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第一章
第28話 オルソナル
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ヒューイたちが旅の準備をしているころ。
予期せぬ事態にオルダイナ王国の大臣、オルソナルは屋敷の中、部下を叱りつけていた。
「姫を仕留められなかっただと! 何をしているのだ!」
「も、申し訳ありません。ですが、ルレインだけという情報でしたので」
オルソナルの言葉に部下が答えた。その答えは彼の逆鱗に触れる。
「儂の情報のせいで失敗したと?」
「!? そ、そういうわけでは!」
「儂のせいだと言いたいのか!」
「ギャア!」
オルソナルは部下を氷漬けにして殺してしまう。それでも怒りが収まらないオルソナルは指をならして執事を呼び出した。
「この馬鹿を持ってまいれ」
「はっ!」
執事は数人で氷漬けになった部下を持ち上げて大臣についていく。
屋敷の玄関にある下へと続く階段、そこを下っていく大臣。
深く続く階段は下れば下るほど気温が下がっていく。寒い中、水の滴る音が聞こえ、寒気をもようす消え入るような声が聞こえてくる。
階段が終わりしばらくまっすぐの通路を歩くと大広間へとたどり着く。広間はかなりの広さを有していて、まるでバケモノでも飼っているよう。
「オルソナル様。そろそろ」
「ああ、分かっておる」
執事はあぶら汗を流して声をかける。オルソナルはそれに頷いて氷漬けになった部下を卸させた。
オルソナル達は通路へと退避して、その氷漬けの最後を見届ける。
「くくく、やはり、お前の食べっぷりはいい。こう、ぞくぞくするな」
オルソナルはそういってよだれを流す。
「おい! 儂はしばらく見ている。食事の準備をしておけ。それと女もな」
「はっ! 直ちに!」
オルソナルの言葉に執事は急いで階段を上がっていく。
「お~お~。まだまだ食べたいか? ではその役立たず以外の奴隷を使うとするか」
広間への通路とは別の道をチラッと見て言い放つオルソナル。その先には檻が複数見える。
中には無表情に天を見つめる多種多様な種族。服とは言えないような布を体にまいているだけの奴隷、薬を盛られてさらわれた一般人や戦いに敗れた戦士。さまざまな者たちが生きるのを諦めている様子だった。
それもそのはず、薄暗い地下に監禁され。薄気味悪いバケモノの声が休みなく聞こえてくるのだから。
「あの役立たずは痩せていたからな。もうちょっとこう、太っているものはいないかの~?」
檻のある部屋へとついて呟かれる声。奴隷たちは体を振るわれて首を横に振っている。
「ふむ、人間ではダメか。よかったなおぬしら、今日は魔物の方にしてやるぞ」
ちらりと奥の檻を見据える。そこには豚人のオークやイノシシの魔物が入っていた。
オルソナルが杖をかざす。先ほどの部下を凍らせた杖、そこから冷気が魔物達に注がれる。
「エサを足すのであれば執事を何人か置いておけばよかったな。まあいい」
魔物の檻を全滅させて呟くオルソナル。凍らせた魔物を片手で持ち上げて先ほどの広間へと持っていく。この事からもオルソナルの強さが垣間見える。老人でありながら自分よりも大きな魔物を片手で持ち上げてしまっているのだから。
「さあ、たんとお食べ。おまえの鱗で作った杖の礼じゃ」
広間に着き、それを食べるバケモノへと声をかけるオルソナル。丸呑みしている姿を見て、再度よだれを垂らし、口を拭った。
「おっと、まったく、おぬしは」
「グルルルル」
バケモノは油断していたオルソナルへと尻尾を振り回した。しかし、オルソナルはそれを人差し指一本で止める。
「ダメじゃろ。こんないたいけな老人に尻尾なんぞ当てては。これは仕置きが必要か」
