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第二章
第42話 ノーム
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土の大精霊ノームの力でデビルバッファローはほとんど倒せた。残っていたものも冒険者が倒したり、逃げて行ってる。
「フィル。すまないが死骸を全部マジックバッグに入れていってくれるか? もちろん報酬は払う」
「別にそれはいいですよ」
「いや、甘えてばかりでは俺達が困る。フィルは貴族でもあるんだからな」
男爵になってしまったというのは有名な話なのでみんな僕に甘えすぎても困っちゃうみたい。まだ爵位をもらってないけどね。
「グレイドル! やはり別の魔物がデビルバッファローを誘導してたみたいだ。かなりの大群がこっちに向かってる」
ガルトさんがデビルバッファローが来た方向から走ってくる。どうやら、別の魔物が迫ってきてるみたい。
少しせりあがった丘のような地形になった先頭から前を眺めると横一列に隊列を成した魔物が見えてきた。
地平線一面が緑の魔物に埋め尽くされてる。
「おっと~。あれはゴブリン達の群れだね~」
少しぴょんぴょん跳ねてノームが教えてくれる。ぴょんぴょんと言っても大きいガルトさんを飛び越えるほどだから二メートルくらいかな。思いっきりジャンプしたら空も飛べそうだ。
「ん、あれだけの群れとなるとロード?」
「ん~。ここからじゃ見えないな~。でもそのくらいはいるかもね」
ベルルさんが疑問を投げかけるとノームが両手を頭の上で組んで呑気に答えた。
「圧倒的に数で負けてるんだな……」
「おいおい、何を弱気なこと言ってんだ。俺達がいるだろ。あんな数一捻りだろ」
「いやいや、流石に無理でしょ……」
ワッタさんが狼狽えてるとファバルさんが答える。流石の数にイレレイさんも怖気づいてる。
「みんな! ジム達ばかりにいい格好させるなよ! 怪我しても治してくれる。気張れ~!」
『おう!』
「俺達をうまく使って戦ってくれよ」
グレイドルさんがそういって先頭へと歩いていく。彼の言葉に呼応する冒険者はみんな笑顔を僕らに向けてから彼の後ろについていく。
使ってくれと言われてもな~。
「マスタ~。僕の出番終わりなの?」
グレイドルさんの話を考えているとノームが話しかけてくる。彼に頼んだら一瞬で終わっちゃうだろうね。
それでいいと僕は思うんだけど、グレイドルさん達はやるきになってるんだよな~。少しサポートしてもらうことが出来ればいいんだけど……頼んでみようかな。
「ノームはみんなを援護できる?」
「援護? 魔物を倒すんじゃなくて?」
「そうそう、防御とか攻撃力をあげるとか」
「ん~。属性をつけることは出来るけど、この人数に付与するのは大変だよ? いいの?」
ノームは首を傾げて答えてくれる。MPをいっぱい使うのかな? 普通よりもかなり多いMPを僕は持ってるから大丈夫でしょう。
『やっていいよ』と言うとノームは飛び跳ねて喜ぶと両手を天に掲げて目を瞑った。
「【エンチャントアース】!」
ノームが魔法を放つとどっと体から力が抜けていく。大量のMPがなくなったのが分かってステータスのMPを確認すると、
MP 2200/28000
二万程なくなってる……。冒険者は50人くらいしかいないのにこれって凄い魔法なのでは?
「お、おい? 武器が輝いてるんだが?」
「え? あ、俺も光ってる」
「こ、こりゃおめえ……付与魔法ってやつじゃねえか?」
冒険者のみんなが騒ぎ出す。彼らの武器を見ると金色に輝いて小さな土みたいな塊が彼らの周囲を回ってる。
「みんな~。マスターのおかげで強くなってるからね~。感謝するようにね!」
ノームがにっこりと笑って告げる。冒険者のみんなは顔を見合ってノームと僕に手を振って応えてくれた。
何となくわかってくれたみたいだけど、当の本人の僕はどうなってるのかわからない。
「あの人たちの周りに浮遊してる土が攻撃を防いで更に攻撃にも力を貸してくれるんだよ~。凄いでしょ」
ノームは得意げに告げる。
あの周囲を回ってる小さな土が防御の際は大きくなって盾みたいになるらしい、攻撃の時はいしつぶてみたいになって一緒に攻撃するって言ってる。
いやいや、流石にチートすぎるでしょ。
「フィルって凄いね……」
「ほんとに……」
「ん、本当に凄い……私も頑張る!」
ルリが呆れて声をもらすとレイチェルが唖然としてる。ベルルさんなんかガッツポーズをして輝く杖を掲げてるよ。
「大精霊イフリート! 矮小な私に力を貸して! 【イフリートファイア】」
戦闘の狼煙をベルルさんの魔法が告げる。イフリートを模した炎の塊がゴブリン達へと振っていく。着弾すると爆散して溶岩を彷彿とさせる岩を生み出す。ゴブリンは溶岩に焼かれて絶命する。
「おっしゃ~! 俺達も行くぞジム!」
「ああ、イレレイは援護を」
「分かってるわよジム。ワッタは二人のお守りね」
