孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
上 下
2 / 55
第一章 

第2話 僕のチート?

しおりを挟む
「似合ってるよ坊やたち」

 金貨を一枚持って僕らはとりあえず身なりを整える。その為に出店の服屋さんに来た。散髪屋を先に寄ったので髪も綺麗に整ってる。
 金貨を持っているのを見せるだけでどの店の人もネズミだと思わなかったみたいでよくしてくれてる。
 ルリも薄い緑色の服に身を包んでエルフらしさが際立つな。
 まあ、僕は無難に白を基調にした青い線が入った服だ。僕の髪も青いからあってると思ってる。それほどセンスがあるわけじゃないから何とも言えないけどね。

「ふぃ、フィル。カッコいいよ」

「ありがと。ルリも似合ってるよ」

「!? あ、ありがと」

 二人で服を褒め合う。
 服も買ったのでラフィーリアさんの言っていた冒険者ギルドに向かう。

「な、なんで私に良くしてくれるの?」

 不意にルリが聞いてきた。良くしているつもりはないけどな。

「意図があるわけじゃないよ。ラフィーリアさんがそうやって使ってほしそうだったから」

「そ、そうなの?」

 少し残念そうに俯くルリ。ラフィーリアさんは金貨を手渡してくれた時少しだけルリを見ていた。たぶん、そういう意図があったんだと思うんだよね。

「じゃあ、フィルがよくしてくれたのはあの人のため?」

「ん~。最初はそう思ったけど、今は間違いじゃなかったって思ってるよ。君も優しい子だよ。ラフィーリアさん風に言うと綺麗な子だね」

 ニコっと笑って言うと顔を背けるルリ。何かまずいこと言っちゃったかな?

「ルリ?」

「!? ぼ、冒険者ギルドだよね。あれでしょ?」

 気まずいから声をかけたらルリが驚いて冒険者ギルドを指さした。
 噴水広場のすぐ横、酒場が併設されているのは常識みたいで木のジョッキを持った冒険者が窓から見える。

「な、中にはいるの?」

「うん。そうだけど? 怖い?」

「う、うん。少し」

「じゃあ、手を握って」

「!?」

 ルリの手を握るとビクッと驚いて強く握り返した。顔が真っ赤っかでトマトみたいになってる。そんなに怖いのかな?
 落ち着くのを待って両開きの扉を押してギルドに入った。
 その瞬間変な声が頭に響いてきた。

『レベルが上がりました』

「わ!?」

「ど、どうしたのフィル!」

 声に驚いて声をあげるとルリに心配されてしまった。ギルドの中にも聞こえちゃったみたいでみんなが僕らに視線を移した。

「おいおい。なんだ? ガキがなんで?」

「孤児じゃねえか? まあ、それにしては身綺麗だな」

 そんな声が聞こえる中、僕は目の前に広がった自分のステータスを見ていた。他の人には見えないそれはとても信じられない数値を見せていた。

 名前 フィル 
 
 レベル 24

 HP 260
 MP 200
 
 STR 43
 DEF 43
 DEX 41
 AGI 47
 INT 40
 MND 40

 パーティーリーダー 【ラフィーリア】
 メンバー      【フィル】

 5歳の子供がレベル25……
 路地で生活していた時にこの世界の最高レベルの人の話を聞いたことがある。確か、75……平均レベルが20という話だった。
 一度死んだら終わりの世界で魔物と戦うんだからそのくらいが妥当だと思う。
 だけどなんでレベルが上がったんだ? このパーティーって言うのが関係してるのか?
 ラフィーリアさんが狩りをすることで僕にも経験値が入ったってことか? 異世界転生をするとチートが手に入るって言うのは好きなアニメや小説で見たけど、まさか本当に得られていたとは……。
 
「おい! ガキども。ここは孤児院じゃねえぞ」

 ステータスやその他もろもろに驚いていると丸坊主の筋骨隆々の人が僕らの前で仁王立ちしてきた。子供はあんまりよく思われてないのかな?

「ふぃ、フィル~」

「大丈夫だよ。ラフィーリアさんに仕事があるって聞いてきました」

「ラフィーリアだと?」

 ラフィーリアさんの名を出すと顔を青ざめさせる丸坊主さん。何か嫌なことでも思い出してるのかな?

「はいはい。ガルトさん。どいてくださいね」

 受付で僕らのことを見ていた女性が出てきて丸坊主のガルトをどけてくれた。

「ラフィーリアさんの紹介ですね。まずはお名前と歳だけど、書けるかな?」

「はい。僕は大丈夫です」

 女性に答えるとルリが目を伏せて口を開く。

「あ、わ、私は書けません……。書けないとダメですか?」

 心配そうに話すルリ。

「心配ないわ。それなら私が書くから。ようこそ冒険者ギルドへ。小さな冒険者さん。私は受付係のオリーブよ。これからよろしくね」

「「はい」」

 オリーブさんに名前と年齢を書いた紙を渡して返事をすると、再度あの声が聞こえてきた。

『レベルが上がりました』

しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します

如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい 全くもって分からない 転生した私にはその美的感覚が分からないよ

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

処理中です...