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第一章
第12話 売れる魔法
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「お~いこっちも氷をくれ~」
「こっちもこっちも~」
「は、は~い」
ふふふ、思った通り氷が馬鹿みたいに売れてる。
酒場で氷を売る事業を開始して二時間ほどが過ぎた。
ジムさん達も含めて30人以上の人達が、この町のお酒の代表であるエールに氷を入れて飲み始めた。
「く~。こんなに冷えてるエールが上手いなんてな」
「そうだろうそうだろう! 俺が最初に考えたんだぜ。感謝しろよ~」
冷えたエールに感動するジムさんにファバルさんが自慢げに話す。
魔法で商売をしようと考える人が少ない世界だから簡単にシェアを独占できる。
氷一つが大銅貨一枚に変わっていくのは爽快の極みだな。
「フィル。いつまでも魔法が使えるんだけど……」
「ふふ、僕らのステータスはかなり上がってるからね。自動回復が追い付いてるんだよ」
ゲームではステータスのHP、MPは自動回復の機能がついてるものなんだよな。数値が大きくなればなるほど回復量も多くなっていくはず、それもゲームの常識だから、この世界でもつうようするかわからないけど、今のところは通用してるかな。
「リファさん。お客さんですよ」
「はい!」
受付の横にはリファの回復が活躍中。日給大銀貨5枚の仕事だ。冒険者で口の堅い人限定なのでみんな護衛みたいに目を光らせてくれてる。しばらくは大丈夫だろうけど、そのうち教会にバレてしまうだろうな。
まあ、その時は僕らのステータスが火を噴くけどね。
「とりあえず軌道に乗れそうだね。じゃあ、僕とルリは依頼に行こうか」
「うん」
「おっと、それなら俺達も」
依頼を受けて町の外に行こうと思ったらジムさん達が立ち上がった。
さっきまで飲んでいたからジムさんとファバルさんが千鳥足になってる。
「はいはい。酔っぱらいはダメ~」
「ん、ワッタ以外は留守番」
その様子を見たイレレイさんとベルルさんが二人を椅子に押し倒す。抵抗できない二人はそのまま椅子にもたれかかってワッタさんに支えられてる。
「おいおい。仲間外れかよ~」
「僕らも」
「ダメ! ジムもファバルもこのままじゃおいらが守れない。今回は留守番」
ワッタさんに顔を近づかれてジムさんとファバルさんは頷くことを強要された。仕方なく二人は頷いてるよ。
「みんなごめん。今度から飲みすぎないようにするよ」
「あ~ルファーの氷のせいだ~。金もなくなって冒険にも行けないなんて悪魔の飲み物じゃねえか~」
「え、えっと。僕のせい?」
ジムさんがみんなに謝るとファバルさんがエールを飲み干して叫んだ。ルファーは悪くないので僕らは首を振って応えた。
酒場で飲んでいる冒険者達もそろって首を振ってくれたのでルファーは安心して胸を撫でおろしてる。
「ということで今回は」
「おいらたち三人が」
「ん、一緒に行くことになるかな。いい?」
イレレイさん達が僕を振り返って声をあげた。
「逆に僕らと一緒に行ってくれるんですか?」
「行くよ~。だってベルルが~」
「ん、イレレイは黙ってて」
僕らみたいな新人と一緒に行くことにメリットはそれほどないと思って疑問を聞くとイレレイさんが答えてくれたんだけど、ベルルさんに口を抑えられてる。
「ん、フィルにはミノタウロスの時にお世話になったお礼をしたいし、私達が同行することで討伐依頼を受けられるからいいと思うの」
「そうか、討伐依頼を受けるにはランクをあげないといけないんでしたっけ?」
「そうよ。依頼の説明をしたように冒険者にもランクは存在しているの。今はフィル君達はFランクの冒険者だからEランクまでの依頼しか受けれないわ」
ベルルさんと話しているとオリーブさんがランクについてこたえてくれた。
「ん、ミノタウロスとの戦闘を得たからすぐにランクは上がると思うけど、査定みたいなものがあるから少し時間かかる。その間は私達がフィルたちの代わりに依頼を受けて討伐に行こ」
「は、はい」
ベルルさんが僕の両手を取って顔を近づけていってくる。黒い魔法使いの帽子をかぶる彼女のピンクの髪がとても甘い香りを運んでくる。
僕が答えるとベルルさんは満面の笑みになって頷いた。
「フィル~……」
「え? どうしたのルリ?」
「何でもないけど……」
頬を膨らませて睨んでくるルリ。何かあったのかと聞くとそっぽを向かれてしまった。
「じゃあ、今日はゴブリンの討伐にでも行きましょうかね。盾たちが不甲斐ないことになってるから」
「面目ない」
「ふんっ。冷えたエールのせいだからルファーのせいだな」
「うっ」
イレレイさんが文句を言うとジムさんとファバルさんが呟く。
ルファーは気にしていたことを言われて俯いてるけど、すぐにイレレイさんに抱きしめられて、
「ルファー君は悪くないよ~。この二人が飲みすぎなのが悪いんだから~」
「そうだぞ~。おいらは少し飲んで楽しんだから感謝してる」
「あ、ありがとうございます」
と声をかけられる。ワッタさんも一緒に慰めている。
「ん、依頼も受けた。役立たずは無視して行こ」
「「ひ、ひどい」ひでえ」
