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第一章
第33話 王都の騎士エクリプス
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「あ、あの山です」
縛り付けた盗賊を先頭に目的の山についた。そんなに離れていない場所だったからすぐだった。
盗賊の残りがいるはずだけど、何やら様子がおかしい。
「あれは。王都の騎士団か?」
イクシオンさんが声をもらす。白銀の鎧を着た騎馬隊、槍と剣が交差する旗が掲げられてるのが見える。
「やはり第一騎士団、エクリプスか」
アイラが顔を歪ませる。白銀の鎧、騎士団を除隊してきた……。アイラは王都の騎士団を除隊してきたんだろう。騎士団が来ることを聞いた時に反応したのはそういうことだったんだな。
「これはこれはエンプレスの冒険者かな。遅いじゃないか。村人は助けたぞ」
僕らに気づいた騎士団の金髪の男が声をかけてきた。サラサラの髪をなびかせていかにもキザと言った容姿をしてる。
「怪我はしているが死人はいないぞ。遅いお前達に代わって助けてやった」
男はなおもきざったらしく話す。バルバトスさんもイクシオンさんも呆れてる。
「騎士様、エクリプス様でしたか?」
「そうだ。私はエクリプス。第一騎士団団長エクリプスだ」
イクシオンさんの声に答えるエクリプス。僕は思わずアイラに視線を向けてしまう。
あんなのが団長……。大丈夫なの?
「とにかく怪我人を」
「ふむ、平民への回復魔法は高くつくぞ。冒険者共、払えるのか?」
ルビアさんがうずくまる村人たちに気づいて声をあげた。エクリプスがわけのわからないことを言ってる。
「我々騎士団の魔法使いの魔法は高いからな。お前達の安い給金では払えんだろう。平民共の貯金でも無理だろうしな」
ルビアさんとエナさんが怪我人に駆け寄ると更にわけのわからないことを喚き散らす。
一通り喚くとアイラに気が付いて近づいてきた。
「おお、アイラではないか。どうだ? 戻ってくる気になったか?」
アイラの両手を掴むと目を輝かせるエクリプス。
「帰るわけがない。お前が団長の騎士団なんかには絶対にね」
「ふふ、強気なところが君らしい。必ず私の物にしてやるぞ」
アイラの言葉に笑みをこぼすエクリプス。流石の言葉に僕らは寒気が凄くて自分で自分を抱きしめる。それでも震えが止まらないよ。
「どうだ? 回復魔法を無償でやってやろう。代わりにアイラ、君が副団長となり私の妻となるというのは?」
「はぁ?」
エクリプスの言葉に思わず声をあげてしまった。アイラが除隊した理由はこっちだったか。こんないかれてる人の妻なんて死んでもやだろうからな。
「それは無用だよエクリプス様」
イクシオンさんがそういうとエナさんが回復魔法を唱えて怪我人を治していく。彼女みたいな上位っぽい魔法使いでも、一人一人しか回復できないのか。
「ほ~。なかなか使える魔法使いをお連れですな。しかし、全員には使えないでしょう」
「……」
エクリプスの指摘にエナさんが息を切らせて魔法を使う姿が目に映る。回復魔法は普通の魔法よりも魔力を使うのか?
「平民は魔力も低いからな。はははは」
……一生懸命回復してくれてるエナさんを笑うエクリプスにいてもたってもいられなくなる。
「お兄ちゃん!」
「流石に黙っていられないよな」
ニカが怒って声をあげる。それに同意して魔法石を取り出す。そして、
「なっ! 全員をいっぺんに!? エリアヒールの魔法石だと!?」
周囲の全員を回復するエリアヒールの魔法石。エクリプスが驚いて声をあげる。流石の状況に彼の部下達も驚いて声をもらしてる。
「なぜそんな国宝級の魔法石が平民の手に!?」
「うるさいぞお前。とりあえず黙れ」
「なっ!?」
エクリプスが声をあげるとバルバトスさんが口を塞ぐ。モガモガと声をあげようとしてるけどバルバトスさんの力には勝てないみたいだ。
「さあ、皆さん帰りましょう」
騎士団はバルバトスさん達に任せて村人たちを村に案内する。まったく、助けたのは褒めてあげるけど、その後のケアがなってない。
「私を誰と心得るか! エクリプス伯爵様だぞ!」
村人を連れて行くとそんな声が後ろから聞こえてきた。あの人貴族で騎士なのか……国として終わってるんじゃ?
