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第二章

第47話 改造

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「わ~ルファーお兄ちゃんの氷、冷た~い」

「まだまだいっぱいあるからね」

 孤児院の中ではルファー達が子供達の相手をしてる。ジュースに氷を入れてあげてるみたいで子供達は大喜びだ。
 ルリやリファは一緒にお勉強するみたいでエレクトラさんの授業を受けるみたい。もちろん、自分よりも小さな子供達の面倒も見てくれてる。レイチェルも一緒だな。
 みんなの姿を見てなんて平和なんだろうって思ってホッとすると孤児院に背を向ける。

「【ノーム】【シルフ】」

「「は~い」」

 大精霊の二人を呼び出す。元気よく出てきた二人は跪いて命令を待つ。この間呼んだ時よりも畏まってる。なんだかこっちが恐縮しちゃうよ。

「そ、そんな跪かなくても……」

「いえいえ、マスターは偉大なお方。我ら大精霊の上に立つお方ですので」

 ええ!? 大精霊の上に立つとかシルフが言っちゃってるよ。
 超越者ってここまで凄いの?

「黒龍まで従えたのですから自信を持っていただかないと」

「そうですよ。それにゴブリンヒーローまで倒して実績を解除してしまったじゃないですか。この世界に敵はいないですよ」

 ははは……やっぱり実績のステータスは恐ろしいほど僕を強くしてしまったみたいだ。
 ステータス十倍なんて普通にチートだもんな。それにしても大精霊達は僕のステータスを見れるのかな?
 契約したから見れるようになっているのかもな。それなら僕も精霊たちのステータスを見れていいと思うんだけどな。ちょっと聞いてみるか。

「みんなは僕のステータスを見れるの?」

「数値ははっきりとは見えません」

「なんせ大きな差があるみたいですからね」

 二人はそういって笑顔になる。差があるって僕とってことかな? 十倍恐るべしだな。大精霊って言われている精霊の神みたいな子達と差があるなんてね。

「実績が見える程度ですよ」

「因みに実績はヒーローと言われる種族の英雄を倒すと解除されます。人で言うところの勇者と言われる者たちですね」

 英雄か、あのゴブリンも仲間がやられて怒っていたって感じだったな。そう思うと僕と同じだったな。
 しかし、実績は普通に見えるのか。でも、ヒーローを直接倒したのはジムさんとファバルさんなんだけどな。

「直接倒さなくてもいいのかな? 最後のとどめは別の人がやったんだけど?」

「そうですね。一番貢献値、すなわちダメージを負わせた人が貰えるはずですよ」

 ダメージ? 一撃与えただけだったはずだけどな? そのダメージが二人よりも当てていたってことか。なんだか腑に落ちないな~。

「それでマスター? 僕ら二柱を呼んだのはなんでなんだい?」

「まさか、そんな質問をするためとかじゃないよね? まあ、僕らはそれでもいいんだけど」

 二人はそういって顔を近づけてくる。ああ、忘れてた。

「実はこの国の王とひと悶着あってね。この屋敷兼孤児院を強固にしないといけなくなっちゃって」

「ありゃ。そりゃ大変だ」

「うんうん。この国がね」

 二人は大きく頷いてお城を見上げた。『無くなっちゃうね~』とか言って見上げる二人、いやいや、そんな事しないからね……たぶん。

「じゃあ、この孤児院を囲んでる壁をもっと強固にして」

「その上に透明な風の壁を作るってことでいいのかな?」

「うん、そうだね。その為に二人を呼んだんだ」

 土の壁をドーム型にして囲ってもいいんだけど、流石に景観が悪くなっちゃうから透明な風の壁を作る。カンダンの爆発も防いでしまう風の壁ならどんな攻撃が来ても大丈夫でしょう。

「マスターのMPなら大丈夫だと思うけど、結構MPもらっちゃうよ」

「うん。よろしく」

 二人は僕からMPを吸い込むとそれぞれの魔法を放つ。
 詠唱もなく壁が石から白銀に変わって風が壁の上を渦のように泳ぎはじめた。

「ついでにゴーレムでも作っちゃうね」

「あ、それなら僕の風のゴーレムも作るね~」

 仕事がすぐに終わってしまったのでノームが土をコネコネし始める。するとシルフも手にマナを込めて空気をコネコネし始めた。
 見る見るうちに土のゴーレムと緑の風で出来たゴーレムが出来上がっていく……流石にやりすぎでは?

「はい~。この子達が門を守るから強固になりますよ~」

「風の壁は三日くらい持つからその都度呼んでね~」

「はは、二人ともありがとうございます。助かりました」

 やりすぎな二人にお礼を言うと『そんなに畏まらないでよマスター』と言って照れていた。大精霊達はやりすぎるところがある。だけど、今回はやりすぎるくらいが丁度いいかもね。なんせ、王様を利用している悪党たちだからね。

「じゃあ、マスター」

「まったね~」

「ありがと」

 二人はふわ~っと消えていく。
 二人を見送ると門の前のゴーレム達が誰かを連れて入ってきた。

「フィル! これはどういうことなんじゃ?」

 ギルベンさんとケルトさんがジムさん達に連れられて入ってくる。ゴーレムたちは僕の知り合いを見分けてくれるみたいだ。流石の大精霊のゴーレム達、高性能だ。

「ちょっと城の兵士と色々あって強化しました。それよりも大丈夫でしたか?」

 あの横柄な兵士を見る限りギルベンさんのところにも人が言ったはずだからね。

「それはケルトとジム達のおかげで大丈夫じゃよ。まあ、追手はかかってしまったがな」

 『フォッフォッフォ』と笑うギルベンさん。やっぱり兵士がやってきたってことか。

「そうだ。ケルトさん、家族がいるならすぐに連れてきてください。味方に付いてくれたケルトさんの同僚の方も今家族を連れてきてもらってるところなんですよ」

「そうか、こちらについてくれたか。説得したが従ってくれるか心配だったんだ」

 そうか、対話はしたけど、確約は出来てなかったんだ。

「隊長はこちらについてくれなかったが『城門を守るのが俺の仕事だ』って言ってフィルを攻撃しないことを誓ってくれたよ」

「そうですか……いつの間にかみんなに守られていたんですね。ありがとうございます」

 ゲルグガルドに帰ってくるときにケルトさんに指示を出してた隊長さんか。渋い顔でカッコいいことを言うな~。僕もそんな男になりたいよ。

「では、すぐにでも家族を連れてくるよ。と思ったが既に同僚が連れてきてくれたみたいだ」

 きびすを返して門へ振り返るとケルトさんの仲間が大勢の人を連れてきてた。その中にケルトさんに手を振る人がいて、走って近づいてくると抱き合ってる。
 思ったよりも大所帯だな~。屋敷を増設する必要がありそう……またノームを呼びますかね。
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