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第二章 黒煙

第四十六話 家族

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 モグモグモグ、僕は急いで建設中の建物に帰ってきた。イチゴジャムをつけた白いパンを食べながらです。みんながパンパーティをしている間に出来ている分だけでもベッドとか家具を設置しちゃおうと思ったんだ。嗜む子牛亭の地下だけじゃ寝る所が足りないからこっちで代用しないとダメなんだ。一時的に運動室にベッドを数個おいて二階の部屋にもベッドを三個ずつ置いて行く。

「ルーク、何か手伝う事あるかな?」
「モナーナ大丈夫だよ」
「でも」

 モナーナは申し訳なさそうに手伝おうと声をかけてきてくれた。だけど、これは僕にしかできないから無理なんだよね。

「アイテムバックに入れてくれれば私でも設置はできるよ」
「ああ、そうか。その手があったね」

 僕が作ってモナーナに設置しに行ってもらえば速度は上がる。

「一人でやろうとしないで、いつでも私がいるんだから」
「あ、うん」

 モナーナは僕の両手を取って目を見つめて話した。僕は恥ずかしくなって目を背けてしまうとモナーナは微笑んでいた。

「じゃあやろうか」
「そうだね」

 みんなが騒いでいる間に家具を設置していく。ルザーの屋敷にいた30人の子供達の寝る所は確保できたので今日はよくやったと自分を褒めてあげよう。

「ルークこれで全部?」
「うん、ありがとうねモナーナ」
「ううん、ルークの役に立ててうれしい」
「いつもモナーナは役に立ってくれてるよ。最近は子供達と一緒に畑仕事してくれてるしさ」

 モナーナは子供達の面倒を積極的にしていてくれてとても助かってた。いつもモナーナは周りの為に頑張れる子なんだよね。

「私はルークに助けてもらったの、だから、今度は私が色んな人を助ける。それが助かった人の義務だと思うんだ」

 庭に出て噴水の前で話しているとモナーナが噴水で反射している月の光で輝いて見えた。モナーナは強くなったよね。今では人を助ける側になったんだからさ。

「どうしたのルーク?」
「う、ううん。ちょっとね」
「なに?何かあったの?」

 月の光に照らされていたモナーナに見とれてしまって口ごもるとモナーナは心配してくれていた。顔を近づけるもんだから僕は恥ずかしくなってそっぽを向いてしまう。その後もモナーナは可愛らしく上目遣いに聞いてくるもんだから僕の胸はドキドキだった。月に輝く彼女はとても可愛らしかった。

 建物に家具を置いた事で泊まれる環境が出来た。ルザーの屋敷にいた子供達を全員新しい建物の方へと移動してもらうんだけどみんな不安みたいでビクビクしている。嗜む子牛亭に来てからも部屋の隅で座っていたりしていた子もいたので心配はしていたんだけどこれだけは時間が必要だからしょうがない。
 流石に子供だけであの建物に泊まるのも怖いだろうから僕、モナーナ、ユアン、ニャムさんとメイさんで一緒に行くことにした。子供達も初めてあった大人の味方な僕たちの方が安心すると思う。

「ルーク さん みんな 一緒が いい」

 運動室と小部屋でベッドを設置したんだけど小部屋の方で寝かせようと思ったら言葉の話せるエルフの子がそんな希望を話した。あんな所でもみんな力を合わせて生きてきたんだよね、離れたくないに決まってるよね。僕の配慮が足らなかった、ちょっと反省。
    運動室に二段ベッドを幾つか作って対処していく、子供達は上の段の取り合いをしている。何だか微笑ましい。

「ルーク さん 達も ここで 寝よ?」

 エルフの子に上目遣いで言われると僕らはキュンとしてしまって応じないという選択はなくなりました。
    僕達もベッドを運動室に出して寝る準備。子供達はそれぞれのベッドに入ると寝息をたてていく。

「何だか安心する建物だね」
「そうですね。兄さんのような」
「私も思ったにゃ、ルークみたいな建物なんだにゃ」

 モナーナの疑問にユアンが答えるとニャムさんがそれに同意していた。ユアンの言葉にはモナーナとメイさんも頷いていたんだけど、僕にはよくわかりません。

「・・・」
「ん?どうしたの?」
「おしっこしちゃったのかにゃ?」

 二歳ほどの子が泣き出しそうな顔で近づいてきた。おしっこの匂いにいち早く反応したニャムさんがそう言うと女の子は涙して頷いた。怒られると思っているんだろうね。そう言う環境にいたからしょうがない。

「大丈夫だよ。お洋服もいっぱいあるしベッドだってすぐに出せるんだからね。ほら」

 僕がアイテムバックからベッドと服を取り出すと涙が止まって笑顔が見れた。やっぱり子供は笑顔が一番、こんな子供達を売り買いするなんて本当にその人達は人間なのかな?

「これでバッチリ」
「あり がと」

 女の子はメイさんに着替えを手伝ってもらって着替え終わるとカタコトでお礼を言っていた。
    子供達はみんなとてもいい子でお礼もちゃんと言える。言葉を教えていければちゃんとこの世界でいきていけるはずだ。

「にゃにゃ?一緒に寝るかにゃ?」
「うん」

 ニャムさんの事をお母さんと言っていた女の子がニャムさんのベッドに入っていった。みんな大人恋しい年ごろの子ばかりだからしょうがないね。

 眠れない子はいなかったみたいで安心した。僕らも意識を手放して寝息をたてる。

 こんな大家族で一緒の部屋で寝るのもいいね。
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