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第一章
第13話 ゴブリン
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「ん~。ルファー君の氷は美味しい」
「ん、皮袋に水と一緒に入れておくと外でも美味しく飲める」
目的地に向かいながら街道を進んでいるとイレレイさんとベルルさんが話す。
氷ってこの時代くらいだと高級品だからな~。まあ、魔法のおかげで結構流通してるみたいだけどね。それでも氷魔法に適性がある人しか使えないから大銅貨一枚はすっごい安いとか。
そのうち商人ギルドに目をつけられてしまいそうだな。孤児院の話もしたいからその時に話してみるかな。
「そろそろ見えてくるんだな」
見晴らしのいい街道を進んでいるとワッタさんが声をあげた。
彼の視線の先を見ると大きな森が見えてきた。
「ん、近い森での狩り。新人はここから始まる」
「え? それじゃ私達の為に?」
「ふふ、ベルルは優しいわよね~。フィル君達ならもっと強いのでも大丈夫なのに」
ベルルさんが呟くとルリが質問する。それにこたえるようにイレレイさんが答えるとベルルさんがそっぽを向いた。
恥ずかしくて顔を背けたみたいだ。彼女は本当に優しいな。新人の僕らに合わせてくれるなんて。
「でも、それじゃみんなのランクの依頼よりも報酬が安いんじゃ?」
「何言ってるの。今日は見学じゃないんだから、フィル君もパーティーの一員でしょ。それならパーティーにあった依頼を受けないと」
「そう、今の私達はフィルたち同じランクのFってこと。Eランクのゴブリンが私達の依頼ってこと」
ははは、本当に優しいな。僕の疑問にイレレイさんとベルルさんが微笑んで答えてくれた。
ワッタさんもニッコリと笑って盾を掲げてる。
「早速見つけたんだな。討伐数はいくつで終わり?」
「ん、20体」
「巣に満たないくらいの数か。じゃあ先行するんだな」
依頼内容を確認するとワッタさんがゴブリンに近づいていく。
こっちに気づいていないゴブリンは背後からワッタさんに頭をかち割られて絶命していった。
「ん、ワッタ。フィルとルリにやらせてあげないと」
「あっ。そうだったんだな。ごめんフィル、ルリ」
ベルルさんが杖でワッタさんをつつく。
別に僕らは気にしてないんだけど、ワッタさんは真剣に謝ってくる。僕とルリは首を振って応えるとワッタさんは頭を掻いてもうしわけなさそうに笑ってる。
「ん、フィルはすべての魔法適性をもってる。マナよ。我が敵を撃て【ファイアバレット】って詠唱すれば使える。ルリは同じ詠唱で【ホーリーバレット】って唱えれば使える」
「「はい!」」
「ふふ、すっかりベルルが先生になったわね~。それ以上のことも教えちゃったりして~」
「ん、イレレイは黙ってて」
ベルルさんが魔法の詠唱を教えてくれているとニヤニヤとイレレイさんが彼女を揶揄いはじめた。それ以上って大魔法とか極大魔法のことかな? 普通に知りたいんだけど、まずは中級魔法だよね。今教わっているのは初級魔法だろうから。
「ベルルさん。僕、教わりたいです」
「「「ええ!?」」」
「中級魔法とか、大魔法とか!」
「あ、そういうことね……」
「よ、よかった……」
ベルルさんに目を輝かせて言うとルリと二人が驚き戸惑った。
魔法を教わりたいというとイレレイさんとルリが何かつぶやいてる。聞こえなかったけどイレレイさんは残念そうでルリはホッとしてる。何を想像していたんだろうか?
「ん、フィルはいい子だからそうだと思った」
顔を真っ赤にして顔を背けるベルルさんが呟いてる。なんだか艶めいてるように見える?
