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第2章 国

第57話 チートなみんな

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 ドラゴン兵を落として、杖と弓が戻ってきた。

「あれは【魔龍】という魔法です」

「マナの塊の龍を作り触れたもののマナを吸収させます」

 早速、分からなかったことを聞くとそんな答えが返ってきた。やっぱり、杖達の魔法は和名なんだな。要はマナの龍を作ったという事か、なんとも恐ろしい魔法だろうか。

 さて、空の戦力が無くなったレギントスはどう出るかな? 

「突撃~」

 ふむ、騎兵を残しての歩兵の突撃か。じゃあこっちは騎兵だな。

「鉄騎兵」

「御意」

 門から鉄騎兵を送り出す。こっちの鉄騎兵は百、あちらさんは千五百と言った感じか? レギントスの騎兵も地平線から駆けてきている。こっちもリビングアーマーを出すか。

 地上戦はリビングアーマーとマネキンを主力で投下。こちらの歩兵であるリビングアーマーは騎兵よりも少し遅いくらいの速度で走る。疲れを知らないリビングアーマは騎兵の切り裂いた歩兵の列に飛び込んで左右に割れていく。次々と歩兵を飲み込んで草原を血で染める。
 騎兵はそのまま前進して歩兵の列を突破。すぐに横一列に整列して千はいるであろう騎兵へと突撃していく。流石に一列で突破は出来ないと思ったら敵騎兵が空高く吹き飛ばされている姿が確認できた。明らかにレベル差があり過ぎるな。

「へへへ、門が空いてるぜ」

「仲間の仇だ!」

 流石に人数がいるので木の壁までたどり着いた奴らがいた。燃やされても困るのでわざと木の門を開けておいたよ。

「ん? これはミスリルの剣か~!」

「うほ~、いっぱいあるじゃねえか」

 正規軍ばかりではないレギントスの兵は木の壁と石の壁の間にある剣を拾う。盗賊ならハマるだろうと思っていたがこいつらもそんなようなもんなんだな。

「ぎゃ~」

「てめー何してんだ!」

「し、知らねえよ! 剣が勝手に!」

「!? 全員拾った剣を捨てろ! リビングウェポンだ!」

 リーダー格っぽい男の叫びで全員が剣を捨てた。捨てたとたん持っていたやつの首が飛ぶ。その様子を見て青ざめる兵士達に矢が降り注がれ、すぐに動くものがいなくなっていった。

「えげつない……」

「俺達はこんなものと戦おうとしていたのか……」

 アズとイズが青ざめて呟いた。それを見てグレイが二人の頭を順番に撫でてニカっと笑ってるよ。だから言っただろって感じだな。

「弓は盾で防がれて」

「盾は矢を防げない……、こんなのどうすればいいんだ」

 盾君があちらの矢を防いでこっちは弓君が鋭い矢を放ってあちらの盾を貫いて弓兵を倒してる。その様子を双子は見て絶望してるよ。

「この二人は敵ぴよ?」「ぴよ~?」

「いや、味方だよ」

「じゃあ、なんで勝とうとしているぴよ?」

「まあ、そういう想定をしておいてもいいかもしれないな。いつかクラスメイトともやる可能性はあるから」

 双子の呟きにハーピーの双子が首を傾げている。
 味方である間は大丈夫だけど、彼らにとってはいつ敵になるかわからないといった感じだろう。グレイが裏切らない限りは敵にはならないけどな。
 クラスメイトはどんなスキルを持っているかわからない。同じようなスキルを持っている想定はしておいた方がいいと思う。そういう時にシミュレートしていた二人はちゃんと動けるだろう。軍部にいたようなのに任せたいっていうのはあるよな。

「撤退し始めたかな?」

 半分以上が動かなくなって地平線にいたレギントスが見えなくなった。少し距離を置いて様子を見るんだろう。だけど、こっちも暇じゃないんだよな。すぐにでも片付けたい。

「ゴールドアーマー。行ってくれるか?」

 レイグランドの着ていたゴールドアーマーにそう言うと頷いて答えてくれた。

「答えてくれるでしょうか?」

「ん~。帰ってくれればそれでいいんだけどね。ゴールドアーマーを見て激昂して突撃してくれないかなっていうのもあるんだよね」

 帰ってくれればそれで終わりだし、挑発に乗ってくれればそれでもいい。とにかく、早く終わらしたい。
 という事でマイルに書いてもらった手紙をゴールドアーマーに届けさせる。
 王が来ているかわからないけど、レイグランドの鎧を見て激昂してくれればそれもいいかなってね。

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