36 / 55
第二章
第36話 黒い
しおりを挟む
教会には鐘をつくための塔が建ってる。潜入するにはそこがいいと思ってそこに舞い降りる。ステータスがすごいことになってるからひとっ飛びだ。流石に正面から入るわけには行かないからね。まあ、できなくもないけど、無駄な争いをしてもね~。
「大司祭様! どうされますか?」
「私に聞くな!」
「ですが」
「うるさい! 自室に戻る。誰も通さないようにな!」
ガストはそういって扉を勢いよくしめた。
塔から潜入して螺旋階段を降りるとすぐ目の前がガストの自室だった。
司祭の男にお怒りのガスト。多くの司祭が冒険者になっちゃったから怒ってるんだろうな。
あれには僕らも驚きだったからな~。
「ん~、自室にこもられちゃうと調べられないな~」
部屋がどこかわかったのは良かったけど、ガストがいない間に入らないと調べられないな~。いっそのこと気絶させて。
「ああ、そうか。眠らせてしまえばいいのか」
前にアライアを眠らせた魔法があった。早速使おう。
『マスター。私の名前を呼んでください』
「ええ? 誰!」
魔法のことを考えていると声が聞こえてきた。驚きながら名を聞くとゲームなんかで聞いたことのある名前を告げられる。
『【ウンディーネ】です!』
「ははは、また大精霊さんからのご指名か……【ウンディーネ】」
塔の螺旋階段でウンディーネの名を呼んだ。急に呼ばれたから驚いたけど、思わず呼んでしまった。
水が僕の手から出てきて人の形を作っていく。イフリートやシルフよりもしっかりとした人になってる? 少し僕の力が強くなったから大精霊達もクッキリと形どっているのかもしれない。
「マスター。お呼びいただきありがとうございます」
「あ、うん。呼んでって言ったから呼んでみたんだけど?」
ウンディーネは可愛く微笑んでくれる。だけど、なんで来てくれたんだろう?
「水の魔法を使おうとしてくれたので折角だから私自ら使おうかと思いまして」
「そ、そんなことでわざわざ……ありがとうございます?」
畏まってお礼を言うとウンディーネは『いえいえ』って首をブンブン横に振って応えてくれた。少し僕に対して遠慮があるように見えるけど、どうしたんだろうか? まあ、それは置いておいてすぐにでも眠らせてもらおう。
「じゃあ、眠らせてくれる?」
「はい! 【エターナルスリープ】」
「ええ!? エターナルって!?」
英語読みの魔法ばかりでエターナルって永遠ってことでしょ! そんなたいそうなものはいらないんだけど、と思って声をあげたんだけど、時すでに遅し。
教会全体に霧が立ち込めてドサドサとあたりで音がする。少し歩いて教会内を見てみると司祭の服を着た人が何人か倒れてるのが見える。流石にやりすぎだと思っていると誇らしげにしてるウンディーネが見えた。
「どうですかマスター! 私使えますよね?」
「あ~うん。ありがとう」
キラキラした瞳で褒めてほしそうにするウンディーネ。褒めないと泣いちゃうんじゃないかと思って何も言わずにお礼を言った。
彼女は嬉しそうにガッツポーズをしてる。僕なんかに褒められて嬉しがるなんて変わった精霊さんだな~。
「さて、あれ? 鍵がかかってる?」
大司祭の部屋に入ろうと思ったら扉に鍵がかかってる。誰もいれるなと言っていたけど、鍵をかけてるなら入れないだろうに。
「開けますか?」
「いやいや。大丈夫だよ。自力で開けるからね~」
「そ、そうですか……」
シュンと明らかに落ち込むウンディーネ。扉あけるのに極大魔法とか使ってきそうだから遠慮しておいてもらう。眠らせてって言って永遠の眠りとかいう危ない魔法をつかった前科があるからな~。って言うかこの眠り魔法は解けるのかな? 少し不安だ。
「よっと! 壊れた壊れた」
扉を力強く押し込む。鍵の部分が壊れて普通に扉が開く。中に入ると机の前で前のめりに倒れてるガストがいた。顔から倒れてるよ、痛そう……。
「私の魔法は問答無用で眠らせますからね」
「す、凄いですね」
そんな様子を見たウンディーネがまたもや褒めてほしそうに目を輝かせる。褒めると嬉しそうに体をくねらせる。
「ああ、至高のマスターに褒められっぱなし。私とっても嬉しいです」
「至高のマスター?」
「はい! この世界一の精霊王です」
ウンディーネが変なことを言ってるぞ。精霊王って何のことだ?