「えっと~そろそろいかないか?」
「は~い。ベルル先生行きましょう」
「もう! イレレイ!」
「痛、いたたた~。先生痛いよ~」
「まだ言う!」
ワッタさんが困惑しながら出発を急かすとイレレイさんが手をあげて声をあげた。またまたイレレイさんがベルルさんを揶揄って杖で叩かれてる。結構強く叩いているけど大丈夫なのかな?
ワッタさんを先頭に森の中に入る。さっきのゴブリンは見張りのような立場だったのかもしれない。
森の外で敵が来ないかを見張っていたんだろう。それにしては隙だらけだったけどね。
「ありゃ? 集落が出来てる?」
ワッタさんの背に乗ってイレレイさんが声をあげた。ワッタさんの身長は2メートルくらいはあるからよく見えるだろうな。ってそうじゃない。集落って大丈夫なのかな? この人数じゃ危ないんじゃ?
「ん、ゴブリンの報酬はあんまりよくないから間引きが滞ったみたい」
「ん~、少しきついかな。キングとかロードがいたらまず勝てないしね」
「ん、一時撤退かな。残念、フィル達に経験をつんでほしかったのに」
仕方なく撤退という判断になった。ベルルさんとイレレイさんが本当に残念そうにしてくれてる。
ゴブリンはこの世界のGの位置にいる存在。一匹いれば三十匹はいるって言われている存在だ。間引きを毎日に近いほどしていないと一気に増えてしまう。
ちゃんと間引きしないといけないけど、報酬が安いから新人くらいしかやらないんだろうな。
「あっ!? 気づかれたんだな!」
「「「「ええ!?」」」」
ワッタさんが声をあげた。みんなで顔を見合ってゴブリンの集落に視線を移す。ゴブリンがこん棒とかをもってこっちに向かってくる。
「ど、どうしよう」
「ルリちゃん落ち着いて」
「ん、一旦撃退する。勝てないと思ったらゴブリン達はリーダーを呼びに行くはず。その時に逃げよう」
ルリが困惑してるとイレレイさんが落ち着かせてる。ベルルがみんなに指示を飛ばすとみんな頷いて武器を構えた。
「ん、皮袋に水と一緒に入れておくと外でも美味しく飲める」
目的地に向かいながら街道を進んでいるとイレレイさんとベルルさんが話す。
氷ってこの時代くらいだと高級品だからな~。まあ、魔法のおかげで結構流通してるみたいだけどね。それでも氷魔法に適性がある人しか使えないから大銅貨一枚はすっごい安いとか。
そのうち商人ギルドに目をつけられてしまいそうだな。孤児院の話もしたいからその時に話してみるかな。
「そろそろ見えてくるんだな」
見晴らしのいい街道を進んでいるとワッタさんが声をあげた。
彼の視線の先を見ると大きな森が見えてきた。
「ん、近い森での狩り。新人はここから始まる」
「え? それじゃ私達の為に?」
「ふふ、ベルルは優しいわよね~。フィル君達ならもっと強いのでも大丈夫なのに」
ベルルさんが呟くとルリが質問する。それにこたえるようにイレレイさんが答えるとベルルさんがそっぽを向いた。
恥ずかしくて顔を背けたみたいだ。彼女は本当に優しいな。新人の僕らに合わせてくれるなんて。
「でも、それじゃみんなのランクの依頼よりも報酬が安いんじゃ?」
「何言ってるの。今日は見学じゃないんだから、フィル君もパーティーの一員でしょ。それならパーティーにあった依頼を受けないと」
「そう、今の私達はフィルたち同じランクのFってこと。Eランクのゴブリンが私達の依頼ってこと」
ははは、本当に優しいな。僕の疑問にイレレイさんとベルルさんが微笑んで答えてくれた。
ワッタさんもニッコリと笑って盾を掲げてる。
「早速見つけたんだな。討伐数はいくつで終わり?」
「ん、20体」
「巣に満たないくらいの数か。じゃあ先行するんだな」
依頼内容を確認するとワッタさんがゴブリンに近づいていく。
