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第一章 始まり

第十五話 初めての討伐依頼

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 今日は休みなので、何でも士の仕事をしています。まあ、どぶ掃除なんだけどね。だけど、僕は金銀を入手しています。これはやめられない。

「何ニヤニヤしてるにゃ?」

 おっとっと、ニヤニヤしていたか。僕は真面目な顔を作りニャムさんを見やる。

「ルークはおかしいにゃ、普通こういう仕事はやりたがらないものにゃ」
「おかしくないよ。街の人の為になる事じゃないか。まあ、冒険者じゃなくてもできるけど」
「ウニャ!」

 ニャムさんにそう言うと怪しい物でも見るような目で見てくる。すると僕の隣でミスリーが僕に賛同してなのか鳴いた。ニャムさんは初めて見るミスリーに驚いて抱きつく。ちなみにミスリーはミスリルの輝きのままだと目立つので普通の猫...じゃなかった、虎の色に変えています。もちろん、体形も小さくなっている。どうなっているのか、作った僕にもわからない。

「可愛い~、それにモフモフ~」
「ウニャ..」

 猫の獣人と虎...可愛い。ニャムさんはミスリーの頬に自分の頬をこすりつけている。ミスリーは少し嫌そうだ。ミスリルから生まれたくせにモフモフなのは僕がやりました。やっぱり猫はモフモフじゃないとねって虎だったね。

「ニャ!」
「ああー、行っちゃうの?。もう少し触ってたかった~」

 流石に嫌になったのか、ミスリーは二階建ての家の屋根に上って顔を洗っている。僕を守っているつもりなので僕から見えない所にはいかないみたい。忠犬ならぬ忠猫だね。

「あの猫ちゃん見ない子ニャ。この街の猫は全員知ってるんだけどにゃ~」

 ニャムさんは顎に手を当てて考えこんでいる。流石猫獣人、猫も知り合いなのか。

「今日は何の用だったんですか?」
「あ!、そうだにゃ。討伐の依頼が来ているにゃ、これが終わるとFランクからEランクの冒険者になれるにゃ。受けるかにゃ?」
「え~、今から?。掃除がまだなんだけど~」

「ちょっとルーク、行きなさいよ。ここら辺は私らがやってるから」
「そうよ」

 ニャムさんと僕の会話を聞いていたらしいおばさん達がそうじを代わってくれるらしい。これでは断りようもないので行くことになった。

 おばさん達にお辞儀をしてニャムさんについていく。その道すがら依頼の内容を聞いていく。

「ルークなら楽勝にゃゴブリンの討伐だにゃ。1匹討伐したら合格にゃ」

 だそうです。ニャムさんは僕の為にその依頼を選んでくれたようです。僕はニャムさんの為にもEランクにならないとダメみたい。

「早くランク上げてニャムの専属にするにゃ」
「ニャムさん何か言いました?」
「いんにゃ、何も言ってないにゃ~」

 ニャムさんが一瞬ブラックニャムさんに見えたけど気のせいのようだ。

 別に冒険者で食っていこうと思ってるわけじゃ..。とか思っていると罰が当たりそうなので何も言わないよ。

「ウニャ~ア~」

 僕の心を読んでか、ミスリーが欠伸のような鳴き声をしている。呆れているのかもしれない。全く、主人思いの虎だこと。






 僕はニャムさんが言っていた森に来た。FランクからEランクへの昇格試験なだけあってとても近い森です。僕は早速、木を伐採。折角来たから伐採しない手はないよね。

「わ~木だけじゃなくて実や種、それに苗まで取れる。採取7と伐採7がいい仕事してる~」

 ただのスギの木を切るだけで何故か色々な木材が取れる。ホワイトオークとかこの地域にないような木材が取れるのでこれはもう、どこかに家を建てる気が湧いてきてしまう。大工も7にしなくちゃいけないな~。

 目的のゴブリンを忘れて木を切っていくルーク、10数本切った時ふとアイテムバッグの容量を気にするとまだまだ余裕なのが伺えた。アイテムバッグは表面をマナの膜で覆っている、その膜が色で容量を示してくれるのだ。

 緑、黄色、赤と色が変わり、赤は警告といった感じだ。赤からは色の深みが増していき、黒に近くなるとアイテムバッグが壊れて中身が出てきてしまう。ある賢者がそれをやって死亡したという逸話が残っているので警戒しよう。まだ、緑だからかなりの容量を詰められそうだ。

「ギャギャギャ?」

 僕の木を切る音でゴブリンが出てきた。一匹いると数匹いるはずなので警戒するとその一匹は一瞬にして狩られた。ミスリーが猫独特の構えから飛びかかり一瞬で首から上がなくなった形だ。ちなみに今はもとの1メートルサイズに戻っている。

「ニャオ~!」

 褒めろと言わんばかりにゴブリンの死骸を咥えながら僕に頭を向ける。狼以来の生なましい死骸に僕は少し吐き気をもようす。でも慣れていかないと冒険者としては失格、頑張ろう。

 僕はミスリーを撫でながらゴブリンの耳を刈り取る。ミスリーはちゃんと頭を残していたのでよかった。

 取りあえず、依頼内容は終わったので帰ろうと思った時、森が騒がしくなったことに気が付いて警戒を強めた。

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