「知らないのですか? あなた様は今、三柱の大精霊を召喚なさいました。これは人類が今だなしえなかった偉業でございます」
「ええ!?」
いやいや、名前を呼んでって言うから呼んでいるだけだよ、毎回君たちが呼んでって言うから言ってるだけなのに偉業とか言われても……。
「我々の言葉をしっかりと聞ける器、レベルを所持しているということなのです。目をつけても言葉が届かないものも多くて私達は人間界に下りれないことが多いのです。ですがあなた様は大変大きな器をお持ちのようで、快適でございます」
は~、器ね~。確かにレベルは超越者となってしまって限界突破したみたいだけど、そんな実感ないんだけどな~。
まあ、それはまた今度考えるとして、今はガストのことを調べていこうか。
「アライアの時と同じように紙の書類をしまって行こうかな」
全部調べてると時間がいくらあっても足りない。とにかく、書類を全部持っていっちゃおう。
「むむ、この男から精霊の香りが致します」
「え? 精霊の香り?」
「はい!」
書類をしまってると床とキスしてるガストを指さしてウンディーネが声をあげた。
精霊の香りってそんなものあるの?
「これは精霊の卵の可能性がありますね。それも高位な精霊です」
「高位?」
「我々大精霊とまではいかないでしょうがそれに近い精霊のことです」
ふふんと胸を張るウンディーネが説明してくれる。へ~、大精霊の下の精霊か~。気になるな~。
ということでガストのポケットを調べる。
あんまり男のポケットをまさぐるのは嫌な感じだけど致し方ない。
「あった! えっと? 黒い卵?」
ズボンのポケットから黒い卵が見つかった。ポケットに入れてるなんて割れたらどうするんだろうか?
「そ、それは! 黒龍の卵!?」
「黒龍?」
「は、早く放してくださいマスター!」
「え? 何をそ、んなにあせって……」
ウンディーネの言葉が薄れていく。なぜか意識が遠のいて目の前が真っ暗になっていく。
なぜだろう……眠くなってきた。
「大司祭様! どうされますか?」
「私に聞くな!」
「ですが」
「うるさい! 自室に戻る。誰も通さないようにな!」
ガストはそういって扉を勢いよくしめた。
塔から潜入して螺旋階段を降りるとすぐ目の前がガストの自室だった。
司祭の男にお怒りのガスト。多くの司祭が冒険者になっちゃったから怒ってるんだろうな。
あれには僕らも驚きだったからな~。
「ん~、自室にこもられちゃうと調べられないな~」
部屋がどこかわかったのは良かったけど、ガストがいない間に入らないと調べられないな~。いっそのこと気絶させて。
「ああ、そうか。眠らせてしまえばいいのか」
前にアライアを眠らせた魔法があった。早速使おう。
『マスター。私の名前を呼んでください』
「ええ? 誰!」
魔法のことを考えていると声が聞こえてきた。驚きながら名を聞くとゲームなんかで聞いたことのある名前を告げられる。
『【ウンディーネ】です!』
「ははは、また大精霊さんからのご指名か……【ウンディーネ】」
塔の螺旋階段でウンディーネの名を呼んだ。急に呼ばれたから驚いたけど、思わず呼んでしまった。
水が僕の手から出てきて人の形を作っていく。イフリートやシルフよりもしっかりとした人になってる? 少し僕の力が強くなったから大精霊達もクッキリと形どっているのかもしれない。
「マスター。お呼びいただきありがとうございます」
「あ、うん。呼んでって言ったから呼んでみたんだけど?」
ウンディーネは可愛く微笑んでくれる。だけど、なんで来てくれたんだろう?