「恥ずかしいものだな……」
「お察しします」
アイラが顔を両手で覆って声をもらした。思わず僕は慰めるように彼女の肩に手を置いて声をかけた。
「き! 貴様! あのものは誰だ!?」
「え?」
背後から声が聞こえてきた。思わず振り返るとバルバトスさんに抑えられてるエクリプスが凄い睨んできてる。
「ハヤトお兄ちゃん。あの人誤解してるかも……」
「ええ!? もしかしてアイラと関係があるとか思われた?」
「たぶん……」
ニカがなんで怒ってきてるのか考えて教えてくれた。ただ肩に手を置いて話してただけじゃないか。そんなので恋人なんて思われたらたまったものじゃないぞ。
「マスターはカッコいいにゃ」
「ルキナちゃん?」
なぜかルキナちゃんが褒めてくれた。慰めてるつもりかな?
「許さん! 許さんぞ!」
「あ、アイラ~」
「わ、私は悪くないだろ」
「そ、そうだけど……」
バルバトスさんが抑えてくれてるから向かってこないけど、ずっと声が聞こえてくる。アイラに助けを求めたけど、彼女のせいでもないので追及は出来ない。あんなのが町に来て因縁つけてきたらたまったものじゃないぞ。
不安なまま村人たちを村まで案内して無事に捜索隊の任務を終えた。色々と失うものはあったけど、ちょくちょく異世界商店へ換金が出来たから魔道兵工房があと少しで買える。
あ~楽しみだな~……。
縛り付けた盗賊を先頭に目的の山についた。そんなに離れていない場所だったからすぐだった。
盗賊の残りがいるはずだけど、何やら様子がおかしい。
「あれは。王都の騎士団か?」
イクシオンさんが声をもらす。白銀の鎧を着た騎馬隊、槍と剣が交差する旗が掲げられてるのが見える。
「やはり第一騎士団、エクリプスか」
アイラが顔を歪ませる。白銀の鎧、騎士団を除隊してきた……。アイラは王都の騎士団を除隊してきたんだろう。騎士団が来ることを聞いた時に反応したのはそういうことだったんだな。
「これはこれはエンプレスの冒険者かな。遅いじゃないか。村人は助けたぞ」
僕らに気づいた騎士団の金髪の男が声をかけてきた。サラサラの髪をなびかせていかにもキザと言った容姿をしてる。
「怪我はしているが死人はいないぞ。遅いお前達に代わって助けてやった」
男はなおもきざったらしく話す。バルバトスさんもイクシオンさんも呆れてる。
「騎士様、エクリプス様でしたか?」
「そうだ。私はエクリプス。第一騎士団団長エクリプスだ」
イクシオンさんの声に答えるエクリプス。僕は思わずアイラに視線を向けてしまう。
あんなのが団長……。大丈夫なの?
「とにかく怪我人を」
「ふむ、平民への回復魔法は高くつくぞ。冒険者共、払えるのか?」
ルビアさんがうずくまる村人たちに気づいて声をあげた。エクリプスがわけのわからないことを言ってる。
「我々騎士団の魔法使いの魔法は高いからな。お前達の安い給金では払えんだろう。平民共の貯金でも無理だろうしな」
ルビアさんとエナさんが怪我人に駆け寄ると更にわけのわからないことを喚き散らす。
一通り喚くとアイラに気が付いて近づいてきた。
「おお、アイラではないか。どうだ? 戻ってくる気になったか?」
アイラの両手を掴むと目を輝かせるエクリプス。
「帰るわけがない。お前が団長の騎士団なんかには絶対にね」
「ふふ、強気なところが君らしい。必ず私の物にしてやるぞ」
アイラの言葉に笑みをこぼすエクリプス。流石の言葉に僕らは寒気が凄くて自分で自分を抱きしめる。それでも震えが止まらないよ。
「どうだ? 回復魔法を無償でやってやろう。代わりにアイラ、君が副団長となり私の妻となるというのは?」
「はぁ?」
エクリプスの言葉に思わず声をあげてしまった。アイラが除隊した理由はこっちだったか。こんないかれてる人の妻なんて死んでもやだろうからな。
「それは無用だよエクリプス様」
イクシオンさんがそういうとエナさんが回復魔法を唱えて怪我人を治していく。彼女みたいな上位っぽい魔法使いでも、一人一人しか回復できないのか。
「ほ~。なかなか使える魔法使いをお連れですな。しかし、全員には使えないでしょう」
「……」
エクリプスの指摘にエナさんが息を切らせて魔法を使う姿が目に映る。回復魔法は普通の魔法よりも魔力を使うのか?
「平民は魔力も低いからな。はははは」
……一生懸命回復してくれてるエナさんを笑うエクリプスにいてもたってもいられなくなる。
「お兄ちゃん!」
「流石に黙っていられないよな」
ニカが怒って声をあげる。それに同意して魔法石を取り出す。そして、
「なっ! 全員をいっぺんに!? エリアヒールの魔法石だと!?」
周囲の全員を回復するエリアヒールの魔法石。エクリプスが驚いて声をあげる。流石の状況に彼の部下達も驚いて声をもらしてる。
「なぜそんな国宝級の魔法石が平民の手に!?」
「うるさいぞお前。とりあえず黙れ」
「なっ!?」
エクリプスが声をあげるとバルバトスさんが口を塞ぐ。モガモガと声をあげようとしてるけどバルバトスさんの力には勝てないみたいだ。
「さあ、皆さん帰りましょう」
騎士団はバルバトスさん達に任せて村人たちを村に案内する。まったく、助けたのは褒めてあげるけど、その後のケアがなってない。
「私を誰と心得るか! エクリプス伯爵様だぞ!」
村人を連れて行くとそんな声が後ろから聞こえてきた。あの人貴族で騎士なのか……国として終わってるんじゃ?
「恥ずかしいものだな……」
「お察しします」
アイラが顔を両手で覆って声をもらした。思わず僕は慰めるように彼女の肩に手を置いて声をかけた。
「き! 貴様! あのものは誰だ!?」
「え?」
背後から声が聞こえてきた。思わず振り返るとバルバトスさんに抑えられてるエクリプスが凄い睨んできてる。
「ハヤトお兄ちゃん。あの人誤解してるかも……」
「ええ!? もしかしてアイラと関係があるとか思われた?」
「たぶん……」
ニカがなんで怒ってきてるのか考えて教えてくれた。ただ肩に手を置いて話してただけじゃないか。そんなので恋人なんて思われたらたまったものじゃないぞ。
「マスターはカッコいいにゃ」
「ルキナちゃん?」
なぜかルキナちゃんが褒めてくれた。慰めてるつもりかな?
「許さん! 許さんぞ!」
「あ、アイラ~」
「わ、私は悪くないだろ」
「そ、そうだけど……」
バルバトスさんが抑えてくれてるから向かってこないけど、ずっと声が聞こえてくる。アイラに助けを求めたけど、彼女のせいでもないので追及は出来ない。あんなのが町に来て因縁つけてきたらたまったものじゃないぞ。
不安なまま村人たちを村まで案内して無事に捜索隊の任務を終えた。色々と失うものはあったけど、ちょくちょく異世界商店へ換金が出来たから魔道兵工房があと少しで買える。
あ~楽しみだな~……。
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