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第二章 悪しき影
第八十五話 決着
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「プキュキュキュ~」
僕らはブルゼルと対峙している。気味の悪い声を出しているブルゼルがブルブルと震えだす。
「1、2、3か、三個の分体を出して一番強そうなのを共闘するか」
震えて体の一部が分離し始めた。分離した体が形を作っていく、最初に戦ったブルゼルになっていってるみたいだ。
「させるか![グラビティチェイン]」
「「「プキュキュ~」」」
ゼットが黒い鎖を三体に巻きつける。瞬時に締め上げて地面にめり込んでいく。さっき使ったホールと同じように重力を与える魔法なんだろうね。分体はそのまま水分になって行ったよ。
「プキュキュキュ~。かかったね~」
「なに!」
ブルゼルが笑うと水分になった分体から毒霧が勢いよく噴出した。
「プキュキュキュキュ~。この中では生き物は生きられん。儂以外はな~」
僕らは霧に包まれてしまった。ブルゼルの高笑いの様な声が聞こえてくる。
「ちぃ! アレク、無事か?」
霧に包まれながらも上空に逃げたゼットが僕たちを心配してる。
「お前はそこで見ていろ! プキュキュ~毒霧の中でお楽しみだ~」
「ぐっ! まさか、やられたのか」
ブルゼルが毒霧の中に入ってきた。ノシノシと足音が近づいてくる。
「そこにいたか~、プッキュッキュッキュ~。すぐに楽にしてやるプキュ」
ブルゼルが倒れる僕に近づいてくる。楽しいおもちゃを見つけたようにはねた声をあげているよ。
「ほれ! 捕まえたぞ~」
「誰が?」
「なっ! お前は、という事はこれは!?」
布を人型に縫ったぬいぐるみだよ~。ブルゼルが近づいていったのはぬいぐるみでした。精巧に作った僕に似たぬいぐるみだから間違っても仕方ないよ。
「やっ!」
「はっ!」
「グハッ! 何故、人間がこの中で動ける! その布切れのせいか!」
僕とシーナがブルゼルに蹴りや拳をめり込ませる。ブルゼルはお腹を抑えてたたらを踏んでいる。相当利いたみたいだな。
「アレクは凄いんだから。こんな毒も浄化しちゃう口当てを作っちゃったんだよ」
「そんな布で消せるほど儂の分体毒は弱くない! プキュキュキュ。こんな屈辱、あの時レイクアーサーとレインリリーによって封印された時以来だ」
歯ぎしりして悔しがってるブルゼル、口から紫色の液体を地面に垂らしているよ。地面はジュクジュクと焼け焦げていってる。毒よりもあれが危険だ。
僕は布に職業を付与したんだ。水の巫女の職業を付与したことでこういった浄化の効果が働くようになった。実は勇者と一緒に巫女の職業も付与できるようになったんだよね。僕の両親の職業を付与できるようになったのは二人のおかげかもしれない。僕に仇を取ってほしいんだ。
「プッキュッキュ、しかし、儂は負けんぞ。水の勇者も儂に勝てないと悟り、封印したのだ。最強の魔王なのだ~」
「じゃあ、終わらせてあげるよ! 最強の魔王さん!」
「プキュ!? なんじゃその七つの剣は!?」
ブルゼルを前に据えて、僕は少し浮いて、上下左右に様々な色の剣を召喚した。これは勇者の職業の技、勇者はそれぞれ、自分の属性の剣を召喚できるんだ。勇者の職業を付与できる僕はすべての属性の剣を召喚できる。
「僕だけの技[セブンズソード]。試し切りには丁度いい」
「プキュ~! なめるな~。そんな一朝一夕の技で儂が!」
「始動! [セブンズソード]」
「プキャ! プキャキャキャキャ!!」
僕の合図と共にセブンズソードが上下左右に散開して、ブルゼルへと突き刺さっていく。いくらか躱そうとしていたけど、あれだけでかい体躯では躱せない。ブルゼルは体液を汚くばらまいて静かになっていく。