「水の魔法を使おうとしてくれたので折角だから私自ら使おうかと思いまして」
「そ、そんなことでわざわざ……ありがとうございます?」
畏まってお礼を言うとウンディーネは『いえいえ』って首をブンブン横に振って応えてくれた。少し僕に対して遠慮があるように見えるけど、どうしたんだろうか? まあ、それは置いておいてすぐにでも眠らせてもらおう。
「じゃあ、眠らせてくれる?」
「はい! 【エターナルスリープ】」
「ええ!? エターナルって!?」
英語読みの魔法ばかりでエターナルって永遠ってことでしょ! そんなたいそうなものはいらないんだけど、と思って声をあげたんだけど、時すでに遅し。
教会全体に霧が立ち込めてドサドサとあたりで音がする。少し歩いて教会内を見てみると司祭の服を着た人が何人か倒れてるのが見える。流石にやりすぎだと思っていると誇らしげにしてるウンディーネが見えた。
「どうですかマスター! 私使えますよね?」
「あ~うん。ありがとう」
キラキラした瞳で褒めてほしそうにするウンディーネ。褒めないと泣いちゃうんじゃないかと思って何も言わずにお礼を言った。
彼女は嬉しそうにガッツポーズをしてる。僕なんかに褒められて嬉しがるなんて変わった精霊さんだな~。
「さて、あれ? 鍵がかかってる?」
大司祭の部屋に入ろうと思ったら扉に鍵がかかってる。誰もいれるなと言っていたけど、鍵をかけてるなら入れないだろうに。
「開けますか?」
「いやいや。大丈夫だよ。自力で開けるからね~」
「そ、そうですか……」
シュンと明らかに落ち込むウンディーネ。扉あけるのに極大魔法とか使ってきそうだから遠慮しておいてもらう。眠らせてって言って永遠の眠りとかいう危ない魔法をつかった前科があるからな~。って言うかこの眠り魔法は解けるのかな? 少し不安だ。
「よっと! 壊れた壊れた」
扉を力強く押し込む。鍵の部分が壊れて普通に扉が開く。中に入ると机の前で前のめりに倒れてるガストがいた。顔から倒れてるよ、痛そう……。
「私の魔法は問答無用で眠らせますからね」
「す、凄いですね」
そんな様子を見たウンディーネがまたもや褒めてほしそうに目を輝かせる。褒めると嬉しそうに体をくねらせる。
「ああ、至高のマスターに褒められっぱなし。私とっても嬉しいです」
「至高のマスター?」
「はい! この世界一の精霊王です」
ウンディーネが変なことを言ってるぞ。精霊王って何のことだ?
「知らないのですか? あなた様は今、三柱の大精霊を召喚なさいました。これは人類が今だなしえなかった偉業でございます」
「ええ!?」
いやいや、名前を呼んでって言うから呼んでいるだけだよ、毎回君たちが呼んでって言うから言ってるだけなのに偉業とか言われても……。
「我々の言葉をしっかりと聞ける器、レベルを所持しているということなのです。目をつけても言葉が届かないものも多くて私達は人間界に下りれないことが多いのです。ですがあなた様は大変大きな器をお持ちのようで、快適でございます」
は~、器ね~。確かにレベルは超越者となってしまって限界突破したみたいだけど、そんな実感ないんだけどな~。
まあ、それはまた今度考えるとして、今はガストのことを調べていこうか。
「アライアの時と同じように紙の書類をしまって行こうかな」
全部調べてると時間がいくらあっても足りない。とにかく、書類を全部持っていっちゃおう。
「むむ、この男から精霊の香りが致します」
「え? 精霊の香り?」
「はい!」
書類をしまってると床とキスしてるガストを指さしてウンディーネが声をあげた。
精霊の香りってそんなものあるの?
「これは精霊の卵の可能性がありますね。それも高位な精霊です」
「高位?」
「我々大精霊とまではいかないでしょうがそれに近い精霊のことです」
ふふんと胸を張るウンディーネが説明してくれる。へ~、大精霊の下の精霊か~。気になるな~。
ということでガストのポケットを調べる。
あんまり男のポケットをまさぐるのは嫌な感じだけど致し方ない。
「あった! えっと? 黒い卵?」
ズボンのポケットから黒い卵が見つかった。ポケットに入れてるなんて割れたらどうするんだろうか?
「そ、それは! 黒龍の卵!?」
「黒龍?」
「は、早く放してくださいマスター!」
「え? 何をそ、んなにあせって……」
ウンディーネの言葉が薄れていく。なぜか意識が遠のいて目の前が真っ暗になっていく。
なぜだろう……眠くなってきた。
24
お気に入りに追加
1,700
あなたにおすすめの小説
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
レイブン領の面倒姫
庭にハニワ
ファンタジー
兄の学院卒業にかこつけて、初めて王都に行きました。
初対面の人に、いきなり婚約破棄されました。
私はまだ婚約などしていないのですが、ね。
あなた方、いったい何なんですか?
初投稿です。
ヨロシクお願い致します~。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる