上 下
38 / 59
第2章 国

第38話 ダンジョン一階

しおりを挟む
「みんな入ったな」

「「「は~い」」」

 魔法陣は四畳ほどの大きさなので四人は余裕で収まる。三人の装備は短剣君をそれぞれとリックとアイリには盾君。あとはメイン武器として杖をマイルとアイリ。リックは鉄の剣と盾だ。みんな、精霊化されているので軽くなるから子供でも持てる、これだけでも十分チートだよな。緊急時には自分で動いてもらうので最強の護衛って感じだ。

 魔法陣に入って少しすると魔法陣が輝きだして、徐々に視界が変わっていき岩肌の部屋に変わっていく。転移前の部屋と同じ大きさの部屋で扉が一つだけ見える。

「気が変わって帰ることもできるのか」

「そうですね」

 足元には魔法陣があるのでいつでも帰ることが出来るようだ。

 初めてなので部屋も確認してみたが、普通の岩肌で仕掛けがあるようには見えない。とりあえず、扉は一つなのでその扉を開いてみる。

「ダンジョンってこんななのか……」

 通路がただただ続くものだと思っていたけど違うようで、広い平原が続いていて、普通の壁が全然見えない。これは長引きそうだな。

「三日では終わらなさそうだな」

「一階層はすぐに魔法陣があるものなのですが」

 困っているとマイルが慰めてくれた。

 留まっていてもしょうがないので平原を進んでいく……と言ってもどっちに行けばいいのかわからないのでとりあえず周りを見回すか。

 転移された魔法陣を囲んでいる建物は土が盛り上がっただけの穴に扉がついている洞窟だった。洞窟の上に昇って周りを見渡してみるけど、見える範囲全部平原だな。

「どっちに行けばいいんだ?」

「この階層は魔物を全部倒すと魔法陣が出るタイプだと思います」

「へ~、階層で色々違うんだな」

 ゲームなんかのダンジョンでもそんな物もあったような気がするが実際にあるとめんどくさいもんだな。上から見ていると確かに魔物が点々と群れで集まっているのが見える。群れと言っても三匹から五匹くらいの集まりだ。
 時間もないし、剣君達に掃除してもらうか。

 という事で剣君達に飛んで行ってもらって魔物を一掃。見える範囲の魔物を狩るとみていた洞窟の上に魔法陣が現れた。

「お兄ちゃん……」

「ん? どうした?」

「僕らも戦いたい……」

 あ~、そうか。みんなは経験を積みたいんだったか。あまり、危ないことはさせたくないけどな、この世界で生き抜くには強くなる必要はあるか。次の階では頑張ってもらおう。

「アイリ、リック、ごめんな。次は少し残すから」

「あう、少しですか?」

 アイリとリックの頭を撫でながら話すとリックが不満そうに言ってきた。
 全部なんて危ないからやらせられないだろ。って言うか俺もまともな戦闘したことないからやらないとな。やらなかったら二人にも追い抜かれるだろう、すぐに。
 さっきのザイバツの件の、制作レベルが身体能力のレベルと一緒っていうのの証明も欲しいんだよな。歩いたりしていてもあんまり感じないんだよ。スタミナゲージは確かに減らないけど、それじゃ自信にはつながらん。次は精霊達の援護ありで戦闘してみるかな。

「戦果は核とそれぞれの装備か……。あまりおいしくないな~」

 剣君達がドロップ品を回収してきた。核やこん棒などの安そうなものばかりだ。もつのも面倒だな。と思っていると、

「私が全部持ちます」

「えっ? 必要ないから核だけでいいよ」

「でも」

「大丈夫大丈夫」

 核以外は廃棄でいいとマイルに提案する。こん棒なんて木に布を巻き付けただけのものだからな。あんまりいらないよ。

「じゃあ、核は持ちますね」

「ああ、お願いするよ」

「はい!」

 マイルが荷物を持つと言って核をバッグに詰め込んでいく。予め、バッグなんかも用意していたので何とか全部入った。マイルは凄い嬉しそうにしている。何だか、気恥ずかしいな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~

厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない! ☆第4回次世代ファンタジーカップ  142位でした。ありがとう御座いました。 ★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

処理中です...