ギロっと睨みつけるオルソナル。それに負けじと睨み返すバケモノ。
「フォッフォッフォ。いつまでも”龍”がなめられていられんといきがっておるのか? 大人しく儂に飼われていればよいものを」
受け止めた尻尾を握り潰すオルソナル。その痛みがないかのように振る舞う、”龍”であるバケモノが氷の息を吹きかけた。
「馬鹿の一つ覚え……。そんなものが儂に聞くと思っておるのか!」
オルソナルはそういって尻尾を持ち上げて龍を地面へと叩きつける。恐ろしいほどの膂力。
けたたましい音が地下を通り、屋敷へと届く。執事達は恐怖しながら作業を急いでいた。『次は自分だ』彼らを支配している恐怖はとても大きなものだった。
「まったく、素直に飼われておれば痛い思いをせんですむというに。まあいい、この肉と鱗はもらっておくぞ。どうせ、生えてくるじゃろ」
「グルル……」
「強がりおって」
薄ら笑いをしてその場を離れるオルソナル。龍は力なく倒れ傷ついてむしられた尻尾を悲しく舐めていた。
「ふむ、しかし、あの役立たずの言っていたルレイン以外の者たち。少し気になるところだな。”孤児院”の者を使っても倒せない輩か。部下に欲しいところだが、邪魔者になるのであれば生かしておくのは危険か」
階段を一段一段上がって呟くオルソナル。ヒューイ達に興味を覗かせていた。調べることとなるのは必然だろう。
「ルレインとアルテナ……二人がテスラへとたどり着いたら。儂の今まで築き上げてきたものがすべてなくなってしまうやもしれん。早急にどうにかしなくてはな。また孤児院のものを雇うか。いや、失敗したものを使うのも示しがつかんか? しかし、”あちら”の部下を使うのはもう少し先じゃからな。致し方ないというわけじゃな」
階段を上り終えて執事を呼び出すオルソナル。執事はすぐに孤児院へと走っていった。
「孤児院の魔法による入信、いや、”入心”といったか。あれを倒すものか。興味深いものだ。しかし、儂を敵に回すとどうなるか思い知らせてやろう」
席に着き、焼き上げられたステーキを鷲掴みにし、食らいつくオルソナル。目には炎が灯っていた。
△
襲撃から三日程が経った。
僕らは旅の準備を終えて、テスラ帝国へと歩みだすこととなった。
「エラは行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
ステインがエラを抱きしめて馬車へと乗り込む。僕らも続いて馬車に乗るとブルームちゃんが一緒に乗ってきた。
「ブルームちゃん。君はダメだよ」
「いや! ヒューイお兄ちゃんと一緒に居たい」
回復させてからブルームちゃんに好かれてしまったんだよな。それからというもの、買い物なんかにもついてくるようになった。
夜も大変でミーシャと一緒に布団に入ってきたり。仕方なく、ミーシャを外に出してブルームちゃんを寝かしつけて、自分は床で寝てたんだよな。
「仕方ねえ。連れて行こう。もしかしたらここも襲われるかもしれないからな。俺達といたほうが安心だろう」
「そうね。一緒ならヒューイと寝られるかもしれないし、いいかも」
ステインがため息をついて話すとなぜかミーシャが同意した。いやいや、彼女が居てもミーシャとは寝ないぞ。
「もう、お姉ちゃんは……」
「ガハハ。まあ、旅は大勢で行ったほうが楽しいだろうて」
リーシャが呆れて声をあげ、ワジソンが楽しそうに笑って話した。予定よりも大勢でテスラ帝国へ。とにかく僕はみんなを守らないとな。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
エラにみんなで挨拶をして、馬車のまどから手を振る。馬車が走り出して窓にキスタンの街並みが流れていく。
「ヒューイお兄ちゃん行ってらっしゃ~い」
「ジナ君か。行ってきます」
