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第2章 国

第53話 帰ろう

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 十階を攻略したので俺達は帰ることにした。素材もいっぱい手に入ったし、時間もないしな。一日くらい余裕を持って帰った方がよさそうだし。
 他のガチャ玉を開けようと思ったんだけど、これ以上マイルに心配かけると彼女が倒れかねないからね、我慢我慢。

「全部回収しました~」

「ぴよ~」

 リックとルビーが元気よく話した。最後のボスフィールドには一杯アイテムがドロップしたからね。集めるのも一苦労だったよ。マイル達が率先して集めてくれたので俺は楽だったけど、心配し過ぎなんだよな。

「じゃあ、帰ろう」

『は~い』

 みんな元気よく魔法陣に入っていく。最後に入ると魔法陣が輝きだして外へと転移された。

 ダンジョンの入り口に戻って周りを見渡す。マジックバッグに剣君達をしまっているのでそれほど驚かれなかったけど、そこそこ驚かれている。
 みんなの目線は俺の頭の上とアイリの肩に集中している。ハーピーの双子は珍しいみたいだな。

「エレメンタルハーピー!?」

「やっぱりそうなのか!」

 そんな声が聞こえてくる。結構強そうな魔法使いと戦士が目をまん丸くして見つめてきてるぞ。エレメンタル? 属性付きって事かな、それで珍しいのか。そう言えば倒したハーピーは白い羽根の奴らしかいなかったな~。

「お、お帰りなさい。今度はハーピーですか」

 受付に向かうとレリエラが引きつった顔で迎えてくれた。少し呆れた様子も混じっている。

「ぴよ~」

「可愛い! 名前はなんて言うんですか?」

「ルビーだぴよ。私はサファイアだぴよ! ヒフミ様が付けてくれたんだぴよ」

 ルビーがレリエラの肩に止まると頬に頬ずりをした。かわいらしい仕草にたまらずレリエラが名前を聞くとサファイアが答えた。
 結構、コミュ力があるなこの双子。俺にはまねできない行為だ。

「七階でハーピーを確認したことがありましたけど、エレメンタルハーピーを撃破した人は初めて見ましたよ」

「そういうもん?」

「はい! エレメンタルハーピーは逃げ足が速い魔物です。ユニーク種と言われる亜種の一種ですね」

 ほ~、魔物にも種類があるのか。同じ種でも別物があるんだな~。

「スライムですと緑が普通で青、赤が亜種ですね。他にも金や銀が確認されていますけど、撃破したと報告された例はありません」

 すらすらと説明される。スライムは緑が多いと思ったらそう言う事だったのか。

「それで? 今回は前よりも早かったですね。何階まで行ったんですか? 八ですか?」

「十階だよ」

「……えっ? もう一度」

「十階だよ~」

 レリエラに何階まで行ったのか答えるともう一度聞き返された。仕方なくアイリがもう一度言うと言葉を失くしてしまったようで、何か遠くを見つめてしまっている。

 どよどよ、そんな音が聞こえてくる程周りが騒がしくなってきた。十階ってそんなに凄い事なのか?

「あっ! すいませんでした。えっと、十階にいって戻ってきたんですね?」

「十階の魔物倒したよ~」

「十階をクリアしたんですか!?」

 ガタっと机に前のめりになるレリエラ。一層視線が熱くなるのを感じて頷くとストンとレリエラが椅子に戻っていった。

「十階をクリアした人はまだいないんです。帰ってこなかった人がいるので行かないようにと注意していたんです! まさか、一気に十階まで行くとは思わなかったので皆さんには言っていませんでした……」

 ギルドでも注意する程危ない敵だったって事か。それを蹂躙って、やっぱりうちのリビングウェポンたちは最強だな。

「ダンジョンは何度も最初からできるんです。無理はしないでください。これから先は情報が一切ない領域ですので」

「は、はい……」

 レリエラが再度前のめりになって忠告してきた。心配してくれているんだから素直に聞いておくけど、行くときは行くぞ。ガチャ玉の強化の内容もまだ確認できていないからな。それの有用性でこれからのダンジョン攻略を進めるか進めないかが来まる。ゲーム好きとしてはクリアしたいけどな~。

「素材はどうされますか? 卸してくださいますか?」

「じゃあ、この杖の欠片と王冠の欠片を」

「……これはリッチ!?」

 これから素材を出すたんびに驚かれてしまって大金を得た。
 目立ちに目立った俺達はすぐに帰路に立つことにした。
 ガンジさんに挨拶して、リヴェさんとワースさんに別れの挨拶をしたよ。もうちょっといたかったけど、未開地へ行けるようになった俺達に声がかかる気がしたので早めに出た。
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