僕らはブルゼルと対峙している。気味の悪い声を出しているブルゼルがブルブルと震えだす。
「1、2、3か、三個の分体を出して一番強そうなのを共闘するか」
震えて体の一部が分離し始めた。分離した体が形を作っていく、最初に戦ったブルゼルになっていってるみたいだ。
「させるか![グラビティチェイン]」
「「「プキュキュ~」」」
ゼットが黒い鎖を三体に巻きつける。瞬時に締め上げて地面にめり込んでいく。さっき使ったホールと同じように重力を与える魔法なんだろうね。分体はそのまま水分になって行ったよ。
「プキュキュキュ~。かかったね~」
「なに!」
ブルゼルが笑うと水分になった分体から毒霧が勢いよく噴出した。
「プキュキュキュキュ~。この中では生き物は生きられん。儂以外はな~」
僕らは霧に包まれてしまった。ブルゼルの高笑いの様な声が聞こえてくる。
「ちぃ! アレク、無事か?」
霧に包まれながらも上空に逃げたゼットが僕たちを心配してる。
「お前はそこで見ていろ! プキュキュ~毒霧の中でお楽しみだ~」
「ぐっ! まさか、やられたのか」
ブルゼルが毒霧の中に入ってきた。ノシノシと足音が近づいてくる。
「そこにいたか~、プッキュッキュッキュ~。すぐに楽にしてやるプキュ」
ブルゼルが倒れる僕に近づいてくる。楽しいおもちゃを見つけたようにはねた声をあげているよ。
「ほれ! 捕まえたぞ~」
「誰が?」
「なっ! お前は、という事はこれは!?」
布を人型に縫ったぬいぐるみだよ~。ブルゼルが近づいていったのはぬいぐるみでした。精巧に作った僕に似たぬいぐるみだから間違っても仕方ないよ。
「やっ!」
「はっ!」
「グハッ! 何故、人間がこの中で動ける! その布切れのせいか!」
僕とシーナがブルゼルに蹴りや拳をめり込ませる。ブルゼルはお腹を抑えてたたらを踏んでいる。相当利いたみたいだな。
「アレクは凄いんだから。こんな毒も浄化しちゃう口当てを作っちゃったんだよ」
「そんな布で消せるほど儂の分体毒は弱くない! プキュキュキュ。こんな屈辱、あの時レイクアーサーとレインリリーによって封印された時以来だ」
歯ぎしりして悔しがってるブルゼル、口から紫色の液体を地面に垂らしているよ。地面はジュクジュクと焼け焦げていってる。毒よりもあれが危険だ。
僕は布に職業を付与したんだ。水の巫女の職業を付与したことでこういった浄化の効果が働くようになった。実は勇者と一緒に巫女の職業も付与できるようになったんだよね。僕の両親の職業を付与できるようになったのは二人のおかげかもしれない。僕に仇を取ってほしいんだ。
「プッキュッキュ、しかし、儂は負けんぞ。水の勇者も儂に勝てないと悟り、封印したのだ。最強の魔王なのだ~」
「じゃあ、終わらせてあげるよ! 最強の魔王さん!」
「プキュ!? なんじゃその七つの剣は!?」
ブルゼルを前に据えて、僕は少し浮いて、上下左右に様々な色の剣を召喚した。これは勇者の職業の技、勇者はそれぞれ、自分の属性の剣を召喚できるんだ。勇者の職業を付与できる僕はすべての属性の剣を召喚できる。
「僕だけの技[セブンズソード]。試し切りには丁度いい」
「プキュ~! なめるな~。そんな一朝一夕の技で儂が!」
「始動! [セブンズソード]」
「プキャ! プキャキャキャキャ!!」
僕の合図と共にセブンズソードが上下左右に散開して、ブルゼルへと突き刺さっていく。いくらか躱そうとしていたけど、あれだけでかい体躯では躱せない。ブルゼルは体液を汚くばらまいて静かになっていく。
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