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第二章 黒煙

第十七話 いざ、ゴブリン退治へ

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 少年少女5人をキウイ村に案内した。村長の家でゴブリン達に捕まった経緯を聞く。思った通り彼らは大勢のゴブリンに襲われて捕まったみたい。
    村は全滅で男から女子供まで、ああやって捕獲されてたみたい。

「お父さんは殺されちゃった。お母さんはそのまま何処かにつれてかれたんです」
「そうなのかい、どうにかならないかね~」

 少年と村長はそう言って僕の方を見た。
    今、僕らは村長の家で話し合いに加わっているんだけどみんな僕を見てきて僕に頼るしかない状態みたいです。アレイストさんはこうなる事を見越していたのかな。

「ゴブリン達はどの方向に向かったかわかるかい?」
「ここから先にある山にむかってたの」

 村長の質問に捕まっていた一人の少女が答えた。どうやら、ゴブリン達は山を本拠地にしているようです。そうと決まれば早急に向かおう。

「じゃあ僕らは向かいますね」
「え!」

 僕の言葉にみんな唖然としています。何か間違った事言ったかな?

 早くしないと連れ去られた人達がどうなるかわからないし急がないといけないよね。

「ですが報酬は」
「えっ、報酬は銀貨三枚ですよね?」
「あっ、はいそうですけど・・・」
「なら大丈夫ですよ。じゃあ行ってきますね」

 村長と捕まっていた少年達は唖然として手を振って見送ってくれた。
    やっぱり、僕は何かしてしまったみたいだけど、時間がないので急ぎましょう。

 僕は村長さんの家から出て村の入口で待ってたモナーナとミスリーと共にゴブリン達の向かった山へと向かった。
    ロドフは普通の人が見ると驚くので極力魔石に戻ってもらってます。

 山は見える範囲にあるのでそれほど時間はかからないだろうけど人命がかかってるので急ぎます。僕はミスリーを着こんでモナーナは普通に走っても追いつけるだろうけど念のため僕がお姫様抱っこです。
 一応移動中に魔物にあったらやなのでロドフを護衛の為に魔石から出しています。ロドフも僕の装備を着こんでいるので普通のワーウルフロードよりも強くなっています。なので僕の速度にも余裕でついてこれる。何とも逞しい従魔だろうか。

 しばらく、走ってやっと山の麓について早速ロドフが鼻を利かせて僕たちを案内していく。

 ロドフの後をついていって山を少しずつ登る。山は木が生い茂っている隠れるにはもってこいな地形だった。

「オンオン!」

 ロドフが少し声を張り上げた。ゴブリン達が近いみたいだ。少しだけ身を低くしてロドフを先頭に近づいて行く。

 茂みをかきわけると山の中腹辺りに平坦な土地が広がり、そこにわらなどで作った家の村が現れた。ゴブリンのつくった集落にしては知恵を感じる。

「ルーク、ゴブリンはこんな村を形成するほど頭はよくないよ。それに人を襲って連れて行くのも指導者クラスがいるかも」

 モナーナの言葉に頷く。ワーウルフロードの時と同じようにゴブリンの上位種がいるみたい。さて、どうしたものか?

「ルークが水魔法で窒息がいいんじゃないの?」
「うーん、あの時は急いでて冷静じゃなかったんだよ。ワーウルフみたいな大きな体だったから判別できたけど、ゴブリンと子供、あと女の人じゃあんまり判別できないかもしれない」

 といっていてもしょうがないのでやるけどね。

 空気中の水分で人のいる場所や人数を判別していく。ゴブリン村の中には人はいないと思う。絶対と言いきれないのがこの能力の限界だね。

「ルーク、空気中の水で調べられるなら火か熱で調べられないの?」
「あ~、そっちもいけるんだったね」

 スキルレベル7だと属性に関わる物を自在に操れるわけ、という事は火や光に関しても同じなんだよね。

「あ~、わかるようなわからないような」

 初めて使ったからあまりしっかりとはわからないけど一番大きい家に子供っぽい人が5人はいた感じ。ハッキリとつかめないから何とも言えないけど。

「やっぱりしっかりと調べないとね。ミスリー」
「ウニャ~オ!」

 僕に呼ばれてミスリーは意気揚々とうなり声をあげた。ミスリー自身はカッコつけているかもしれないけど鳴き声はとても可愛らしい。
    ミスリーならばゴブリンに気付かれずに建物の中へ行けるはず、ミスリーは今の虎サイズから思いっきり小さくなって手の平サイズになった。このサイズでもゴブリン程度なら瞬殺できるのだから恐ろしい。

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