レバナさんの診療所の前を通るとジナ君と彼のお母さんが手を振ってくる。レバナさんも控えめに手を振って見送ってくれた。
馬車はそのまま町を進んでいく。馬車の外には日常が溢れていた。市場の賑わい、冒険者同士の争い。どこの町でもあるような当たり前の風景。
いままでスカイ達といろんな町を旅した。
そのどれもが同じ風景を持ってた。
だけど、今日のこの風景は特別なものをもってた。
「ヒューイ! 旅の無事を祈ってる!」
「早く帰ってきてよ~」
冒険者ギルドの前を通ると待っててくれたようでスカイ達が見送ってくれる。彼らにはエラのことを話しておいた。もしものことがあったらレバナさんの診療所に赴いてくれる。
僕らは手を振って答えた。ぎこちない笑顔だったみたいでミーシャに笑われちゃったな。
でも、それがとても嬉しかった。”仲間に笑われた”今まで同じことをされたのに、今はそれがとても嬉しい。おかしいな。
町を飛び出すと砂漠になって道を進んでいく。砂漠と言っても道はしっかりしている。
キスタンを作った冒険者達は砂漠に一本の道を作り出した。焼き固めた砂の道、黒くなった道にレンガを張り付けて作り出した道。馬車が二台すれ違えるほどの道を砂漠の終わりまで作ってある。とても偉大なことだ。
「炎の剣の道」
「え?」
「この道を作った剣だよ」
ルラナが僕の顔を覗いて言って来た。まるで心を読まれたみたいで恥ずかしいな。
「炎の剣【サラマンダラー】炎の精霊で作り出した剣」
「精霊で作った? 精霊が作ったんじゃなくて?」
「……うん。精霊を犠牲にして作り出された剣」
ルラナの言葉を聞き返すと彼は俯いて答えてくれた。
精霊を犠牲にして作り出した剣……ということはルラナのような”人”を犠牲にしてつくりだした。
「今は封印されてる禁術。安心してヒューイ」
ルラナはそういって微笑んだ。思わず悲しい顔をしちゃったかな。ルラナを心配させちゃったな。
「ありがとうルラナ」
彼の頭を撫でてあげるとちょこんと僕の上に腰かけてきた。
馬車は揺れながら目的地への道を進んでいく。
予期せぬ事態にオルダイナ王国の大臣、オルソナルは屋敷の中、部下を叱りつけていた。
「姫を仕留められなかっただと! 何をしているのだ!」
「も、申し訳ありません。ですが、ルレインだけという情報でしたので」
オルソナルの言葉に部下が答えた。その答えは彼の逆鱗に触れる。
「儂の情報のせいで失敗したと?」
「!? そ、そういうわけでは!」
「儂のせいだと言いたいのか!」
「ギャア!」
オルソナルは部下を氷漬けにして殺してしまう。それでも怒りが収まらないオルソナルは指をならして執事を呼び出した。
「この馬鹿を持ってまいれ」
「はっ!」
執事は数人で氷漬けになった部下を持ち上げて大臣についていく。
屋敷の玄関にある下へと続く階段、そこを下っていく大臣。
深く続く階段は下れば下るほど気温が下がっていく。寒い中、水の滴る音が聞こえ、寒気をもようす消え入るような声が聞こえてくる。
階段が終わりしばらくまっすぐの通路を歩くと大広間へとたどり着く。広間はかなりの広さを有していて、まるでバケモノでも飼っているよう。
「オルソナル様。そろそろ」
「ああ、分かっておる」
執事はあぶら汗を流して声をかける。オルソナルはそれに頷いて氷漬けになった部下を卸させた。
オルソナル達は通路へと退避して、その氷漬けの最後を見届ける。
「くくく、やはり、お前の食べっぷりはいい。こう、ぞくぞくするな」
オルソナルはそういってよだれを流す。
「おい! 儂はしばらく見ている。食事の準備をしておけ。それと女もな」
「はっ! 直ちに!」
オルソナルの言葉に執事は急いで階段を上がっていく。
「お~お~。まだまだ食べたいか? ではその役立たず以外の奴隷を使うとするか」
広間への通路とは別の道をチラッと見て言い放つオルソナル。その先には檻が複数見える。
中には無表情に天を見つめる多種多様な種族。服とは言えないような布を体にまいているだけの奴隷、薬を盛られてさらわれた一般人や戦いに敗れた戦士。さまざまな者たちが生きるのを諦めている様子だった。
それもそのはず、薄暗い地下に監禁され。薄気味悪いバケモノの声が休みなく聞こえてくるのだから。
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檻のある部屋へとついて呟かれる声。奴隷たちは体を振るわれて首を横に振っている。
「ふむ、人間ではダメか。よかったなおぬしら、今日は魔物の方にしてやるぞ」
ちらりと奥の檻を見据える。そこには豚人のオークやイノシシの魔物が入っていた。
オルソナルが杖をかざす。先ほどの部下を凍らせた杖、そこから冷気が魔物達に注がれる。
「エサを足すのであれば執事を何人か置いておけばよかったな。まあいい」
魔物の檻を全滅させて呟くオルソナル。凍らせた魔物を片手で持ち上げて先ほどの広間へと持っていく。この事からもオルソナルの強さが垣間見える。老人でありながら自分よりも大きな魔物を片手で持ち上げてしまっているのだから。
「さあ、たんとお食べ。おまえの鱗で作った杖の礼じゃ」
広間に着き、それを食べるバケモノへと声をかけるオルソナル。丸呑みしている姿を見て、再度よだれを垂らし、口を拭った。
「おっと、まったく、おぬしは」
「グルルルル」
バケモノは油断していたオルソナルへと尻尾を振り回した。しかし、オルソナルはそれを人差し指一本で止める。
「ダメじゃろ。こんないたいけな老人に尻尾なんぞ当てては。これは仕置きが必要か」
ギロっと睨みつけるオルソナル。それに負けじと睨み返すバケモノ。
「フォッフォッフォ。いつまでも”龍”がなめられていられんといきがっておるのか? 大人しく儂に飼われていればよいものを」
受け止めた尻尾を握り潰すオルソナル。その痛みがないかのように振る舞う、”龍”であるバケモノが氷の息を吹きかけた。
「馬鹿の一つ覚え……。そんなものが儂に聞くと思っておるのか!」
オルソナルはそういって尻尾を持ち上げて龍を地面へと叩きつける。恐ろしいほどの膂力。
けたたましい音が地下を通り、屋敷へと届く。執事達は恐怖しながら作業を急いでいた。『次は自分だ』彼らを支配している恐怖はとても大きなものだった。
「まったく、素直に飼われておれば痛い思いをせんですむというに。まあいい、この肉と鱗はもらっておくぞ。どうせ、生えてくるじゃろ」
「グルル……」
「強がりおって」
薄ら笑いをしてその場を離れるオルソナル。龍は力なく倒れ傷ついてむしられた尻尾を悲しく舐めていた。
「ふむ、しかし、あの役立たずの言っていたルレイン以外の者たち。少し気になるところだな。”孤児院”の者を使っても倒せない輩か。部下に欲しいところだが、邪魔者になるのであれば生かしておくのは危険か」
階段を一段一段上がって呟くオルソナル。ヒューイ達に興味を覗かせていた。調べることとなるのは必然だろう。
「ルレインとアルテナ……二人がテスラへとたどり着いたら。儂の今まで築き上げてきたものがすべてなくなってしまうやもしれん。早急にどうにかしなくてはな。また孤児院のものを雇うか。いや、失敗したものを使うのも示しがつかんか? しかし、”あちら”の部下を使うのはもう少し先じゃからな。致し方ないというわけじゃな」
階段を上り終えて執事を呼び出すオルソナル。執事はすぐに孤児院へと走っていった。
「孤児院の魔法による入信、いや、”入心”といったか。あれを倒すものか。興味深いものだ。しかし、儂を敵に回すとどうなるか思い知らせてやろう」
席に着き、焼き上げられたステーキを鷲掴みにし、食らいつくオルソナル。目には炎が灯っていた。
