制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

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第2章 国

第33話 アダム

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「ひゃ~、立派な馬車だ~」

「これで新しい街にいくの?」

 少年を勧誘したら二つ返事で了承してくれたよ。少年だけじゃなくて少年の仲間もみんな一緒に街に来てくれるようで十人程来てくれることとなった。馬車を見て喜んでいるけど大八車を二個つけただけのものだからな。あんまり褒められると恥ずかしいぞ。
 リーダーの少年はアダムというらしい。子供たちは嬉しそうに馬車を眺めている。

「さあ、乗ってくれ」

「は~い」

 子供たちを乗せてエレベスから帰路に立つ。レストランでの食事はできなかったがレイニーが食べ物を子供の分まで用意してくれた。子供たちはポーション以外はあまり食べていなかったみたいでバクバクと食べているよ。黒パンにハムのような肉を挟んだ食べ物でパンの硬ささえなければおいしいんだけどな。現在日本人にはきつい硬さだ。

「ヒフミ様、スープもありますよ」

「ありがとうマイル」

 マイルがスープを木皿に入れて手渡してくれた。

「ん? これは?」

 スープを見ると貝が入ってる。海が近いのかな。

「どうしたのヒフミお兄ちゃん?」

「あさりが入ってる」

「ああ、それはポートラインで取れるあさりですね」

「凄いね。あさりって結構足が速いって言われてるのに」

 どうしても海産物は腐るのが早いんだよな。この世界で口にできると思わなかったな。

「足が速いの?」

「えっとな。腐るのが速いっていうのを俺の故郷ではそう言ってたんだよ」

「変なの~」

 比喩のような言葉を言ったらアイリには理解できなかったみたいで首を傾げている。まあ、確かにおかしな話だよな、腐るのが早いが足が速いなんてさ。

「港町ポートラインはエレベスから早馬で一日で着くらしいよ。買う時に聞いておいたんだ。ヒフミはそう言ったことに興味ありそうだったからね」

 レイニーが得意げに胸を張って話した。

 そうか、港町があるんだな~。ちょっと行ってみたいが、先にダンジョンだな。ダンジョンの依頼の羊皮紙はもらっているからいつでも行ける。

「魔物だ~」

「怖いよ~」

 街へと戻る道なき道で魔物の群れと遭遇。子供たちは怖がっているけど一瞬で剣君達が討伐。子供たちはすぐに笑顔になって、剣君達をほめている。この子達にも盗賊達の持っていた短剣を持たせれば最強の護衛の完成だな。子供に刃物を持たせるのは怖いがリビングウェポンならば安心だ。指は切れない包丁とか言うのがあったがそんなようなもんだよな。

 魔物はゴブリンやオークの群れで二十体ずついた。オークは解体させてその日に少し食べて次の日も食べれた。ゴブリンは核だけ確保して穴に埋めておしまいだ。帰路はこんな感じで核や素材を確保しながら無事に進んだ。
 
 街に着くと街の中の剣君達が飛んで迎えてくれた。みんな待ち遠しかったのかな? と寂しがってくれたんだと思って嬉しく思っていると、

「敵軍が来ました」
 
 剣君達が報告してきた。どうやら、レイグランドの敵討ちに来たようだ。

 まったく、そっちが先にドワーフ達を痛めつけて来たくせにやられたらこれだもんな。取って取られてで戦争は大きくなっていくんだよな。治めるには滅ぼすしかないかな?

「馬車が来たぞ!」

「撃て~」

 レイグランドの時のように少し高くなっている所に陣取っている敵軍が俺達に気づいて騎兵と弓が飛んできた。矢は盾君が防いで騎兵は鉄騎士の部隊に落とされていく。

「あんちゃん。大丈夫なのかよ?」

「ん? ああ、怖がらせて悪いね。最近来ているレギントス帝国の兵なんだよ。大丈夫さ、剣君達の強さは知っているだろ?」

 アダムにそう声をかけると少し震えているけど笑顔になった。帰路の魔物の群れを退治してくれた剣君達の強さを見せれてよかったな。あれが子供たちの安心につながってすぐに笑顔になっていく。

「とにかく、街に入るよ」

 みんなにそう声をかける。
 鉄騎士や剣君達に蹂躙されている戦場を横目に俺達は街の中へ入っていく。門の前に来ると門が自動で開き入り終わると自動でしまる。門にも精霊生成薬(中)をぶっかけたら精霊化したんだよな。最強の門番の完成だ。
 いざこざもあったけど、無事に帰還できた。さてさて、めんどくさいけど、レギントス帝国と対峙しますか。
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