「了解なんだな」
ジムさん達もみんなに続いていく。
こうしてゴブリン達との激しい戦闘が幕を開けた。
「フィル。すまないが死骸を全部マジックバッグに入れていってくれるか? もちろん報酬は払う」
「別にそれはいいですよ」
「いや、甘えてばかりでは俺達が困る。フィルは貴族でもあるんだからな」
男爵になってしまったというのは有名な話なのでみんな僕に甘えすぎても困っちゃうみたい。まだ爵位をもらってないけどね。
「グレイドル! やはり別の魔物がデビルバッファローを誘導してたみたいだ。かなりの大群がこっちに向かってる」
ガルトさんがデビルバッファローが来た方向から走ってくる。どうやら、別の魔物が迫ってきてるみたい。
少しせりあがった丘のような地形になった先頭から前を眺めると横一列に隊列を成した魔物が見えてきた。
地平線一面が緑の魔物に埋め尽くされてる。
「おっと~。あれはゴブリン達の群れだね~」
少しぴょんぴょん跳ねてノームが教えてくれる。ぴょんぴょんと言っても大きいガルトさんを飛び越えるほどだから二メートルくらいかな。思いっきりジャンプしたら空も飛べそうだ。
「ん、あれだけの群れとなるとロード?」
「ん~。ここからじゃ見えないな~。でもそのくらいはいるかもね」
ベルルさんが疑問を投げかけるとノームが両手を頭の上で組んで呑気に答えた。
「圧倒的に数で負けてるんだな……」
「おいおい、何を弱気なこと言ってんだ。俺達がいるだろ。あんな数一捻りだろ」
「いやいや、流石に無理でしょ……」
ワッタさんが狼狽えてるとファバルさんが答える。流石の数にイレレイさんも怖気づいてる。
「みんな! ジム達ばかりにいい格好させるなよ! 怪我しても治してくれる。気張れ~!」
『おう!』
「俺達をうまく使って戦ってくれよ」
グレイドルさんがそういって先頭へと歩いていく。彼の言葉に呼応する冒険者はみんな笑顔を僕らに向けてから彼の後ろについていく。
使ってくれと言われてもな~。
「マスタ~。僕の出番終わりなの?」
グレイドルさんの話を考えているとノームが話しかけてくる。彼に頼んだら一瞬で終わっちゃうだろうね。
それでいいと僕は思うんだけど、グレイドルさん達はやるきになってるんだよな~。少しサポートしてもらうことが出来ればいいんだけど……頼んでみようかな。
「ノームはみんなを援護できる?」
「援護? 魔物を倒すんじゃなくて?」
「そうそう、防御とか攻撃力をあげるとか」
「ん~。属性をつけることは出来るけど、この人数に付与するのは大変だよ? いいの?」
ノームは首を傾げて答えてくれる。MPをいっぱい使うのかな? 普通よりもかなり多いMPを僕は持ってるから大丈夫でしょう。
『やっていいよ』と言うとノームは飛び跳ねて喜ぶと両手を天に掲げて目を瞑った。
「【エンチャントアース】!」
ノームが魔法を放つとどっと体から力が抜けていく。大量のMPがなくなったのが分かってステータスのMPを確認すると、
MP 2200/28000
二万程なくなってる……。冒険者は50人くらいしかいないのにこれって凄い魔法なのでは?
「お、おい? 武器が輝いてるんだが?」
「え? あ、俺も光ってる」
「こ、こりゃおめえ……付与魔法ってやつじゃねえか?」
冒険者のみんなが騒ぎ出す。彼らの武器を見ると金色に輝いて小さな土みたいな塊が彼らの周囲を回ってる。
「みんな~。マスターのおかげで強くなってるからね~。感謝するようにね!」
ノームがにっこりと笑って告げる。冒険者のみんなは顔を見合ってノームと僕に手を振って応えてくれた。
何となくわかってくれたみたいだけど、当の本人の僕はどうなってるのかわからない。
「あの人たちの周りに浮遊してる土が攻撃を防いで更に攻撃にも力を貸してくれるんだよ~。凄いでしょ」
ノームは得意げに告げる。
あの周囲を回ってる小さな土が防御の際は大きくなって盾みたいになるらしい、攻撃の時はいしつぶてみたいになって一緒に攻撃するって言ってる。
いやいや、流石にチートすぎるでしょ。
「フィルって凄いね……」
「ほんとに……」
「ん、本当に凄い……私も頑張る!」
ルリが呆れて声をもらすとレイチェルが唖然としてる。ベルルさんなんかガッツポーズをして輝く杖を掲げてるよ。
「大精霊イフリート! 矮小な私に力を貸して! 【イフリートファイア】」
戦闘の狼煙をベルルさんの魔法が告げる。イフリートを模した炎の塊がゴブリン達へと振っていく。着弾すると爆散して溶岩を彷彿とさせる岩を生み出す。ゴブリンは溶岩に焼かれて絶命する。
「おっしゃ~! 俺達も行くぞジム!」
「ああ、イレレイは援護を」
「分かってるわよジム。ワッタは二人のお守りね」
「了解なんだな」
ジムさん達もみんなに続いていく。
こうしてゴブリン達との激しい戦闘が幕を開けた。
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