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第一章 

第11話 魔法

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「ということでこれから孤児院の確保を目指すってわけ」

「「……」」

 ギルドのラフィーリアさんの部屋に戻ってきてこれからの目的を伝える。
 二人は無言で俯いてる。

「僕らみたいな子供が孤児院を?」

「出来るんですか?」

 二人は疑問を口にする。僕も最初は現実味がなかったから疑問に思うのは仕方ないね。

「うん。領主様は個人で作るなら勝手にやっていいって言ってるみたい。だから、あとはお金の問題だ」

「そ、それが一番大変なんじゃ?」

「まあね。そこで二人には街中でお金を稼いでほしい」

「ど、どうやってです?」

 ルファーの疑問に答えるとリファが疑問に首を傾げた。

「これと言って案はないんだけど、二人にも冒険者になってもらって町の中の依頼をこなしてほしいんだ」

「ぼ、僕らが冒険者に?」

「わ、私が……」

 冒険者って言う単語に二人が顔を強張らせる。

「僕たちみたいな子供が」

「冒険者なんて」

 二人とも自分にはできないと思ってるみたい。まあ、それも僕らがおもったことでもあるからわからないでもない。

「僕らもそう思ってた。でもね、この者を癒したまえ【ヒール】すぐにこういうことが出来るようになったんだ。リファにももしかしたら出来るよ」

「私にも?」

「ああ」

 まだ自分の力を信じられない二人、特にリファは信じられないみたいだ。
 ヒールを使って見せて二人を説得する。すでに25レベルになってる二人、適性があれば二人も使えるはず。
 ルリには回復適性があったけど、二人は別のものがあるかも知れない。ベルルさんに調べてもらう必要はあるな~。

「ま、まさか……僕らにも」

「うん、調べてみないとわからないけどね」

「凄い! 私も病気の人を治すことが?」

「うん。適性があれば出来るはずだよ」

 二人は驚きながら自分の手を眺めてる。
 今までのことを考えると信じられないんだろうな。

「とにかく、登録に行こう。オリーブさんに言えばすぐだよ」

 扉を開けて一階の受付に向かう。受付につくとオリーブさんがいたので声をかける。

「オリーブさん。新しく登録したい子がいるんだけど」

「ふふ、早速仲間を集めているのね。後ろの二人ね」

 オリーブさんが僕の後ろに視線を移した。後ろを向くとルファーとリファがこくんと頷いた。

「じゃあ、ここに名前と年齢を書いてね」

「「はい」」

「あら? 文字をかけるのね。ルリちゃんもちゃんと覚えたほうが良いわよ」

「は、はい……」

 どうやら、ルファーとリファは文字が書けるみたい。ルリは俯いてしまった。慰めるために頭を撫でてあげると更に俯いちゃった。ルリは書き物の勉強も必要だな。

「ルリ。大丈夫だよ。ルリにはルリに出来ることをしてもらうんだから」

「う、うん。フィル、私頑張るから」

「その意気だ」

 ルリを慰めていると二人が書き終わって登録が終わる。

「また見学をする?」

「いえ、二人には街中の依頼をやってもらおうと思って」

「あら? そうなの? 回復魔法が使えたりはするの?」

「それはまだわからないんですけど、使えてもそれで商売はできないでしょ?」

 僕の言葉にオリーブさんは『そうね。教会がいるものね』と答えた。
 回復魔法が使えることを教会にバレるともしかしたら捕まるかも知れない。回復魔法を独占したい教会は敵と思っておいた方がいいと思う。

「それなら、冒険者ギルドに常駐してもらって怪我人が来たら回復してもらうって言うのはどう?」

「え?」

「一日、そうね~、大銀貨5枚でどうかしら?」

 オリーブさんの提案にルリと顔を見合う。そうか、黙ってくれる冒険者達にだけ、回復魔法を使うってことか。ベルルさんがやってくれたみたいにカンパみたいに集めるんじゃなくてギルド職員みたいな給料でもらうことが出来るってわけだ。それはありがたいけど、オリーブさんが決めて大丈夫なのかな? 大銀貨なんて結構な大金だと思うけど。

「マスターもあなた達には期待しているのよ。見学をするっていう新しい試みも考えてくれたし、それも大成功だったしね」

 オリーブさんはウインクして話す。
 マスターってギルドマスターのことかな?
 そういえば、マスターには会ったことないな。今度、お礼を言わないと。

「ん、その前に魔法適性を見てみたほうがいいね」

「ベルルさん」

 オリーブさんと話してるとコホンと咳ばらいをしてベルルさんが併設されている酒場から出てきた。よく見るとジムさん達もいて、僕らの様子を伺ってる。

「さあ、杖を持ってみて」

「あ、はい……」

「ん、あなたは氷の適性がある」

「氷ですか?」

 ルファーは氷の適性があるみたい。

「次はあなた」

「は、はい」

「ん、緊張しなくて大丈夫。あなたは、雷と光」

「雷と光?」

 リファは雷と光魔法に適性があるのか~、光魔法は回復魔法と同じものだから女性陣はみんな回復魔法が使えるってことだね。複数の属性に適性があるのはやっぱり珍しいんだな~。僕ってかなりチートっぽくなってきたぞ。

「ん、試してみて。周囲を凍らせて【コールド】ってやってみるの」

「しゅ、周囲を凍らせて【コールド】」

 ルファーが教わった通りに詠唱するとルファーの周囲に氷の雨が降った。雹みたいな氷だけど結構大きい、拳ほどもある。

「ん、次はあなた。ヒールの詠唱は知ってる?」

「あ、はい。この者を癒せ【ヒール】」

 次はリファだ。詠唱して魔法を唱えると彼女の掌が光だした。

「「で、出来た……」」

「ん、二人とも才能がある。私もうかうかしていられない」

 二人は出来たことに驚いてる、そんな二人の様子を見ていたベルルさんはフンスと意気込んでる。

「氷もらっていいか?」
 
「え? あっはい」

「ジュースが美味しくなるんだわ~」

 その様子を見ていたファバルさん。そうか、冷やすって言う文化はあるのか。でも、氷を売ってる人はいないな。
 ん? これは使えるんじゃ?

「フィル! ギルドで回復魔法を使いたい!」

「ん、ああ、それなら常駐してもらうのはリファに決定だね」

「やった! 私頑張る。傷ついた人を私が治すの!」

 病弱だったリファは自分が弱った人を治せることがとても嬉しいみたいで涙を浮かべ喜んでる。本当に嬉しいのが見てわかる。

「僕には回復魔法は使えない」

「大丈夫だよルファー。君の魔法もかなり優秀だよ」

「ほんと?」

「ああ、もしかしたらこの街が買えてしまうほどかもしれない」

「ええ!?」

 ふふふと黒い笑みを浮かべてルファーに話す。かなり戸惑うルファーをしり目に僕は美味しそうにジュースを飲み干すファバルさんを見つめた。
 まずはこの酒場からだ。
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