△
襲撃から三日程が経った。
僕らは旅の準備を終えて、テスラ帝国へと歩みだすこととなった。
「エラは行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
ステインがエラを抱きしめて馬車へと乗り込む。僕らも続いて馬車に乗るとブルームちゃんが一緒に乗ってきた。
「ブルームちゃん。君はダメだよ」
「いや! ヒューイお兄ちゃんと一緒に居たい」
回復させてからブルームちゃんに好かれてしまったんだよな。それからというもの、買い物なんかにもついてくるようになった。
夜も大変でミーシャと一緒に布団に入ってきたり。仕方なく、ミーシャを外に出してブルームちゃんを寝かしつけて、自分は床で寝てたんだよな。
「仕方ねえ。連れて行こう。もしかしたらここも襲われるかもしれないからな。俺達といたほうが安心だろう」
「そうね。一緒ならヒューイと寝られるかもしれないし、いいかも」
ステインがため息をついて話すとなぜかミーシャが同意した。いやいや、彼女が居てもミーシャとは寝ないぞ。
「もう、お姉ちゃんは……」
「ガハハ。まあ、旅は大勢で行ったほうが楽しいだろうて」
リーシャが呆れて声をあげ、ワジソンが楽しそうに笑って話した。予定よりも大勢でテスラ帝国へ。とにかく僕はみんなを守らないとな。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
エラにみんなで挨拶をして、馬車のまどから手を振る。馬車が走り出して窓にキスタンの街並みが流れていく。
「ヒューイお兄ちゃん行ってらっしゃ~い」
「ジナ君か。行ってきます」
レバナさんの診療所の前を通るとジナ君と彼のお母さんが手を振ってくる。レバナさんも控えめに手を振って見送ってくれた。
馬車はそのまま町を進んでいく。馬車の外には日常が溢れていた。市場の賑わい、冒険者同士の争い。どこの町でもあるような当たり前の風景。
いままでスカイ達といろんな町を旅した。
そのどれもが同じ風景を持ってた。
だけど、今日のこの風景は特別なものをもってた。
「ヒューイ! 旅の無事を祈ってる!」
「早く帰ってきてよ~」
冒険者ギルドの前を通ると待っててくれたようでスカイ達が見送ってくれる。彼らにはエラのことを話しておいた。もしものことがあったらレバナさんの診療所に赴いてくれる。
僕らは手を振って答えた。ぎこちない笑顔だったみたいでミーシャに笑われちゃったな。
でも、それがとても嬉しかった。”仲間に笑われた”今まで同じことをされたのに、今はそれがとても嬉しい。おかしいな。
町を飛び出すと砂漠になって道を進んでいく。砂漠と言っても道はしっかりしている。
キスタンを作った冒険者達は砂漠に一本の道を作り出した。焼き固めた砂の道、黒くなった道にレンガを張り付けて作り出した道。馬車が二台すれ違えるほどの道を砂漠の終わりまで作ってある。とても偉大なことだ。
「炎の剣の道」
「え?」
「この道を作った剣だよ」
ルラナが僕の顔を覗いて言って来た。まるで心を読まれたみたいで恥ずかしいな。
「炎の剣【サラマンダラー】炎の精霊で作り出した剣」
「精霊で作った? 精霊が作ったんじゃなくて?」
「……うん。精霊を犠牲にして作り出された剣」
ルラナの言葉を聞き返すと彼は俯いて答えてくれた。
精霊を犠牲にして作り出した剣……ということはルラナのような”人”を犠牲にしてつくりだした。
「今は封印されてる禁術。安心してヒューイ」
ルラナはそういって微笑んだ。思わず悲しい顔をしちゃったかな。ルラナを心配させちゃったな。
「ありがとうルラナ」
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