辛辣なベルルさんの言葉にジムさんとファバルさんが呟いた。
ご愁傷さまです。
「こっちもこっちも~」
「は、は~い」
ふふふ、思った通り氷が馬鹿みたいに売れてる。
酒場で氷を売る事業を開始して二時間ほどが過ぎた。
ジムさん達も含めて30人以上の人達が、この町のお酒の代表であるエールに氷を入れて飲み始めた。
「く~。こんなに冷えてるエールが上手いなんてな」
「そうだろうそうだろう! 俺が最初に考えたんだぜ。感謝しろよ~」
冷えたエールに感動するジムさんにファバルさんが自慢げに話す。
魔法で商売をしようと考える人が少ない世界だから簡単にシェアを独占できる。
氷一つが大銅貨一枚に変わっていくのは爽快の極みだな。
「フィル。いつまでも魔法が使えるんだけど……」
「ふふ、僕らのステータスはかなり上がってるからね。自動回復が追い付いてるんだよ」
ゲームではステータスのHP、MPは自動回復の機能がついてるものなんだよな。数値が大きくなればなるほど回復量も多くなっていくはず、それもゲームの常識だから、この世界でもつうようするかわからないけど、今のところは通用してるかな。
「リファさん。お客さんですよ」
「はい!」
受付の横にはリファの回復が活躍中。日給大銀貨5枚の仕事だ。冒険者で口の堅い人限定なのでみんな護衛みたいに目を光らせてくれてる。しばらくは大丈夫だろうけど、そのうち教会にバレてしまうだろうな。
まあ、その時は僕らのステータスが火を噴くけどね。
「とりあえず軌道に乗れそうだね。じゃあ、僕とルリは依頼に行こうか」
「うん」
「おっと、それなら俺達も」
依頼を受けて町の外に行こうと思ったらジムさん達が立ち上がった。
さっきまで飲んでいたからジムさんとファバルさんが千鳥足になってる。
「はいはい。酔っぱらいはダメ~」
「ん、ワッタ以外は留守番」
その様子を見たイレレイさんとベルルさんが二人を椅子に押し倒す。抵抗できない二人はそのまま椅子にもたれかかってワッタさんに支えられてる。
「おいおい。仲間外れかよ~」
「僕らも」
「ダメ! ジムもファバルもこのままじゃおいらが守れない。今回は留守番」
ワッタさんに顔を近づかれてジムさんとファバルさんは頷くことを強要された。仕方なく二人は頷いてるよ。
「みんなごめん。今度から飲みすぎないようにするよ」
「あ~ルファーの氷のせいだ~。金もなくなって冒険にも行けないなんて悪魔の飲み物じゃねえか~」
「え、えっと。僕のせい?」
ジムさんがみんなに謝るとファバルさんがエールを飲み干して叫んだ。ルファーは悪くないので僕らは首を振って応えた。
酒場で飲んでいる冒険者達もそろって首を振ってくれたのでルファーは安心して胸を撫でおろしてる。
「ということで今回は」
「おいらたち三人が」
「ん、一緒に行くことになるかな。いい?」
イレレイさん達が僕を振り返って声をあげた。
「逆に僕らと一緒に行ってくれるんですか?」
「行くよ~。だってベルルが~」
「ん、イレレイは黙ってて」
僕らみたいな新人と一緒に行くことにメリットはそれほどないと思って疑問を聞くとイレレイさんが答えてくれたんだけど、ベルルさんに口を抑えられてる。
「ん、フィルにはミノタウロスの時にお世話になったお礼をしたいし、私達が同行することで討伐依頼を受けられるからいいと思うの」
「そうか、討伐依頼を受けるにはランクをあげないといけないんでしたっけ?」
「そうよ。依頼の説明をしたように冒険者にもランクは存在しているの。今はフィル君達はFランクの冒険者だからEランクまでの依頼しか受けれないわ」
ベルルさんと話しているとオリーブさんがランクについてこたえてくれた。
「ん、ミノタウロスとの戦闘を得たからすぐにランクは上がると思うけど、査定みたいなものがあるから少し時間かかる。その間は私達がフィルたちの代わりに依頼を受けて討伐に行こ」
「は、はい」
ベルルさんが僕の両手を取って顔を近づけていってくる。黒い魔法使いの帽子をかぶる彼女のピンクの髪がとても甘い香りを運んでくる。
僕が答えるとベルルさんは満面の笑みになって頷いた。
「フィル~……」
「え? どうしたのルリ?」
「何でもないけど……」
頬を膨らませて睨んでくるルリ。何かあったのかと聞くとそっぽを向かれてしまった。
「じゃあ、今日はゴブリンの討伐にでも行きましょうかね。盾たちが不甲斐ないことになってるから」
「面目ない」
「ふんっ。冷えたエールのせいだからルファーのせいだな」
「うっ」
イレレイさんが文句を言うとジムさんとファバルさんが呟く。
ルファーは気にしていたことを言われて俯いてるけど、すぐにイレレイさんに抱きしめられて、
「ルファー君は悪くないよ~。この二人が飲みすぎなのが悪いんだから~」
「そうだぞ~。おいらは少し飲んで楽しんだから感謝してる」
「あ、ありがとうございます」
と声をかけられる。ワッタさんも一緒に慰めている。
「ん、依頼も受けた。役立たずは無視して行こ」
「「ひ、ひどい」ひでえ」
辛辣なベルルさんの言葉にジムさんとファバルさんが呟いた。
ご愁傷さまです。
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