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第三章 王都リナージュ

第十六話 カテジナ叔母さん

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 僕たちはユアンの家、王城の横の宮殿にやってきた。門を通る時、さっきの衛兵さんが驚いた顔をしていた。僕がユアンの本当のお兄さんだとわかったから驚いていたんだと思う。
 宮殿の前で僕は胸を抑えて緊張しています。思えばリバーハブ村をでて初めて会うんだよね。本当にいい叔母さんになっているのかな。

「なんだか緊張するね」
「えっ、うんそうなんだけど、なんでモナーナ達も緊張してるの?」

 モナーナとルナさんも一緒になって胸を抑えています。話から察するに緊張しているみたいなんだけど、別に二人は緊張しなくてもいいんじゃないのかな?

「ははは、みんな緊張しすぎだよ。あっそういえばシャラもここで暮らしているんだ。驚かないでね」

 ユアンの言葉を聞いて僕らは驚いています。災厄の龍とひとつ屋根の下で暮らしているのかと驚きました。容姿は確かに可愛い少女だからおかしくもないのだけど、やっぱりね~。

「それよりも兄さん。ちゃんと入ってくるときもレインの枝で調べてみた?」
「えっ、ああ、ちゃんと調べたよ。どうやら、城の中に数人いるみたい。ついでにスキル7にした魔法で中の人を調べたんだけど、身の回りの世話をする人たちとか兵士がいっぱいいてどれに入っているのかとか絞れなかったよ」
「そうか~、しばらく、僕も外へ行くの控えようかなー。またシルフィ達に迷惑かけることになっちゃうな~」

 門から宮殿までの間に枝を取り出して調べたんだ。その時に、城の中にいる人数とか調べたんだけど特定できそうもなかった。アルテナ様のノーブルローズを切り離したのが別のノーブルローズ?に知られていたら隠すはず、簡単には姿を見せないかもね。

 ユアンは叔母さんを守るために宮殿からあまり外に出ないことにするみたい、シルフィさん達にまた迷惑がかかるから申し訳なさそうにしている。確かにシルフィさんとダネンさんは冒険者としての仕事ができないといって嘆いていた。でも、良い人たちだから、分かってくれるよ。本当にいい仲間ができていて、兄として誇らしい。

「外で長話も何だし、そろそろ入ろうか」
「そうだね」

 宮殿の大きな扉をユアンが押し込んでいく。僕らの身長の二倍はある扉なので結構、重そうです。

「あ~、お帰りユアン。それに、ふふふっルークも、大きくなって~」
「カテジナ叔母さん・・・」

 宮殿に入るとカテジナ叔母さんが僕とユアンを抱きしめてきた。こんなことリバーハブ村ではなかったので驚きです。だけど、涙がこみ上げてきて、頬に流れた。

「あらあら、ルークったらこんなに泣き虫だったかしらね」

 カテジナ叔母さんが僕の涙を指で拭ってくれた。カテジナ叔母さんは本当に良い人だったんだね。

「さあさあ、みんな集まったんだから夕食にしましょ。今日は私がみんなの為に作ったんだから」
「カテジナ叔母さんが?」
「二人を驚かせたくてね。ルークの友達もいるだろうと思って10人分くらい作っちゃったよ」

 リバーハブ村でのカテジナ叔母さんを思い出してさらに涙がこぼれてしまう。カテジナ叔母さんは笑いながら涙をぬぐってくれて、キッチンへと歩いて行った。

「聞いていたような人じゃないんだね」
「うん、宮殿で暮らすようになって変わったみたいなんだ。お金の心配も要らなくて人肌恋しいみたい」
「おかげで俺がユアンのいない間の抱き枕だよ」
「「シャラ」」

 二階への階段からだるそうに降りてきたシャラ。服装はネグリジェのような服なので僕は反射的に目を隠した。

「何という姿で・・」
「しょうがないだろ。これ以外着せてくれんのだから」
「母さんの趣味の服しかないからね。あれが一番似合うんだってさ」
「布地の多い服を着ようとするとだめだと言われる。着ないとルークから許可の出ていた果物をくれないというんだ。どうにかしてくれ」

 けだるそうに話すシャラだったけど、どこか憎めない様子だった。内心はこの状況を楽しんでいるのかも。

「みんな~、並べるの手伝って~」

 キッチンの方からそんな声が聞こえてきた。カテジナ叔母さんが平たい皿にスープやお肉を盛り付けていてそれを机に運んでほしいみたい。僕らはみんなで食事の準備。孤児院でもそうだったけど、みんなで食べるご飯っていいよね。
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