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第一章 新しき世界
第34話 恩人との再会
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「マモル~!」
「カシムさ~ん!」
フィン様に案内されてやってくる馬車の先頭を歩くカシムさん。私に気がついて駆け寄ってくる。彼はひしっと抱き合うと涙を拭う。
「生きていてよかったぞ!」
「ははは、運はいいのか悪いのか。【憎まれっ子世に憚る】と申しますしね」
「なんじゃそりゃ! それならマモルはすぐに死ぬぞ。人の何倍もいいやつじゃねえかよ」
喜んでくれるカシムさんにことわざを一つ言うと肩を抱かれて笑ってくれます。
「そうだ! 聖女様と大司祭様も連れてきてるんだ。二人も大変心配していたんだぞ」
「え!? モミジさんとミントさんですか」
なぜ聖女様と大司祭様のお二人が? 正直モミジさんに会うのは嬉しいですが。
「マモル様! ああ、本当にご存命とは、神よ! 感謝いたします!」
ミントさんが馬車から降りてきて抱きしめてくる。すっかり目はいいようですね。
「ははは、ミントさん若い女性が私などに抱き着いてはいけませんよ」
「何を言っているんですかマモル様。妻が夫に抱き着くのは当たり前の行為です」
「妻? 夫?」
ミントさんが訳の分からないことを言い始めてしまいました。なぜか彼女の目がハートで、よく見ると着ている服も少し露出が多めですね。司祭の服とは思えません。
「ミントさん!? なんてことを!」
目のやり場に困っているとモミジさんが同じ馬車から出てきて駆け寄ってきます。彼女が両手に持っているのは洋服? 司祭の服のようですがまさか……。
「マモルさんがいると聞いて服を脱ぐなんて!」
「妻が夫の前で服を着ているのは良くありません。私は目の見えない頃に巫女からそんな話を聞いていました」
「……それは嘘ですし、嘘だって分かっていますよね?」
モミジさんの言葉に応えるミントさん。流石に無理がありますね。
「も、モミジさん。久方ぶりです……」
「あっ!? マモルさん、お久しぶりです」
もじもじとモミジさんの顔を直視できずに挨拶を交わす。彼女も同じように手遊びを始めています。私を意識してくれてる?
「な、なんですかこの空気は!? 愛の波動!?」
「「愛!?」」
私とモミジさんに挟まれているミントさんがまたもや訳の分からないことを口走っています。なんですか愛の波動って。
「モミジさん。あなたは聖女です。聖女は神様に使える者です。誰かの物になってはいけません」
「な、何を勘違いしているんですかミントさん!? わ、私とマモルさんはそんな間柄じゃ」
ミントさんが私から離れて説教をしています。真剣な表情でモミジさんに言っていますが服装を正さないとダメだと思います。
「マモル。俺達は仕事があるから行くぞ。女関係はしっかりしておけよ」
「あ、カシムさん……。しっかりとと言われても一応何もないんだけど」
フィン様達と一緒に町の中央に向かって行くカシムさん。彼らの一団はかなりの大所帯、これから町は復興していくでしょう。
「マモルさんはミントさんと結婚なんて嫌ですよね?」
「え?」
モミジさんとミントさんが言い合いをしていると思ったら矛先が私へと向けられました。
私も男ですし、年齢=独身です。こんなに可愛らしい女性に好かれるのは夢がありますね。まあ、ロリコンではないのでお断りいたしますけど。
「ははは、ミントさんにはもっといい人がいるはずですよ」
「マモルさんよりもいい人はいないと思います。なのでぜひ結婚を前提にお付き合いから!」
「ええ!? ミントさん本気ですか?」
「私は大司祭です。嘘も冗談もいいませんよ!」
私の言葉に応えるミントさん。目は真剣ですが先ほどすでに嘘をついているので説得力はありませんね。
「マモルさん。騙されちゃダメです。彼女は連邦の教会本部にあなたを連れて行きたいんですよ。あっ、誤解しないでください。決してマモルさんに魅力がないっていうわけじゃないですからね。マモルさんは今も昔もとても優しい人です」
ミントさんの本音を暴露してくれるモミジさん。最初はジト目でミントさんを見ていましたが最後は顔が真っ赤になっていました。無理に私を褒めてくれなくていいのですが、正直嬉しいですね。
「教会本部に連れて行きたいのは本当です。ですが好きなのも本当。だって私の目を治してくれたもの……。絶対に世界を見ることなんて出来ないと思っていたのに。こんなに綺麗な光景を見ることが出来てる。すべてあなたのおかげ。好きです、付き合ってください」
「……」
ミントさんは真剣な眼差しで告白をしてくれる。これに私はどう答えたらいいのでしょうか。こんな45のおじさんがこんな少女の好意を受け止めていいのでしょうか。嬉しいですが私など、
「あの、ミントさん」
「ダメです! マモルさんは私の!」
「え? モミジさん?」
「あ……」
断ろうと声をあげるとモミジさんが遮る言葉をあげました。驚いて彼女を見ると顔を真っ赤にしています。これは愛の波動というやつですか?
「……私は二番目でもいいです。まずはお二人でお話をしてみてはいかがですか? それじゃ教会の建物を作る場所を伺ってきますので」
ミントさんが飄々とこの場を後にします。まるでこうなることを知っていたかのような行動ですね。明らかにクーナリアで会った時と性格が変わっていましたがモミジさんをからかうためだったんですね。色々と納得しました。
「モミジさん、ミントさんにやられましたね。いや~、それにしてもいい天気です。世界樹が一層綺麗に見えます」
「……それって誘ってるんですか?」
「え? あっ!? いえいえそういうわけでは。ははは、【月が綺麗ですね】なんてよく知ってますね」
「本、好きですから」
まさか世界樹が綺麗を比喩として取ってもらえるなんて思いませんでした。思わず冷や汗が出てしまいました。しかし、顔を赤くしているモミジさんは綺麗ですね。
座りやすそうな石材があります。自分を落ち着かせるために座りますかね。
「は、ははは……。そういえば、サクラさんは?」
石材に座りながら訪ねると少しため息をつくモミジさん。少しすると私の隣に座って答えた。
「サクラは勇者なので王の交代で弱っているクーナリアを守るために残っています。戦わなってギリルさんが言うので」
「そうですか」
エルフの国と一緒ですね。弱みを見せてしまっているのでしょう。強みを見せて抑止力にするしかないのでしょうね。
「ギリルさんはマモルさんを探すために世界中に人を回しています。カシムさん達と協力して。本当に生きていてくれてよかったです」
「モミジさん。ありがとうございます」
モミジさんが涙を拭いながら話す。思わず私もウルっと来てしまいました。皆さんは私の心配をしていてくれてたんですね。
「……では私も皆さんのところへ行って何か手伝えることがないか聞いてきますかね」
「私、本当に心配していたんです」
「え?」
無言の時間が多くなりいたたまれなくなって立ち上がるとモミジさんが腕を掴んで引き止めてきました。彼女は俯きながら呟く。
「主人を無くした時と同じような喪失感を感じました」
「ご主人を無くした!?」
モミジさんは旦那さんを無くしているんですか!? それなのにサクラさんはあんなに立派で、凄い人だ。
「マモルさん、覚えていますか? あのサクラの木の下でのことを」
モミジさんは手を震わせながら呟いていく。
「はい、つい先ほど思い出しましたよ。あなたの手の温もりを」
「……」
少し気持ち悪い言い方になってしまいました。モミジさんが黙ってしまった。
「あ~、えっとそれじゃ」
「好きですマモルさん。ミントさんじゃないですけど、私と付き合ってください!」
「え……、ええぇぇ~~!?」
衝撃の告白、次号に続くといった感じでしょうか!? って現実逃避をしている場合じゃありませんよ!
「カシムさ~ん!」
フィン様に案内されてやってくる馬車の先頭を歩くカシムさん。私に気がついて駆け寄ってくる。彼はひしっと抱き合うと涙を拭う。
「生きていてよかったぞ!」
「ははは、運はいいのか悪いのか。【憎まれっ子世に憚る】と申しますしね」
「なんじゃそりゃ! それならマモルはすぐに死ぬぞ。人の何倍もいいやつじゃねえかよ」
喜んでくれるカシムさんにことわざを一つ言うと肩を抱かれて笑ってくれます。
「そうだ! 聖女様と大司祭様も連れてきてるんだ。二人も大変心配していたんだぞ」
「え!? モミジさんとミントさんですか」
なぜ聖女様と大司祭様のお二人が? 正直モミジさんに会うのは嬉しいですが。
「マモル様! ああ、本当にご存命とは、神よ! 感謝いたします!」
ミントさんが馬車から降りてきて抱きしめてくる。すっかり目はいいようですね。
「ははは、ミントさん若い女性が私などに抱き着いてはいけませんよ」
「何を言っているんですかマモル様。妻が夫に抱き着くのは当たり前の行為です」
「妻? 夫?」
ミントさんが訳の分からないことを言い始めてしまいました。なぜか彼女の目がハートで、よく見ると着ている服も少し露出が多めですね。司祭の服とは思えません。
「ミントさん!? なんてことを!」
目のやり場に困っているとモミジさんが同じ馬車から出てきて駆け寄ってきます。彼女が両手に持っているのは洋服? 司祭の服のようですがまさか……。
「マモルさんがいると聞いて服を脱ぐなんて!」
「妻が夫の前で服を着ているのは良くありません。私は目の見えない頃に巫女からそんな話を聞いていました」
「……それは嘘ですし、嘘だって分かっていますよね?」
モミジさんの言葉に応えるミントさん。流石に無理がありますね。
「も、モミジさん。久方ぶりです……」
「あっ!? マモルさん、お久しぶりです」
もじもじとモミジさんの顔を直視できずに挨拶を交わす。彼女も同じように手遊びを始めています。私を意識してくれてる?
「な、なんですかこの空気は!? 愛の波動!?」
「「愛!?」」
私とモミジさんに挟まれているミントさんがまたもや訳の分からないことを口走っています。なんですか愛の波動って。
「モミジさん。あなたは聖女です。聖女は神様に使える者です。誰かの物になってはいけません」
「な、何を勘違いしているんですかミントさん!? わ、私とマモルさんはそんな間柄じゃ」
ミントさんが私から離れて説教をしています。真剣な表情でモミジさんに言っていますが服装を正さないとダメだと思います。
「マモル。俺達は仕事があるから行くぞ。女関係はしっかりしておけよ」
「あ、カシムさん……。しっかりとと言われても一応何もないんだけど」
フィン様達と一緒に町の中央に向かって行くカシムさん。彼らの一団はかなりの大所帯、これから町は復興していくでしょう。
「マモルさんはミントさんと結婚なんて嫌ですよね?」
「え?」
モミジさんとミントさんが言い合いをしていると思ったら矛先が私へと向けられました。
私も男ですし、年齢=独身です。こんなに可愛らしい女性に好かれるのは夢がありますね。まあ、ロリコンではないのでお断りいたしますけど。
「ははは、ミントさんにはもっといい人がいるはずですよ」
「マモルさんよりもいい人はいないと思います。なのでぜひ結婚を前提にお付き合いから!」
「ええ!? ミントさん本気ですか?」
「私は大司祭です。嘘も冗談もいいませんよ!」
私の言葉に応えるミントさん。目は真剣ですが先ほどすでに嘘をついているので説得力はありませんね。
「マモルさん。騙されちゃダメです。彼女は連邦の教会本部にあなたを連れて行きたいんですよ。あっ、誤解しないでください。決してマモルさんに魅力がないっていうわけじゃないですからね。マモルさんは今も昔もとても優しい人です」
ミントさんの本音を暴露してくれるモミジさん。最初はジト目でミントさんを見ていましたが最後は顔が真っ赤になっていました。無理に私を褒めてくれなくていいのですが、正直嬉しいですね。
「教会本部に連れて行きたいのは本当です。ですが好きなのも本当。だって私の目を治してくれたもの……。絶対に世界を見ることなんて出来ないと思っていたのに。こんなに綺麗な光景を見ることが出来てる。すべてあなたのおかげ。好きです、付き合ってください」
「……」
ミントさんは真剣な眼差しで告白をしてくれる。これに私はどう答えたらいいのでしょうか。こんな45のおじさんがこんな少女の好意を受け止めていいのでしょうか。嬉しいですが私など、
「あの、ミントさん」
「ダメです! マモルさんは私の!」
「え? モミジさん?」
「あ……」
断ろうと声をあげるとモミジさんが遮る言葉をあげました。驚いて彼女を見ると顔を真っ赤にしています。これは愛の波動というやつですか?
「……私は二番目でもいいです。まずはお二人でお話をしてみてはいかがですか? それじゃ教会の建物を作る場所を伺ってきますので」
ミントさんが飄々とこの場を後にします。まるでこうなることを知っていたかのような行動ですね。明らかにクーナリアで会った時と性格が変わっていましたがモミジさんをからかうためだったんですね。色々と納得しました。
「モミジさん、ミントさんにやられましたね。いや~、それにしてもいい天気です。世界樹が一層綺麗に見えます」
「……それって誘ってるんですか?」
「え? あっ!? いえいえそういうわけでは。ははは、【月が綺麗ですね】なんてよく知ってますね」
「本、好きですから」
まさか世界樹が綺麗を比喩として取ってもらえるなんて思いませんでした。思わず冷や汗が出てしまいました。しかし、顔を赤くしているモミジさんは綺麗ですね。
座りやすそうな石材があります。自分を落ち着かせるために座りますかね。
「は、ははは……。そういえば、サクラさんは?」
石材に座りながら訪ねると少しため息をつくモミジさん。少しすると私の隣に座って答えた。
「サクラは勇者なので王の交代で弱っているクーナリアを守るために残っています。戦わなってギリルさんが言うので」
「そうですか」
エルフの国と一緒ですね。弱みを見せてしまっているのでしょう。強みを見せて抑止力にするしかないのでしょうね。
「ギリルさんはマモルさんを探すために世界中に人を回しています。カシムさん達と協力して。本当に生きていてくれてよかったです」
「モミジさん。ありがとうございます」
モミジさんが涙を拭いながら話す。思わず私もウルっと来てしまいました。皆さんは私の心配をしていてくれてたんですね。
「……では私も皆さんのところへ行って何か手伝えることがないか聞いてきますかね」
「私、本当に心配していたんです」
「え?」
無言の時間が多くなりいたたまれなくなって立ち上がるとモミジさんが腕を掴んで引き止めてきました。彼女は俯きながら呟く。
「主人を無くした時と同じような喪失感を感じました」
「ご主人を無くした!?」
モミジさんは旦那さんを無くしているんですか!? それなのにサクラさんはあんなに立派で、凄い人だ。
「マモルさん、覚えていますか? あのサクラの木の下でのことを」
モミジさんは手を震わせながら呟いていく。
「はい、つい先ほど思い出しましたよ。あなたの手の温もりを」
「……」
少し気持ち悪い言い方になってしまいました。モミジさんが黙ってしまった。
「あ~、えっとそれじゃ」
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