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第一章 神様からの贈り物
第四話 村を出ました
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「「行ってきます」」
「「行ってらっしゃい」」
最後の長い夜を終えて、旅立ちの日になった。僕らはジンさんとアイリさんに見送られて村を出る。
「アレク、眠そうだね」
「シーナが話しかけてきたから眠れなかったんじゃないか」
僕らは村から一番近い大きな町に向かう街道を歩いて行く。町には冒険者ギルドがあるらしいからそこで冒険者登録をして、日銭を稼ぐ予定なんだ。
前の日の夜、僕はシーナがずっと話しかけてきていたから眠れなかったんだ、それで眠くて欠伸をしたらシーナが微笑みながら言ってきた。シーナのせいなのに心配そうに見つめてきていて、僕は頬が赤くなるのを感じた。
「だって・・・(大好きなアレクと一緒のベッドで眠れなかったんだもん)」
「え? なに?」
「ううん。何でもない」
シーナが小声で何か言ってきたんだけど聞こえなかった。彼女の頬が少し赤くなっているように見えるけど何を言って来ていたのかな?
「町までは遠いね」
「そうだね。今日明日くらいはアイリさんが持たせてくれた白いパンで大丈夫だけど、三日目くらいは黒いパンで我慢しなきゃね」
保存のきく黒いパンは日持ちするんだけど、白いパンは三日も持たないから先に食べないといけないんだよね。
「町までは早くても一週間はかかる。途中で魔物を狩ってお肉が欲しいね」
「そうだね」
干し肉もいくらか持っているけど流石にそんなに持ってはいけないから一週間はもたない。ラビットとかスネークとか、魔物を狩って少しお肉を手に入れないとね。そんな事を考えていると、
「ウサギがいるよ」
「よ~し、巫女のスキルを使って狩ってみるね」
遠目に白いラビットが見えた。シーナが巫女ギフトの魔法を使うみたい。
「[ホーリーバインド]!」
「ピピィ~!」
50メートル以上離れているラビットにシーナが魔法を放った。白い球体がラビットの近くに落ちるとラビットの動きが止まった。バインドは当たった周囲の魔物の動きを止める魔法、色々な属性で出来る魔法で初級魔法の一つだ。魔法耐性があるとレジストされることがあるみたい。
「動きを止めて、[ホーリーバレット]」
「ピキ~・・・」
シーナの放った聖なる弾がラビットの腹部に着弾した。ラビットは少し痙攣してから絶命していった。
「当たった~、少し外れたと思ったのに」
「そうだね。少し魔法が追尾してたかも」
初めて撃った魔法がそんな簡単に当たるはずない。巫女スキルは魔法適性がアップするんだろうね。
「じゃあラビットを解体しよう」
「うん、解体は僕に任せて」
ラビットの解体は僕の仕事だ。村でも普通にやっていたけど、僕もスキルを試したいんだよね。
「それって昨日作ってた手袋?」
「そうだよ」
家にあった皮で作っておいた手袋をはめる。僕のスキルは服を作ることで発揮される。好きな職業の力を付与できるんだ。解体士の職業を付与しておいたのでちゃっちゃと解体。
「あれ? こんなにスルスル切れたっけ?」
いつも使っている愛用のナイフでラビットのお腹を裂いていく。少し刃を押し当てると抵抗なく切れていくので驚愕してしまいました。内臓を予め開けておいた地面の穴に捨てて皮を剥いでいく。
「すご~い。元々アレクって解体うまかったけど、更に早くなってるね」
村には解体士のおじさんがいて、その人に褒められた経験があったんだけど、その時よりもかなり早くなってる。こんな手袋に職業を付与できるって事は靴下とかズボンとかにも色々な職業を付与できるって事だよね。フェイブルファイア様はなんてものを作ってしまったんだ。
「今日は白いパンとラビットの肉で夕食だね」
解体が終わって、僕らはニッコニコ。早速、食料が手に入って嬉しい。
「あっ、そうだ。これに入れてみよう」
「それも作ってたね。それはバッグ?」
「うん。運び屋の職業を付与したバッグ。荷物が入ると思って作ってみたんだ」
服じゃなくてもいいのかなと思って作ってみたんだ。運び屋の職業の人はアイテムバッグっていうスキルを使えるんだ。アイテムバッグって言うのはこことは違う次元にアイテムをしまえるスキルで重さもなくなってしまうもの。時間も止まるので温かいものは温かいまま保存できて便利なんだ。アイリさんの料理をそのまま入れておこうとも思ったんだけど出来なかったら悲惨なことになるからやめておいた。
「出来るかな~」
「アレクのギフトの方がいいな~・・」
ドキドキしながらラビットの足肉をアイテムバッグに入れていく。シーナが指を咥えて羨ましそうに見てきています。可愛らしい顔で見つめてくるものだからなんか恥ずかしい。
「はいった。へ~、アイテムを入れるとバッグの側面にアイテム表が出るんだ~」
「えっ? そうなの? 私には見えないけど」
どうやら、アイテムバッグの中身はその人にしかみえないみたいだ。という事は、
「シーナ、アイテムバッグを持ってみて」
「うん。アイテム表は見えないね」
アイテムバッグを持ってもアイテム表は見えない。更に、
「アイテムも出せないね」
アイテムバッグは持ち主以外は取り出す事も出来ないみたい。
「これで出せるかな?」
バッグの側面、アイテム表の端っこに持ち主って欄がある。そこにシーナの名前が点滅していたから僕が触ると点滅が消えて名前が書きこまれた。
「取り出せた~。なんで?」
「アイテムバッグの持ち主に登録したんだよ」
「すご~い、やっぱりアレクのギフトの方がいいな~」
シーナが大喜びして僕を羨んだ。戦闘系の職業も用意してるからこれからが本当に楽しみだな~。
「「行ってらっしゃい」」
最後の長い夜を終えて、旅立ちの日になった。僕らはジンさんとアイリさんに見送られて村を出る。
「アレク、眠そうだね」
「シーナが話しかけてきたから眠れなかったんじゃないか」
僕らは村から一番近い大きな町に向かう街道を歩いて行く。町には冒険者ギルドがあるらしいからそこで冒険者登録をして、日銭を稼ぐ予定なんだ。
前の日の夜、僕はシーナがずっと話しかけてきていたから眠れなかったんだ、それで眠くて欠伸をしたらシーナが微笑みながら言ってきた。シーナのせいなのに心配そうに見つめてきていて、僕は頬が赤くなるのを感じた。
「だって・・・(大好きなアレクと一緒のベッドで眠れなかったんだもん)」
「え? なに?」
「ううん。何でもない」
シーナが小声で何か言ってきたんだけど聞こえなかった。彼女の頬が少し赤くなっているように見えるけど何を言って来ていたのかな?
