42 / 165
第一章 始まり
第四十一話 窮地
しおりを挟む
「「「「「「「ワオ~~~~ン」」」」」」」
無防備に自分達へと近づいてくる少年に対してワーウルフ達は雄たけびをあげた、涎をたらす口を大きく開けて少年へと襲い掛かった。
しかし、その大きく開けた口は大きく裂けていった。それは少年による斬撃によるものであったがワーウルフ達は気にも留めずに少年へと襲い掛かっていく。周囲は尚も騒々しく狼の鳴き声が鳴り響いた。少年の斬撃が辺りの木を切り倒していく。
しばらくすると周囲は静まり返り森の中に赤い泉ができあがる。むせ返るようなその泉に足首まで浸かっている少年は夜空の月を見上げて泣いた。
「こんな強さがほしかったわけじゃない」
自分のした事をまるで悪い事のようにいう少年はむせび泣いた。心優しい少年は命を簡単に刈り取れる自分に恐怖に似た感情を抱いたのだった。
少年は200はいた狼とワーウルフを屠って血の泉を作ってしまい泣き喚く。
「ウニャ~」
少年が泣きはらした顔を拭っていると鎧が鳴きだした。主人にまだ終わっていないと告げた鎧は赤い泉から少年を引っ張り出すとそのままエリントスの方向へと歩かせる。
「どこに行かせるの?」
少年は鎧に問いかける。その答えは少年の泣きはらした顔を怒りに染める物だった。
「なるほどね。あっちは囮だったか。こっちが本命って事かい!」
アレイストは閉められた門を出た。ワーウルフの群れはいくつかの部隊に分かれていた。クルシュの屋敷へと向かった部隊は捨て駒だ、部隊の規模でアレイストの前に迫っている部隊の10分の一であった。それだけの数が今、正に街の正面の門へと駆け込んできている。迎え撃つは冒険者アレイストと門を守る衛兵のみだが、門の外にはアレイスト一人。アレイストは被害を出さないために一人外に出た。それは彼女の戦闘スタイルを考えると致し方ない事であった。
「なかなか厳しいね~。でもここで抑えなきゃAランクがすたるってね~」
アレイストは自分のアイテムバッグから禍々しい黒い大剣を取り出した。彼女の持つ最強の剣ジャガルータ。ジャガルータは諸刃の剣、アレイストの体にジャガルータから伸びる蔓が食い込んでいく。彼女の褐色の体が更に赤黒く染まり目が充血していく。
「ジャガルータ、今こそお前の力を見せな!」
眼前まで迫るワーウルフの群れ、街道に沿って走ってきていたワーウルフは一瞬で砕け散った。ジャガルータから放たれた黒い渦がワーウルフを襲ったのだ。渦は禍々しくまるで生きているかのようにワーウルフ達を食い荒らしていった。
「ハッハッハ、私の血を食わせてるんだ。こんなもんじゃないだろ!」
アレイストは尚も迫ってくる生き残りのワーウルフ達を蹴散らしていく。ジャガルータを振るうと数匹のワーウルフが圧死し、アレイストの手に捕まったワーウルフは仲間を道ずれに爆発していく。彼女は最強だ。しかし、何故彼女が門の外へ出たのかがこの戦闘ではっきりとわかってくる。
「フハハハ!もっと血を吸わせろ!もっともっとだ!」
正気を失ったアレイスト、ジャガルータは諸刃の剣、彼女の剣は味方にも及ぶ、彼女はパーティを組まないんじゃない組めないのだ。彼女の本気は味方を巻き込むから。
しばらく、すると狼の声は聞こえなくなる。ジャガルータは気がすんだのかアレイストの体からツタを解き放ちアレイストは元の姿に戻って行く。
「・・・」
彼女は脱力して後ろに倒れ込んで空を見上げた。指一本動かない状態の彼女は全力を出し尽くしてワーウルフを撃退した。
しかし、その中にはノーブルもジェネラルもいなかった。
ワオ~~~~ン!
アレイストは見余った。先ほど倒した部隊が本隊だと思っていたのだ。しかしそれは違った。新しいワーウルフの部隊が走り込んでくるのが見える。今までの襲撃よりも少ないそれは全体の2割にも満たないがその全てがワーウルフで上位種といわれる者達だ。言わずもがなこの部隊がワーウルフ達の本隊である。
「や ら れ たねえ・・・」
アレイストは出し切った体で漏れるような声をあげた。
ワーウルフ達はアレイストを避けて城壁や門を攻撃していく、アレイストにもう戦う力がない事を悟ったのだろう。アレイストは悔し涙をながしてその光景を見ていた。
「・・・ジェネラルが二匹・・」
城壁を攻撃するワーウルフ達の中に指揮をするはずのジェネラルが含まれていた。普通ならば一匹いれば危ないと言われるジェネラルが二匹いるのだ、彼女は唖然として何とか体を起こそうとするがピクリとも動かない体に悔し涙を流す。
門の上から衛兵が攻撃するが数匹怯む程度で死にはしなかった。城壁は見る見る削れていく。
「クルシュ様!街の方に光点があがりました」
「なに!!」
クルシュの屋敷に来たワーウルフ達は一掃された。ホッと胸を撫でおろしていたクルシュは街を見て驚愕した。
「まさか、こっちは囮だったのか。奴らにそんな知恵があるなんて」
クルシュは握りこぶしを作ると血を滲ませた。
「皆!街が危ないすぐに向かってくれ」
このままではゼル様から受け継いだ領地が血に染まってしまう、クルシュは騎兵と共に街へと駆ける。
「やらせん!」
手綱を握る手は赤く染まった。
無防備に自分達へと近づいてくる少年に対してワーウルフ達は雄たけびをあげた、涎をたらす口を大きく開けて少年へと襲い掛かった。
しかし、その大きく開けた口は大きく裂けていった。それは少年による斬撃によるものであったがワーウルフ達は気にも留めずに少年へと襲い掛かっていく。周囲は尚も騒々しく狼の鳴き声が鳴り響いた。少年の斬撃が辺りの木を切り倒していく。
しばらくすると周囲は静まり返り森の中に赤い泉ができあがる。むせ返るようなその泉に足首まで浸かっている少年は夜空の月を見上げて泣いた。
「こんな強さがほしかったわけじゃない」
自分のした事をまるで悪い事のようにいう少年はむせび泣いた。心優しい少年は命を簡単に刈り取れる自分に恐怖に似た感情を抱いたのだった。
少年は200はいた狼とワーウルフを屠って血の泉を作ってしまい泣き喚く。
「ウニャ~」
少年が泣きはらした顔を拭っていると鎧が鳴きだした。主人にまだ終わっていないと告げた鎧は赤い泉から少年を引っ張り出すとそのままエリントスの方向へと歩かせる。
「どこに行かせるの?」
少年は鎧に問いかける。その答えは少年の泣きはらした顔を怒りに染める物だった。
「なるほどね。あっちは囮だったか。こっちが本命って事かい!」
アレイストは閉められた門を出た。ワーウルフの群れはいくつかの部隊に分かれていた。クルシュの屋敷へと向かった部隊は捨て駒だ、部隊の規模でアレイストの前に迫っている部隊の10分の一であった。それだけの数が今、正に街の正面の門へと駆け込んできている。迎え撃つは冒険者アレイストと門を守る衛兵のみだが、門の外にはアレイスト一人。アレイストは被害を出さないために一人外に出た。それは彼女の戦闘スタイルを考えると致し方ない事であった。
「なかなか厳しいね~。でもここで抑えなきゃAランクがすたるってね~」
アレイストは自分のアイテムバッグから禍々しい黒い大剣を取り出した。彼女の持つ最強の剣ジャガルータ。ジャガルータは諸刃の剣、アレイストの体にジャガルータから伸びる蔓が食い込んでいく。彼女の褐色の体が更に赤黒く染まり目が充血していく。
「ジャガルータ、今こそお前の力を見せな!」
眼前まで迫るワーウルフの群れ、街道に沿って走ってきていたワーウルフは一瞬で砕け散った。ジャガルータから放たれた黒い渦がワーウルフを襲ったのだ。渦は禍々しくまるで生きているかのようにワーウルフ達を食い荒らしていった。
「ハッハッハ、私の血を食わせてるんだ。こんなもんじゃないだろ!」
アレイストは尚も迫ってくる生き残りのワーウルフ達を蹴散らしていく。ジャガルータを振るうと数匹のワーウルフが圧死し、アレイストの手に捕まったワーウルフは仲間を道ずれに爆発していく。彼女は最強だ。しかし、何故彼女が門の外へ出たのかがこの戦闘ではっきりとわかってくる。
「フハハハ!もっと血を吸わせろ!もっともっとだ!」
正気を失ったアレイスト、ジャガルータは諸刃の剣、彼女の剣は味方にも及ぶ、彼女はパーティを組まないんじゃない組めないのだ。彼女の本気は味方を巻き込むから。
しばらく、すると狼の声は聞こえなくなる。ジャガルータは気がすんだのかアレイストの体からツタを解き放ちアレイストは元の姿に戻って行く。
「・・・」
彼女は脱力して後ろに倒れ込んで空を見上げた。指一本動かない状態の彼女は全力を出し尽くしてワーウルフを撃退した。
しかし、その中にはノーブルもジェネラルもいなかった。
ワオ~~~~ン!
アレイストは見余った。先ほど倒した部隊が本隊だと思っていたのだ。しかしそれは違った。新しいワーウルフの部隊が走り込んでくるのが見える。今までの襲撃よりも少ないそれは全体の2割にも満たないがその全てがワーウルフで上位種といわれる者達だ。言わずもがなこの部隊がワーウルフ達の本隊である。
「や ら れ たねえ・・・」
アレイストは出し切った体で漏れるような声をあげた。
ワーウルフ達はアレイストを避けて城壁や門を攻撃していく、アレイストにもう戦う力がない事を悟ったのだろう。アレイストは悔し涙をながしてその光景を見ていた。
「・・・ジェネラルが二匹・・」
城壁を攻撃するワーウルフ達の中に指揮をするはずのジェネラルが含まれていた。普通ならば一匹いれば危ないと言われるジェネラルが二匹いるのだ、彼女は唖然として何とか体を起こそうとするがピクリとも動かない体に悔し涙を流す。
門の上から衛兵が攻撃するが数匹怯む程度で死にはしなかった。城壁は見る見る削れていく。
「クルシュ様!街の方に光点があがりました」
「なに!!」
クルシュの屋敷に来たワーウルフ達は一掃された。ホッと胸を撫でおろしていたクルシュは街を見て驚愕した。
「まさか、こっちは囮だったのか。奴らにそんな知恵があるなんて」
クルシュは握りこぶしを作ると血を滲ませた。
「皆!街が危ないすぐに向かってくれ」
このままではゼル様から受け継いだ領地が血に染まってしまう、クルシュは騎兵と共に街へと駆ける。
「やらせん!」
手綱を握る手は赤く染まった。
60
お気に入りに追加
5,570
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる