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第二章 黒煙

第二十一話 ないなら作っちゃう

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 キウイ村で待ってもらっていた子供達に形見の品を見てもらって、全員に形見が見つかった。余った物もあったけど、それは全部この子達の為に使う予定。みんな悲しんでいたけど慰め合って励まし合っていた。本当にこの子達は強いね、僕だったら悲しみに打ち伏せられちゃったと思うよ。

 10人の子供達と街道を歩いて行く。ワインプールまでの道は歩いて一日の距離だけど7歳の子供には厳しいものである。なので、僕は作っちゃいました。

「ルークって目立ちたくないって言ってる割にやる事は凄く目立つことだよね」
「えっそう?」

 みんなで乗れる乗り物、そう、馬車です。ワーウルフの毛皮で馬車の屋根を作り木材で足回りを作った。丈夫さは僕の作った物だから特別製だけど外見からじゃそんなに目立たないはず。

「ミスリーに引かせてるけど、馬以外が引く馬車って確か竜馬しか聞いた事ないよ」

 魔物の使役って言うのはとても難しいとされてるらしいんです。僕はワーウルフロードのロドフを運よく得たけど世の中には数えるほどしか従魔は存在しません。
 召喚魔法っていうのもあるらしいんだけどそれも英雄クラスの人の話で一般にはどうすれば得られるのかもわかってない。たぶんロドフの魔石は採取スキルが影響したのかもしれない。ほんとにスキル7って凄いんだね。

「ルークお兄ちゃんって凄い人なんだね」
「何て言ってもエリントスの英雄だからね」

 女の子の言葉にイラト君が誇らしそうに胸を張っている。その話はあんまり外でして欲しくないんだけどな~。

「みんな、ルークの話はあんまりワインプールではしないでね」
「え~なんで~」
「ルークが有名になっちゃうと忙しくなってみんなと遊べなくなっちゃうからね。わかった~?」

 モナーナの言葉に否定的だったみんなも最後には納得してしまったようです。まだまだ、子供な彼らは僕と遊びたいみたいだね。しかし、街についたらどうしようかな~。子供達の働き口と衣食住を考えないといけない。勝手に家を作ったら怒られるだろうしな~。

「ルーク、街についてからなやもうよ。みんなを不安にさせちゃダメだよ」

 おっとっと、顔に出ていたかな~。僕は顔を整えて笑顔で子供達を見るとみんな笑顔を返してきた。やっぱり、みんな内心は不安しかないんだと思う、そんな中、僕たちが不安で顔を作ってしまったらダメだよね。

「モナーナ、ありがとう。本当に君がいてくれてよかった」
「えっ、急にどうしたのルーク」
「いや、モナーナって本当に凄いなって思ってさ」

 僕はモナーナにお礼を言うとモナーナは耳まで顔を真っ赤にして俯いちゃった。でも、本当にモナーナがいてくれてよかった。僕だけじゃ子供達の不安を払拭できなかったと思うんだよね。ほんとにありがとうモナーナ。

 僕らは子供達とじゃれ合いながら街道を走っていく。ミスリーも街についたら褒めてあげないとね。




 街の城壁が見えてくると僕らは馬車を降りて歩いて向かう。やっぱり、馬車は早くて便利だね。今度、街を離れる時はちゃんと使っていこう。

 街の入口で子供たちの証明カードを作った、子供達は嬉しそうにカードを眺めてる。もちろん、銀貨何てみんな持ってないから僕が出しました。子供達はいつか返しますって言うけど、そんな事気にしないでほしい。子供は無邪気でいないとダメだよね。
 街に入ると噴水に驚きの声を上げる子供達、僕も最初の時は綺麗で驚いたけどやっぱり子供達も同じ反応をしてた。街自体が初めてだとやっぱり驚くよね。

「私達、今日からこの街に住むんだね」
「何だかワクワクする」

 子供達はとても希望に満ちた話をしてる。子供はこうじゃないと。
 当分、子供達を養うわけだけど嗜む子牛亭に部屋があるかな~。できるだけ近くで見守りたいんだけど。僕らは嗜む子牛亭に向かって歩いて行く。列を成して歩くもんだから僕を知っている人はみんな首を傾げてます。子供を引き連れてるわけだからそうなるよね。

 嗜む子牛亭に入ってダリルさんもカルロ君も驚いている。これだけ子供を連れていると誰でも驚くよね。
 
 食事をする席に子供達を座らせて、僕はダリルさんに事情を話していく。





「ゴブリンに親を殺されたか・・・」
「はい」

 事情を聞いたダリルさんはやるせない表情で顔を抑えた。涙が頬を伝い地面に落ちていく、ダリルさんはその涙の訳を話さなかったけど子供達を空いている部屋に泊めてくれるそうです。僕は甘えるわけにはいかないので全員分の料金の金貨を10枚取り出して出すと一枚だけとって他は受け取ってくれませんでした。ダリルさんは顔に似合わず優しいのだった。

「じゃあ、みんなここで待っていてね」

 ギルドに今回の依頼の報告を告げる為に行きます。アレイストさんにはめられた感が凄かったけど本当の所はどうなんだろうか。

 僕とモナーナはギルドに着くと辺りを見渡す、アレイストさんはいませんか~って。と思ったら二階にいました。笑顔でこっちに手を振っています。

「ははは、二人共ご苦労さん」
「ちょっとアレイストさん、ただのゴブリンの集落じゃなかったですよ。キングですよキング」

 僕はアレイストさんの耳元でゴブリンがキングだった事を告げる。アレイストさんはニヤッと口角を上げた。あくどい顔だけど何を考えているんだろう。

「キングを倒した証拠は持っているかい?」
「そんなの持ってくるわけないでしょ、ただでさえ千匹はゴブリンを倒しているんだから、これ以上目立ちたくないよ」
「またそれかい?全く・・・まあ、あんたが嫌なら無理やりそれを見せろとは言わないけどね。とりあえず、今回の依頼達成という事であんたとモナーナはDランクに格上げだよ。よかったね」
「やったねルーク」

 アレイストさんの昇格の言葉を聞いて、僕とモナーナはハイタッチで喜びを表した。これで新人冒険者のニックと同じになれた。先輩としての威厳が少しは保たれました、よかったよかった。

「それでアレイストさん」
「なんだい?」
「ゴブリンに村が襲われてそこの子供達が孤児になってしまったんですけど」
「知らせが来た時すでに襲われていたんだね。それなら教会で孤児院をしているはずだよ」
「教会で?教会の孤児院っていうのはちゃんとしたものなんですか?」
「・・・ワインプールの孤児院はあまり褒められたもんじゃないね。正直」
「へ?」

 アレイストさんの話ではワインプールの教会の司祭は私腹を肥やす男らしい、教会と言う施設は神に祈りを捧げる施設だ。人族の街に多いのがノルディック様を称えるノルディック教。実りを得て、実りを分け与え合おうと言う助け合いを勧める宗教なのだけど、人とは多くの物を得るとどうしても堕落してしまうわけで。

「どうしても気になるんだったら一度見ておいた方がいい、人の上に立つという事がどういう事かと言うのがよくわかるかもね」

 僕が考えているとアレイストさんはそう言って一度教会に行くのを勧めてきた。それがどういう意味なのか分からないけど子供達の為にも見ておいた方がいいのかなと思う。

 僕とモナーナはアレイストさんにお礼を言ってギルドカードを新しくしてもらいギルドを後にした。前回、絡んできた人が誰もいなかったことに気が付いたんだけどいないならいないでいいので気にしないようにしました。


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