「町までは遠いね」
「そうだね。今日明日くらいはアイリさんが持たせてくれた白いパンで大丈夫だけど、三日目くらいは黒いパンで我慢しなきゃね」
保存のきく黒いパンは日持ちするんだけど、白いパンは三日も持たないから先に食べないといけないんだよね。
「町までは早くても一週間はかかる。途中で魔物を狩ってお肉が欲しいね」
「そうだね」
干し肉もいくらか持っているけど流石にそんなに持ってはいけないから一週間はもたない。ラビットとかスネークとか、魔物を狩って少しお肉を手に入れないとね。そんな事を考えていると、
「ウサギがいるよ」
「よ~し、巫女のスキルを使って狩ってみるね」
遠目に白いラビットが見えた。シーナが巫女ギフトの魔法を使うみたい。
「[ホーリーバインド]!」
「ピピィ~!」
50メートル以上離れているラビットにシーナが魔法を放った。白い球体がラビットの近くに落ちるとラビットの動きが止まった。バインドは当たった周囲の魔物の動きを止める魔法、色々な属性で出来る魔法で初級魔法の一つだ。魔法耐性があるとレジストされることがあるみたい。
「動きを止めて、[ホーリーバレット]」
「ピキ~・・・」
シーナの放った聖なる弾がラビットの腹部に着弾した。ラビットは少し痙攣してから絶命していった。
「当たった~、少し外れたと思ったのに」
「そうだね。少し魔法が追尾してたかも」
初めて撃った魔法がそんな簡単に当たるはずない。巫女スキルは魔法適性がアップするんだろうね。
「じゃあラビットを解体しよう」
「うん、解体は僕に任せて」
ラビットの解体は僕の仕事だ。村でも普通にやっていたけど、僕もスキルを試したいんだよね。
「それって昨日作ってた手袋?」
「そうだよ」
家にあった皮で作っておいた手袋をはめる。僕のスキルは服を作ることで発揮される。好きな職業の力を付与できるんだ。解体士の職業を付与しておいたのでちゃっちゃと解体。
「あれ? こんなにスルスル切れたっけ?」
いつも使っている愛用のナイフでラビットのお腹を裂いていく。少し刃を押し当てると抵抗なく切れていくので驚愕してしまいました。内臓を予め開けておいた地面の穴に捨てて皮を剥いでいく。
「すご~い。元々アレクって解体うまかったけど、更に早くなってるね」
村には解体士のおじさんがいて、その人に褒められた経験があったんだけど、その時よりもかなり早くなってる。こんな手袋に職業を付与できるって事は靴下とかズボンとかにも色々な職業を付与できるって事だよね。フェイブルファイア様はなんてものを作ってしまったんだ。
「今日は白いパンとラビットの肉で夕食だね」
解体が終わって、僕らはニッコニコ。早速、食料が手に入って嬉しい。
「あっ、そうだ。これに入れてみよう」
「それも作ってたね。それはバッグ?」
「うん。運び屋の職業を付与したバッグ。荷物が入ると思って作ってみたんだ」
服じゃなくてもいいのかなと思って作ってみたんだ。運び屋の職業の人はアイテムバッグっていうスキルを使えるんだ。アイテムバッグって言うのはこことは違う次元にアイテムをしまえるスキルで重さもなくなってしまうもの。時間も止まるので温かいものは温かいまま保存できて便利なんだ。アイリさんの料理をそのまま入れておこうとも思ったんだけど出来なかったら悲惨なことになるからやめておいた。
「出来るかな~」
「アレクのギフトの方がいいな~・・」
ドキドキしながらラビットの足肉をアイテムバッグに入れていく。シーナが指を咥えて羨ましそうに見てきています。可愛らしい顔で見つめてくるものだからなんか恥ずかしい。
「はいった。へ~、アイテムを入れるとバッグの側面にアイテム表が出るんだ~」
「えっ? そうなの? 私には見えないけど」
どうやら、アイテムバッグの中身はその人にしかみえないみたいだ。という事は、
「シーナ、アイテムバッグを持ってみて」
「うん。アイテム表は見えないね」
アイテムバッグを持ってもアイテム表は見えない。更に、
「アイテムも出せないね」
アイテムバッグは持ち主以外は取り出す事も出来ないみたい。
「これで出せるかな?」
バッグの側面、アイテム表の端っこに持ち主って欄がある。そこにシーナの名前が点滅していたから僕が触ると点滅が消えて名前が書きこまれた。
「取り出せた~。なんで?」
「アイテムバッグの持ち主に登録したんだよ」
「すご~い、やっぱりアレクのギフトの方がいいな~」
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