孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章

第48話 屋敷増築

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「マスター。このくらいでいいかな~?」

「うん。ありがとうノーム」

 早速ノームを呼んで、屋敷のリビングに階段を作ってもらった。上に作ると目立ってしまうので地下に部屋をどんどん作っていく。
 ノームの作った階段は装飾までされてかなり綺麗だ。花瓶っぽいものや絵画なんかも作られてる。元は土だと思うんだけど、そうとは思えないほどのクオリティーだ。

「フィルお兄ちゃん何しているの~?」

「耳の長いお兄ちゃんと遊んでるの?」

 階段を見ながら考えてると子供達が声をかけてきた。抱っこしてあげると喜んで声をあげる。

「家族がたくさん増えたから部屋を増やしてるんだよ」

「え~! じゃあみんな同じ家に住めるの?」

「そうだよ」

「やった~。たくさん遊んでもらえる~」

 子供達は大喜びで僕の話を聞いてくれる。子供達は大人も増えて喜んでくれてるみたいだ。元孤児と言ってもみんな人肌寂しかったみたいで大人に甘える子も多いからな。エレクトラさんに甘える子も多かったしね。

「次は部屋だよね」

「そうだね。通路を作って部屋を作ってく感じかな」

 子供を下ろしてノームに答える。

「遊べる部屋が欲し~」

「私はお砂遊びがした~い」

 部屋を作ることをノームと話してると子供達が欲しい部屋を次々と楽しそうに話す。
 中庭もある屋敷だけど、綺麗な花壇を汚さないように子供達はあそんでたからあまり砂で遊ぶことは出来てなかったんだよね。子供達も遠慮してたんだろうな。

「よ~しこの際だ! ノーム、子供達の要望を叶えてあげて」

「おっけ~。じゃあ1フロアを全部遊べるお庭にしちゃおう」

 ノームにお願いするとそういって階段の先に大きな庭を作っていく一階分階段を下るとそこに庭のような空間が広がる。どんどん広がっていく空間に子供達は目を輝かせる。

「わ~」

「フィルお兄ちゃん! 遊んでいい?」

「いいよ。みんな遊んでな」

 子供達はみんなそれぞれ集まって遊びだす。
 僕とノームは顔を見合ってその光景を見て微笑む。
 
「フィル、凄い部屋を作ったね~」

「ああ、ルリ達も遊ぶ?」

「ううん。そろそろ夕食の準備をしようってエレクトラさんに言われたから」

 ルリとルファーが下りてきて驚きながら声をもらした。目を輝かせてこの広場を見るものだから遊ぶか聞いたんだけど、遠慮してるみたいだな。
 彼女達もまだまだ子供だから遊んでていいのにな。

「フィルはなにが食べたいです?」

 エレクトラさんが階段から下りてきて聞いてきた。

「何でもいいよ。特に食べたいものもないし」

「それはダメです。何でもいいは受け付けません」

「ええ……」

 怖い顔になったエレクトラさん。いやいや、食べたいものってあんまり思い浮かばないよ。

「フィルってあんまり食べ物に執着してないよね」

「ん、本当に大人みたい」

 イレレイさんとベルルさんも階段から下りてきて話す。ん~、正直、この世界の食べ物って似たり寄ったりで前世の食べ物を知っている身からするとどうでもいいんだよね~。この際だから前世の食べ物でも再現してみようかな。

「マスター。人は食べないとダメなんだろ? 部屋作りは僕に任せて食べておいでよ」

「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな。でも、部屋作りを任せて大丈夫? 部屋数とか間取りとか」

「そんなのちゃっちゃと作っちゃえばいいんでしょ。簡単だよ。ダメだったら後で言ってくれればいいんだから」

 ノームは両手を頭で組んでおちゃらけて答える。本当に大丈夫かな? すっごいものつくっちゃうんじゃないだろうか?
 ちょっと不安になりながらもノームに任せて階段を上る。みんなに前世の料理を見せて驚かせてやるぞ~。

「唐揚げ?」

「そうだよレイチェル」

 料理の名前を聞いて首を傾げるレイチェル。油料理は危ないから僕自ら調理する。子供にはさせられないな、って今は僕も子供だけれど。

「ラードしかないからこれを使うしかないかな」

 この世界の油は肉の脂くらいしかない。種から作り出す油はまだまだ開発されないだろうな~。
 フライパンでラードを熱していく。小指の第一関節くらいにして肉を準備する。

「こ、胡椒! た、高いでしょこれ?」

「あ~、そうなんだよね。ギルベンさんの厚意で用意してもらったんだ」

「フォッフォッフォ。旨いものは大切じゃろう」

 ケルトさんが胡椒に驚くとギルベンさんが楽しそうに笑って答えてくれた。食べ物を用意してくれた時にすでに胡椒はあったんだよね。エレクトラさんは毎日使ってくれて孤児院の子供達はホクホク顔で食事をしていたよ。

「塩胡椒を振って小麦粉をまぶす。後は揚げる」

 とてもシンプルな唐揚げ。だけど、ここは異世界だ、肉が違うんだよね肉が。

「デビルバッファローの肉がこんなにいっぱい……」

「まだまだマジックバッグにあるからみんな遠慮せずに食べてね~」

 肉の量に驚くケルトさん達。ジムさん達はすでに肉へと手を伸ばして熱々と言って食べはじめた。
 ジムさん達を見て子供達も唐揚げを食べ始めると目を輝かせて『美味しい!』と言ってどんどん食べていく。

「皆さん、野菜も食べるです。美味しいからってお肉ばかりだとダメですよ」

「そうだぞ。肉ばっかりだと俺達みたいになっちまうからな」

「ファバルになるのはいやね」

「なんだな」

 エレクトラさんが子供達に注意するとファバルさんが二カッと子供達に声をかけた。
 その様子を見たイレレイさんとワッタさんが頷いてる。
 確かにファバルさんになっちゃったら大変だ。

「この~ルファーとフィルまで頷きやがって。みんなひでえぞ」

「ははは、自分で言っておいておちこむなよ」

 ファバルさんが嘆くとジムさんが笑い出す。食堂にみんなの笑い声が溢れる。

「あっ、そうだ。折角地下に広場を作ったんだからそこで食べようよ。まだまだいっぱいあるしね」

「ん、いいね。地下でピクニックだね」

 提案するとベルルさんが答えて、みんな頷いて準備してくれる。大きなお皿に唐揚げと白いパンをそれぞれ入れて運んでいく。エレクトラさんとルリがどんどん唐揚げを作って行ってくれてるから僕も運ぶ方を手伝う。

「フィル。お客さんだ」

「グレイドルさん。来ましたか……」

 折角広場で食事しようと思ったら外を見ていてくれたグレイドルさんが屋敷に入ってきて知らせてくれた。庭には冒険者のみんなもいるけど、険しい顔で門の外を見つめてる。

「さて、どう出てくるかな。みんなは折角だからみんなと食事を楽しんでて」

「だ、大丈夫なのか?」

「はい」

 グレイドルさん達に中に入るように促す。話し合いは僕一人の方があちらの動きが分かりやすい。弱いふりをしていたほうがその人の本性が分かるからね。

「じゃあ俺だけ残る」

「ん、私達も行くよフィル」

「ダメって言ってもいくからね」

 グレイドルさんが残ると言うとベルルさんとルリが手を握って声をあげた。ルファー達も頷いて僕の横に立ってくれてる。
 はは、そんなに大変なことじゃないんだけどな。みんな決意に秘めた瞳を輝かせてるよ。
 さあ、あちらさんはどうでるかな?
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