周りに聞こえちゃうからさ。
「ユアンを知らない人はいないからお兄ちゃんも大変だね」
モナーナがうつむく僕の顔を覗いて他人事のように話している。そんな僕の横で仲良し気に話している時点で君も英雄ユアンの知り合いという称号を手に入れてしまっているのだよ。ふっふっふ。
「今日こそ冒険者ギルドで依頼を受けて、路地を掃除するぞ」
「本当に汚いもんね」
路地は薄暗くてごみが散乱している。見るに堪えない。
「ルークさん、ノーブルローズの件はいいんですか?」
「しばらくはユアンに任せるよ。下手に表立つと何するかわからないし、僕を殺そうとしてきたってことは人質とかしてきそうだからね。それに僕が王族の人を調べるようなことになったら不敬罪で咎められるけどユアンならそれはないはずだし、それに」
「それに?」
僕の言葉にルナさんは首をかしげている。
それに・・・僕が目立たないんだよ!それが一番だよね。僕は目立たずに端仕事をこなして街を綺麗にしていく。僕は好きなことをできて街は綺麗になる、そして、街は平和になっていくのだ。素晴らしい。
「じゃあ、行こう。端仕事を請けに!」
「ルークさんそれにの続きは?」
「ルナさん、無駄だよ。ルークはもう端仕事しか見えてないから」
困惑するルナさんにモナーナが肩に手をおいて失礼なことを話した。でも、良いのだ。本当の事なのだから。
そうこう話しながら、僕らは冒険者ギルドへやってきた。ギルドに入るとアズ君がいて、声をかけようと手をあげると、
「従魔使いの田舎者が、王都まで来てんじゃねえよ」
「てめえのトレントくせえんだよな」
「・・・」
あ~なんだか思い返す出来事です。まるでデジャブを見ているようだ。
「なんとか言えよクズ」
「トレントを燃やしてやろうか?」
「はいはい、オジサン達。武器の手入れはしているの?こんなに柔らかいものは見たことないよ」
見せびらかすように火の魔法を見せていたおじさん冒険者、僕はたまらずオジサンたちの剣を腰から引っ張り出して鍔から上を丸めて団子にしてあげた。するとオジサン達は、
「この野郎、何しやがった」
「なんで鋼鉄の剣が丸まってんだ!」
二人のおじさんは驚愕して僕の持っている二本の丸まった剣を見ていた。
「タダじゃ済まさねえぞ!!」
「[エアープッシュ]」
「「どわっ~」」
僕へと殴りかかろうとしてきた二人の冒険者はモナーナの風でギルドの外へ、扉はルナさんがあけておいてくれたので建物への被害はゼロです。ナイスコンビネーション。
「ルークありがとう」
「ううん。それよりもなんであんなことに?」
「わからないです。僕も三日前ほどから王都に来ているのですが初めての事で、すいません。怖くて震えが」
可哀そうにアズ君は震える手をさらに震える手で抑えようとしている。震えるので全然止まらない。
「大丈夫ですよ。もうあの人たちはいないんですから」
「あっ、はい」
ルナさんが彼の手を握ってあげると震えが収まっていく。
「でも、あの人たちくらいならば、ウッドを使えば追い払えるんじゃ?」
「僕はまだDランクの冒険者なんです。人を傷つけるなんて、出来ません」
ほうほう、全然ランクについては話してなかった。
トレントのランクは弱くてもDランクの魔物、さっきアズ君に絡んでいたのはどう見てもDランクよりも下といった様子だった。剣もボロボロだったし、冒険者だけど冒険をしない、そういう人たちだね。
「旅をするなら盗賊と戦う時もあるはずだよ」
「はい・・それはウッドにも言われます。いじめられていた時もウッドはやり返せっていってくれてたんだけど・・」
ウッドと話せるんだね。いいな~。僕もミスリーとかロドフと話せたらいいんだけど。
「僕の事はいいですよ。それよりも依頼を受けに来たんじゃ?」
「ああそうだった。端仕事を受けに来たんだ」
「端仕事ですか?」
田舎出身のアズ君ですら端仕事を進んでする人は珍しいようで首をかしげています。でも、街のための仕事だから大切なことなんだけどね。
10
お気に入りに追加
5,466
あなたにおすすめの小説
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる