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第一章 新しき世界
第24話 お買い物
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◇
「お姉さん、お話ありがとうございます」
「ははは、お姉さんなんてやめておくれよ。買ってくれたお客様には愛想がいいだけだよ。また来ておくれ」
出店の恰幅のいいエルフのお姉さんからきのこ焼きを買って色々と情報を得ました。
このヒカールスの国はエルフの国、王様のお名前はフィンさん。彼とはクーナリアで会っていますから知っていますね。王妃様はルスラさん、お姫様はルリさん、とても仲の良い方々で偶に城下町にも遊びに来るらしいです。住民の方々とも仲が良い王族とはクーナリアのグーダラとは大きく違いますね。
「マモルさんがいた所は南なんですよね。すぐに行くんですか?」
「そんなに急がなくてもいいでしょう。せっかくですから色々と回りましょう。ヴィスさんも初めての別の大陸、楽しみたいでしょう?」
「はい! ソマツおじいちゃんにもいろいろ見てきなさいって言われました」
ヴィスさんと話しながらきのこ焼きをたべる。ほんのりと甘いきのこの汁が口に広がる。椎茸を思い出しますね。赤い色の傘のきのこなので見た目はどぎついですが上品な旨みが最高ですね。
「ベヘモスもシーサーペントも美味しいですか?」
「キャン!」
「キュン!」
私の横を歩くベヘモスとヴィスさんの抱くシーサーペントに声をかけると嬉しそうに声をあげています。
「ま、マモルさん。二人の名前を考えたほうがいいかもしれないですよ」
「え? 何故ですか?」
「ほ、ほら。周りの人を……」
「周り?」
ヴィスさんが冷や汗をかきながら言ってくるので周りを見渡す。横を通る人やすれ違った人達がベヘモスとシーサーペントに視線を向けてきています。魔物を連れているのは珍しいのでしょうか?
「魔物の名前のままでは注目を浴びてしまうということですね」
「はい。Sランクの魔物ですから名前も知られていると思いますし」
そうでした、二人は有名人、いやいや魔物なので有名魔物でしたね。しかし、名前ですか……猫や犬になまえをつけたことはありましたが、ん~。
「考えてみました。ベヘモスは犬っぽいのでポチ。シーサーペントは海の魔物ということでシーでいかがでしょう」
「キャン!」
「キュンキュン!」
ポチもシーも喜んでくれているようです。よかった、あまり自信はなかったんですが。私は名付けの才能があったのかもしれませんね。
「そこの男止まれ!」
自分の才能に驚いているとエルフさんには珍しい黒髪の女性が声をかけてきた。騎士のような恰好をしていますがなんでしょうか。
「わ、私ですか?」
「お前以外にいないだろう。エルフではないということは外から来たんだろう。褐色の君も仲間か?」
「は、はい」
剣を抜いて私に突きつけてくる女性。ヴィスさんも睨みつけてきます。こんなことをされる筋合いはないのですが。
「その手に持っている動物はなんだ?」
「え、えっと。シーサーペントです……」
「シーサーペント……先ほどもそう言っていたな。あとこっちの可愛らしい。コホンッ、ちんちくりんな動物をベヘモスと」
ヴィスさんに声をあげる女性。続いてポチを見て顔を赤くさせています。実は可愛いもの好きなのでしょうか。触りたい様子で手が震えています。
「レリック! もう! どこに行ったかと思った!」
「姫様申し訳ありません。少し気になった者たちがいましたので」
「気になる者達? わ~可愛い~」
女性をレリックと呼ぶお嬢さんが声をかけてきた。姫ということはルリさんと言う方でしょうか? 姫様はベヘモスの頭を撫でまわしています。
「ひ、姫様! うらやま、じゃなかった。危険です、どういった動物かわかっていないのに」
「レリック! 民を疑ってはいけません。まずは知ることに徹するのです」
「感服いたしました。では私も」
レリックさんはお姫様に言いくるめられたようですね。一緒にベヘモスを撫でまわし始めました。
「フカフカですね。ベヘモスと言うのは本当なのですか? 幼体?」
「子供と言うのは確かですが本当は建物くらい大きいですよ。小さくなれるようになっているだけです」
「そ、それは本当か! 危険だな。絶対に街中で元に戻らないようにな」
姫様の質問に答えるとレリックさんが心配して声をあげています。普通にそんなことさせませんけどね。
「私はルリ。あなた達のお名前を聞いてもいい?」
「はい、構いませんよ。私はマモル。こちらがヴィスさん。この子はベヘモスのポチであちらがシーサーペントのシーです」
自己紹介をしてくれるルリさん。やはりこの国のお姫様のようですね。
「マモルさん? どこかで聞いたような?」
「たぶんフィンさんが話したんじゃないですか?」
「え? お父様を知っているの?」
「はい。クーナリアでお会いしましたから」
心当たりがある様子のルリさんに答える。
「クーナリアに行ったのは二か月前の話」
「あ~、たぶんそのくらい経ちますね」
転移された時からそのくらい経っているでしょうね。正確な日時はわからなかったですが。
「姫様おかしいです。マモルという人物の話は確かに王様から聞いていましたが転移陣で死の大陸に飛ばされてしまったはずです」
「そうですよ。だからこの子達がいるんです」
「……し、信じられない。生還したということですか?」
レリックさんの言葉に答えると彼女は驚愕してる。死の大陸と言われるほどの土地ですものね。仕方ありません。
「じゃあお父様にお会いします?」
「え? いやいいですよ。王様に会うなんて恐れ多い。そんなに話したわけでもないですしね」
王様に会うなんて緊張してしまいます。あの時は急だったから何とも思いませんでしたけど、お城の玉座の間で会うなんて心臓が飛び出しちゃいますよ。
「そうなんですか? じゃあ、私達はそろそろ行きますね。買い物の途中だったので。レリック行きましょ」
「姫様! では失礼いたします」
断るとそそくさと行ってしまいました。何か気分を害することを言ってしまったでしょうか?
「じゃあ、僕らも行きましょマモルさん」
「そうですね」
気にしても仕方ありません。次は冒険者ギルドに行ってみましょうか。エルフの冒険者さん達はどんな方々なんでしょう。楽しみです。
「お姉さん、お話ありがとうございます」
「ははは、お姉さんなんてやめておくれよ。買ってくれたお客様には愛想がいいだけだよ。また来ておくれ」
出店の恰幅のいいエルフのお姉さんからきのこ焼きを買って色々と情報を得ました。
このヒカールスの国はエルフの国、王様のお名前はフィンさん。彼とはクーナリアで会っていますから知っていますね。王妃様はルスラさん、お姫様はルリさん、とても仲の良い方々で偶に城下町にも遊びに来るらしいです。住民の方々とも仲が良い王族とはクーナリアのグーダラとは大きく違いますね。
「マモルさんがいた所は南なんですよね。すぐに行くんですか?」
「そんなに急がなくてもいいでしょう。せっかくですから色々と回りましょう。ヴィスさんも初めての別の大陸、楽しみたいでしょう?」
「はい! ソマツおじいちゃんにもいろいろ見てきなさいって言われました」
ヴィスさんと話しながらきのこ焼きをたべる。ほんのりと甘いきのこの汁が口に広がる。椎茸を思い出しますね。赤い色の傘のきのこなので見た目はどぎついですが上品な旨みが最高ですね。
「ベヘモスもシーサーペントも美味しいですか?」
「キャン!」
「キュン!」
私の横を歩くベヘモスとヴィスさんの抱くシーサーペントに声をかけると嬉しそうに声をあげています。
「ま、マモルさん。二人の名前を考えたほうがいいかもしれないですよ」
「え? 何故ですか?」
「ほ、ほら。周りの人を……」
「周り?」
ヴィスさんが冷や汗をかきながら言ってくるので周りを見渡す。横を通る人やすれ違った人達がベヘモスとシーサーペントに視線を向けてきています。魔物を連れているのは珍しいのでしょうか?
「魔物の名前のままでは注目を浴びてしまうということですね」
「はい。Sランクの魔物ですから名前も知られていると思いますし」
そうでした、二人は有名人、いやいや魔物なので有名魔物でしたね。しかし、名前ですか……猫や犬になまえをつけたことはありましたが、ん~。
「考えてみました。ベヘモスは犬っぽいのでポチ。シーサーペントは海の魔物ということでシーでいかがでしょう」
「キャン!」
「キュンキュン!」
ポチもシーも喜んでくれているようです。よかった、あまり自信はなかったんですが。私は名付けの才能があったのかもしれませんね。
「そこの男止まれ!」
自分の才能に驚いているとエルフさんには珍しい黒髪の女性が声をかけてきた。騎士のような恰好をしていますがなんでしょうか。
「わ、私ですか?」
「お前以外にいないだろう。エルフではないということは外から来たんだろう。褐色の君も仲間か?」
「は、はい」
剣を抜いて私に突きつけてくる女性。ヴィスさんも睨みつけてきます。こんなことをされる筋合いはないのですが。
「その手に持っている動物はなんだ?」
「え、えっと。シーサーペントです……」
「シーサーペント……先ほどもそう言っていたな。あとこっちの可愛らしい。コホンッ、ちんちくりんな動物をベヘモスと」
ヴィスさんに声をあげる女性。続いてポチを見て顔を赤くさせています。実は可愛いもの好きなのでしょうか。触りたい様子で手が震えています。
「レリック! もう! どこに行ったかと思った!」
「姫様申し訳ありません。少し気になった者たちがいましたので」
「気になる者達? わ~可愛い~」
女性をレリックと呼ぶお嬢さんが声をかけてきた。姫ということはルリさんと言う方でしょうか? 姫様はベヘモスの頭を撫でまわしています。
「ひ、姫様! うらやま、じゃなかった。危険です、どういった動物かわかっていないのに」
「レリック! 民を疑ってはいけません。まずは知ることに徹するのです」
「感服いたしました。では私も」
レリックさんはお姫様に言いくるめられたようですね。一緒にベヘモスを撫でまわし始めました。
「フカフカですね。ベヘモスと言うのは本当なのですか? 幼体?」
「子供と言うのは確かですが本当は建物くらい大きいですよ。小さくなれるようになっているだけです」
「そ、それは本当か! 危険だな。絶対に街中で元に戻らないようにな」
姫様の質問に答えるとレリックさんが心配して声をあげています。普通にそんなことさせませんけどね。
「私はルリ。あなた達のお名前を聞いてもいい?」
「はい、構いませんよ。私はマモル。こちらがヴィスさん。この子はベヘモスのポチであちらがシーサーペントのシーです」
自己紹介をしてくれるルリさん。やはりこの国のお姫様のようですね。
「マモルさん? どこかで聞いたような?」
「たぶんフィンさんが話したんじゃないですか?」
「え? お父様を知っているの?」
「はい。クーナリアでお会いしましたから」
心当たりがある様子のルリさんに答える。
「クーナリアに行ったのは二か月前の話」
「あ~、たぶんそのくらい経ちますね」
転移された時からそのくらい経っているでしょうね。正確な日時はわからなかったですが。
「姫様おかしいです。マモルという人物の話は確かに王様から聞いていましたが転移陣で死の大陸に飛ばされてしまったはずです」
「そうですよ。だからこの子達がいるんです」
「……し、信じられない。生還したということですか?」
レリックさんの言葉に答えると彼女は驚愕してる。死の大陸と言われるほどの土地ですものね。仕方ありません。
「じゃあお父様にお会いします?」
「え? いやいいですよ。王様に会うなんて恐れ多い。そんなに話したわけでもないですしね」
王様に会うなんて緊張してしまいます。あの時は急だったから何とも思いませんでしたけど、お城の玉座の間で会うなんて心臓が飛び出しちゃいますよ。
「そうなんですか? じゃあ、私達はそろそろ行きますね。買い物の途中だったので。レリック行きましょ」
「姫様! では失礼いたします」
断るとそそくさと行ってしまいました。何か気分を害することを言ってしまったでしょうか?
「じゃあ、僕らも行きましょマモルさん」
「そうですね」
気にしても仕方ありません。次は冒険者ギルドに行ってみましょうか。エルフの冒険者さん達はどんな方々なんでしょう。楽しみです。
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