こっちに気づいていないゴブリンは背後からワッタさんに頭をかち割られて絶命していった。
「ん、ワッタ。フィルとルリにやらせてあげないと」
「あっ。そうだったんだな。ごめんフィル、ルリ」
ベルルさんが杖でワッタさんをつつく。
別に僕らは気にしてないんだけど、ワッタさんは真剣に謝ってくる。僕とルリは首を振って応えるとワッタさんは頭を掻いてもうしわけなさそうに笑ってる。
「ん、フィルはすべての魔法適性をもってる。マナよ。我が敵を撃て【ファイアバレット】って詠唱すれば使える。ルリは同じ詠唱で【ホーリーバレット】って唱えれば使える」
「「はい!」」
「ふふ、すっかりベルルが先生になったわね~。それ以上のことも教えちゃったりして~」
「ん、イレレイは黙ってて」
ベルルさんが魔法の詠唱を教えてくれているとニヤニヤとイレレイさんが彼女を揶揄いはじめた。それ以上って大魔法とか極大魔法のことかな? 普通に知りたいんだけど、まずは中級魔法だよね。今教わっているのは初級魔法だろうから。
「ベルルさん。僕、教わりたいです」
「「「ええ!?」」」
「中級魔法とか、大魔法とか!」
「あ、そういうことね……」
「よ、よかった……」
ベルルさんに目を輝かせて言うとルリと二人が驚き戸惑った。
魔法を教わりたいというとイレレイさんとルリが何かつぶやいてる。聞こえなかったけどイレレイさんは残念そうでルリはホッとしてる。何を想像していたんだろうか?
「ん、フィルはいい子だからそうだと思った」
顔を真っ赤にして顔を背けるベルルさんが呟いてる。なんだか艶めいてるように見える?
「えっと~そろそろいかないか?」
「は~い。ベルル先生行きましょう」
「もう! イレレイ!」
「痛、いたたた~。先生痛いよ~」
「まだ言う!」
ワッタさんが困惑しながら出発を急かすとイレレイさんが手をあげて声をあげた。またまたイレレイさんがベルルさんを揶揄って杖で叩かれてる。結構強く叩いているけど大丈夫なのかな?
ワッタさんを先頭に森の中に入る。さっきのゴブリンは見張りのような立場だったのかもしれない。
森の外で敵が来ないかを見張っていたんだろう。それにしては隙だらけだったけどね。
「ありゃ? 集落が出来てる?」
ワッタさんの背に乗ってイレレイさんが声をあげた。ワッタさんの身長は2メートルくらいはあるからよく見えるだろうな。ってそうじゃない。集落って大丈夫なのかな? この人数じゃ危ないんじゃ?
「ん、ゴブリンの報酬はあんまりよくないから間引きが滞ったみたい」
「ん~、少しきついかな。キングとかロードがいたらまず勝てないしね」
「ん、一時撤退かな。残念、フィル達に経験をつんでほしかったのに」
仕方なく撤退という判断になった。ベルルさんとイレレイさんが本当に残念そうにしてくれてる。
ゴブリンはこの世界のGの位置にいる存在。一匹いれば三十匹はいるって言われている存在だ。間引きを毎日に近いほどしていないと一気に増えてしまう。
ちゃんと間引きしないといけないけど、報酬が安いから新人くらいしかやらないんだろうな。
「あっ!? 気づかれたんだな!」
「「「「ええ!?」」」」
ワッタさんが声をあげた。みんなで顔を見合ってゴブリンの集落に視線を移す。ゴブリンがこん棒とかをもってこっちに向かってくる。
「ど、どうしよう」
「ルリちゃん落ち着いて」
「ん、一旦撃退する。勝てないと思ったらゴブリン達はリーダーを呼びに行くはず。その時に逃げよう」
ルリが困惑してるとイレレイさんが落ち着かせてる。ベルルがみんなに指示を飛ばすとみんな頷いて武器を構えた。
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