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第一章
第7話 仲間
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「まさか、ヒューイから入るって言ってくれるとは思わなかった。嬉しいぞ」
「はは、まあ、色々ありまして」
診療所をクビになって次の日の朝。ステインに話をしたら凄い喜んで迎えてくれた。
「ヒューイと冒険が出来るなんて最高だねリーシャ」
「う、うん」
ミーシャ達も喜んでくれてるみたい。
「ありがとうねヒューイ」
「いえ。僕もいつかは戻らないといけないと思っていましたし」
小声でお礼を言ってくれるエラさん。僕も小声で答えるとニッコリと微笑んでくれた。
身ごもった件についてはステインに内緒にしておきたいみたいだな。彼なら言っても大丈夫だと思うけど、驚かせたいんだろう。
「エラは今日も無理なのか? 大丈夫か? そんなに運動してないと太るぞ」
「もう……、大丈夫よ。それよりも今日はヒューイが初めてのダンジョンよ。頑張ってね」
鈍感なステインが声をあげる。まったく気づいていない彼に僕らはあきれ顔。ワジソンも分かってないみたいで斧を磨いてる。レバナさんに教えてもらわなかったら僕もあんな感じだったのかな。少し反省が必要だな。
「じゃあ、留守を頼んだぞ」
「はい、いってらっしゃいみんな」
『行ってきま~す』
エラさんに留守を頼んで僕らはダンジョンへと出かける。
なんだか緊張するな。初めてのダンジョンだ。みんなの役に立てるだろうか?
「むふふ。ダンジョン初心者のヒューイの為に教えてあげるね」
道すがらミーシャが得意げに話しだした。
「このキスタンのダンジョンは世にも珍しいダンジョンで毎回入る際に中が変わる仕組みになってるの」
「中が変わる? それってどういう?」
「雪山になったり、火山になったり、まあ、十階まではそんな厳しい環境じゃないけどね」
ミーシャの話に疑問を感じるとリーシャが答えてくれた。
環境が変わるってことか、それは大変だな。毎回装備を変えないといけないのか。荷物もいっぱい持っていかないと対応できないな。
「みんなは何階まで行ったことがあるの?」
「私達は十階までだね。それ以上に行ってもそんなに収穫はないらしいから」
「へ~そうなんだ。でも、大変だな~。毎回一階からってことでしょ?」
「あ~違う違う。五階づつで転移先を選べるようになってるんだ。大体はボスって言われる魔物を倒すと休憩所みたいなところに出るんだけど、そこがその転移先になるんだ~」
へ~、ミーシャが答えてくれて感心する。
そんなところがあるのか。それは便利だけど……。まさか、今行くのもその上の階からなのかな? 怖いんだけど?
「心配しないでヒューイ。今日は一階からいくから」
心配してるとリーシャが微笑んで顔を覗いてきた。どうやら、顔に出てたみたいだ。
「ぬふふ。リーシャが可愛いということでっと」
「ちょ、お姉ちゃん!?」
そんなリーシャに抱き着くミーシャ。恥ずかしそうに顔を赤くするリーシャ、僕をチラチラと見てくるけど何かあったのかな?
「さてさて、若い衆。ダンジョンに着いたぞ」
ワジソンがそういうといつの間にか町の中央のダンジョンの前についていた。
水の道と共に人が二人くらい通れる道が祠のような洞窟に続いていく。
その道を進んでいくと大きな空洞と湧き水の泉が現れる。
泉の奥に大きな扉が見えるけど、それがダンジョンの入口だろうか?
「あれがダンジョンだ」
「大きな扉ですね」
ステインが声をあげる。その答えを聞いて扉を見上げる。
三階建ての家がそのまま入ってしまうくらいの扉。周りを見るとダンジョンへと向かう冒険者が何組か待機してる。
「順番札持ってきたよ~」
ミーシャが泉の横に置いてあった待機札という札を持ってきて告げる。
入る順番がちゃんと管理されてるみたいだな。
「次が儂らの番じゃな」
しばらく待っていると待っていた冒険者達がいなくなっていく。みんなダンジョンへの扉に入って消えていった。
「さあ行こうぜヒューイ」
「はい!」
ステインに手を引かれミーシャに抱き着かれて扉に歩いていく。
やれやれといった様子のワジソンとリーシャが印象的だな。ルラナはいつも無口で本を読んでるけどちゃんとついてきてる。
大きな扉が僕らに反応して自動で開いていく。他の冒険者が入って行く時と同じ、真っ黒な世界が広がる。初めてこの中に入った人は凄い勇気だな。こんな中に入るんだからさ。
そんな不安を感じながらみんなと一緒に扉の中へと入って行く。ゆらゆらと視界が巡ると一瞬で景色が変わっていく。
「凄い……」
「でしょ~」
「なんでミーシャが得意げなんだ?」
一瞬で山道のような景色に変わる。思わずつぶやくとミーシャが二ヒヒと笑って自慢げに言って来た。
木が生い茂る山の道。すぐにでも魔物がでそうな雰囲気だ。
「一階の魔物はそんなに攻撃的じゃないんだ。のんびり行こうぜ」
ステインのそんな声で緊張も少し和らぐ。みんなを見ると武器を構える様子も見えない。
「山ってことは頂上に行けばいいのか?」
「ステイン、安直。たぶん洞窟があるんだと思う」
ルラナが本を読みながらステインの言葉に答えた。彼はずっと本を読んでる。武器らしいものも持っていないけど大丈夫なのだろうか?
「う~む、洞窟か。鉱石の気配をたどればいいかの?」
「ドワーフは鉱石が好きだからわかるんだよね」
「うむ、若かりし頃は毎日鉱石を掘ったもんじゃて」
ワジソンの言葉にリーシャが話すと感慨深げに髭を摩りながら呟くワジソン。
ドワーフってそんな特殊能力みたいなことも出来るのか。
「そういえば、ヒューイの武器を聞いてなかったな。何を使うんだ? 腰のナイフか?」
「あっ。言ってませんでしたね。僕は素手ですよ。ナイフは解体の時に使うくらいです」
ステインに答えるとみんな唖然として見つめてきた。ルラナも何も持っていないと思うけどな。
「というか、何もさせてもらえなかったって言うのが正解かな。『前に出ると邪魔だから後ろにいろ』ってよく言われていたし」
「そ、そうなんだ……」
はははと笑って話すと俯くリーシャ。みんな暗い雰囲気になってしまった。
「と、ところでさ。ルラナは何も持っていないけど?」
話題を変えようとルラナに視線を向ける。彼はチラッとこちらを見ると本を閉じた。
「僕の武器はこれ」
「え!? その分厚い本で殴るの?」
「!? そんなことしない! 魔法書だよ!」
彼の細い腕で持つには大きすぎる本。本当に攻撃に使うんじゃないかって思ったら魔法書でした。いつものルラナからは想像もできないほど大きな声で否定してきて。みんな驚いてる。
「ルラナってこんな大きな声を出せるんだ……」
「フォッフォッフォ。ヒューイと一緒に居ると日ごろ見れないものがみれるようじゃな」
リーシャとワジソンが感慨深げにルラナを見やる。ルラナは恥ずかしそうに本を開いて顔を隠した。
しばらく山道を歩いていくとルラナの言っていた通り洞窟が見えた。ワジソンも鉱石があるとワクワクしている様子。
「洞窟の入口にゴブリンの旗。ゴブリンの巣だね」
ミーシャが洞窟の入口にある獣の骨で出来た旗を壊して話す。わざわざ壊すのは冒険者の習性かな。
外の依頼でゴブリンの討伐をすることがあるけど、その時に巣を作っている時がある。その時にはすでに冒険者が入ってる、もしくは終わったという印に壊していくんだ。もちろん、攻略が終わると焚火をその前でして、本当に終わった知らせをしておくんだけどね。
ダンジョンの場合は毎回、中が変わるってことでいらないと思うけど。
「俺とミーシャが先頭で。じゃあいくぞ」
ステインの言葉に頷いて答える。既にみんなは僕の【強化】を受けてる。ゴブリンのこん棒程度じゃ傷すらつかないだろう。
「罠!?」
しばらく洞窟内を歩いているとリーシャが声をあげた。指さす方向を見ると糸が見える。
普通のゴブリンは罠を用いらない。罠をつけると自分たちがかかってしまうためだ。
ただ、例外としてゴブリンも罠を用いる場合がある。
それは、
「レンジャーか……」
「流石にロードやキングがいるわけないからの」
職業もちのゴブリン。
人型の魔物の場合、この職業もちという上位の存在がいる。レンジャーはその中の一つの職業。山がフィールドになったことと一致する内容だ。
レンジャーはゲリラ戦を得意としてる。弓やナイフを使って毒などを用いてくる。
ステインが罠を解除すると罠の矢に毒が塗られているのが見えた。思った通りの結果に緊張が走る。
「リーシャ。魔法で感覚を研ぎ澄ましてくれ」
「大丈夫。ヒューイのおかげで魔法を使わなくても集中できてる」
リーシャは弓を得意としてる。彼女もレンジャーと同じようなことを得意としてるみたいだ。魔法も使えて遠距離のエキスパートといった様子。ミーシャは近距離で妹は遠距離、バランスの取れた姉妹だな。
「え? 松明の火がついてない」
「温かい。消したってことかな」
たいまつが床に落ちていてリーシャが呟くとミーシャがたいまつを踏んづけて熱さを告げる。
みんなの警戒が一気に上がって武器を構える。僕はみんなの目の【強化】を実行した。
「「「「「!?」」」」」
「これで光はいりません」
みんなが驚いて僕を見てきた。その視線にこたえて微笑んだ。
目を強化して暗闇でも見えるようになる。もちろん、身体強化も併用してる。負けるはずがない。
「はは、まあ、色々ありまして」
診療所をクビになって次の日の朝。ステインに話をしたら凄い喜んで迎えてくれた。
「ヒューイと冒険が出来るなんて最高だねリーシャ」
「う、うん」
ミーシャ達も喜んでくれてるみたい。
「ありがとうねヒューイ」
「いえ。僕もいつかは戻らないといけないと思っていましたし」
小声でお礼を言ってくれるエラさん。僕も小声で答えるとニッコリと微笑んでくれた。
身ごもった件についてはステインに内緒にしておきたいみたいだな。彼なら言っても大丈夫だと思うけど、驚かせたいんだろう。
「エラは今日も無理なのか? 大丈夫か? そんなに運動してないと太るぞ」
「もう……、大丈夫よ。それよりも今日はヒューイが初めてのダンジョンよ。頑張ってね」
鈍感なステインが声をあげる。まったく気づいていない彼に僕らはあきれ顔。ワジソンも分かってないみたいで斧を磨いてる。レバナさんに教えてもらわなかったら僕もあんな感じだったのかな。少し反省が必要だな。
「じゃあ、留守を頼んだぞ」
「はい、いってらっしゃいみんな」
『行ってきま~す』
エラさんに留守を頼んで僕らはダンジョンへと出かける。
なんだか緊張するな。初めてのダンジョンだ。みんなの役に立てるだろうか?
「むふふ。ダンジョン初心者のヒューイの為に教えてあげるね」
道すがらミーシャが得意げに話しだした。
「このキスタンのダンジョンは世にも珍しいダンジョンで毎回入る際に中が変わる仕組みになってるの」
「中が変わる? それってどういう?」
「雪山になったり、火山になったり、まあ、十階まではそんな厳しい環境じゃないけどね」
ミーシャの話に疑問を感じるとリーシャが答えてくれた。
環境が変わるってことか、それは大変だな。毎回装備を変えないといけないのか。荷物もいっぱい持っていかないと対応できないな。
「みんなは何階まで行ったことがあるの?」
「私達は十階までだね。それ以上に行ってもそんなに収穫はないらしいから」
「へ~そうなんだ。でも、大変だな~。毎回一階からってことでしょ?」
「あ~違う違う。五階づつで転移先を選べるようになってるんだ。大体はボスって言われる魔物を倒すと休憩所みたいなところに出るんだけど、そこがその転移先になるんだ~」
へ~、ミーシャが答えてくれて感心する。
そんなところがあるのか。それは便利だけど……。まさか、今行くのもその上の階からなのかな? 怖いんだけど?
「心配しないでヒューイ。今日は一階からいくから」
心配してるとリーシャが微笑んで顔を覗いてきた。どうやら、顔に出てたみたいだ。
「ぬふふ。リーシャが可愛いということでっと」
「ちょ、お姉ちゃん!?」
そんなリーシャに抱き着くミーシャ。恥ずかしそうに顔を赤くするリーシャ、僕をチラチラと見てくるけど何かあったのかな?
「さてさて、若い衆。ダンジョンに着いたぞ」
ワジソンがそういうといつの間にか町の中央のダンジョンの前についていた。
水の道と共に人が二人くらい通れる道が祠のような洞窟に続いていく。
その道を進んでいくと大きな空洞と湧き水の泉が現れる。
泉の奥に大きな扉が見えるけど、それがダンジョンの入口だろうか?
「あれがダンジョンだ」
「大きな扉ですね」
ステインが声をあげる。その答えを聞いて扉を見上げる。
三階建ての家がそのまま入ってしまうくらいの扉。周りを見るとダンジョンへと向かう冒険者が何組か待機してる。
「順番札持ってきたよ~」
ミーシャが泉の横に置いてあった待機札という札を持ってきて告げる。
入る順番がちゃんと管理されてるみたいだな。
「次が儂らの番じゃな」
しばらく待っていると待っていた冒険者達がいなくなっていく。みんなダンジョンへの扉に入って消えていった。
「さあ行こうぜヒューイ」
「はい!」
ステインに手を引かれミーシャに抱き着かれて扉に歩いていく。
やれやれといった様子のワジソンとリーシャが印象的だな。ルラナはいつも無口で本を読んでるけどちゃんとついてきてる。
大きな扉が僕らに反応して自動で開いていく。他の冒険者が入って行く時と同じ、真っ黒な世界が広がる。初めてこの中に入った人は凄い勇気だな。こんな中に入るんだからさ。
そんな不安を感じながらみんなと一緒に扉の中へと入って行く。ゆらゆらと視界が巡ると一瞬で景色が変わっていく。
「凄い……」
「でしょ~」
「なんでミーシャが得意げなんだ?」
一瞬で山道のような景色に変わる。思わずつぶやくとミーシャが二ヒヒと笑って自慢げに言って来た。
木が生い茂る山の道。すぐにでも魔物がでそうな雰囲気だ。
「一階の魔物はそんなに攻撃的じゃないんだ。のんびり行こうぜ」
ステインのそんな声で緊張も少し和らぐ。みんなを見ると武器を構える様子も見えない。
「山ってことは頂上に行けばいいのか?」
「ステイン、安直。たぶん洞窟があるんだと思う」
ルラナが本を読みながらステインの言葉に答えた。彼はずっと本を読んでる。武器らしいものも持っていないけど大丈夫なのだろうか?
「う~む、洞窟か。鉱石の気配をたどればいいかの?」
「ドワーフは鉱石が好きだからわかるんだよね」
「うむ、若かりし頃は毎日鉱石を掘ったもんじゃて」
ワジソンの言葉にリーシャが話すと感慨深げに髭を摩りながら呟くワジソン。
ドワーフってそんな特殊能力みたいなことも出来るのか。
「そういえば、ヒューイの武器を聞いてなかったな。何を使うんだ? 腰のナイフか?」
「あっ。言ってませんでしたね。僕は素手ですよ。ナイフは解体の時に使うくらいです」
ステインに答えるとみんな唖然として見つめてきた。ルラナも何も持っていないと思うけどな。
「というか、何もさせてもらえなかったって言うのが正解かな。『前に出ると邪魔だから後ろにいろ』ってよく言われていたし」
「そ、そうなんだ……」
はははと笑って話すと俯くリーシャ。みんな暗い雰囲気になってしまった。
「と、ところでさ。ルラナは何も持っていないけど?」
話題を変えようとルラナに視線を向ける。彼はチラッとこちらを見ると本を閉じた。
「僕の武器はこれ」
「え!? その分厚い本で殴るの?」
「!? そんなことしない! 魔法書だよ!」
彼の細い腕で持つには大きすぎる本。本当に攻撃に使うんじゃないかって思ったら魔法書でした。いつものルラナからは想像もできないほど大きな声で否定してきて。みんな驚いてる。
「ルラナってこんな大きな声を出せるんだ……」
「フォッフォッフォ。ヒューイと一緒に居ると日ごろ見れないものがみれるようじゃな」
リーシャとワジソンが感慨深げにルラナを見やる。ルラナは恥ずかしそうに本を開いて顔を隠した。
しばらく山道を歩いていくとルラナの言っていた通り洞窟が見えた。ワジソンも鉱石があるとワクワクしている様子。
「洞窟の入口にゴブリンの旗。ゴブリンの巣だね」
ミーシャが洞窟の入口にある獣の骨で出来た旗を壊して話す。わざわざ壊すのは冒険者の習性かな。
外の依頼でゴブリンの討伐をすることがあるけど、その時に巣を作っている時がある。その時にはすでに冒険者が入ってる、もしくは終わったという印に壊していくんだ。もちろん、攻略が終わると焚火をその前でして、本当に終わった知らせをしておくんだけどね。
ダンジョンの場合は毎回、中が変わるってことでいらないと思うけど。
「俺とミーシャが先頭で。じゃあいくぞ」
ステインの言葉に頷いて答える。既にみんなは僕の【強化】を受けてる。ゴブリンのこん棒程度じゃ傷すらつかないだろう。
「罠!?」
しばらく洞窟内を歩いているとリーシャが声をあげた。指さす方向を見ると糸が見える。
普通のゴブリンは罠を用いらない。罠をつけると自分たちがかかってしまうためだ。
ただ、例外としてゴブリンも罠を用いる場合がある。
それは、
「レンジャーか……」
「流石にロードやキングがいるわけないからの」
職業もちのゴブリン。
人型の魔物の場合、この職業もちという上位の存在がいる。レンジャーはその中の一つの職業。山がフィールドになったことと一致する内容だ。
レンジャーはゲリラ戦を得意としてる。弓やナイフを使って毒などを用いてくる。
ステインが罠を解除すると罠の矢に毒が塗られているのが見えた。思った通りの結果に緊張が走る。
「リーシャ。魔法で感覚を研ぎ澄ましてくれ」
「大丈夫。ヒューイのおかげで魔法を使わなくても集中できてる」
リーシャは弓を得意としてる。彼女もレンジャーと同じようなことを得意としてるみたいだ。魔法も使えて遠距離のエキスパートといった様子。ミーシャは近距離で妹は遠距離、バランスの取れた姉妹だな。
「え? 松明の火がついてない」
「温かい。消したってことかな」
たいまつが床に落ちていてリーシャが呟くとミーシャがたいまつを踏んづけて熱さを告げる。
みんなの警戒が一気に上がって武器を構える。僕はみんなの目の【強化】を実行した。
「「「「「!?」」」」」
「これで光はいりません」
みんなが驚いて僕を見てきた。その視線にこたえて微笑んだ。
目を強化して暗闇でも見えるようになる。もちろん、身体強化も併用してる。負けるはずがない。
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